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4.思い出を温める

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「あー⋯ほんとあり得ないわ⋯、お弁当の借り絶対これで完済でしょ⋯」

ぶつくさ文句を言いつつ、起きたらすぐ飲めるようにベッドサイドのテーブルにお水セットしお風呂に入る。

表向き何故か付き合っている事になっていたとは言え、一応は妙齢の男女。
本来ならば警戒すべきところだったのかもしれないがー⋯

「ま、それこそあり得ないか」

先ほどより少し顔色が戻った盛岡が私のベッドでぐーすか寝ているのを眺めつつそう呟いた。


何故か最近世話をやかれていたものの、私達の間にはこれっぽっちの熱なんてなくて。

“お弁当箱は食べたらその場で洗って退社前に返してるし、それ以外で出かけるどころか仕事終わりに飲みすら行ったことないし”

メイクを落としお風呂でサッパリした私は、自室であることもプラスし完全に気を抜いていた。


「ネクタイくらいは外してやるか」

なんて何の気なしに盛岡の寝ているベッドへ腰掛け、彼のネクタイに手を伸ばす。

ポタリ、と私の髪から一滴の水が盛岡の頬に落ちて――


「――なに、してる?」
「え」

あ、と思ったときにはネクタイに伸ばしていた手をギュッと掴まれていて。

「ッ」
どこか熱く揺れる盛岡の視線に射抜かれた私は、居心地が悪いと感じるのに何故か目が離せなくてー⋯


“なにって、そんなの⋯”



「介抱にッ!決まってんでしょ!!」

気付けば声を荒げていた。

ワッと叫ぶように言った私は、もう夜中であった事を思い出し慌てて口を閉じる。

そんな様子を眺めていた盛岡は、ゆっくりと部屋を見回して。


「ここ、山形ん家?」
「そーだけど⋯」

“なによ、ちょっとドキッとしたじゃない”

いつもとは違った雰囲気の盛岡は一瞬で姿を消し、少し落ち着きなく見回して。

「ほんっと大変だったんだから!後輩まで呼んでアンタをこのベッドまで運んだのよ」
「⋯は?後輩って?」
「十和田。私が1人でここまで運べるはずないでしょ」
「じゃあ十和田もこの部屋に入ったってことか?」


“何の確認よ?”なんて少し疑問に思うが、別に隠す必要もなかった私はそのまま「そうだけど」と正直に答えた。

それがキッカケだったのかー⋯



「⋯お前さ、危機感無さすぎねぇ?」

ポツリと盛岡が呟いたかと思ったら、気付けばぐるりと視界が回転していて。


「⋯えっ、え?ちょ、な、なに?」
「あのさ、男を部屋に連れ込むってこーなってもおかしくないだろ」
「そ、んなこと、言われても⋯っ!」

連れ込んだのは間違いないが、だったら意識を手放す前に住所くらい言っておいて欲しい。
というかそもそも大人なんだからお酒の量だって調節して欲しかったし、もっと言えば付き合いだしたという噂を盛岡も否定してさえくれれば私が酔っ払った彼を押し付けられる事にはならなかったはずで⋯


「いい加減に⋯っ!」

苛立った私は文句を言おうと口を開いたが、その文句は盛岡の唇で塞がれ結局言葉にはならなくて。


「⋯んっ、んんんっ!」

突然の出来事に動揺した私が思わずガリッと盛岡の唇を噛んでしまい、じわりとした鉄の味がキスをした、という現実感を私に刻む。

「急に⋯っ」
「急?どこが」

少し血の滲んだ唇を舐めた盛岡はすぐに体重をかけるようにして私を押さえ込み、再びキスを降らせてくる。

“どこがって、全部急じゃない⋯っ!”

内心文句を言うがもちろんそれらが言葉として形になることはなく、私の口からは激しい口付けのせいで足りなくなった酸素を求めはふはふと荒い吐息が漏れるだけだった。


特に何を言う訳でもなく、ただ激しくキスを交わす。
その息苦しさに少し慣れた頃――


「ッ、ぁ⋯!」

むに、と下から持ち上げるように突然胸を揉まれて。

「ん、あ?お前下着どこやった?」
「なっ、ば⋯っ!ひゃあっ」

いつもパジャマ代わりにしているカップつきのキャミにスウェット生地のパーカーを羽織っただけの私は、盛岡の大きな手がキャミを持ち上げただけで簡単に胸が露になってしまう。

「⋯まぁ、舐めやすくていいけど」
「や、舐めちゃ⋯っ、ぁんっ」

わざとなのかなんなのか、ぴちゃりと音を立てながら私の胸に吸い付いた盛岡は、そのまま舌先でちゅくちゅくと乳首を刺激してきて。

「待⋯っ、んん~っ!」
「歯食い縛んな、ほら、な?」
「んっ、も、り⋯かぁ⋯っ」

私の胸元から顔を上げた盛岡は、さっきまで舐めていた乳首を親指でくりくりと扱きながら食い縛る私の唇をそっと舌で舐める。

求められるように、促されるように。
唇から力が抜けるとすぐに彼の舌が私の口を抉じ開けるよう挿入された。

歯列をなぞるように動かされ、ゾワリと私の快感を誘った盛岡はそのまま私の舌を強く吸いながら弄っていた胸の両先端をピンッと弾いて。

「あ、ひゃあっ」
「ん⋯きもちーか?」
「や、ばか⋯っ、あぁんっ」

訳がわからないまま与えられる快感にただ体を捩るしか出来なくなっていた私は、太股までおりてきていた盛岡の手に気付かなくて⋯


くちゅ、と音がして息を呑む。

「濡れてるな」
「ま⋯っ!だ、ダメ、やだやだ、言わないで⋯っ」

流されるように与えられた愛撫を受け入れていた事が丸わかりのソコは、『気持ちいい』を明確にするかのように十分蜜を溢れさせていた。

「なんで?俺は嬉しいぞ」
「や、やだって⋯、だめ、恥ずかしから⋯っ」
「⋯恥ずかしい、は言っちゃダメだと親から教わらなかったのか?」
「は、はぁっ!?」

“教わるわけないでしょ!”

一瞬真顔になった盛岡に、そんなに卑猥な言葉じゃないわよ!という本気のツッコミを心の中でする。

何故心の中でだけだったのかと言うと、それはもちろんー⋯


「ッ、ひゃ、ぁあんっ」
「ナカ、あっつ⋯」

ちゅくりと盛岡の指が挿入されたからだった。

私のナカを確かめるように、その太い指をゆっくり奥まで挿れた盛岡は、私がピクリと反応する場所を見つけるとソコばかりを攻めるように指で擦る。

「~~ッ、待⋯!!」
「ダメ」

“ダメはこっちのセリフなのよ⋯っ!”

気に食わない同期ばかり見ていた私は、彼氏なんて存在は久しくおらず。
つまりこういった行為も当然久々でー⋯

「やっ、あっ、あっ、やぁぁっ!」

きゅうっ、と盛岡の指を締めつけるようにナカが伸縮するのを感じる。
あっさりイかされてしまったその羞恥からギッと睨むように盛岡を見上げると、目元を赤く劣情を孕んだ視線が絡み付く。

彼のその瞳があまりにも熱かったからか、達したばかりの私の下腹部は期待からジュンと更に愛液を溢れさせた。


その愛液を指に絡めるようにゆっくりと抽挿した盛岡は、そのまま指を引き抜きカチカチとベルトを緩める。
その勢いのままぶるりと出された熱棒に、どこから出したのかコンドームを装着した彼は私の蜜壺の表面を掠めるようにくちゅくちゅと動かす。

私の愛液がゴム越しに絡み、次第にぐちゅぐちゅと音を溢れさせ――


「――ッッ」
「⋯く、んっ」

ぐぷ、と先端を埋め込まれたかと思ったら、そのままヌプヌプとナカを抉るようにゆっくりと貫かれた。

「あ、ぅ⋯んっ、あぁっ」
「くそ、締め付けんな、もってかれそ⋯」
「や、ばか、ばかぁ⋯っ」


コツ、と奥まで挿入された圧迫感が少し苦しく、どうやら私は無意識のうちに息を詰めてしまっていたようで。

「大丈夫だから、ほら、口開け。ゆっくり息、吐けるな?」
「ぁ⋯ぅうん、んん⋯」

絶対同意じゃない、絶対絶対に同意じゃなかったはずなのに、まるで全身で愛を囁くように優しく頭を撫でられ気遣われる。

指示されるがままゆっくり息を吐くと、普段ならば『馬鹿にしてるわよね!?』なんて文句を言いたくなるほど甘ったるい声色で「偉い偉い」と頬に唇を寄せられた。

やっていることは全然可愛くなんかないのに、子供のままごとのような幼い頬への口付けがなんだか可笑しくなってしまって。


「⋯も、動いて⋯」

盛岡の顔色を窺うようにそっと見上げながら、彼の背中に両腕を回すと苦しいくらい強く抱きしめられ――

――ぱちゅん!と強く奥まで突かれた。


ゴムが擦れているからか、それともそれだけ私の耳が敏感に音を拾ってしまっているのかー⋯

ぢゅぷぢゅぷとどんどん卑猥な水音を大きくしながら、何度も腰を打ち付けられる。

「あっ、あっ、や⋯あぁんっ、やぁ⋯!」
「ん、イきそうか?またナカすげぇうねってきてる」
「ば、ばか、言わな、あんっ、あ⋯ひゃんっ」
「いいぞ、何回でもイかせてやるから、なっ!」
「ひんっ」

部屋にパンパンと肌がぶつかり合う音と、私の嬌声が響き慣れ親しんだ自室だというのになんだか知らない場所に来てしまったような少し不安を感じた私は、ぎゅうっとそのまま盛岡に全身でしがみついていた。

「あ、くそっ、んな締め付け、んな⋯っ」
「ば、ばかぁっ、ばかぁ!!」

ゴム越しにビュクりと盛岡が達した事を感じる。
そのままずしりとした彼の重さを全身で感じながら心地好い倦怠感に身を任せると、途端に私の瞼が重くなってきてー⋯


「あー、くそ、次はもっと⋯って、山形?あ、おい⋯っ」
「ん⋯おやすみ⋯」
「え?おやす⋯い、いや、待てって俺は⋯」

どこか必死な盛岡の声が可笑しく、自然と頬が弛むのを感じながら私はそのまま意識を手放した。
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