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目隠しとはどっちがするかで結末は変わる

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「今日、私が背中流してもいい?」
「は?言ってる意味わかってる?」

食いぎみで質問に質問を返されたが、私も引かなかった。
労いたいとか癒されて欲しいとか言葉の限りを使って説得した。
アリアも、俺は騎士を目指す者として合意がなければ、とか逆に生殺しに合う苦行パターンが今までだったとかなんか色々言っていたが、

「目隠しするから!」

と全力で、それはもう全力で説得し、背中を流す権利を勝ち取った。

アリアも、「見えないなら相手が侍女だとか思い込めば洗われるだけだし粘ってこれ以上変な提案されるよりマシか?!」と謎の自問自答をしながらではあったが快く了承してくれた。


そして今。お風呂場にて。
私は颯爽と目隠しをしてアリアの後ろに立っている。

「俺が目隠しするんじゃなかったのかよぉ⋯」とため息まじりに呟くアリアの声が聞こえた気がしたが、とりあえず私はアリアを労う為に全力でご奉仕するのだ!


背中にお湯をかけたあと、手で石鹸を泡立てる。
ちなみにお風呂は朝身支度前に入るのが一般的ではあるが、アリアは女装から戻る為に、私は前世の記憶からか、夜順番にお風呂に入ることも多かった。

「あのさ、この状況って俺が目隠しじゃない?なんでリザが目隠ししてんの」
「見られるの恥ずかしいかなって思ったからよ」
まぁ、最初に全部見ちゃってるけど。

「いや、でもさ。リザが目隠しする事によって起こる色んな可能性は考えた?その、ほら、色々あるじゃん、女の子なんだし⋯」
「⋯?可能性って?」
割となんでもハッキリ言うアリアが言い淀むなんて珍しいな、と考えつつ手で背中を撫でるように擦っていく。
その時だった。

「きゃっ!」目隠ししていたせいでバランスを崩しアリアの背中に抱きついてしまった。
「大丈夫か?!」
アリアの振り返った気配がし、私の腕を支えて元の体勢に戻そうとして⋯腕を掴んだままアリアが固まってしまった。

「えっと、その、アリアさん?」
「な、なんで、服が⋯」

え、服?と考えてあまりピンとこなかったが一応説明はする。
「制服のまま入る訳にはいかないから、シンプルなワンピースに着替えたの」
「そうじゃなくて!」

制服じゃないことを疑問に思ったのかと思ったが違った。
じゃあ何だ?

なんてぼんやり思案するが、私が答えに辿り着く前にアリアが慌てた声で答えを告げる。

「おま、ちょ、胸当ては、どうした!?」

言われてやっと気付く。胸当て。
胸当ては、制服を脱いだ時に一緒に外した。
アリアの後にすぐお風呂に入るつもりだったし、そんなに気にしてなかったんだけど。

「もしかして、その⋯透けてたり、する?」
「する」

どうやらアリアの背中に抱きついた時に服が濡れて透けているらしい。
さすがに恥ずかしくなり、腕で隠したいと思ったがアリアが両腕を掴んでいるのでそれすらも叶わず、どうしたものかと狼狽えるしかできない。
そんな私にどう思ったか、「だから!だから言ったのに!!」と呻きながら、掴んでいた腕を引っ張った。

「わ!」
目隠ししてるけどわかる、さすがにわかる、私は今アリアに抱き締められている。

「なんでそんな煽るようなことばっかすんの」
「そ、そんなこと、してない」
思わず声が小さくなった私にアリアはそれ以上何も言わずただ抱き締めていた。


そう言えばハグにはストレス軽減効果があるというのは前世の記憶で。
そしてなるほど、と思わず納得してしまう。
お風呂場の暖かい熱気、触れている逞しいアリアの体に抱き締める腕の強さ。
なんだか全てが心地好くて。

「幸せ、かも」
思わずアリアの背中に自分も手を回してしまう。

アリアをぎゅっとした時、一瞬ビクッとした気がしたがすぐにより力強く抱き締められ言い様のない幸福感と安心感に包まれる。

ハグって凄い。

思わずうっとりしているとそっとアリアから体を外され、もう終わりかぁとか思った時だった。

「んあっ!」
突然胸の先端に刺激が走る。
両手で揉まれる感触と、先端を摘ままれたような刺激。

目隠しの暗闇の中で、今どうなっているのだろう。

「あ、アリアっ、アリアっ!?」
「なぁに?」
「ひゃ!」

胸の刺激に気をとられていたら、思ったより耳の側でアリアの声がし、思わず声を上げてしまう。
「やっ、アリアっ、んっ、そこに、いるの?」
「そこってどこ?」
アリアの声と一緒にぴちゃ、と音が耳に響く。
耳が舐められていることにすぐ気付いた。
でも、気付いたところでどうすることも出来ない。

「ねぇ、俺ちゃんとどうなるか考えたかって聞いたよね?」
「や、ん、いつ?」
私が返事をしようと口を開くタイミングで胸の先を弾かれる感覚。
濡れた服が張り付いて、その服をなぞるように揉むアリアの手。
直接与えられたこの間の刺激よりもどかしく、でも肌に張り付いているからこそ直接に近い刺激。

「色んな可能性、ってやつ」
そう言えばそんなことも言っていたような気がすると頭の奥に響くが、返事が何も思い付かない。

「や、やだ、アリアやだっ」
「何がやなの、リザ」
「ん!」

アリアの声に合わせて微かに胸の先が震えた。
もしかしてアリア、今私の胸元に顔がある?
力が入らない腕をなんとか動かしてアリアの頭を探す。

「ちゃんと言わなきゃ止めないよ」
ぢゅうっと音がして左の胸の先が服の上から吸われた感覚。
アリアの髪、濡れてる。なんて思いながら両手でアリアの頭を抱き締めた。

「そんなことしていーの?嫌なんでしょ?」
左の先をコリ、と潰され、右の胸は指で弾かれる。背中にもアリアの手のひらの感覚があるから、左の乳首はアリアが舌で潰したということなのだろう。

「や、やなの、や」
「何が嫌なの、ちゃんと自分で言って。自分で自衛して」
「や、真っ暗、アリア、アリアっ」

自衛と言われてもピンと来ない。
アリアから与えられる刺激でクラクラして、気になるのはもう“アリアが今どんな顔をしているのか”だけだった。

「っ」
アリアが息をのむのがわかった。
そして背中に回されていた手がサッと私の目隠しを外す。
突然の眩しさに思わず目を強く瞑るが、少しずつ目が慣れてきて目の前にあるアリアの顔に気付いて。

あぁ、良かった、やっぱりちゃんとアリアだ。

「アリアだぁ…」

アリアじゃないと疑った訳でもないし、アリアは何度も声をかけてくれていてアリアが触ってるとわかっていたはずなのに、目の前に現れたアリアに思わず安心してふにゃ、と笑ってしまう。

「ばか」
そのままアリアに唇を塞がれた。
入ってくる舌が気持ちよくて自分の舌も絡めてしまう。
アリアとキスしてる。アリアはヒロインなのに、でも。
今目の前にいるのはピンクの短髪の男性だった。

「アリアデール⋯」
「ほんとばかだ、リザは」

名前を呼ぶとまたばかと言われる。でも嫌じゃないのは、アリアの表情が少し拗ねたような、でもどこか嬉しそうな顔だったから。

ちゅ、と軽くキスし
「服着たままだと寒いだろ」
と私の服を一気に脱がした。

驚いた私を抱えてポチャンと湯船に入るアリア。
浴槽の中でアリアに抱き抱えられるようにして向かい合うと、そっと右手で頬を撫でられる。

アリアにされたのか、私がしたのか。
唇だけを重ねる浅いキス。
私の唇をアリアの舌がなぞり、さっきまでの快感を思い出し口を開けると、舌がそのまま入ってきた。
歯茎の内側をなぞられる感覚にゾクゾクして、より深く求めてしまう。

優しく胸を揉まれてでもその刺激では足りなくて。
そんな私に気付いたのか、両手で同時に乳首を弾かれ仰け反ってしまう。

喉元を舐め、鎖骨を吸い少しずつ降りてきた舌が今度は右胸の先端の周りを小さく円を描くように刺激する。

「や、アリアっ、それはもどかしいのっ」
アリアの頭にしがみつき首を振るしか出来なくて。

「どうして欲しいの?教えて、リザ」
お願い、と言いながら胸の下側に舌を這わせるアリア。
「ほら、早く言って、ね?」
アリアの右手が下がり、くちゅ、と下の蕾に指を当てる。

「んっ、んっ、な、舐めて……」
言い終わる前にアリアが吸い付き、舌で乳首を刺激した。
舌で弾かれたタイミングで、蕾に這わせていた指が、ぷちゅと侵入してくる。
そのままゆっくり指を出し入れされて。

「水の中でもわかるくらい濡れてる。中すっげ熱い」
「んあっ」
「ここ触れるの俺がはじめて?」

もう言葉が出なくてただコクコクと頷く私に、そっか、と笑いかけるアリア。
その表情が本当に嬉しそうで、もうこのまま私の頭は茹で上がりそうだった。

頭が痺れて何も考えられなくてアリアをただ見つめていたら、真剣な瞳に変わったアリアと目があって。


「お願い、リザ。挿れたい」

一瞬何を言われているかわからなくて⋯

「許可が欲しい、リザの。今俺は俺しか持ってないけど、絶対騎士団に入って幸せにするって誓う」

でも私に向けるアリアの瞳が凄く真剣なのが伝わってきて。

「だからお願い、リザが欲しい。俺にリザの全部ちょーだい」

「うん」
気付いたらその一言が溢れていた。
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