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最終話.はじめての夜を
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コルンとはじめて手を繋いだあの狩猟大会の日から約半年。
「ほんっとに長かったわ……!」
「いえ、半年は短い方だと思うのですが」
「甘いわよ、コルン! だって私たち出会ってからもう六年半なのよ!?」
「婚約を結んでからまだ一年もたっておりませんよ」
くすくすと笑うコルンに釣られて私からも笑みが溢れ、なんだか肩の力が抜けたように感じた。
――そう、あのプロポーズの日から半年。
本日念願の結婚式だったのである!
“やっと、やっとここまで辿り着いたわ……!”
「思った以上の方に祝福されてホッとしました」
「そんなの当たり前じゃない」
一瞬男漁りなんていう不名誉な噂がたったものの、私がコルンを溺愛しているのは元々周知の事実だったし、あの狩猟大会の日、ふたりで手を繋ぎ戻ったことで完全に払拭された。
“それにあれからコルンは手もよく繋いでくれるようになったし”
怪我を負わせた責任から婚約したのではと疑っていたコルンは、それまで私との接触をあえて避けていたそうなのだが、無事その誤解が解けてからは隣を歩いてくれるようになったし手も繋いでくれる。
恥ずかしいからと食べさせあいっこはまだしてくれないが、きっと結婚した今、ふたりきりの時ならば応じてくれるかもしれない。
「アリーチェ様は疲れておりませんか?」
結婚披露パーティーを終えてぐったりとベッドに寝転がっていた私を気遣うように見つめるコルンに思わず口をムスッと突き出す。
「……アリーチェ、様?」
「え」
「そろそろ敬語もやめて欲しいし呼び捨てで呼んで欲しいわ」
“だってやっと結婚出来たんだもの!”
そろそろ名前くらい呼び捨てられたい。そんな私の希望を聞いたコルンは、一瞬恥ずかしそうに目を左右に彷徨わせたものの、ゴホンと咳払いをして再び私へと視線を合わせた。
「アリーチェ」
「嬉しいわコルン! あと、私はとっても元気よ!」
ベッドから飛び起きて彼へと抱き着くと、しっかり抱きとめてくれる。
ぴったりと引っ付いたことで私の心臓だけでなく彼の心臓も激しく鳴っていることに気付き私は幸せを感じた。
――だって、今日は私たちの結婚式。そして、待ちに待った初夜なのだ。
“コルンも緊張しているのかしら”
同じなら、嬉しい。
そんなことを思いながら、私たちはどちらともなく唇を重ねたのだった。
「触れてもいいですか?」
「元々コルンなら許可なんていらないんだけど……でもあえて言えば敬語をやめてくれるなら?」
ベッドに組み敷かれそう告げられた私が上目遣いでそう返すと、コルンが小さく笑う。
「じゃあ、触れる」
「っ」
短く端的にそう告げられ、私の胸がドキリと跳ねた。
“言い方すらも格好いいわ……!”
敬語じゃない話し方が新鮮で、もちろんこんなコルンも最高すぎて私は思わずどぎまぎとしてしまう。
そんな私をにこりと見下ろす彼のエメラルドのような瞳に情欲が揺らめき、それだけで下腹部がきゅんと熱くなるようだった。
触れる、という宣言の通り彼の手のひらがまだ着替えていなかったドレスの紐へと伸ばされたのを見て私も脱がしやすいように少し体の角度を変える。
この瞬間を望んでいたのは私だって同じなのだから。
元々手先が器用だったのか、割りと複雑な仕組みのドレスだったのだが難なく脱がされ肌が露になると、流石の私も少し恥ずかしくなって胸元を両腕で隠した。
“私、あとドロワーズしか着てないわ”
この腕を外してしまったら、今まで誰にも晒して来なかった尖りも何もかも全て見られてしまう。
そう思うと、今隠しても仕方ないとわかっていながらなかなか腕が外せない。
だがそんな私の腕をそっと指先でなぞったコルンが、ゆっくりと口を開き私の名前を呼んだ。
「アリーチェ」
「……っ、も、恥ずかしいのに」
ただ名前を呼ばれただけ。
けれどまるで「見たい」と言われているような錯覚に陥り体中が熱くなった私は、観念したかのようにそっと腕を外し彼の眼前にさらけ出した。
「凄く綺麗だ」
「なら良かっ……、ぁっ」
ふるりと揺れる胸へとコルンの視線が流れ、まるで下から持ち上げるように胸が揉まれる。
ふにふにと感触を確かめるように揉んでいた彼の人差し指の指先が僅かに動き私の先端を掠めると、僅かに上擦った声が私から漏れた。
「敏感なんだな」
「やっ、そんなことっ、ひぁ……! あ、あんっ」
両手の人差し指で両方の先端を引っ掻くようにカリカリと刺激し、芯を持ち始めた乳首をクリクリと捏ねられる。
愛してやまない相手からの愛撫というのはそれだけで気持ちがいいのに、執拗に弱いところを攻められて私の口からは何度も嬌声があがった。
「可愛い、アリーチェ。もっと君の声が聞きたい」
「きゃあっ、あっ、そんな……ひんっ」
ちゅ、と先端に吸い付かれると、彼の口内で乳首を弾くように舌が動く。
指と舌で同時に違う刺激を与えられ、私はもうただ喘ぐしか出来ない。
“こんなのダメ、気持ち良すぎるわ”
自分で触れても何も感じないのに、好きな人に触れられているというだけでこんなに感じてしまうなんてと驚いてしまう。
自然にビクビクと体を反応させる私を見て、どこか楽しそうに口角を上げた彼がぢゅうっと強く吸うと、いきなり与えられたその強い刺激に私は背中を思い切り反らし必死に快感を逃がした。
チカチカと目の前が白く瞬き、息を詰める。
突然の快感の波に若干放心していると、彼の右手がするりと私の腹部を撫で、そのまま下がり私のドロワーズが一気に脱がされる。
「あっ!」
「良かった、濡れてるね」
蜜口へと指が這わされるとくちゅりと湿った音がした。
「指、挿れるよ」
「や、あぁあっ」
彼の指の腹が溢れる愛液を掬い、蜜口へ塗るように動いたと思ったらそのままつぷりと挿入される。
浅いところを擦られると、その異物感にゾクリと震えた。
慣れていないソコはまだ快感を拾うことは出来ないが、それでも彼が触れているのだと思うだけできゅうっとナカが収縮して彼の指を締め付ける。
“こんな感覚知らないわ……!”
ぢゅぷぢゅぷと淫靡な音を大きくしながら少しずつ奥へ挿ってきた彼の指がナカをかき混ぜ、抽挿の速度をあげるとじんっと頭の奥が痺れるような感覚がした。
「まだこっちの方が良さそうかな」
「ひんっ! や、一緒、しちゃダメ……!」
ペロリとコルンの舌が再び胸を舐め、ちゅうっと吸い付く。
舌先がグリグリの乳首を押し込むように動いたと思ったらちゅぱりと吸われながら引っ張られると、彼の口内から出た反動でぶるりと胸が振動した。
胸を何度も弄ばれつつナカが強く擦られる。
同時に与えられる快感のせいなのか、それともナカに触れる違和感と異物感に少し慣れたのか私は再び快感の波に浚われた。
まるで私の感度をあげるかのように繰り返し絶頂へと導かれる。
一体何回達したのかわからず、荒く呼吸しながらくたりとベッドに沈んでいると、ずっと私に覆い被さり触れていたコルンが体を起こした。
“?”
離れた体温を怪訝に思いながら彼を見上げると、バサリと服を脱ぎ捨てたコルンの肌が目に飛び込む。
「あ……」
脱いだ服をベッドサイドに設置していたソファの背もたれへかけようとコルンが上半身を捻ると、彼の肩甲骨辺りにぼこりと盛り上がった傷があることに気付く。
“あれがあの時の……”
無意識に傷痕へと手を伸ばすと、それに気付いたコルンが私の手をきゅっと握った。
「気になる?」
こくりと頷くと、彼が私に背を向けたのでそっと私も上半身を起こし傷痕に触れる。
刺さった矢を引き抜いたからなのか、見た目以上にぼこりと盛り上がったその傷痕は赤く目立つ。
間近で見て思わずしゅんとしてしまうが、そんな私を察したのかコルンがふっと小さく吹き出した。
「俺の気持ちはあの時と変わっていません。むしろ辛い時にその傷へ触れると、アリーチェを守るためにもっと頑張ろうって気にさせてくれるんだ」
「コルン……」
彼の声が優しく私に染み込む。
“私はそんな貴方にちゃんと釣り合っているかしら”
コルンがまだまだ頑張ると言うのなら、私もそんな彼を支えられるようにもっともっと頑張ろう。
それが妻としても、私個人としてもしたいことだから。
そんな気持ちも込めてそっとその傷痕へと口付けると、ピクッと肩を跳ねさせたコルンが私の方へと振り向いた。
至近距離で目が合う。
“――あ”
彼の瞳が劣情に揺れていることに気付き胸が高鳴った。
「どうしてこのタイミングで煽るかなぁ」
もう、と少し不機嫌そうな顔をしたコルンが私をそのまま押し倒す。
そして、――ぬち、と私の蜜口へ彼のモノがあてがわれた。
「挿れますよ」
「うん、いっぱい……シて?」
「だからもう、アリーチェは……っ!」
「ん、ぁああっ」
ずぷぷ、と私のナカを押し広げるようにゆっくりコルンのモノが挿入されると、指よりも圧倒的なその質量に息を詰める。
“苦しい……!”
圧迫感に耐えながらぎゅっと目を瞑ると、そっと閉じた目蓋に口付けられた。
「息、吐いて?」
「ん……」
私の様子を見て何度も止まりながらゆっくりと奥へと挿入するコルン。
この状態で止まることは男性にとってとても苦しいことだろう。
“それでも私を優先して……”
あぁ、そんなところも愛おしい。
「コルン、大丈夫だから……一気にきて?」
「え、でも」
「大丈夫なの」
ぎゅっと彼に抱きつきそう伝えると、戸惑った気配を感じる。
それでも私が大丈夫だと言い張ると、こくりと頷いたコルンが奥までズプリと貫いた。
「は、ぁあッ!」
ズキッと裂けるような痛みが走る。
だが奥までずっぷりと埋められたことが痛み以上の幸せを感じさせた。
“私、やっと……”
「嬉しい、私、コルンにずっとこうされたかったから」
彼の胸元に顔を擦り寄せてそう口にすると、彼が苦しそうに呻く。
「くそっ、そんな可愛いことを言われたら……!」
「我慢しないで? コルンならいいの、何をしても。ね、いっぱい動いて……?」
「ッ、アリーチェ……!」
「んっ」
噛みつくように唇を奪われ、強く舌が吸われる。
そのまま激しく舌同士を絡め扱かれた。
「んんっ、ん」
苦しいくらいの口付けに夢中で私も舌を動かしていると、突如ずるりと全て抜けそうなくらい引き抜かれ、再びばちゅんと腰を打ち付けられた。
「あッ、はぁ……んッ」
徐々に速度をあげる抽挿。
口もナカも溶けそうなほど交わりあい、ぐちゅぐちゅと音を部屋へと響かせる。
腰を掴まれ想いをぶつけるように強く揺すられると、さっきまでとはまた違うところがゴリゴリと抉られた。
「あ、んっ、や、だめっ、あぁんっ」
「ごめん、止まれな……ッ」
「ひぁあ!」
パンパンと肌同士がぶつかる卑猥な音がし、奥を何度も突かれると痛みの中に段々と快感が増える。
膣壁を強く擦られ、激しく腰が打ち付けられる度に胸が大きく揺れると、動く胸を捕まえるように鷲掴みされた。
その少し荒々しい手付きにすら感じ、私は嬌声をあげる。
「可愛い、アリーチェ、俺の……!」
「あんっ、やっ、何かくるのっ、あぁん、やだぁ、なんで、気持ちい、のぉ……っ」
「くっ」
ばちゅんと最奥を貫き、深く深くを抉られる。
“痛いのに、気持ちいい……!”
彼のモノで突かれる度に快感が走り、瞳の奥がチカチカと瞬いた。
「もう、俺っ」
「あっ、キて、キてぇ、コルン……!」
最奥のその先、降りてきていた子宮口の入り口を抉じ開けたコルンは、更にその奥へと先端を押し付けビュクリと劣情を放つ。
じわりと奥に熱が広がったのと同時に、私の中に蓄積されていた快感が弾けた。
視界が一気に白く染まり、ビクンビクンと体を震わせる。
思い切り達したことで若干放心していると、どさりと私の横に寝転んだコルンにぎゅうっと抱き締められた。
「愛してる」
強く抱かれながら、最愛の人に囁かれる甘い愛の言葉が私の心を熱く震わせ何故だか少し泣きたくなった。
――あぁ、どうかこれからも。
「私もよ、コルン」
私の返事にふわりと笑ったコルンが額へそっと口付けを降らせる。
“こうやって、貴方の側にいられますように”
彼の温もりといっぱいの愛に包まれながら、私は目を閉じたのだった。
「ほんっとに長かったわ……!」
「いえ、半年は短い方だと思うのですが」
「甘いわよ、コルン! だって私たち出会ってからもう六年半なのよ!?」
「婚約を結んでからまだ一年もたっておりませんよ」
くすくすと笑うコルンに釣られて私からも笑みが溢れ、なんだか肩の力が抜けたように感じた。
――そう、あのプロポーズの日から半年。
本日念願の結婚式だったのである!
“やっと、やっとここまで辿り着いたわ……!”
「思った以上の方に祝福されてホッとしました」
「そんなの当たり前じゃない」
一瞬男漁りなんていう不名誉な噂がたったものの、私がコルンを溺愛しているのは元々周知の事実だったし、あの狩猟大会の日、ふたりで手を繋ぎ戻ったことで完全に払拭された。
“それにあれからコルンは手もよく繋いでくれるようになったし”
怪我を負わせた責任から婚約したのではと疑っていたコルンは、それまで私との接触をあえて避けていたそうなのだが、無事その誤解が解けてからは隣を歩いてくれるようになったし手も繋いでくれる。
恥ずかしいからと食べさせあいっこはまだしてくれないが、きっと結婚した今、ふたりきりの時ならば応じてくれるかもしれない。
「アリーチェ様は疲れておりませんか?」
結婚披露パーティーを終えてぐったりとベッドに寝転がっていた私を気遣うように見つめるコルンに思わず口をムスッと突き出す。
「……アリーチェ、様?」
「え」
「そろそろ敬語もやめて欲しいし呼び捨てで呼んで欲しいわ」
“だってやっと結婚出来たんだもの!”
そろそろ名前くらい呼び捨てられたい。そんな私の希望を聞いたコルンは、一瞬恥ずかしそうに目を左右に彷徨わせたものの、ゴホンと咳払いをして再び私へと視線を合わせた。
「アリーチェ」
「嬉しいわコルン! あと、私はとっても元気よ!」
ベッドから飛び起きて彼へと抱き着くと、しっかり抱きとめてくれる。
ぴったりと引っ付いたことで私の心臓だけでなく彼の心臓も激しく鳴っていることに気付き私は幸せを感じた。
――だって、今日は私たちの結婚式。そして、待ちに待った初夜なのだ。
“コルンも緊張しているのかしら”
同じなら、嬉しい。
そんなことを思いながら、私たちはどちらともなく唇を重ねたのだった。
「触れてもいいですか?」
「元々コルンなら許可なんていらないんだけど……でもあえて言えば敬語をやめてくれるなら?」
ベッドに組み敷かれそう告げられた私が上目遣いでそう返すと、コルンが小さく笑う。
「じゃあ、触れる」
「っ」
短く端的にそう告げられ、私の胸がドキリと跳ねた。
“言い方すらも格好いいわ……!”
敬語じゃない話し方が新鮮で、もちろんこんなコルンも最高すぎて私は思わずどぎまぎとしてしまう。
そんな私をにこりと見下ろす彼のエメラルドのような瞳に情欲が揺らめき、それだけで下腹部がきゅんと熱くなるようだった。
触れる、という宣言の通り彼の手のひらがまだ着替えていなかったドレスの紐へと伸ばされたのを見て私も脱がしやすいように少し体の角度を変える。
この瞬間を望んでいたのは私だって同じなのだから。
元々手先が器用だったのか、割りと複雑な仕組みのドレスだったのだが難なく脱がされ肌が露になると、流石の私も少し恥ずかしくなって胸元を両腕で隠した。
“私、あとドロワーズしか着てないわ”
この腕を外してしまったら、今まで誰にも晒して来なかった尖りも何もかも全て見られてしまう。
そう思うと、今隠しても仕方ないとわかっていながらなかなか腕が外せない。
だがそんな私の腕をそっと指先でなぞったコルンが、ゆっくりと口を開き私の名前を呼んだ。
「アリーチェ」
「……っ、も、恥ずかしいのに」
ただ名前を呼ばれただけ。
けれどまるで「見たい」と言われているような錯覚に陥り体中が熱くなった私は、観念したかのようにそっと腕を外し彼の眼前にさらけ出した。
「凄く綺麗だ」
「なら良かっ……、ぁっ」
ふるりと揺れる胸へとコルンの視線が流れ、まるで下から持ち上げるように胸が揉まれる。
ふにふにと感触を確かめるように揉んでいた彼の人差し指の指先が僅かに動き私の先端を掠めると、僅かに上擦った声が私から漏れた。
「敏感なんだな」
「やっ、そんなことっ、ひぁ……! あ、あんっ」
両手の人差し指で両方の先端を引っ掻くようにカリカリと刺激し、芯を持ち始めた乳首をクリクリと捏ねられる。
愛してやまない相手からの愛撫というのはそれだけで気持ちがいいのに、執拗に弱いところを攻められて私の口からは何度も嬌声があがった。
「可愛い、アリーチェ。もっと君の声が聞きたい」
「きゃあっ、あっ、そんな……ひんっ」
ちゅ、と先端に吸い付かれると、彼の口内で乳首を弾くように舌が動く。
指と舌で同時に違う刺激を与えられ、私はもうただ喘ぐしか出来ない。
“こんなのダメ、気持ち良すぎるわ”
自分で触れても何も感じないのに、好きな人に触れられているというだけでこんなに感じてしまうなんてと驚いてしまう。
自然にビクビクと体を反応させる私を見て、どこか楽しそうに口角を上げた彼がぢゅうっと強く吸うと、いきなり与えられたその強い刺激に私は背中を思い切り反らし必死に快感を逃がした。
チカチカと目の前が白く瞬き、息を詰める。
突然の快感の波に若干放心していると、彼の右手がするりと私の腹部を撫で、そのまま下がり私のドロワーズが一気に脱がされる。
「あっ!」
「良かった、濡れてるね」
蜜口へと指が這わされるとくちゅりと湿った音がした。
「指、挿れるよ」
「や、あぁあっ」
彼の指の腹が溢れる愛液を掬い、蜜口へ塗るように動いたと思ったらそのままつぷりと挿入される。
浅いところを擦られると、その異物感にゾクリと震えた。
慣れていないソコはまだ快感を拾うことは出来ないが、それでも彼が触れているのだと思うだけできゅうっとナカが収縮して彼の指を締め付ける。
“こんな感覚知らないわ……!”
ぢゅぷぢゅぷと淫靡な音を大きくしながら少しずつ奥へ挿ってきた彼の指がナカをかき混ぜ、抽挿の速度をあげるとじんっと頭の奥が痺れるような感覚がした。
「まだこっちの方が良さそうかな」
「ひんっ! や、一緒、しちゃダメ……!」
ペロリとコルンの舌が再び胸を舐め、ちゅうっと吸い付く。
舌先がグリグリの乳首を押し込むように動いたと思ったらちゅぱりと吸われながら引っ張られると、彼の口内から出た反動でぶるりと胸が振動した。
胸を何度も弄ばれつつナカが強く擦られる。
同時に与えられる快感のせいなのか、それともナカに触れる違和感と異物感に少し慣れたのか私は再び快感の波に浚われた。
まるで私の感度をあげるかのように繰り返し絶頂へと導かれる。
一体何回達したのかわからず、荒く呼吸しながらくたりとベッドに沈んでいると、ずっと私に覆い被さり触れていたコルンが体を起こした。
“?”
離れた体温を怪訝に思いながら彼を見上げると、バサリと服を脱ぎ捨てたコルンの肌が目に飛び込む。
「あ……」
脱いだ服をベッドサイドに設置していたソファの背もたれへかけようとコルンが上半身を捻ると、彼の肩甲骨辺りにぼこりと盛り上がった傷があることに気付く。
“あれがあの時の……”
無意識に傷痕へと手を伸ばすと、それに気付いたコルンが私の手をきゅっと握った。
「気になる?」
こくりと頷くと、彼が私に背を向けたのでそっと私も上半身を起こし傷痕に触れる。
刺さった矢を引き抜いたからなのか、見た目以上にぼこりと盛り上がったその傷痕は赤く目立つ。
間近で見て思わずしゅんとしてしまうが、そんな私を察したのかコルンがふっと小さく吹き出した。
「俺の気持ちはあの時と変わっていません。むしろ辛い時にその傷へ触れると、アリーチェを守るためにもっと頑張ろうって気にさせてくれるんだ」
「コルン……」
彼の声が優しく私に染み込む。
“私はそんな貴方にちゃんと釣り合っているかしら”
コルンがまだまだ頑張ると言うのなら、私もそんな彼を支えられるようにもっともっと頑張ろう。
それが妻としても、私個人としてもしたいことだから。
そんな気持ちも込めてそっとその傷痕へと口付けると、ピクッと肩を跳ねさせたコルンが私の方へと振り向いた。
至近距離で目が合う。
“――あ”
彼の瞳が劣情に揺れていることに気付き胸が高鳴った。
「どうしてこのタイミングで煽るかなぁ」
もう、と少し不機嫌そうな顔をしたコルンが私をそのまま押し倒す。
そして、――ぬち、と私の蜜口へ彼のモノがあてがわれた。
「挿れますよ」
「うん、いっぱい……シて?」
「だからもう、アリーチェは……っ!」
「ん、ぁああっ」
ずぷぷ、と私のナカを押し広げるようにゆっくりコルンのモノが挿入されると、指よりも圧倒的なその質量に息を詰める。
“苦しい……!”
圧迫感に耐えながらぎゅっと目を瞑ると、そっと閉じた目蓋に口付けられた。
「息、吐いて?」
「ん……」
私の様子を見て何度も止まりながらゆっくりと奥へと挿入するコルン。
この状態で止まることは男性にとってとても苦しいことだろう。
“それでも私を優先して……”
あぁ、そんなところも愛おしい。
「コルン、大丈夫だから……一気にきて?」
「え、でも」
「大丈夫なの」
ぎゅっと彼に抱きつきそう伝えると、戸惑った気配を感じる。
それでも私が大丈夫だと言い張ると、こくりと頷いたコルンが奥までズプリと貫いた。
「は、ぁあッ!」
ズキッと裂けるような痛みが走る。
だが奥までずっぷりと埋められたことが痛み以上の幸せを感じさせた。
“私、やっと……”
「嬉しい、私、コルンにずっとこうされたかったから」
彼の胸元に顔を擦り寄せてそう口にすると、彼が苦しそうに呻く。
「くそっ、そんな可愛いことを言われたら……!」
「我慢しないで? コルンならいいの、何をしても。ね、いっぱい動いて……?」
「ッ、アリーチェ……!」
「んっ」
噛みつくように唇を奪われ、強く舌が吸われる。
そのまま激しく舌同士を絡め扱かれた。
「んんっ、ん」
苦しいくらいの口付けに夢中で私も舌を動かしていると、突如ずるりと全て抜けそうなくらい引き抜かれ、再びばちゅんと腰を打ち付けられた。
「あッ、はぁ……んッ」
徐々に速度をあげる抽挿。
口もナカも溶けそうなほど交わりあい、ぐちゅぐちゅと音を部屋へと響かせる。
腰を掴まれ想いをぶつけるように強く揺すられると、さっきまでとはまた違うところがゴリゴリと抉られた。
「あ、んっ、や、だめっ、あぁんっ」
「ごめん、止まれな……ッ」
「ひぁあ!」
パンパンと肌同士がぶつかる卑猥な音がし、奥を何度も突かれると痛みの中に段々と快感が増える。
膣壁を強く擦られ、激しく腰が打ち付けられる度に胸が大きく揺れると、動く胸を捕まえるように鷲掴みされた。
その少し荒々しい手付きにすら感じ、私は嬌声をあげる。
「可愛い、アリーチェ、俺の……!」
「あんっ、やっ、何かくるのっ、あぁん、やだぁ、なんで、気持ちい、のぉ……っ」
「くっ」
ばちゅんと最奥を貫き、深く深くを抉られる。
“痛いのに、気持ちいい……!”
彼のモノで突かれる度に快感が走り、瞳の奥がチカチカと瞬いた。
「もう、俺っ」
「あっ、キて、キてぇ、コルン……!」
最奥のその先、降りてきていた子宮口の入り口を抉じ開けたコルンは、更にその奥へと先端を押し付けビュクリと劣情を放つ。
じわりと奥に熱が広がったのと同時に、私の中に蓄積されていた快感が弾けた。
視界が一気に白く染まり、ビクンビクンと体を震わせる。
思い切り達したことで若干放心していると、どさりと私の横に寝転んだコルンにぎゅうっと抱き締められた。
「愛してる」
強く抱かれながら、最愛の人に囁かれる甘い愛の言葉が私の心を熱く震わせ何故だか少し泣きたくなった。
――あぁ、どうかこれからも。
「私もよ、コルン」
私の返事にふわりと笑ったコルンが額へそっと口付けを降らせる。
“こうやって、貴方の側にいられますように”
彼の温もりといっぱいの愛に包まれながら、私は目を閉じたのだった。
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