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3.DEAD ENDはお断り
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『とりあえずお着替えいたしましょう?』と繋いだ手を引っ張られるようにして向かったのは私が使わせて貰うことになった客室“だと思っていた部屋”だった。
迷いない足取りで歩くフランカに、私が案内された時は席を外していたのに知ってるなんて流石だな⋯と思ったのでそのまま伝えた結果⋯
「だってあそこは私達のお部屋ですもの」
という答えが返ってきたのだ。
「⋯エッ!待って待って、私達の部屋?」
「だって夫婦になるんですもの、何か問題が?」
“いや問題しかないよっ!?”
――女だとバレたら強制送還でDEAD END。
一緒にいる時間が長いほど当然バレる可能性も高くなる訳で。
「さぁ、とりあえずお着替えいたしましょう。お手伝いさせていただきますわ」
「いやっ!?いりませんけど!!おっ、お姫様にそんなそんな⋯っ!」
“手伝われたら流石にバレる!”
早速きた最初のピンチに私はひたすらテンパっていた。
“悲し気かな貧乳のお陰で服さえ着ていればバレないかもだけど、脱がされたら流石にバレるから!!”
こういうのは先手必勝だ!とクローゼットらしき扉を開いた私の目に飛び込んできたのはヒラッヒラのドレス達。
「⋯ぅえ!?」
“しまった!ここはフランカのクローゼットか!”
流石に下着はなかったが、それでも可愛い女の子のクローゼットを勝手に暴いた罪悪感に襲われ――
“いや、女同士なんだからそこまで気にする必要はないんだけどっ!”
なんて内心必死に言い訳をする。
だがフランカからすれば国の為に結婚するつもりの相手とはいえ、ほぼ知らない男が自分のクローゼットを覗いている状態という訳で。
焦った私は慌ててそのクローゼットを閉じようとしたが、フランカに後ろから抱き締められ閉じる手を阻止された。
「あら⋯。気になる服はございますか?」
「いっ!?いや、ありませんけど!」
どう考えても男子中学生に間違えられる私に似合うドレスはなく、あとぶっちゃけドレスにも憧れなんてものはなかったのでそう正直に答えると、フランカは少し不満そうに頬を膨らませる。
“うっ、そんな顔も可愛いな⋯”
だがときめいてはいけないのだ。
禁断の扉を開いた先に待つのはDEAD ENDか71歳勇者の二択なのだから。
「試しに着てみられますか?レイの黒髪ならこの淡い緑のドレスが合いそうですが――」
「いや本当にいいって!てか勝手にフランカのクローゼット開けてごめん、俺の服どこかな!?」
「ー⋯、では、こちらはいかがでしょう」
フランカから逃げるように無理やりクローゼットの扉を閉じた私をじっと見た彼女は、すぐにシンプルなシャツとパンツを出してくれて。
“ベストもあるから胸も隠れるし丁度いいかも”
そのシンプルな服が案外気に入った私は、お礼を言ってその服に手を伸ばしー⋯
「お手伝いいたしますわ」
「いらないってば!!」
ひょいと服を遠ざけられ思わず叫ぶように抗議すると、むっとした顔を向けられる。
「⋯ランドリューとはあんなに親しくしていたくせに⋯」
「だから服⋯って、え?ランドリュー?」
“親しく⋯したっけ?”
その想定外な内容に私がぽかんとしていると、突然ぎゅっと抱き締められた。
「っ!?」
「⋯夫婦になるんだから、頼ってよ⋯」
ポツリと溢すようにそう告げられ心臓が痛いくらいに跳ねる。
「な、なん⋯っ」
そのままぎゅうぎゅうと抱き締められる腕が思ったよりも強く、逃げようにも逃げれない。
“こんなに近付いたら女だってバレるかもしれないのに⋯!”
触れる体を伝ってドクドクと鼓動が響くのが堪らなく恥ずかしいが、逃げられないからか、それとも突然知り合いもいない一人ぼっちの世界に来たことが自分で思うよりもずっと不安だったのか。
“国を守るためってわかってるのに⋯”
力強いこの腕にどこか安心してしまい、段々と逃げる気力も失った私は気付けばそっとフランカの背中に手を回してしまっていた。
「⋯子作り、しよっか」
熱い吐息が耳にあたり、ゾクッとした快感が背を走る。
背はフランカの方が高いし、普段から騎士として鍛えてるはいえ女の子の腕なのに軽々と私を抱えた彼女は、そのまま私をベッドに寝かせ――
「ってダメですけどぉ!!?」
「ちっ」
「⋯⋯!?い、今舌打ち⋯」
「なんのことかしら」
オホホと可愛く笑うフランカは堪らなく可愛いが、それはあくまでもDEAD ENDが絡まなければ、で。
「あんまり誘惑しないで貰えますっ!?絆されそうになるんだけど!」
全力で抗議するが、むしろ私の抗議を聞いてその菫色の瞳を細めたフランカは。
「誘惑しますよ?だって好きになって欲しいもの」
「す、好き⋯に⋯?」
「夫婦になるんです。当たり前ですわ」
“当たり前⋯”
「早く子供を作って魔王の封印を上書きしなくちゃいけないとはわかっておりますが⋯それでも。やっぱり愛し愛された結果の子供がいいですものね」
ハッキリそう告げられ喉がきゅっと張り付く。
“そりゃそうだよ、保身のために子供を⋯なんて考えてたけど、そんな道具みたいにしちゃダメじゃん⋯”
自分の浅はかさにゾッとし、そしてちゃんと考えているフランカに申し訳なく思う。
彼女は国の未来の為に結婚相手を無理やり決められたのだというのに、ちゃんとその相手とも愛を育もうとしているんだから。
――相手が同性であるというミスさえなければ!
“ヒロインが必死に誘惑してる私もヒロインなんだよなぁっ!!”
今まで好きな男など出来なかったのは、もしかしてコッチの気があったからなのか?と疑いたくなるくらい同性のフランカにドキドキしてしまっているが、今この気持ちに流される訳には絶対いかない訳で。
「は、育むならもっとゆっくり育みたい派だから!!」
無理やりフランカをべりっと剥がし転がるようにベッドから降りた私は、着替えを抱え部屋から脱出を試みるが――
「⋯絶対満足させるつもりでおりましたのに」
くすりと笑ったフランカにあっさりと捕まって。
「ま、満足⋯?」
「一度で体も心もいただくつもりでしたもの。⋯ですが」
「え?」
すぐにパッと解放され、思わず怪訝な顔を向ける私に妖艶な笑みを向けたフランカは。
「いいですわ、レイの希望通りゆっくり育みましょう!私を沢山知ってくださいませね」
なんて言葉を残し部屋を出てしまった。
広い部屋にぽつんと残された私は暫く放心していたが、すぐにハッとし慌てて高校ジャージを脱ぎ捨て着替える。
無事に着替えを終えた私が部屋を出ると、なんと部屋の前ではフランカが待っていて⋯
「え、なんで?」
「なんでって⋯。レイが見られたくなさそうでしたからここでお待ちしておりましたのよ」
ツンとそっぽを向く様子もやはり可愛く、そしてだからこそ申し訳なかったのだがー⋯
「知ってくださいと言いましたもの!デートをいたしましょう」
すぐに花が綻ぶような微笑みに変わったフランカは、私の腕を取ると楽しそうに歩きだしてしまって。
“本当は少しでも早くランドリューからアゴットさんの情報貰って知り合わなきゃいけないんだけど⋯”
引っ付いて歩くフランカがとても楽しそうに見えたから。
“それに、まだ何も情報がないからアゴットさんの顔も知らないしね!”
「いいよ、行こっか」
フランカの言葉に頷くと、ギシッと音が聞こえそうなほど一瞬で彼女が固まる。
それを不思議に思った私がそっと彼女の顔を覗き込むと、そこには⋯
「えっ!真っ赤!?」
「う、うるさいなぁっ!」
「うるさいなぁ!?」
丁寧なフランカらしくない言葉遣いに驚きつつ、それでもどうやら照れてしまったらしい彼女が可愛くて。
“さっき舌打ちもしてたし、こっちが素⋯なのかな”
だったらもっとそんな“素の彼女”を見たいなんて考えー⋯
慌てて頭を振り思考を追い出す。
“バレたらDEAD ENDなんだから!”
どこかぎこちなく騒がしい心臓から目を逸らし、私はフランカに連れられるまま歩くのだった。
迷いない足取りで歩くフランカに、私が案内された時は席を外していたのに知ってるなんて流石だな⋯と思ったのでそのまま伝えた結果⋯
「だってあそこは私達のお部屋ですもの」
という答えが返ってきたのだ。
「⋯エッ!待って待って、私達の部屋?」
「だって夫婦になるんですもの、何か問題が?」
“いや問題しかないよっ!?”
――女だとバレたら強制送還でDEAD END。
一緒にいる時間が長いほど当然バレる可能性も高くなる訳で。
「さぁ、とりあえずお着替えいたしましょう。お手伝いさせていただきますわ」
「いやっ!?いりませんけど!!おっ、お姫様にそんなそんな⋯っ!」
“手伝われたら流石にバレる!”
早速きた最初のピンチに私はひたすらテンパっていた。
“悲し気かな貧乳のお陰で服さえ着ていればバレないかもだけど、脱がされたら流石にバレるから!!”
こういうのは先手必勝だ!とクローゼットらしき扉を開いた私の目に飛び込んできたのはヒラッヒラのドレス達。
「⋯ぅえ!?」
“しまった!ここはフランカのクローゼットか!”
流石に下着はなかったが、それでも可愛い女の子のクローゼットを勝手に暴いた罪悪感に襲われ――
“いや、女同士なんだからそこまで気にする必要はないんだけどっ!”
なんて内心必死に言い訳をする。
だがフランカからすれば国の為に結婚するつもりの相手とはいえ、ほぼ知らない男が自分のクローゼットを覗いている状態という訳で。
焦った私は慌ててそのクローゼットを閉じようとしたが、フランカに後ろから抱き締められ閉じる手を阻止された。
「あら⋯。気になる服はございますか?」
「いっ!?いや、ありませんけど!」
どう考えても男子中学生に間違えられる私に似合うドレスはなく、あとぶっちゃけドレスにも憧れなんてものはなかったのでそう正直に答えると、フランカは少し不満そうに頬を膨らませる。
“うっ、そんな顔も可愛いな⋯”
だがときめいてはいけないのだ。
禁断の扉を開いた先に待つのはDEAD ENDか71歳勇者の二択なのだから。
「試しに着てみられますか?レイの黒髪ならこの淡い緑のドレスが合いそうですが――」
「いや本当にいいって!てか勝手にフランカのクローゼット開けてごめん、俺の服どこかな!?」
「ー⋯、では、こちらはいかがでしょう」
フランカから逃げるように無理やりクローゼットの扉を閉じた私をじっと見た彼女は、すぐにシンプルなシャツとパンツを出してくれて。
“ベストもあるから胸も隠れるし丁度いいかも”
そのシンプルな服が案外気に入った私は、お礼を言ってその服に手を伸ばしー⋯
「お手伝いいたしますわ」
「いらないってば!!」
ひょいと服を遠ざけられ思わず叫ぶように抗議すると、むっとした顔を向けられる。
「⋯ランドリューとはあんなに親しくしていたくせに⋯」
「だから服⋯って、え?ランドリュー?」
“親しく⋯したっけ?”
その想定外な内容に私がぽかんとしていると、突然ぎゅっと抱き締められた。
「っ!?」
「⋯夫婦になるんだから、頼ってよ⋯」
ポツリと溢すようにそう告げられ心臓が痛いくらいに跳ねる。
「な、なん⋯っ」
そのままぎゅうぎゅうと抱き締められる腕が思ったよりも強く、逃げようにも逃げれない。
“こんなに近付いたら女だってバレるかもしれないのに⋯!”
触れる体を伝ってドクドクと鼓動が響くのが堪らなく恥ずかしいが、逃げられないからか、それとも突然知り合いもいない一人ぼっちの世界に来たことが自分で思うよりもずっと不安だったのか。
“国を守るためってわかってるのに⋯”
力強いこの腕にどこか安心してしまい、段々と逃げる気力も失った私は気付けばそっとフランカの背中に手を回してしまっていた。
「⋯子作り、しよっか」
熱い吐息が耳にあたり、ゾクッとした快感が背を走る。
背はフランカの方が高いし、普段から騎士として鍛えてるはいえ女の子の腕なのに軽々と私を抱えた彼女は、そのまま私をベッドに寝かせ――
「ってダメですけどぉ!!?」
「ちっ」
「⋯⋯!?い、今舌打ち⋯」
「なんのことかしら」
オホホと可愛く笑うフランカは堪らなく可愛いが、それはあくまでもDEAD ENDが絡まなければ、で。
「あんまり誘惑しないで貰えますっ!?絆されそうになるんだけど!」
全力で抗議するが、むしろ私の抗議を聞いてその菫色の瞳を細めたフランカは。
「誘惑しますよ?だって好きになって欲しいもの」
「す、好き⋯に⋯?」
「夫婦になるんです。当たり前ですわ」
“当たり前⋯”
「早く子供を作って魔王の封印を上書きしなくちゃいけないとはわかっておりますが⋯それでも。やっぱり愛し愛された結果の子供がいいですものね」
ハッキリそう告げられ喉がきゅっと張り付く。
“そりゃそうだよ、保身のために子供を⋯なんて考えてたけど、そんな道具みたいにしちゃダメじゃん⋯”
自分の浅はかさにゾッとし、そしてちゃんと考えているフランカに申し訳なく思う。
彼女は国の未来の為に結婚相手を無理やり決められたのだというのに、ちゃんとその相手とも愛を育もうとしているんだから。
――相手が同性であるというミスさえなければ!
“ヒロインが必死に誘惑してる私もヒロインなんだよなぁっ!!”
今まで好きな男など出来なかったのは、もしかしてコッチの気があったからなのか?と疑いたくなるくらい同性のフランカにドキドキしてしまっているが、今この気持ちに流される訳には絶対いかない訳で。
「は、育むならもっとゆっくり育みたい派だから!!」
無理やりフランカをべりっと剥がし転がるようにベッドから降りた私は、着替えを抱え部屋から脱出を試みるが――
「⋯絶対満足させるつもりでおりましたのに」
くすりと笑ったフランカにあっさりと捕まって。
「ま、満足⋯?」
「一度で体も心もいただくつもりでしたもの。⋯ですが」
「え?」
すぐにパッと解放され、思わず怪訝な顔を向ける私に妖艶な笑みを向けたフランカは。
「いいですわ、レイの希望通りゆっくり育みましょう!私を沢山知ってくださいませね」
なんて言葉を残し部屋を出てしまった。
広い部屋にぽつんと残された私は暫く放心していたが、すぐにハッとし慌てて高校ジャージを脱ぎ捨て着替える。
無事に着替えを終えた私が部屋を出ると、なんと部屋の前ではフランカが待っていて⋯
「え、なんで?」
「なんでって⋯。レイが見られたくなさそうでしたからここでお待ちしておりましたのよ」
ツンとそっぽを向く様子もやはり可愛く、そしてだからこそ申し訳なかったのだがー⋯
「知ってくださいと言いましたもの!デートをいたしましょう」
すぐに花が綻ぶような微笑みに変わったフランカは、私の腕を取ると楽しそうに歩きだしてしまって。
“本当は少しでも早くランドリューからアゴットさんの情報貰って知り合わなきゃいけないんだけど⋯”
引っ付いて歩くフランカがとても楽しそうに見えたから。
“それに、まだ何も情報がないからアゴットさんの顔も知らないしね!”
「いいよ、行こっか」
フランカの言葉に頷くと、ギシッと音が聞こえそうなほど一瞬で彼女が固まる。
それを不思議に思った私がそっと彼女の顔を覗き込むと、そこには⋯
「えっ!真っ赤!?」
「う、うるさいなぁっ!」
「うるさいなぁ!?」
丁寧なフランカらしくない言葉遣いに驚きつつ、それでもどうやら照れてしまったらしい彼女が可愛くて。
“さっき舌打ちもしてたし、こっちが素⋯なのかな”
だったらもっとそんな“素の彼女”を見たいなんて考えー⋯
慌てて頭を振り思考を追い出す。
“バレたらDEAD ENDなんだから!”
どこかぎこちなく騒がしい心臓から目を逸らし、私はフランカに連れられるまま歩くのだった。
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