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1.身代わりですか?お可哀想に
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「……そろそろかしら」
月に一度、私の婚約者であるベネディクトと共に過ごす茶会の時間が迫る。
今月も開催場所は我がエングフェルト家の温室で、ガラス張りにされた室内には小さなテーブルと椅子が二脚。
誰もいないのをいいことに椅子にもたれて思い切り伸びをしながらハーフアップにしたミルキーベージュの髪を払った。
「今日も可愛い髪型だわ。……見せる人はいないけど」
“約束の時間まであと十分”
こっそりポケットに忍ばせていた懐中時計で時間を確認した私は、時計の針が約束の時間のキッカリ十分前を示していることを確認して椅子から立ち上がると丁度エングフェルト家のメイドが扉をノックした。
「アルベルティーナお嬢様、ご婚約者様……の、代理の方がいらっしゃっております」
「お通しして」
慣れた様子で温室に足を踏み入れた彼がサッとお辞儀すると、右耳だけかけていた黒に見える濃紺の髪がさらりと頬に落ちた。
「アルベルティーナ・エングフェルト公爵令嬢にご挨拶いたします。レヴィン・クラウリーです」
レヴィン様の挨拶を聞いた私もスカートを軽く摘みカーテシーをする。
太陽光のたくさん入るこの温室で見ると、彼の濃紺の髪が陽に透け淡く輝く。
その色合いが相変わらず美しくて気に入っている私は、お辞儀しながらこっそりと盗み見ていた。
「ベネディクト・ニークヴィスト侯爵令息は本日急な仕事の為この場には来れないとの事。その旨を伝えに参りました」
「存じ上げておりますわ、何しろこれでもう……何回目かしら?」
「四十六回目です」
“ほぼ四年!”
自分で聞いたものの、その数の多さに愕然とした。
「もうそんなになりますの?」
「なりますね」
思わずため息を吐くが、それも仕方がないというものだろう。
“というか、ため息を吐きたいのはレヴィン様の方ですわね”
何しろ彼は婚約を結んでからの四年間、毎月欠かさず代理として私の身代わり婚約者の役割をしているのだから。
「代理とはいえ、こうして毎月私と会っていてはレヴィン様の結婚が遅れてしまいそうですわね」
いくら政略結婚が主の貴族であっても、毎月別の令嬢と茶会を重ねる婚約者を望む貴族令嬢なんていない。
ベネディクトの馬鹿が押し付けるその役割を断るか、私とベネディクトの婚姻が正式に成立するまではきっと彼には婚約者なんて作れないだろうことを想像し思わず同情してしまう。
“せめて少しでも楽しんでいただけたらいいのですが”
だが、あくまでも彼は婚約者の身代わりで来ているだけなのだ。
私と楽しく会話をしたところで有意義かと聞かれれば首を傾げてしまう。
ならばせめて公爵家自慢の美味しいお茶だけでもと、いつものようにテーブルへ視線を移した私が口を開いた。
「お茶、飲んで行かれますわよね?」
「お許しいただけるのなら」
「もちろんですわ」
どうやら四十六回も重ねたらしい恒例の会話をした私たち。
互いに慣れたものだと内心思いつつ席に着くと、私専属の侍女であるハンナがすかさず温かい紅茶を淹れてくれる。
慣れた手つきで私の前に置かれたのはシンプルなストレートティー。
そしてレヴィン様の前に置かれるのは、マーマレードのジャムを多めに落とした甘めのティーだ。
「相変わらずいい香りですね」
「お気に召したのなら何よりです」
あまり表情の変わらないレヴィン様が、ポツリと口にする褒め言葉。
そのクールな雰囲気に似合わず実は甘いものが好きらしく、紅茶にジャムを入れたものを好んで飲む。
そんなレヴィン様の好みを、私はいつから知っていたのだろう。
“本当、私が婚約してるのって誰なのかしら”
形式上の婚約者より、この身代わりで来ている彼の方が本物の婚約者のように時を重ねている……なんて、そこまで考えた私は、その考えを頭から追い払うように小さく顔を左右に振った。
“……全然、知らないものね”
身代わりで来ているだけだからか、いつもポーカーフェイスのレヴィン様は決して踏み込んでは来ない。
相手からは質問されないし、私からも特別質問したりしないのは、この茶会が『婚約者同士の仲を深める』ためのものだからだ。
“私たちが育んだところで意味などないもの”
それをレヴィン様もわかっているのだろう。
この四十六回もの茶会で知ったのは彼が必ず約束の時間の十分前に来ることと、紅茶にジャムを入れ甘くして飲むのが好きだということくらいしかなくて。
「でもそれって、少し寂しいわ」
彼に聞こえないくらいの小声で思わず呟いてしまう。
会話の弾まない、そして弾ませる必要のない茶会での時間を淡々と過ごす彼をぼんやりと眺めながら、私はそんなことを考えていた。
貴族にしては珍しくとても愛し合っているエングフェルト夫妻。
そんな彼らの長女として生まれた私だが、私を生んだ時に母が身体を壊してしまった為エングフェルト公爵家に第二子は望めなくなってしまった。
貴族夫人として、嫡男とスペアに当たる次男を生まなくてはならないという義務を果たせなくなった母だが、それでも私を恨まず愛情いっぱいに育ててくれたと思う。
“それはもちろんお父様も――”
だが、両親から大事にされればされるほど、私のせいでこの家にマイナスを与えてしまったことが引っかかるようになってしまって。
“だから、私はベネディクトとの婚約を決めたのよね”
レヴィン様を毎回代理で送ってくる婚約者のベネディクトと出会ったのは、四年前のデビュタント。
家に与えてしまった損失を少しでもカバーすべく、必ず条件のいい相手と婚約を結ばなくてはというプレッシャーから頑なになっていた私。
そんな私に声をかけてきたのが、他ならぬベネディクトの父君であるニークヴィスト侯爵だった。
広い領地を持ち、かなりの資産家。
事業も領地の立地を活かした土地の貸し出しや通行料などから得るという、天気などに左右されにくいある意味最も安定したもの。
そんな侯爵から紹介されたのがベネディクトで、私の二歳年上、当時十八歳だった。
年齢も近く、そして三男。
家格も申し分なく財政状況もいいとなれば、『条件のいい婿』をなんとしても欲しい私としては願ったり叶ったりの相手だったのだ。
“ほんと、条件だけ見れば完璧だったのよね”
赤茶色の髪にアーモンドのような瞳が少し軽薄そうに見えたものの、野心が溢れギラついているよりはよほどいい。
向こうからしても、婿入り先として良かったのだろう。
あっという間に成立した私たちの婚約は、親交を深めるために開催されることになった婚約後はじめての顔合わせの時から躓き進んではいないのだが。
「……このまま結婚していいのかしら」
「アルベルティーナ嬢?」
はぁ、とため息を吐きながら思わず溢した独り言が思ったよりも大きかったのか、私の言葉が聞こえてしまったらしいレヴィン様がその紫の瞳を見開き驚きを表す。
「あ、ごめんなさい。もちろん貴族の結婚なんてこんなものだと理解しておりますわ。ただ、私ももうすぐ成人を迎えますし、そうなったらいよいよ結婚なんだと思うと……マリッジブルーというやつかしら」
ふふ、と微笑み紅茶を一口。
“うっかり漏れた本音を誤魔化せたかしら”
結婚の日取りなどはまだ正式に決まってはいないものの、来週の誕生日で私が成人することを考えればいつ『その日』が来てもおかしくない。
貴族の結婚なのだから、こんなものだと割り切ってしまえばいいとわかっているのだが……
「エングフェルトご夫妻はとても仲睦まじいことで有名ですからね」
穏やかに紡がれたその返事に、自分から話をしたくせに少し驚いてしまう。
「毎回代理をしている俺が言うのもおかしな話ですが、仲の良いご夫妻の元で育たれたアルベルティーナ嬢が一度も顔を出さない婚約者に不安を感じるのは当然でしょう」
「そ、うかも……しれませんわね」
“気付いてくれてたの”
それはずっと身代わりでお茶会に参加させられていた彼からすれば当然といえば当然かもしれない。
けれど、的確に言い当てられたその言い回しや声色が、私の心に寄り添うようにあまりにも優しかったせいで、“私”を見てくれていたような錯覚に陥る。
“レヴィン様はベネディクトの身代わりで、そこに気持ちなんてあるはずないのに”
「無責任に大丈夫、とは言えませんが……けれど、アルベルティーナ嬢はとても魅力的な女性ですから、ベネディクトもすぐに虜になるでしょう」
「も、もう、レヴィン様ったら」
「本音です」
「――ッ」
アメジストのような紫の瞳を伏せ、まるで当たり前の事実を告げるように言われたその言葉。
“……これは少し不安定な私を励ましてくれているだけ……なのに”
トクトクと主張を始める心音に目を背け、私は彼に気付かれないようゆっくりと深呼吸したのだった。
月に一度、私の婚約者であるベネディクトと共に過ごす茶会の時間が迫る。
今月も開催場所は我がエングフェルト家の温室で、ガラス張りにされた室内には小さなテーブルと椅子が二脚。
誰もいないのをいいことに椅子にもたれて思い切り伸びをしながらハーフアップにしたミルキーベージュの髪を払った。
「今日も可愛い髪型だわ。……見せる人はいないけど」
“約束の時間まであと十分”
こっそりポケットに忍ばせていた懐中時計で時間を確認した私は、時計の針が約束の時間のキッカリ十分前を示していることを確認して椅子から立ち上がると丁度エングフェルト家のメイドが扉をノックした。
「アルベルティーナお嬢様、ご婚約者様……の、代理の方がいらっしゃっております」
「お通しして」
慣れた様子で温室に足を踏み入れた彼がサッとお辞儀すると、右耳だけかけていた黒に見える濃紺の髪がさらりと頬に落ちた。
「アルベルティーナ・エングフェルト公爵令嬢にご挨拶いたします。レヴィン・クラウリーです」
レヴィン様の挨拶を聞いた私もスカートを軽く摘みカーテシーをする。
太陽光のたくさん入るこの温室で見ると、彼の濃紺の髪が陽に透け淡く輝く。
その色合いが相変わらず美しくて気に入っている私は、お辞儀しながらこっそりと盗み見ていた。
「ベネディクト・ニークヴィスト侯爵令息は本日急な仕事の為この場には来れないとの事。その旨を伝えに参りました」
「存じ上げておりますわ、何しろこれでもう……何回目かしら?」
「四十六回目です」
“ほぼ四年!”
自分で聞いたものの、その数の多さに愕然とした。
「もうそんなになりますの?」
「なりますね」
思わずため息を吐くが、それも仕方がないというものだろう。
“というか、ため息を吐きたいのはレヴィン様の方ですわね”
何しろ彼は婚約を結んでからの四年間、毎月欠かさず代理として私の身代わり婚約者の役割をしているのだから。
「代理とはいえ、こうして毎月私と会っていてはレヴィン様の結婚が遅れてしまいそうですわね」
いくら政略結婚が主の貴族であっても、毎月別の令嬢と茶会を重ねる婚約者を望む貴族令嬢なんていない。
ベネディクトの馬鹿が押し付けるその役割を断るか、私とベネディクトの婚姻が正式に成立するまではきっと彼には婚約者なんて作れないだろうことを想像し思わず同情してしまう。
“せめて少しでも楽しんでいただけたらいいのですが”
だが、あくまでも彼は婚約者の身代わりで来ているだけなのだ。
私と楽しく会話をしたところで有意義かと聞かれれば首を傾げてしまう。
ならばせめて公爵家自慢の美味しいお茶だけでもと、いつものようにテーブルへ視線を移した私が口を開いた。
「お茶、飲んで行かれますわよね?」
「お許しいただけるのなら」
「もちろんですわ」
どうやら四十六回も重ねたらしい恒例の会話をした私たち。
互いに慣れたものだと内心思いつつ席に着くと、私専属の侍女であるハンナがすかさず温かい紅茶を淹れてくれる。
慣れた手つきで私の前に置かれたのはシンプルなストレートティー。
そしてレヴィン様の前に置かれるのは、マーマレードのジャムを多めに落とした甘めのティーだ。
「相変わらずいい香りですね」
「お気に召したのなら何よりです」
あまり表情の変わらないレヴィン様が、ポツリと口にする褒め言葉。
そのクールな雰囲気に似合わず実は甘いものが好きらしく、紅茶にジャムを入れたものを好んで飲む。
そんなレヴィン様の好みを、私はいつから知っていたのだろう。
“本当、私が婚約してるのって誰なのかしら”
形式上の婚約者より、この身代わりで来ている彼の方が本物の婚約者のように時を重ねている……なんて、そこまで考えた私は、その考えを頭から追い払うように小さく顔を左右に振った。
“……全然、知らないものね”
身代わりで来ているだけだからか、いつもポーカーフェイスのレヴィン様は決して踏み込んでは来ない。
相手からは質問されないし、私からも特別質問したりしないのは、この茶会が『婚約者同士の仲を深める』ためのものだからだ。
“私たちが育んだところで意味などないもの”
それをレヴィン様もわかっているのだろう。
この四十六回もの茶会で知ったのは彼が必ず約束の時間の十分前に来ることと、紅茶にジャムを入れ甘くして飲むのが好きだということくらいしかなくて。
「でもそれって、少し寂しいわ」
彼に聞こえないくらいの小声で思わず呟いてしまう。
会話の弾まない、そして弾ませる必要のない茶会での時間を淡々と過ごす彼をぼんやりと眺めながら、私はそんなことを考えていた。
貴族にしては珍しくとても愛し合っているエングフェルト夫妻。
そんな彼らの長女として生まれた私だが、私を生んだ時に母が身体を壊してしまった為エングフェルト公爵家に第二子は望めなくなってしまった。
貴族夫人として、嫡男とスペアに当たる次男を生まなくてはならないという義務を果たせなくなった母だが、それでも私を恨まず愛情いっぱいに育ててくれたと思う。
“それはもちろんお父様も――”
だが、両親から大事にされればされるほど、私のせいでこの家にマイナスを与えてしまったことが引っかかるようになってしまって。
“だから、私はベネディクトとの婚約を決めたのよね”
レヴィン様を毎回代理で送ってくる婚約者のベネディクトと出会ったのは、四年前のデビュタント。
家に与えてしまった損失を少しでもカバーすべく、必ず条件のいい相手と婚約を結ばなくてはというプレッシャーから頑なになっていた私。
そんな私に声をかけてきたのが、他ならぬベネディクトの父君であるニークヴィスト侯爵だった。
広い領地を持ち、かなりの資産家。
事業も領地の立地を活かした土地の貸し出しや通行料などから得るという、天気などに左右されにくいある意味最も安定したもの。
そんな侯爵から紹介されたのがベネディクトで、私の二歳年上、当時十八歳だった。
年齢も近く、そして三男。
家格も申し分なく財政状況もいいとなれば、『条件のいい婿』をなんとしても欲しい私としては願ったり叶ったりの相手だったのだ。
“ほんと、条件だけ見れば完璧だったのよね”
赤茶色の髪にアーモンドのような瞳が少し軽薄そうに見えたものの、野心が溢れギラついているよりはよほどいい。
向こうからしても、婿入り先として良かったのだろう。
あっという間に成立した私たちの婚約は、親交を深めるために開催されることになった婚約後はじめての顔合わせの時から躓き進んではいないのだが。
「……このまま結婚していいのかしら」
「アルベルティーナ嬢?」
はぁ、とため息を吐きながら思わず溢した独り言が思ったよりも大きかったのか、私の言葉が聞こえてしまったらしいレヴィン様がその紫の瞳を見開き驚きを表す。
「あ、ごめんなさい。もちろん貴族の結婚なんてこんなものだと理解しておりますわ。ただ、私ももうすぐ成人を迎えますし、そうなったらいよいよ結婚なんだと思うと……マリッジブルーというやつかしら」
ふふ、と微笑み紅茶を一口。
“うっかり漏れた本音を誤魔化せたかしら”
結婚の日取りなどはまだ正式に決まってはいないものの、来週の誕生日で私が成人することを考えればいつ『その日』が来てもおかしくない。
貴族の結婚なのだから、こんなものだと割り切ってしまえばいいとわかっているのだが……
「エングフェルトご夫妻はとても仲睦まじいことで有名ですからね」
穏やかに紡がれたその返事に、自分から話をしたくせに少し驚いてしまう。
「毎回代理をしている俺が言うのもおかしな話ですが、仲の良いご夫妻の元で育たれたアルベルティーナ嬢が一度も顔を出さない婚約者に不安を感じるのは当然でしょう」
「そ、うかも……しれませんわね」
“気付いてくれてたの”
それはずっと身代わりでお茶会に参加させられていた彼からすれば当然といえば当然かもしれない。
けれど、的確に言い当てられたその言い回しや声色が、私の心に寄り添うようにあまりにも優しかったせいで、“私”を見てくれていたような錯覚に陥る。
“レヴィン様はベネディクトの身代わりで、そこに気持ちなんてあるはずないのに”
「無責任に大丈夫、とは言えませんが……けれど、アルベルティーナ嬢はとても魅力的な女性ですから、ベネディクトもすぐに虜になるでしょう」
「も、もう、レヴィン様ったら」
「本音です」
「――ッ」
アメジストのような紫の瞳を伏せ、まるで当たり前の事実を告げるように言われたその言葉。
“……これは少し不安定な私を励ましてくれているだけ……なのに”
トクトクと主張を始める心音に目を背け、私は彼に気付かれないようゆっくりと深呼吸したのだった。
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