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無意識なのだろうか。胸を吸いながらゆらゆらと揺れる彼が、私の太股に固い屹立を擦りつけていた。
そんなことですら、私は泣きそうなほど嬉しかった。
「んっ、あの、固いものが」
おずおずと告げると、彼の頬が一気に赤く染まり慌てて私から体を離す。
我を取り戻したかのように両手を上げた彼が、気まずそうに目を反らした。
「すまない。その、怖がらせるつもりは」
「怖くは、ない……です。その、私の体は萎えると評判だったので驚いたというか」
「なるほど。斬ってやろう」
「いいです、いいです!」
私の言葉を聞いたヴァイノ卿が一気にピリついた空気を纏い立ち上がろうとするのを、焦った私が彼を引き留めようと抱き着く。
(しまった)
胸を下品に押し付けられて嫌悪感を抱いたと言っていた彼の言葉を思い出し、一瞬そんな後悔が頭を過る。
せっかく私に反応してくれたのに、また萎えられたら。そう思うと途端に怖くなり、抱き着いてしまった腕を離すことも出来ず固まった。
だが、そんな硬直している私の腕をさっと掴んだヴァイノ卿が再び私をベッドへ押し倒しぎゅうぎゅうと抱きしめる。
「くそ、誘惑しないでくれ。暴発しそうだ」
「ぼ、暴発」
「……暴走ともいう」
暴発と暴走ではものすごく意味合いが変わる気がしたが、だがどっちにしろ萎えなかったことに安堵する。
それが嬉しくてそっと彼の背中に腕を回すと、彼の体がわかりやすくビクッと反応した。
「レーナ嬢は、婚約者はいなかったな」
「え、まぁ、おりませんが」
「なら俺を選んではもらえないだろうか。一生大事にする」
「へっ?」
抱きしめられたまま告げられた言葉に呆然とする。
私の太股には相変わらず彼の確かな猛りを感じていた。
(だから抱かせてくれってことかしら)
こんな場面でされる口約束にどれほどの効力があるのだろうか。
自身の欲を発散させたいがための睦言。
全て終わったあとに、本気にしたのかと捨てられる可能性だってある。
しかも彼は私とは違い地位も人気もあった。
それでも。
「いい、ですよ」
私の言葉に、言い出した彼の方が何故か驚いた顔をした。
そしてすぐにとろんと彼の目尻が下がる。
(一夜の夢でもって思う令嬢の気持ち、今ならわかるかも)
この夢が一夜だけだとしても、彼からこんな顔を向けられ求められるのならば悪くないとそう思った。
「もっと触れていいか」
「はい」
頷くと彼の手のひらが再び私の胸を這う。
やはり私の胸では揉むというより撫でるという方が近いが、それでも私の胸に触りながら僅かに動く彼の下半身が堪らなく嬉しかった。
(この人、本当に萎えないのね)
今までコンプレックスで、誰かに見られることを考えればそれだけで憂鬱な気持ちになっていた。
少しでも大きく見せようと大きめのドレスを着たりしたけれど、勃たないだとか萎えるとかそんな陰口ばかりが聞こえて来ていた。
でも少なくとも今は、私のこの胸に興奮している人がいるのだ。
「嬉しいです、もっと触って欲しい」
「く、どこまで俺を誘惑するんだ……!」
「あんッ」
ぢゅっとさっき吸われた胸とは反対の胸に吸い付かれる。
唾液を塗り込むように乳首が何度も舐められ、熱い口腔内と外気に触れた時彼の唾液でひやりとするその感覚が私の脳を痺れさせていた。
「可愛い、この胸も、この乳首も、レーナ嬢の反応も全て可愛い」
「んっ、や、恥ずかし……」
「もっと触れたい」
「ひゃっ」
彼の手のひらがそっと腹部を這い、太股まで下がる。
そのまま足の付け根へと指が進み、くちゅりと滴る愛液を掬いながら蜜口に触れた。
「アッ!」
「濡れてる、感じてくれたのか」
「あ、だめっ、そんなとこ」
くちゅくちゅと音を立てながら表面を撫でていた彼の指が、くぷりとナカに挿れられる。
初めて触れられるその場所はまだ指だからなのかいつの間にか溢れさせていた愛液のお陰か、圧迫感はあるものの痛みは少ない。
彼の骨ばった長い指でナカを掻き混ぜられると、その度に腰がビクビクと反応してしまう。
腰が動く度に上半身も揺れるが、残念ながら私にはこんな時蠱惑的に揺れる膨らみはなかった。
それなのに、彼からの確かな劣情の視線が降り注ぎ胸の奥がくすぐったくなる。
(ずっと胸ばかり見てる)
なんだかその視線が段々と恥ずかしくなり、そっと腕で胸を隠すとすぐさま彼が私の手を掴んだ。
「隠さないで欲しい」
「えっと」
「目に焼き付けなくてはもったいないほど美しい胸だ」
(つるぺた断崖絶壁ですが)
真剣な表情を向けられた私は、いまだに自身の胸の魅力を信じきれないもののそっと腕を下ろす。
それだけでどこか嬉しそうに琥珀色に瞳を揺らしたヴァイノ卿が、胸に顔を埋めた。
いや、絶壁なので埋まる肉はないのだが。
そんなことですら、私は泣きそうなほど嬉しかった。
「んっ、あの、固いものが」
おずおずと告げると、彼の頬が一気に赤く染まり慌てて私から体を離す。
我を取り戻したかのように両手を上げた彼が、気まずそうに目を反らした。
「すまない。その、怖がらせるつもりは」
「怖くは、ない……です。その、私の体は萎えると評判だったので驚いたというか」
「なるほど。斬ってやろう」
「いいです、いいです!」
私の言葉を聞いたヴァイノ卿が一気にピリついた空気を纏い立ち上がろうとするのを、焦った私が彼を引き留めようと抱き着く。
(しまった)
胸を下品に押し付けられて嫌悪感を抱いたと言っていた彼の言葉を思い出し、一瞬そんな後悔が頭を過る。
せっかく私に反応してくれたのに、また萎えられたら。そう思うと途端に怖くなり、抱き着いてしまった腕を離すことも出来ず固まった。
だが、そんな硬直している私の腕をさっと掴んだヴァイノ卿が再び私をベッドへ押し倒しぎゅうぎゅうと抱きしめる。
「くそ、誘惑しないでくれ。暴発しそうだ」
「ぼ、暴発」
「……暴走ともいう」
暴発と暴走ではものすごく意味合いが変わる気がしたが、だがどっちにしろ萎えなかったことに安堵する。
それが嬉しくてそっと彼の背中に腕を回すと、彼の体がわかりやすくビクッと反応した。
「レーナ嬢は、婚約者はいなかったな」
「え、まぁ、おりませんが」
「なら俺を選んではもらえないだろうか。一生大事にする」
「へっ?」
抱きしめられたまま告げられた言葉に呆然とする。
私の太股には相変わらず彼の確かな猛りを感じていた。
(だから抱かせてくれってことかしら)
こんな場面でされる口約束にどれほどの効力があるのだろうか。
自身の欲を発散させたいがための睦言。
全て終わったあとに、本気にしたのかと捨てられる可能性だってある。
しかも彼は私とは違い地位も人気もあった。
それでも。
「いい、ですよ」
私の言葉に、言い出した彼の方が何故か驚いた顔をした。
そしてすぐにとろんと彼の目尻が下がる。
(一夜の夢でもって思う令嬢の気持ち、今ならわかるかも)
この夢が一夜だけだとしても、彼からこんな顔を向けられ求められるのならば悪くないとそう思った。
「もっと触れていいか」
「はい」
頷くと彼の手のひらが再び私の胸を這う。
やはり私の胸では揉むというより撫でるという方が近いが、それでも私の胸に触りながら僅かに動く彼の下半身が堪らなく嬉しかった。
(この人、本当に萎えないのね)
今までコンプレックスで、誰かに見られることを考えればそれだけで憂鬱な気持ちになっていた。
少しでも大きく見せようと大きめのドレスを着たりしたけれど、勃たないだとか萎えるとかそんな陰口ばかりが聞こえて来ていた。
でも少なくとも今は、私のこの胸に興奮している人がいるのだ。
「嬉しいです、もっと触って欲しい」
「く、どこまで俺を誘惑するんだ……!」
「あんッ」
ぢゅっとさっき吸われた胸とは反対の胸に吸い付かれる。
唾液を塗り込むように乳首が何度も舐められ、熱い口腔内と外気に触れた時彼の唾液でひやりとするその感覚が私の脳を痺れさせていた。
「可愛い、この胸も、この乳首も、レーナ嬢の反応も全て可愛い」
「んっ、や、恥ずかし……」
「もっと触れたい」
「ひゃっ」
彼の手のひらがそっと腹部を這い、太股まで下がる。
そのまま足の付け根へと指が進み、くちゅりと滴る愛液を掬いながら蜜口に触れた。
「アッ!」
「濡れてる、感じてくれたのか」
「あ、だめっ、そんなとこ」
くちゅくちゅと音を立てながら表面を撫でていた彼の指が、くぷりとナカに挿れられる。
初めて触れられるその場所はまだ指だからなのかいつの間にか溢れさせていた愛液のお陰か、圧迫感はあるものの痛みは少ない。
彼の骨ばった長い指でナカを掻き混ぜられると、その度に腰がビクビクと反応してしまう。
腰が動く度に上半身も揺れるが、残念ながら私にはこんな時蠱惑的に揺れる膨らみはなかった。
それなのに、彼からの確かな劣情の視線が降り注ぎ胸の奥がくすぐったくなる。
(ずっと胸ばかり見てる)
なんだかその視線が段々と恥ずかしくなり、そっと腕で胸を隠すとすぐさま彼が私の手を掴んだ。
「隠さないで欲しい」
「えっと」
「目に焼き付けなくてはもったいないほど美しい胸だ」
(つるぺた断崖絶壁ですが)
真剣な表情を向けられた私は、いまだに自身の胸の魅力を信じきれないもののそっと腕を下ろす。
それだけでどこか嬉しそうに琥珀色に瞳を揺らしたヴァイノ卿が、胸に顔を埋めた。
いや、絶壁なので埋まる肉はないのだが。
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