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11.崩れた幸せ
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「ソフィ、何かあったのか?」
リーヤも連れず突然訪ねてきた私に驚いた様子のテオドルだったが、すぐに心配そうな顔をして部屋の中へと招き入れてくれた。
「私に、婚約の申し込みがあったらしいの」
「え」
その言葉に目を見開いたテオドルは、俯く私の前にそっと温かい紅茶を置いてくれる。
「相手は誠実そうな侯爵家の嫡男で、ここよりもう少し北に上がることになるけれどのどかでいい領地なんだと思う」
「そう、なのか」
紅茶を飲みながらテオドルの次の言葉を待つ。
もしかしたらここで逆上して私を殺そうとするかもしれない、なんてチラッと頭を過り、そんな考えが浮かぶくせにひとりでこの部屋に来た自分に苦笑した。
結局私は、殺されるかどうかではなく、テオドルにどう思われているのかの方が大事らしい。
(反対してくれるかしら)
結婚なんかせずずっとここにいればいいだろう、なんて引き留めてくれることを期待しつつ待っていると、気合を入れるようにゆっくりと彼が息を吸う。
「……俺は、いいと思う」
「え?」
「その相手が、ソフィを誰よりも大事にして幸せにしてくれるならそれでいい」
その想定外の言葉に動揺したのは私の方だった。
「ど、どうして? 私、遠くに行っちゃうかもしれないのよ?」
「でも、ソフィもその相手をいいと思ったから俺に報告してくれているんじゃないのか?」
「それはッ」
――違う、なんて言えない。
本当は嫉妬して引き留めて欲しかったのだ。
「私が結婚したいと思うのはテオドルだけよ!」
言ってからあっと思った。
こんな言葉、全然伝えるつもりじゃなかったのに一度本音が溢れると、まるで防波堤が決壊してしまったかのように止まらない。
「ずっと好きだったわ、ずっとずっと! 貴方以外に嫁ぐなんて嫌!」
「ソフィ、でも俺たちは」
「義兄妹よ、血だって繋がってない。なのにどうして止めてくれないの!? 私のこと、大事にしてくれているのは私が生贄だからなの!?」
「生贄?」
(こんなこと言いたくないのに)
「生贄でもいい。貴方の側にいたかっただけなのに」
テオドルじゃないなら誰でも一緒だ。
評判最悪な年上貴族でも、私を利用したいだけの三男でも。
(……本当、バカみたい)
「ソフィ、生贄って何の……」
突然静かになった私が立ち上がったのを見て、慌てたようにテオドルが私の腕を掴む。
その手を無理やり振りほどいた私は、精一杯の笑顔を彼に向けた。
「その気もないのに優しくなんてしないで欲しかった」
くるりと彼に背を向けてテオドルの部屋を出る。
不思議と涙は出なかった。
「大事にしてくれていたのは、私が生贄だったからだわ」
正直言うと少し自惚れていた。私が他の人と結婚しようとしたから殺してまで止めたんじゃないかって。
だがそうじゃなかったのだ。
(あっさり賛成されるなんてね)
その事実を突きつけられた私は、その日から体調不良を理由に彼を避ける生活を始めた。
テオドルと会えないのは寂しかったが、それ以上に会いたくないと思う。
これが失恋の痛みというものなのだろう。
そして私がテオドルを避け始めて十日ほどたった、ある晩のことだった。
ガタッと窓が軋み、そして静かに開かれる。
二階だからと油断して鍵を閉め忘れたのだろうか?
思わず息を呑み、その来訪者へと恐怖の視線を向ける。
私の目に飛び込んできたその人は、私のよく知る闇に紛れるような黒髪の青年。
(テオドル)
二回目ね、なんて笑ったら彼も笑ってくれるのだろうか。
そんな事を呑気に考えている自分に笑ってしまう。
「私を、殺すの?」
「はい」
ハッキリとそう言ったテオドルが私の寝ているベッドへと上がる。
彼の腰にはナイフが見えたので、今度はそれで胸を一突きにされるのかと思ったのだが、何故かテオドルは私の首に両手をかけた。
「抵抗しないのか」
体重がかけられ、ミシミシと首から音がする。
首を振って否定したいのに、押さえつけられているせいで上手く動かせなかったので私はただ微笑んでいた。
「泣かせたいわけじゃないんだ」
(泣いてなんかいないわ)
「ただ幸せになってくれれば」
(貴方以外との幸せなんて意味ないもの)
「どうするのが、正解なんだ……」
(答えなんてきっとないの)
その赤い瞳がじわりと潤む様子を薄れつつある意識でぼんやりと眺める。
泣かせたいわけじゃない、なんて言いながら泣きそうになっているのはテオドルの方だった。
また彼を泣かせてしまったという悲しみが私の胸に溢れ、その事実から目を逸らすように目を閉じる。
コツン、と私の指先に触れたのは彼が持ってきていたナイフだった。
(どうしてこれが今私の手元に置かれているの?)
そもそも殺したいならこのナイフで刺すか首を斬ってしまえばいいのに、どうして彼はわざわざ絞殺を選んだのだろう。時間をかけて殺したい?
使わないなら持ってくる必要なんてないはずだ。
彼の使わないナイフをわざわざ持ってきて、そしてそのナイフを私が手に取れるところへ置く意味とは何なのか。
(まさか、“私に殺されたい”ということ?)
その結論に辿り着いた私の心臓が強く跳ねる。
彼の望みは本当は私に殺されることだったのだとしたら。
だから毎回私を殺すその瞬間に泣いていたのだろうか?
どういうことかわからない。
この回帰の目的と真実はどこにある?
彼がこの巻き戻しの魔法を発動するそのキッカケは何だった?
今までの共通点とは――
――『私の幸せ』?
その答えに辿り着いた私は閉じていた目を見開いた。
目の前には今まさに私を殺そうとしている人。そんな人が願っているのが、私の幸せだなんてあり得るのだろうか。
驚いて彼を見上げると、彼の首に違和感を覚える。
彼の首が、まるで誰かに絞められているかのようにどんどん青紫色の痣になっていったからだ。
そして違和感がもうひとつ。絞められている私の首が、“痛くない”。
(思えば殺されたどの瞬間も痛みや苦しみも無かったわ)
不快感や嫌悪感はあったが、確かに私は痛くなかったのだ。そして反対に彼の表情は苦痛で歪み、首から変な音がしている。
どういう原理かはわからないが、私の痛みと苦痛が彼へ転移しているようだった。
(私が生贄じゃないの?)
誰かの命と苦痛がないと回帰は出来ないんじゃなかったはず。それなのに生贄の怪我を移すなんてあり得ない。
互いの傷を交換しているのかとも思ったが、身に覚えのない傷や痛みを感じたことはないので彼が一方的に私の怪我を肩代わりしているのだろう。
「ソフィ、ごめん、俺が……いたから……」
テオドルの呟いたその言葉を否定したいのに、意識が段々遠くなる。
痛みも傷もないはずなのに、首を絞められている事実は変わらないからだろうか?
(ダメ、今また死ぬ訳にはいかないのに)
そう思ったところで、無情にも私の意識はプツリと途切れたのだった。
リーヤも連れず突然訪ねてきた私に驚いた様子のテオドルだったが、すぐに心配そうな顔をして部屋の中へと招き入れてくれた。
「私に、婚約の申し込みがあったらしいの」
「え」
その言葉に目を見開いたテオドルは、俯く私の前にそっと温かい紅茶を置いてくれる。
「相手は誠実そうな侯爵家の嫡男で、ここよりもう少し北に上がることになるけれどのどかでいい領地なんだと思う」
「そう、なのか」
紅茶を飲みながらテオドルの次の言葉を待つ。
もしかしたらここで逆上して私を殺そうとするかもしれない、なんてチラッと頭を過り、そんな考えが浮かぶくせにひとりでこの部屋に来た自分に苦笑した。
結局私は、殺されるかどうかではなく、テオドルにどう思われているのかの方が大事らしい。
(反対してくれるかしら)
結婚なんかせずずっとここにいればいいだろう、なんて引き留めてくれることを期待しつつ待っていると、気合を入れるようにゆっくりと彼が息を吸う。
「……俺は、いいと思う」
「え?」
「その相手が、ソフィを誰よりも大事にして幸せにしてくれるならそれでいい」
その想定外の言葉に動揺したのは私の方だった。
「ど、どうして? 私、遠くに行っちゃうかもしれないのよ?」
「でも、ソフィもその相手をいいと思ったから俺に報告してくれているんじゃないのか?」
「それはッ」
――違う、なんて言えない。
本当は嫉妬して引き留めて欲しかったのだ。
「私が結婚したいと思うのはテオドルだけよ!」
言ってからあっと思った。
こんな言葉、全然伝えるつもりじゃなかったのに一度本音が溢れると、まるで防波堤が決壊してしまったかのように止まらない。
「ずっと好きだったわ、ずっとずっと! 貴方以外に嫁ぐなんて嫌!」
「ソフィ、でも俺たちは」
「義兄妹よ、血だって繋がってない。なのにどうして止めてくれないの!? 私のこと、大事にしてくれているのは私が生贄だからなの!?」
「生贄?」
(こんなこと言いたくないのに)
「生贄でもいい。貴方の側にいたかっただけなのに」
テオドルじゃないなら誰でも一緒だ。
評判最悪な年上貴族でも、私を利用したいだけの三男でも。
(……本当、バカみたい)
「ソフィ、生贄って何の……」
突然静かになった私が立ち上がったのを見て、慌てたようにテオドルが私の腕を掴む。
その手を無理やり振りほどいた私は、精一杯の笑顔を彼に向けた。
「その気もないのに優しくなんてしないで欲しかった」
くるりと彼に背を向けてテオドルの部屋を出る。
不思議と涙は出なかった。
「大事にしてくれていたのは、私が生贄だったからだわ」
正直言うと少し自惚れていた。私が他の人と結婚しようとしたから殺してまで止めたんじゃないかって。
だがそうじゃなかったのだ。
(あっさり賛成されるなんてね)
その事実を突きつけられた私は、その日から体調不良を理由に彼を避ける生活を始めた。
テオドルと会えないのは寂しかったが、それ以上に会いたくないと思う。
これが失恋の痛みというものなのだろう。
そして私がテオドルを避け始めて十日ほどたった、ある晩のことだった。
ガタッと窓が軋み、そして静かに開かれる。
二階だからと油断して鍵を閉め忘れたのだろうか?
思わず息を呑み、その来訪者へと恐怖の視線を向ける。
私の目に飛び込んできたその人は、私のよく知る闇に紛れるような黒髪の青年。
(テオドル)
二回目ね、なんて笑ったら彼も笑ってくれるのだろうか。
そんな事を呑気に考えている自分に笑ってしまう。
「私を、殺すの?」
「はい」
ハッキリとそう言ったテオドルが私の寝ているベッドへと上がる。
彼の腰にはナイフが見えたので、今度はそれで胸を一突きにされるのかと思ったのだが、何故かテオドルは私の首に両手をかけた。
「抵抗しないのか」
体重がかけられ、ミシミシと首から音がする。
首を振って否定したいのに、押さえつけられているせいで上手く動かせなかったので私はただ微笑んでいた。
「泣かせたいわけじゃないんだ」
(泣いてなんかいないわ)
「ただ幸せになってくれれば」
(貴方以外との幸せなんて意味ないもの)
「どうするのが、正解なんだ……」
(答えなんてきっとないの)
その赤い瞳がじわりと潤む様子を薄れつつある意識でぼんやりと眺める。
泣かせたいわけじゃない、なんて言いながら泣きそうになっているのはテオドルの方だった。
また彼を泣かせてしまったという悲しみが私の胸に溢れ、その事実から目を逸らすように目を閉じる。
コツン、と私の指先に触れたのは彼が持ってきていたナイフだった。
(どうしてこれが今私の手元に置かれているの?)
そもそも殺したいならこのナイフで刺すか首を斬ってしまえばいいのに、どうして彼はわざわざ絞殺を選んだのだろう。時間をかけて殺したい?
使わないなら持ってくる必要なんてないはずだ。
彼の使わないナイフをわざわざ持ってきて、そしてそのナイフを私が手に取れるところへ置く意味とは何なのか。
(まさか、“私に殺されたい”ということ?)
その結論に辿り着いた私の心臓が強く跳ねる。
彼の望みは本当は私に殺されることだったのだとしたら。
だから毎回私を殺すその瞬間に泣いていたのだろうか?
どういうことかわからない。
この回帰の目的と真実はどこにある?
彼がこの巻き戻しの魔法を発動するそのキッカケは何だった?
今までの共通点とは――
――『私の幸せ』?
その答えに辿り着いた私は閉じていた目を見開いた。
目の前には今まさに私を殺そうとしている人。そんな人が願っているのが、私の幸せだなんてあり得るのだろうか。
驚いて彼を見上げると、彼の首に違和感を覚える。
彼の首が、まるで誰かに絞められているかのようにどんどん青紫色の痣になっていったからだ。
そして違和感がもうひとつ。絞められている私の首が、“痛くない”。
(思えば殺されたどの瞬間も痛みや苦しみも無かったわ)
不快感や嫌悪感はあったが、確かに私は痛くなかったのだ。そして反対に彼の表情は苦痛で歪み、首から変な音がしている。
どういう原理かはわからないが、私の痛みと苦痛が彼へ転移しているようだった。
(私が生贄じゃないの?)
誰かの命と苦痛がないと回帰は出来ないんじゃなかったはず。それなのに生贄の怪我を移すなんてあり得ない。
互いの傷を交換しているのかとも思ったが、身に覚えのない傷や痛みを感じたことはないので彼が一方的に私の怪我を肩代わりしているのだろう。
「ソフィ、ごめん、俺が……いたから……」
テオドルの呟いたその言葉を否定したいのに、意識が段々遠くなる。
痛みも傷もないはずなのに、首を絞められている事実は変わらないからだろうか?
(ダメ、今また死ぬ訳にはいかないのに)
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