【R18】えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~

春瀬湖子

文字の大きさ
上 下
29 / 35
最終章・えぇっ、本気だったんですか!?

29.今度こそ、君と

しおりを挟む
「抜かないで」
「でも」

 戸惑うジルの首筋に、いつも彼が私にすることを真似してぢゅっと吸い付く。
 ジルみたいに上手くは付けられなかったけれど、うっすらと赤い痕が残り私は嬉しくなった。

「心が気持ちいい……の。もっと、して欲しい……」

 チラッと彼の表情を覗き見ると、真っ赤に染まったジルと目が合う。

“だってこの痛みも全部、私が彼の特別だから与えられるものだわ”

 私が彼の特別だから。
 そして彼も、私の特別なのだ。

「この痕は、ジルが私のって証だから……、もう、刻んだから」
「ルチア、それって」
「だ、ダメ?」
「っ、ダメな訳ないだろ……!?」
「ひ、ぁっ!?」

 ズクンとナカで彼のが一層大きくなった感覚に驚く。

“さ、サイズ変更は聞いてないわ!?”

 まさかそんなことがあるなんて。
 人体の不思議に慄いていると、ジルの吐息が耳元に触れた。

「――ね、ゆっくり動いていい?」
「あ……、ん、うん……」

 私が小さく頷いたことを確認し、ジルがゆっくりと抽挿を開始する。
 初めは浅いところをゆっくり擦り、少しずつ奥まで彼のモノで抉られると痛みの奥に快感が揺らめいた。

“なに、これ……?”

 痛いのに、苦しいのにそれだけではない感覚。
 ジルがゆっくり馴染ませるようにしてくれているからだろうか?

「――ぁっ、あぁっ」
 
 痛みよりもその感覚に比率が傾き、息を詰めるばかりだった私の口から嬌声が溢れる。

 ぐちゅりと粘液性の音が部屋へと響き、段々とその音を大きくしながら部屋へと響いた。

「っ、痛くない?」
「んっ、あんっ、だいじょ、ぶ、だからぁっ」

 ナカがゴリゴリと抉られると、快感が一気に駆け上る。
 快感から滴る愛液で滑りが良くなってきたのか、ジルの表情も痛みを堪えるようなものから何かに耐えるようなものに変わっていた。

“ジルも気持ちいいと思ってくれてる?”
 
 私の腰を掴んだジルに揺すられるだけで嬌声が溢れる。
 ぱちゅんぱちゅんと肌同士がぶつかる音が耳に響き、別に悪いことをしている訳ではないのにどこか背徳的な気持ちにさせた。

「ジ、ルっ」

 名前を呼ぶとすぐに口付けが降ってくる。
 優しく下唇が食まれ、熱い舌で唇がなぞられるとゾクリとした。

 ジルの舌を求めて必死に自身の舌を伸ばすとすぐにジルの舌が絡められる。
 その舌に必死に吸いついていると、ふわりと頭が撫でられた。

 その手が優しくて、堪らない。
 もっと撫でて欲しくて、もっと彼に甘えたくてジルの背中に腕を回して抱き締めると、それを合図にジルがばちゅんと腰を再び動かし始めた。

 奥まで貫かれ、グリグリともっと先まで抉じ開けるように腰が打ち付けられると、その度に私の視界の奥に星が散る。

“ダメ、これ、きもちい……!”

 下りてきた子宮口の入り口まで彼のモノが捩じ込まれると、自然と腰が浮いてしまう。

 貪られている。
 その感覚が、それだけ求められていることが私の心を震わせた。 

「んっ、ね、ジル……もっとキスして? 口付けながらイきたいの」
「あぁ、ルチア。愛してる……!」

 彼の体にすがり付くように抱きつきそう懇願すると、先ほどとは違い激しく口付けられる。

 酸素が足りず、苦しいほどの口付けに溺れそうになりながら必死に彼にしがみつくと、一際奥を彼のモノで突き上げられる。

 そのまま彼のモノがナカでビュクリと震えたと同時に私の視界も白く弾け、促されるかのように絶頂へと誘われた。

 じわりとナカで熱いものが広がり、幸福感が私を包む。
 彼の温かい体に安心感を覚えながら、私は意識を手放したのだった。

 ◇◇◇

「ん、んぅ……?」

 どれくらい時間がたったのだろうか。

“確かジルの部屋へと来たのがまだ明るい時間だったから……”

 もぞもぞとベッドの中で動きながら、中々開かない目を開けようと顔をあげると瞼越しに眩しいことに気付き一気に覚醒する。

「うそっ、朝!?」

 焦って目を開こうとするが、強烈な光でなかなか開かない。

「……!? まぶっ、まぶしっ!?」
「あ、ルチア起きたんだ。体はどう? 痛いところはないかな」
「ジル? 体は痛くないけど目がっ、眩しくてっ」
「あぁ、ごめんね。興奮して発光してたみたいだ」
「そうだったのね、なんだ、ジルの加護かぁ」

 まだ朝じゃなかったのね、なんて呑気に考え――

「加護!!?」

 ――ガバリと勢いよく体を起こす。
 愕然としながら部屋を見渡すと外は暗く、さっきの目が開けられないほどの光はやはりジルの光の加護によるもののようだった。

「ジルの加護、戻って……きたの?」
「心配させてごめんね、実は犯人を釣る為に失ったままでいただけで本当はいつでも取り戻せたんだ。光の加護に毒物は効かないし、加護というのは内から出るものだから」

 少し申し訳なさそうにしながら告げるジル。
 きっと加護のない私に気を遣っているのだろう。

“そんなこと気にしなくていいのに”

 外から加護を押さえつけ封じたものの、加護が内にあるものだったから内側から解除することが出来たのだろう。
 それは光の加護という特別な加護を持っているジルだからこそ出来る方法で、つまりは最初から彼には効かなかったのだ。

「ジルの加護が戻ってきて嬉しいわ」
「ルチア……」
「本当よ? だってジルは加護がなくても私のことを愛してくれるんでしょう?」
「当たり前だ! 僕は加護なんて関係なく、僕という個を見つけてくれたルチアだからこそ好きになったんだから」

 真っ直ぐ射貫くように見つめられながら告げられるその言葉に胸が高鳴る。
 
“ジルの方こそ、そのままの私を見つけてくれたのにね”

 同じようなことを思っていると、なんだか可笑しくてクスクスと笑みが溢れてくる。
 きっとこんな時間を幸せと呼ぶのだろう。

「大好きよ、ジル」
「あぁ、僕もだ。明日にでも結婚したいくらい愛してる」
「ふふ、またそんなことを言って」
「本気」

 彼との軽口が楽しくて心地いい。
 ずっとずっとこうやって彼と過ごせていければ、どれほど幸福なのだろうか。

「ルチアは着たいウェディングドレスとかあるかな?」
「そうね……、んー、ジルが一番好きなドレスを着たいかも、なんて」

 もちろん好きなドレスの形はあるけれど、でも婚姻を結ぶ特別な日は、愛する人の最も好きなドレスに身を包みたいと、そう思った。

「ふふ、ルチアならそう言ってくれるって思ってた」
「ジルには何でもお見通しなのね?」
「それだけ君しか見てないってことなんだけどね」

 甘い会話に身を委ねる。
 きっといつか結婚した後も、何年後も、そして何十年後も彼とならばこんな日々過ごせるのだろう。

「ルチアは嫌?」

 少し不安そうに小首を傾げる彼のその表情が可愛くて、こういうのも惚れた弱みというやつなのかもしれない……なんて思いながら、「私もジルのお嫁さんになれるの楽しみにしてるわ」なんて私からも甘い言葉を彼に囁いたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

嫌われ女騎士は塩対応だった堅物騎士様と蜜愛中! 愚者の花道

Canaan
恋愛
旧題:愚者の花道 周囲からの風当たりは強いが、逞しく生きている平民あがりの女騎士ヘザー。ある時、とんでもない痴態を高慢エリート男ヒューイに目撃されてしまう。しかも、新しい配属先には自分の上官としてそのヒューイがいた……。 女子力低い残念ヒロインが、超感じ悪い堅物男の調子をだんだん狂わせていくお話。 ※シリーズ「愚者たちの物語 その2」※

不器用騎士様は記憶喪失の婚約者を逃がさない

かべうち右近
恋愛
「あなたみたいな人と、婚約したくなかった……!」 婚約者ヴィルヘルミーナにそう言われたルドガー。しかし、ツンツンなヴィルヘルミーナはそれからすぐに事故で記憶を失い、それまでとは打って変わって素直な可愛らしい令嬢に生まれ変わっていたーー。 もともとルドガーとヴィルヘルミーナは、顔を合わせればたびたび口喧嘩をする幼馴染同士だった。 ずっと好きな女などいないと思い込んでいたルドガーは、女性に人気で付き合いも広い。そんな彼は、悪友に指摘されて、ヴィルヘルミーナが好きなのだとやっと気付いた。 想いに気づいたとたんに、何の幸運か、親の意向によりとんとん拍子にヴィルヘルミーナとルドガーの婚約がまとまったものの、女たらしのルドガーに対してヴィルヘルミーナはツンツンだったのだ。 記憶を失ったヴィルヘルミーナには悪いが、今度こそ彼女を口説き落して円満結婚を目指し、ルドガーは彼女にアプローチを始める。しかし、元女誑しの不器用騎士は息を吸うようにステップをすっ飛ばしたアプローチばかりしてしまい…? 不器用騎士×元ツンデレ・今素直令嬢のラブコメです。 12/11追記 書籍版の配信に伴い、WEB連載版は取り下げております。 たくさんお読みいただきありがとうございました!

契約結婚のはずが、幼馴染の御曹司は溺愛婚をお望みです

紬 祥子(まつやちかこ)
恋愛
旧題:幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。 夢破れて帰ってきた故郷で、再会した彼との契約婚の日々。 ★第17回恋愛小説大賞(2024年)にて、奨励賞を受賞いたしました!★ ☆改題&加筆修正ののち、単行本として刊行されることになりました!☆ ※作品のレンタル開始に伴い、旧題で掲載していた本文は2025年2月13日に非公開となりました。  お楽しみくださっていた方々には申し訳ありませんが、何卒ご了承くださいませ。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...