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本編
2.ビジネスと言われれば一応ビジネス
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「お姉さんの名前は?」
「木浦朱里」
「おっけー、朱里ね」
“いきなり呼び捨て……!”
おずおずと差し出されていた彼の手を取るとブンブンと軽く振られすぐ離される。
そして向かい合わせで座った彼はポケットからスマホを取り出し私の方へと向けた。
「連絡先交換しよ、何メインで使ってる?」
にこりと笑った顔がやたらいい。
思わず一瞬見惚れた私だったが、すぐにハッとして自分もスマホを取り出した。
“電話、それともメール……”
瞬時に思考を巡らせた私は『inforsyconnect』、略して『インコネ』というコミュニケーションアプリを起動し見せる。
「インコネでもいい?」
形式ばらない、カジュアルなという意味のinformalと、簡単なという意味のeasyを掛け合わせた造語のinforsyと、繋がるという意味のconnectから名付けられているこのアプリは、友達登録している相手と簡単に画像や音楽が共有出来たり、メッセージに通話までも可能な反面、対面でしか友達登録が出来ないという不自由さが特別感を演出し学生を中心に一気に流行っていた。
私も市場調査を兼ねてインストールしてみたのだが、繋がるまでは少し手間なものの一度繋がってしまえば出来ることは多いのにわかりやすいよう工夫がされているアプリで、使い心地が思ったよりよく、また使用人口が増えていることもあって今ではメインで使っているコミュニケーションツールのひとつとなっている。
まさにこのインコネとの共同企画をしたいと、アプローチの連絡を入れているほど。
“残念ながら感触はあんまりよくないんだけどね……”
対面でしか友達登録が出来ないという限った使い方にこだわっているからこそ、我が社のように手広く扱っている企業は敬遠しているのかもしれない。
「朱里もやってるんだ」
「なによ、社会人の私がやってたらおかしい?」
つい脳内が仕事モードに入ってしまっていた私は、不思議そうに言われたその言葉で意識を戻しすぐにムッとして口をへの字に曲げる。
この程度のことでついムスッとしてしまうのは、まだ亮介との一件を引きずっているからだろう。
だが私の苛立ちは気にならないのか、彼が気分を害した様子はない。
その事実に内心安堵しつつ、私は常に持ち歩いている名刺ケースから名刺を一枚取り出し彼に渡した。
「これ、私の名刺」
「あー、なるほど。リサーチも兼ねてやってるんだ?」
「まぁね、ちょっとアプローチかけてるの」
自分で言うのもアレだが会社が有名だったことと、また部署名から関連性を察したのか納得した顔で小さく頷いた彼は、すぐにその表情を呆れたようなものへと変える。
「てかさ、初対面の男に名刺渡すなよ」
「なっ、しょ、初対面だからでしょ!? ビジネスの基本じゃない」
「これがビジネスだったらね……って、そうか。お金で買われたんだからある意味ビジネスなのか」
そう結論付けた彼は私のテーブルの伝票を取り私に向かってニッと笑う。
「じゃ、仕事しに行こっか」
それが、私の『経験を積む』ということだと気付きじわりと頬が熱くなった。
自身の伝票とこちらの伝票の二枚を持ったままレジに向かう彼を慌てて追う。
「不二さんっ!」
「光希でいいよ、なんかほら、そびえ立ってる山みたいだし」
そのおちゃらけた言い方に思わず吹き出すが、今は笑っている場合ではない。
「それ私のテーブルの伝票……」
「いいよ、これくらい。朱里が払う必要ないやつじゃん」
“確かにそれはそうだけど”
もう別れてしまったのだから亮介が頼んだものは亮介が払うべき。その考えは正しいのだが、その亮介の分を彼が払うのは私が払う以上に違和感がある。
どうするべきかと迷い戸惑っている私に気付いた光希は、可笑しそうにくすりと笑いそっと私へ耳打ちをした。
「俺、据え膳は食べるタイプだから」
「……!」
「これくらいは俺が払うよ」
ふっと笑う彼にドクンと心臓が大きく跳ねる。
そして次に向かう場所を連想してじわりと額に汗が滲んだ。
“私、この後――”
「朱里」
優しく名前を呼ばれピクッと体が反応する。
流石に早まった、勢いとはいえ馬鹿なことをしようとしている。
そう思うくせに、私に向けられる笑顔と差し出された手が何故か拒めなかった。
彼に手を引かれ路地に入る。
まだ明るい空の色と、閑散とした人通りの少ない道がどこか背徳的に思えて心臓が激しく鳴った。
いかにもラブホ、というような部屋もあれば何故か目に痛いようなカラフルな部屋も選べたが、その中から最もシンプルな部屋を光希が選び、そしてまた彼に手を引かれる形で促されるままエレベーターに乗り込む。
「あのさ」
「!」
エレベーターのボタンを操作した光希は、視線を合わせないようにか点灯する階表示へと視線を固定しながら呟くように口を開く。
“そ、そうだ、私また相手に任せるばっかりで……!”
亮介にそんなところがつまらないと言われたばかりなのに、また同じことをしていることに気付くが、だがここからどうしたらいいかわからない。
経験豊富で、魅力ある女性はこういう時にどうするのか教科書があれば欲しいくらいである。
「朱里」
エレベーターの動きがいつもより遅く思えて変な緊張が私を包む。
“今つまんないって思ってるのかも”
あの男の言ってた通りだった、なんてもし思われていたら?
「あーかーり?」
また嗤われるかもしれないと思うと、つつ、と背中に嫌な汗が伝った、その時だった。
「朱里ってば!」
「へっ!?」
突然パッと私の顔を覗き込むように光希が正面に立つ。
真剣な眼差しに射貫くように見つめられていることに気付き息を呑んだ。
「平気?」
「あ、えっと……」
「ほら、手も冷たくなってるし」
「わっ」
私の右手を両手で包んだ光希が、手のひらをマッサージするようにゆっくりと揉む。
ラブホのエレベーターの中で、お金で買った初対面の男に変な意味なくマッサージを施されているというこのちぐはぐな状況がなんだか可笑しく、ふっと私の口から笑いが漏れた。
笑ったことで緊張が解れたのか、さっきまで強張っていた体が軽くなったように感じる。
「お、手のひらちょっと温かくなってきたかも」
「マッサージのお陰ね」
「はは、これはサービスにしとく」
悪戯っぽく笑った光希の表情を見て、きっとこの会話含めて私を気遣ってくれていたのだと察した私は、なんだか胸の奥がくすぐったかった。
“亮介からこんな風に気遣われたりってなかったな”
「どうする? 降りる?」
一瞬言われた内容がわからずポカンとした私は、もう目的の階に着いていることに遅れて気付き慌てて大きく頷いた。
「お、降りる!」
「本当に?」
少し冗談っぽく小首を傾げて聞く彼のこの言葉が、選択肢を与えてくれていることを理解する。
今ならまだ引き返せるのだと――……
“でも、あんなこと言われて悔しかったから”
それに私の気持ちを優先しようとしてくれる彼ならば。
「お金で買ったのは私だから」
「あははっ、了解」
精一杯強がってそう言いながら、吹き出した光希と一緒にエレベーターを降りたのだった。
◇◇◇
「キスってあり?」
「あ……、り、んっ」
ガチャンと扉が閉まるのと同時に唇が重なる。
下唇を挟まれ開いた隙間をなぞるように彼の舌が動き、私はそのまま促されるように口を開けた。
口内に彼の舌が侵入してきたことに思わず肩を強張らせると、私の緊張を解すように背中をゆっくりと撫でられる。
いつの間にか口内を蠢いていた舌が抜かれ、重ねるだけの口付けへと戻っていた。
“私のペースに合わせてくれてる?”
そう気付くと、胸の奥がほわりと温かくなる。
少し落ち着いてきたからか、冷静にそう考えられるようになった私は意を決して舌を伸ばし彼の唇をつついた。
精一杯、積極的に。それだけを念頭に置いて必死に舌を動かすと、ぱくりと私の舌を食む。
彼の口内へと閉じ込められた私の舌は、すぐに強く吸われ彼の舌が絡まった。
ちゅくちゅくと彼の舌が扱くように私を刺激し、口付けがどんどん深くなる。
呼吸も忘れて彼の舌を味わっていると、突然ガバッと抱き上げられた。
「な、なにっ!?」
「早くベッドに行きたいなって思って」
「ッ!」
抱き上げたことで私を見上げる体勢になった光希が、にこりと微笑みながらそんなことを言う。
そんな彼の瞳がどこか妖しく揺らめき、私はごくりと唾を呑んだ。
「……私も、その……ベッドに、行きたい」
「木浦朱里」
「おっけー、朱里ね」
“いきなり呼び捨て……!”
おずおずと差し出されていた彼の手を取るとブンブンと軽く振られすぐ離される。
そして向かい合わせで座った彼はポケットからスマホを取り出し私の方へと向けた。
「連絡先交換しよ、何メインで使ってる?」
にこりと笑った顔がやたらいい。
思わず一瞬見惚れた私だったが、すぐにハッとして自分もスマホを取り出した。
“電話、それともメール……”
瞬時に思考を巡らせた私は『inforsyconnect』、略して『インコネ』というコミュニケーションアプリを起動し見せる。
「インコネでもいい?」
形式ばらない、カジュアルなという意味のinformalと、簡単なという意味のeasyを掛け合わせた造語のinforsyと、繋がるという意味のconnectから名付けられているこのアプリは、友達登録している相手と簡単に画像や音楽が共有出来たり、メッセージに通話までも可能な反面、対面でしか友達登録が出来ないという不自由さが特別感を演出し学生を中心に一気に流行っていた。
私も市場調査を兼ねてインストールしてみたのだが、繋がるまでは少し手間なものの一度繋がってしまえば出来ることは多いのにわかりやすいよう工夫がされているアプリで、使い心地が思ったよりよく、また使用人口が増えていることもあって今ではメインで使っているコミュニケーションツールのひとつとなっている。
まさにこのインコネとの共同企画をしたいと、アプローチの連絡を入れているほど。
“残念ながら感触はあんまりよくないんだけどね……”
対面でしか友達登録が出来ないという限った使い方にこだわっているからこそ、我が社のように手広く扱っている企業は敬遠しているのかもしれない。
「朱里もやってるんだ」
「なによ、社会人の私がやってたらおかしい?」
つい脳内が仕事モードに入ってしまっていた私は、不思議そうに言われたその言葉で意識を戻しすぐにムッとして口をへの字に曲げる。
この程度のことでついムスッとしてしまうのは、まだ亮介との一件を引きずっているからだろう。
だが私の苛立ちは気にならないのか、彼が気分を害した様子はない。
その事実に内心安堵しつつ、私は常に持ち歩いている名刺ケースから名刺を一枚取り出し彼に渡した。
「これ、私の名刺」
「あー、なるほど。リサーチも兼ねてやってるんだ?」
「まぁね、ちょっとアプローチかけてるの」
自分で言うのもアレだが会社が有名だったことと、また部署名から関連性を察したのか納得した顔で小さく頷いた彼は、すぐにその表情を呆れたようなものへと変える。
「てかさ、初対面の男に名刺渡すなよ」
「なっ、しょ、初対面だからでしょ!? ビジネスの基本じゃない」
「これがビジネスだったらね……って、そうか。お金で買われたんだからある意味ビジネスなのか」
そう結論付けた彼は私のテーブルの伝票を取り私に向かってニッと笑う。
「じゃ、仕事しに行こっか」
それが、私の『経験を積む』ということだと気付きじわりと頬が熱くなった。
自身の伝票とこちらの伝票の二枚を持ったままレジに向かう彼を慌てて追う。
「不二さんっ!」
「光希でいいよ、なんかほら、そびえ立ってる山みたいだし」
そのおちゃらけた言い方に思わず吹き出すが、今は笑っている場合ではない。
「それ私のテーブルの伝票……」
「いいよ、これくらい。朱里が払う必要ないやつじゃん」
“確かにそれはそうだけど”
もう別れてしまったのだから亮介が頼んだものは亮介が払うべき。その考えは正しいのだが、その亮介の分を彼が払うのは私が払う以上に違和感がある。
どうするべきかと迷い戸惑っている私に気付いた光希は、可笑しそうにくすりと笑いそっと私へ耳打ちをした。
「俺、据え膳は食べるタイプだから」
「……!」
「これくらいは俺が払うよ」
ふっと笑う彼にドクンと心臓が大きく跳ねる。
そして次に向かう場所を連想してじわりと額に汗が滲んだ。
“私、この後――”
「朱里」
優しく名前を呼ばれピクッと体が反応する。
流石に早まった、勢いとはいえ馬鹿なことをしようとしている。
そう思うくせに、私に向けられる笑顔と差し出された手が何故か拒めなかった。
彼に手を引かれ路地に入る。
まだ明るい空の色と、閑散とした人通りの少ない道がどこか背徳的に思えて心臓が激しく鳴った。
いかにもラブホ、というような部屋もあれば何故か目に痛いようなカラフルな部屋も選べたが、その中から最もシンプルな部屋を光希が選び、そしてまた彼に手を引かれる形で促されるままエレベーターに乗り込む。
「あのさ」
「!」
エレベーターのボタンを操作した光希は、視線を合わせないようにか点灯する階表示へと視線を固定しながら呟くように口を開く。
“そ、そうだ、私また相手に任せるばっかりで……!”
亮介にそんなところがつまらないと言われたばかりなのに、また同じことをしていることに気付くが、だがここからどうしたらいいかわからない。
経験豊富で、魅力ある女性はこういう時にどうするのか教科書があれば欲しいくらいである。
「朱里」
エレベーターの動きがいつもより遅く思えて変な緊張が私を包む。
“今つまんないって思ってるのかも”
あの男の言ってた通りだった、なんてもし思われていたら?
「あーかーり?」
また嗤われるかもしれないと思うと、つつ、と背中に嫌な汗が伝った、その時だった。
「朱里ってば!」
「へっ!?」
突然パッと私の顔を覗き込むように光希が正面に立つ。
真剣な眼差しに射貫くように見つめられていることに気付き息を呑んだ。
「平気?」
「あ、えっと……」
「ほら、手も冷たくなってるし」
「わっ」
私の右手を両手で包んだ光希が、手のひらをマッサージするようにゆっくりと揉む。
ラブホのエレベーターの中で、お金で買った初対面の男に変な意味なくマッサージを施されているというこのちぐはぐな状況がなんだか可笑しく、ふっと私の口から笑いが漏れた。
笑ったことで緊張が解れたのか、さっきまで強張っていた体が軽くなったように感じる。
「お、手のひらちょっと温かくなってきたかも」
「マッサージのお陰ね」
「はは、これはサービスにしとく」
悪戯っぽく笑った光希の表情を見て、きっとこの会話含めて私を気遣ってくれていたのだと察した私は、なんだか胸の奥がくすぐったかった。
“亮介からこんな風に気遣われたりってなかったな”
「どうする? 降りる?」
一瞬言われた内容がわからずポカンとした私は、もう目的の階に着いていることに遅れて気付き慌てて大きく頷いた。
「お、降りる!」
「本当に?」
少し冗談っぽく小首を傾げて聞く彼のこの言葉が、選択肢を与えてくれていることを理解する。
今ならまだ引き返せるのだと――……
“でも、あんなこと言われて悔しかったから”
それに私の気持ちを優先しようとしてくれる彼ならば。
「お金で買ったのは私だから」
「あははっ、了解」
精一杯強がってそう言いながら、吹き出した光希と一緒にエレベーターを降りたのだった。
◇◇◇
「キスってあり?」
「あ……、り、んっ」
ガチャンと扉が閉まるのと同時に唇が重なる。
下唇を挟まれ開いた隙間をなぞるように彼の舌が動き、私はそのまま促されるように口を開けた。
口内に彼の舌が侵入してきたことに思わず肩を強張らせると、私の緊張を解すように背中をゆっくりと撫でられる。
いつの間にか口内を蠢いていた舌が抜かれ、重ねるだけの口付けへと戻っていた。
“私のペースに合わせてくれてる?”
そう気付くと、胸の奥がほわりと温かくなる。
少し落ち着いてきたからか、冷静にそう考えられるようになった私は意を決して舌を伸ばし彼の唇をつついた。
精一杯、積極的に。それだけを念頭に置いて必死に舌を動かすと、ぱくりと私の舌を食む。
彼の口内へと閉じ込められた私の舌は、すぐに強く吸われ彼の舌が絡まった。
ちゅくちゅくと彼の舌が扱くように私を刺激し、口付けがどんどん深くなる。
呼吸も忘れて彼の舌を味わっていると、突然ガバッと抱き上げられた。
「な、なにっ!?」
「早くベッドに行きたいなって思って」
「ッ!」
抱き上げたことで私を見上げる体勢になった光希が、にこりと微笑みながらそんなことを言う。
そんな彼の瞳がどこか妖しく揺らめき、私はごくりと唾を呑んだ。
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