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本編
1.魔法学園えちはれ
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魔法学園えちはれは、主人公であるアイザンベック・ロングロンド(名前変更可)として入学するところから始まるいちゃいちゃハーレムを楽しむ同人ゲームだった。
元々同人ゲームから人気が出たゲームで、ツッコミどころが満載の仕様となっている。
いわゆる「バカゲー」に近いご都合主義の仕様で、だがその緩さがいいのだと兄やんが力説していたことが印象深かった。
“まぁ、その兄やんの顔も思い出せないんだけど”
西洋風なのに学園の名前がひらがなであることや、ストーリーがエロに特化した仕様のゲームだというところもツッコミどころのひとつだ。
ちなみにえちはれという学園名の由来は「えっちなハーレム」だと公式から発表されており、攻略キャラの同時進行が可能どころか同時進行推奨のゲームだというところもポイントである。
「詳細はないという潔さと、神絵師によるあまりにも可愛すぎるヒロインたち、そして難易度が低く誰でもハーレムが築けることから爆発的に売れて、同人ゲームから始まり商業化、更にはOVAまで作られたのよね。全部買ったって言ってた気がするもの」
攻略キャラは4人で、貧乳年下甘えん坊枠、同級生のツンデレ枠、同じく同級生の優等生枠、年上の爆乳枠。
全員貴族令嬢だが婚約者がいないのは、他の男を出したくないからという意図の他に制作者がNTR属性を持っていなかったからとも言われているが定かではないらしい。
また18禁ゲームということもあり全員が学園に通っているのに18歳以上というコンプライアンスを守った仕様であり、学園は3学年制で18歳から21歳が通っている。
ゲーム自体は魔法を使える貴族の子息令嬢が通う学園の2年生として主人公が入学するところからはじまる。
入学資格は「魔法が使えること」で、当初魔法が使えないと思われていた主人公だが城下町をお忍びで遊びに来ていた王女殿下がスリを追いかけているところにぶつかりおっぱいを揉んでしまったことで魔法を発動。
ヒロインが感じたレベルで使える魔法のレベルが変わるということが判明し入学資格を一年遅れで得る。
(何故王女自らがスリを追いかけていたのかなどの部分もツッコミ要素だ。もちろん詳細はない)
ちなみにスリは、王女のおっぱいを揉みまばゆい光の柱と下半身の息子を勃てたことで何故か捕まえた。
どうやって捕まえたなどの詳細も描かれていないらしくこの潔さがこのゲームの大事なポイントとだと兄やんが教えてくれたが、何故妹にここまでエロゲについて教え込んだのかとまずツッコミたい。
「いや、兄やんが語ってくれたからこそ私が攻略される前に思い出せたんだけど……」
“素直に喜べません、前世のお兄様!”
学園に通っていなかったにもかかわらず何故か2年生として入学した主人公は、年下後輩の王女に再会し、同級生で同じクラスのツンデレ、同級生だが別のクラスの優等生、年上お姉さまの爆乳先輩と立て続けに出会う。
王女とは助けた縁で、ツンデレは同じクラスだから、優等生は自主勉のための図書室で、お姉さまは保健委員なので保健室で出会う。
主人公はえっちなことをしてからしばらくの時間魔法が使え、好感度により女の子がさせてくれることが増える。
またえっちなことをしヒロインたちを気持ちよくさせればさせるほど彼女たちの好感度が更に上がる仕様となっている。
えっちなプレイのレベルにより魔法の持続時間と威力が変わり、好感度の足りない最初は担任からの指示で制服の上からおっぱいをタッチ。
このタッチはミニゲームとなっていてちゃんと乳首に当たるなどをし感じさせることに成功すると、担任に言われる前から揉ませてくれたり、ゆくゆくは挿入までも楽しめるようになるのだ。
また、この世界には魔物が出る。その魔物が侵入しないよう主人公は結界を張るという大魔法を発動し国を守ることでハッピーエンドを迎え、ハーレム達成。
常に結界を張り続けるという大魔法を維持するために、主人公は攻略キャラ4人ともを妻にして王城でただれた生活をする。
余談だがこの国は本来一夫一妻。
法律すら凌駕したゲームということだ。
難易度はかなり低く、普通にプレイするだけでハーレムが確定し攻略対象を一人に絞った一途ルートはない。
一人に絞ると結界を維持する力が足りず、侵入してきた魔物に主人公だけが殺されて終わる。
単推しプレイヤーは「これも世界のためだから」「愛してるのは君だけだ」と言いながらもしっかりハーレムを築くか、「君以外を抱くなんて」とバッドエンドを選ぶしかないので結局は全員が「ハーレムゲームだから」と割り切ってハーレムを作って終わることがほどんどらしい。
「そしてそんなゲームのツンデレ枠が私ことロレッタ・セシルってわけね……」
あぁぁ、と嘆きクッションに顔を埋めた私はもうすぐはじまる新学期にただただ絶望するしか出来ない。
どう頑張ってもあと十日ほどで二年生になってしまうし、そこで私はこの魔法学園えちはれで担任に言われパイタッチをされてしまうのだ。
しかもおっぱいを触られたことで主人公に徐々に好意を抱く運命付きである。
“主人公相手とはいえまだ誰にも触らせたことのないこのおっぱいを触らせるなんて”
主人公も転生者なのかはわからないが、とにかく難易度の低いこのゲームだ。
ぼんやりしていると私は攻略されてしまうのだろう。
そしてただれたハーレムの一員としてひたすらえっちなことをされる人生を送るのだ。
「い、嫌すぎるッ」
だが攻略されなければこの国に魔物の侵入を許すことになる。
兄やんが言っていたことを信じると、死ぬのは主人公だけらしいが。
“女の子が死ぬ姿なんてみたくないから、って理由らしいけど”
そこは素直に感謝だが、しかし死ぬところが描かれていないだけで描かれていない主人公の死んだあとの世界のことはなにもわからないのだ。
攻略されてハーレムに入るか、未知数のバッドエンドだとわかっていながら攻略されないよう努力するかの二択。
「私が選ぶのは――」
クッションに埋めた顔を上げる。
この世界が本当にあの18禁ゲームの世界と同一なのだとしても、私はこの世界で生まれ今日まで生きてきた。
大好きな両親に幼い頃から世話をしてくれた使用人たち。
友人だっている。
この世界を不確定なバッドエンドの未来へなんていかせるわけにはいかない。
「それにゲームの主人公なんだもの、きっとイケメンに違いないし!」
兄やんに見せられたゲーム画面では主人公の顔は描かれていなかったが、えっちなことをするだけで好感度が上がるほどのテクを持った主人公なのだ。
きっとイケメンに違いない。
頼むせめてそうであってくれ。
「銀髪のクールな見た目のイケメンを希望します……」
どうせ攻略され、えっちなことをところ構わずされるのだ。
ならばせめて自分好みの主人公であることをひたすら祈りながら目を瞑ったのだった。
元々同人ゲームから人気が出たゲームで、ツッコミどころが満載の仕様となっている。
いわゆる「バカゲー」に近いご都合主義の仕様で、だがその緩さがいいのだと兄やんが力説していたことが印象深かった。
“まぁ、その兄やんの顔も思い出せないんだけど”
西洋風なのに学園の名前がひらがなであることや、ストーリーがエロに特化した仕様のゲームだというところもツッコミどころのひとつだ。
ちなみにえちはれという学園名の由来は「えっちなハーレム」だと公式から発表されており、攻略キャラの同時進行が可能どころか同時進行推奨のゲームだというところもポイントである。
「詳細はないという潔さと、神絵師によるあまりにも可愛すぎるヒロインたち、そして難易度が低く誰でもハーレムが築けることから爆発的に売れて、同人ゲームから始まり商業化、更にはOVAまで作られたのよね。全部買ったって言ってた気がするもの」
攻略キャラは4人で、貧乳年下甘えん坊枠、同級生のツンデレ枠、同じく同級生の優等生枠、年上の爆乳枠。
全員貴族令嬢だが婚約者がいないのは、他の男を出したくないからという意図の他に制作者がNTR属性を持っていなかったからとも言われているが定かではないらしい。
また18禁ゲームということもあり全員が学園に通っているのに18歳以上というコンプライアンスを守った仕様であり、学園は3学年制で18歳から21歳が通っている。
ゲーム自体は魔法を使える貴族の子息令嬢が通う学園の2年生として主人公が入学するところからはじまる。
入学資格は「魔法が使えること」で、当初魔法が使えないと思われていた主人公だが城下町をお忍びで遊びに来ていた王女殿下がスリを追いかけているところにぶつかりおっぱいを揉んでしまったことで魔法を発動。
ヒロインが感じたレベルで使える魔法のレベルが変わるということが判明し入学資格を一年遅れで得る。
(何故王女自らがスリを追いかけていたのかなどの部分もツッコミ要素だ。もちろん詳細はない)
ちなみにスリは、王女のおっぱいを揉みまばゆい光の柱と下半身の息子を勃てたことで何故か捕まえた。
どうやって捕まえたなどの詳細も描かれていないらしくこの潔さがこのゲームの大事なポイントとだと兄やんが教えてくれたが、何故妹にここまでエロゲについて教え込んだのかとまずツッコミたい。
「いや、兄やんが語ってくれたからこそ私が攻略される前に思い出せたんだけど……」
“素直に喜べません、前世のお兄様!”
学園に通っていなかったにもかかわらず何故か2年生として入学した主人公は、年下後輩の王女に再会し、同級生で同じクラスのツンデレ、同級生だが別のクラスの優等生、年上お姉さまの爆乳先輩と立て続けに出会う。
王女とは助けた縁で、ツンデレは同じクラスだから、優等生は自主勉のための図書室で、お姉さまは保健委員なので保健室で出会う。
主人公はえっちなことをしてからしばらくの時間魔法が使え、好感度により女の子がさせてくれることが増える。
またえっちなことをしヒロインたちを気持ちよくさせればさせるほど彼女たちの好感度が更に上がる仕様となっている。
えっちなプレイのレベルにより魔法の持続時間と威力が変わり、好感度の足りない最初は担任からの指示で制服の上からおっぱいをタッチ。
このタッチはミニゲームとなっていてちゃんと乳首に当たるなどをし感じさせることに成功すると、担任に言われる前から揉ませてくれたり、ゆくゆくは挿入までも楽しめるようになるのだ。
また、この世界には魔物が出る。その魔物が侵入しないよう主人公は結界を張るという大魔法を発動し国を守ることでハッピーエンドを迎え、ハーレム達成。
常に結界を張り続けるという大魔法を維持するために、主人公は攻略キャラ4人ともを妻にして王城でただれた生活をする。
余談だがこの国は本来一夫一妻。
法律すら凌駕したゲームということだ。
難易度はかなり低く、普通にプレイするだけでハーレムが確定し攻略対象を一人に絞った一途ルートはない。
一人に絞ると結界を維持する力が足りず、侵入してきた魔物に主人公だけが殺されて終わる。
単推しプレイヤーは「これも世界のためだから」「愛してるのは君だけだ」と言いながらもしっかりハーレムを築くか、「君以外を抱くなんて」とバッドエンドを選ぶしかないので結局は全員が「ハーレムゲームだから」と割り切ってハーレムを作って終わることがほどんどらしい。
「そしてそんなゲームのツンデレ枠が私ことロレッタ・セシルってわけね……」
あぁぁ、と嘆きクッションに顔を埋めた私はもうすぐはじまる新学期にただただ絶望するしか出来ない。
どう頑張ってもあと十日ほどで二年生になってしまうし、そこで私はこの魔法学園えちはれで担任に言われパイタッチをされてしまうのだ。
しかもおっぱいを触られたことで主人公に徐々に好意を抱く運命付きである。
“主人公相手とはいえまだ誰にも触らせたことのないこのおっぱいを触らせるなんて”
主人公も転生者なのかはわからないが、とにかく難易度の低いこのゲームだ。
ぼんやりしていると私は攻略されてしまうのだろう。
そしてただれたハーレムの一員としてひたすらえっちなことをされる人生を送るのだ。
「い、嫌すぎるッ」
だが攻略されなければこの国に魔物の侵入を許すことになる。
兄やんが言っていたことを信じると、死ぬのは主人公だけらしいが。
“女の子が死ぬ姿なんてみたくないから、って理由らしいけど”
そこは素直に感謝だが、しかし死ぬところが描かれていないだけで描かれていない主人公の死んだあとの世界のことはなにもわからないのだ。
攻略されてハーレムに入るか、未知数のバッドエンドだとわかっていながら攻略されないよう努力するかの二択。
「私が選ぶのは――」
クッションに埋めた顔を上げる。
この世界が本当にあの18禁ゲームの世界と同一なのだとしても、私はこの世界で生まれ今日まで生きてきた。
大好きな両親に幼い頃から世話をしてくれた使用人たち。
友人だっている。
この世界を不確定なバッドエンドの未来へなんていかせるわけにはいかない。
「それにゲームの主人公なんだもの、きっとイケメンに違いないし!」
兄やんに見せられたゲーム画面では主人公の顔は描かれていなかったが、えっちなことをするだけで好感度が上がるほどのテクを持った主人公なのだ。
きっとイケメンに違いない。
頼むせめてそうであってくれ。
「銀髪のクールな見た目のイケメンを希望します……」
どうせ攻略され、えっちなことをところ構わずされるのだ。
ならばせめて自分好みの主人公であることをひたすら祈りながら目を瞑ったのだった。
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