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2.そんなに可憐なのに強いって本当ですか
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召喚された部屋からかなり豪華な客室へ移動させられた私は、着替えを手伝いに来てくれたのだろうメイドさんを性別を隠すためにと必死で断りふかふかのソファで寝転がっていた。
――もちろん着替えずに。
“魔王復活まであと50年かぁ~⋯”
「いや長いわ⋯っ!!」
ぼんやりと現状を考え全力でツッコむ。
71歳勇者は現実的ではないが、女の子同士での子作りも現実的ではない。
そして元の世界に帰れば待っているのはDEAD ENDである。
「子供⋯子供を作るにはどうすれば⋯」
ぶつぶつと考え、そしてすぐにハッとした。
「⋯血を継いでればいいんでしょ!?フランカじゃなくてもいいんじゃない!?」
男、とにかく相手が男であればいいのだ。
フランカに男兄弟がいれば血筋の問題はクリアだし、人体構造的にも問題はない。
“私のハジメテがこんな形で失われるのはちょっとアレだけど、でもDEAD ENDや高齢勇者より現実的でしょ!”
我ながら天才か、なんて自画自賛しつつ兄弟がいるかを確認しに部屋を出た私は、近くを歩いていた騎士を捕まえて聞いてみる事にしたのだが。
「あのさ、聞きたいんだけど」
「ッ!?勇者様、先程は大変失礼致しました!!」
声をかけた瞬間に土下座する勢いで謝罪され驚く。
「は、え?」
「勇者様に剣を向けるだなんて、どうお詫びすればいいのか⋯」
「あ、あぁ~⋯!」
そこまで言われて、やっと召喚時にフランカを庇って警戒し私に剣を向けてきたあの騎士だったかと気付き⋯
「いや、仕事しただけでしょ?いいんでない?」
「⋯は?」
“確かにあの時はちょっとムッとしちゃったけど、それってこの人が悪いわけじゃないもんね”
私の方はそれで終わりだったのだが、何故か騎士さんはそれでは納得しなかったようで。
「で、ですがそれでは俺の気が済みません!どうか罰をお与えください!!」
「えー⋯、ドMなの⋯?やだなぁ⋯本当にいいんだけど⋯」
「ですが!!!」
「んー⋯じゃあ、わた⋯俺の味方になってよ!」
「は?」
「もちろんフランカを最優先したらいいし自分でダメだと思う事はしなくていいけど、俺この国のこと何も知らないからさ。たまに喋ろ!そんで色々教えてくれると嬉しい」
「話し相手⋯ということですか?」
「そう!」
我ながら名案だと思いながらそう提案すると、どうやら騎士さんも納得してくれたらしく。
「お望みであれば、喜んで。ランドリューです」
「よろしくランドリュー!」
“これで情報提供者もゲット!”
いい塩梅の和解案だと私は満足した。
「早速なんだけど、聞いていい?フランカって男兄弟いるのかな」
「フランカ様に男兄弟はおりませんね」
“げっ!いない!!”
いないとなると一気にDEAD ENDが近付く私は、少し焦って。
「王家とかって隠し子いるんじゃないの!?血が繋がってる誰か!!」
「か⋯っ!?い、いえ、そのような話は聞いたことはありません⋯⋯、が」
「が!?」
一呼吸置いたランドリューにごくりと唾を呑む。
「フランカ様の従兄弟でアゴット・リード様という方がいらっしゃいますね」
「2人は血が繋がってるの!?」
「一応は、ですが⋯」
“血が繋がっているなら、その人と結婚すればいいじゃん!”
「今度内緒で紹介してくんないかな!?」
「アゴット様をですかっ!?」
サァッと顔色を変えたランドリューを怪訝に思うが、そもそも騎士が仕えてる相手の親族を内緒で紹介するというのは少し厳しいかもと考え直す。
“別の研究室の教授に卒論のアドバイス貰いに行くみたいなもんかな⋯”
それにあくまでも今私は男なのだ。
紹介しろ、なんて言われてフランカ付きの騎士が戸惑うのも当然と言えて。
「あ、じゃあ集められる範囲でもいいし噂とか、よくどこに行くとか知ってたら教えて?」
「それはつまり、アゴット様の情報が今後の為に欲しいという事ですね?」
“まぁ、そう言えなくもない⋯か?”
そう考えた私は大きく頷き肯定した。
「そうですね!」
「そう⋯ですか」
何かを確信したような表情のランドリューにドキッとする。
“まさか性別がバレ⋯”
「⋯わかりました!フランカ様の為にもお任せください!!」
“⋯てなさそ~!”
ぱっと笑ったランドリューに安堵しつつ、他に何か聞いておくことはなかったかなと思案し⋯
「そういえば、フラン⋯」
“あ、ランドリューってフランカにずっと仕えてきたんだよね?勇者とはいえぽっと出の男に主人を呼び捨てにされる⋯って嫌じゃない?”
出来ればランドリューとは良好な関係を築きたい。
何故なら彼の持っている情報が私の命に直結する可能性もあるからで⋯
なんて思った私は小さく咳払いをして言い直した。
「――姫様って、どんな人?」
それはちょっとした興味だったのだが⋯
「それはもう本当に素晴らしいお方です!」
物凄い圧で言われて思わずたじろぐ。
“い、今更かな?とは思ったけど呼び捨て止めて良かった⋯!”
「国を支える為に、と騎士団に入られただけでなくその実力も本物で!!」
「えっ!?姫様って騎士団に入ってるの!?」
「そうですとも!王女様の名言⋯聞きたいですか?」
「え?き、聞きたい⋯かな?」
「ズバリ『私は守るべき姫ではありません。私が皆さんを守るのです』!!」
「おぉ⋯っ!」
「痺れましたね。この国の騎士で王女様に憧れを抱いてないものはいないと思います」
“確かにちょっと格好いいかも⋯!”
見た目はあんなにも儚げで可憐な彼女の強さを感じ胸が高鳴る。
私に結婚を申し込んできたあの熱量も、全てはこの国の未来を魔王から守るため。
“⋯だったら尚更、このままじゃダメだよね”
それにはやはり、まずはそのアゴットさんとやらとお近づきにならなくてはいけなくて。
「ランドリュー、アゴットさんの情報、頼んだか⋯⋯らっ!?」
念を押すようにそう言った私の手に、突然するりと指が絡まりビクッと肩を跳ねさせる。
「私を置いて内緒話ですか?」
ふっと耳に息を吹き掛けながら私に寄り添ったのは、他でもないフランカだった。
「フラ⋯」
“っと、ランドリューの前で呼ばないって決めたばかりだった!”
名前を呼びかけた口を慌てて閉じると、そんな私の様子を怪訝に思ったのか私を射貫くように真っ直ぐ見つめる。
まるで誘導されるように私もフランカから目を離せず、じっと見上げ――
「ー⋯えっ、でっか!?」
思わず声をあげていて。
「⋯はい?」
「え?あ、ごめん!いやでも思ったより背が高くて⋯!」
そう私が驚くのも仕方ないと思う。
長年バレー部だった私は、女子にしては割りと背が伸びた方だったのだが⋯そんな私よりフランカの方が高かったのだ。
“ヒールのせいだとしても、それでも大きくない?”
ついまじまじとフランカを観察していると、くすりと笑ったフランカがきゅっとしっかり手を繋いできて。
“やっぱり騎士だからかな?手もゴツゴツしてる⋯!”
女同士だというのに少しドキドキとしてしまう。
それはきっと、それだけの努力を彼女がしてきたからなのだろう。
「⋯あのさ、俺にも剣を教えてくれる?」
「剣を⋯ですか?」
「うん。だって俺が勇者⋯なんだろう?」
“いや、ポジション的にはヒロインのはず!だけど!”
――でも、勇者として召喚されたのだから勇者でもあるはずなのだ。
性別とか色々間違ってるし、本当は勇者じゃないのかもしれないが、それでもこの国の人は私を勇者だと思っているのだ。
だったら勇者にならなくちゃいけない――
そう、思ったのだが。
「⋯いりませんよ?剣」
「えっ!」
あっさりサックリ断言されてぽかんとする。
「私と子作りすればいいだけなのですからっ」
ね?と小首を傾げて微笑むフランカは本当に可愛い。
その笑顔だけでうっかり惚れちゃいそうになるくらい可愛いのだがー⋯
“女同士では子供っ!出来ないからぁ~っ!!”
――もちろん着替えずに。
“魔王復活まであと50年かぁ~⋯”
「いや長いわ⋯っ!!」
ぼんやりと現状を考え全力でツッコむ。
71歳勇者は現実的ではないが、女の子同士での子作りも現実的ではない。
そして元の世界に帰れば待っているのはDEAD ENDである。
「子供⋯子供を作るにはどうすれば⋯」
ぶつぶつと考え、そしてすぐにハッとした。
「⋯血を継いでればいいんでしょ!?フランカじゃなくてもいいんじゃない!?」
男、とにかく相手が男であればいいのだ。
フランカに男兄弟がいれば血筋の問題はクリアだし、人体構造的にも問題はない。
“私のハジメテがこんな形で失われるのはちょっとアレだけど、でもDEAD ENDや高齢勇者より現実的でしょ!”
我ながら天才か、なんて自画自賛しつつ兄弟がいるかを確認しに部屋を出た私は、近くを歩いていた騎士を捕まえて聞いてみる事にしたのだが。
「あのさ、聞きたいんだけど」
「ッ!?勇者様、先程は大変失礼致しました!!」
声をかけた瞬間に土下座する勢いで謝罪され驚く。
「は、え?」
「勇者様に剣を向けるだなんて、どうお詫びすればいいのか⋯」
「あ、あぁ~⋯!」
そこまで言われて、やっと召喚時にフランカを庇って警戒し私に剣を向けてきたあの騎士だったかと気付き⋯
「いや、仕事しただけでしょ?いいんでない?」
「⋯は?」
“確かにあの時はちょっとムッとしちゃったけど、それってこの人が悪いわけじゃないもんね”
私の方はそれで終わりだったのだが、何故か騎士さんはそれでは納得しなかったようで。
「で、ですがそれでは俺の気が済みません!どうか罰をお与えください!!」
「えー⋯、ドMなの⋯?やだなぁ⋯本当にいいんだけど⋯」
「ですが!!!」
「んー⋯じゃあ、わた⋯俺の味方になってよ!」
「は?」
「もちろんフランカを最優先したらいいし自分でダメだと思う事はしなくていいけど、俺この国のこと何も知らないからさ。たまに喋ろ!そんで色々教えてくれると嬉しい」
「話し相手⋯ということですか?」
「そう!」
我ながら名案だと思いながらそう提案すると、どうやら騎士さんも納得してくれたらしく。
「お望みであれば、喜んで。ランドリューです」
「よろしくランドリュー!」
“これで情報提供者もゲット!”
いい塩梅の和解案だと私は満足した。
「早速なんだけど、聞いていい?フランカって男兄弟いるのかな」
「フランカ様に男兄弟はおりませんね」
“げっ!いない!!”
いないとなると一気にDEAD ENDが近付く私は、少し焦って。
「王家とかって隠し子いるんじゃないの!?血が繋がってる誰か!!」
「か⋯っ!?い、いえ、そのような話は聞いたことはありません⋯⋯、が」
「が!?」
一呼吸置いたランドリューにごくりと唾を呑む。
「フランカ様の従兄弟でアゴット・リード様という方がいらっしゃいますね」
「2人は血が繋がってるの!?」
「一応は、ですが⋯」
“血が繋がっているなら、その人と結婚すればいいじゃん!”
「今度内緒で紹介してくんないかな!?」
「アゴット様をですかっ!?」
サァッと顔色を変えたランドリューを怪訝に思うが、そもそも騎士が仕えてる相手の親族を内緒で紹介するというのは少し厳しいかもと考え直す。
“別の研究室の教授に卒論のアドバイス貰いに行くみたいなもんかな⋯”
それにあくまでも今私は男なのだ。
紹介しろ、なんて言われてフランカ付きの騎士が戸惑うのも当然と言えて。
「あ、じゃあ集められる範囲でもいいし噂とか、よくどこに行くとか知ってたら教えて?」
「それはつまり、アゴット様の情報が今後の為に欲しいという事ですね?」
“まぁ、そう言えなくもない⋯か?”
そう考えた私は大きく頷き肯定した。
「そうですね!」
「そう⋯ですか」
何かを確信したような表情のランドリューにドキッとする。
“まさか性別がバレ⋯”
「⋯わかりました!フランカ様の為にもお任せください!!」
“⋯てなさそ~!”
ぱっと笑ったランドリューに安堵しつつ、他に何か聞いておくことはなかったかなと思案し⋯
「そういえば、フラン⋯」
“あ、ランドリューってフランカにずっと仕えてきたんだよね?勇者とはいえぽっと出の男に主人を呼び捨てにされる⋯って嫌じゃない?”
出来ればランドリューとは良好な関係を築きたい。
何故なら彼の持っている情報が私の命に直結する可能性もあるからで⋯
なんて思った私は小さく咳払いをして言い直した。
「――姫様って、どんな人?」
それはちょっとした興味だったのだが⋯
「それはもう本当に素晴らしいお方です!」
物凄い圧で言われて思わずたじろぐ。
“い、今更かな?とは思ったけど呼び捨て止めて良かった⋯!”
「国を支える為に、と騎士団に入られただけでなくその実力も本物で!!」
「えっ!?姫様って騎士団に入ってるの!?」
「そうですとも!王女様の名言⋯聞きたいですか?」
「え?き、聞きたい⋯かな?」
「ズバリ『私は守るべき姫ではありません。私が皆さんを守るのです』!!」
「おぉ⋯っ!」
「痺れましたね。この国の騎士で王女様に憧れを抱いてないものはいないと思います」
“確かにちょっと格好いいかも⋯!”
見た目はあんなにも儚げで可憐な彼女の強さを感じ胸が高鳴る。
私に結婚を申し込んできたあの熱量も、全てはこの国の未来を魔王から守るため。
“⋯だったら尚更、このままじゃダメだよね”
それにはやはり、まずはそのアゴットさんとやらとお近づきにならなくてはいけなくて。
「ランドリュー、アゴットさんの情報、頼んだか⋯⋯らっ!?」
念を押すようにそう言った私の手に、突然するりと指が絡まりビクッと肩を跳ねさせる。
「私を置いて内緒話ですか?」
ふっと耳に息を吹き掛けながら私に寄り添ったのは、他でもないフランカだった。
「フラ⋯」
“っと、ランドリューの前で呼ばないって決めたばかりだった!”
名前を呼びかけた口を慌てて閉じると、そんな私の様子を怪訝に思ったのか私を射貫くように真っ直ぐ見つめる。
まるで誘導されるように私もフランカから目を離せず、じっと見上げ――
「ー⋯えっ、でっか!?」
思わず声をあげていて。
「⋯はい?」
「え?あ、ごめん!いやでも思ったより背が高くて⋯!」
そう私が驚くのも仕方ないと思う。
長年バレー部だった私は、女子にしては割りと背が伸びた方だったのだが⋯そんな私よりフランカの方が高かったのだ。
“ヒールのせいだとしても、それでも大きくない?”
ついまじまじとフランカを観察していると、くすりと笑ったフランカがきゅっとしっかり手を繋いできて。
“やっぱり騎士だからかな?手もゴツゴツしてる⋯!”
女同士だというのに少しドキドキとしてしまう。
それはきっと、それだけの努力を彼女がしてきたからなのだろう。
「⋯あのさ、俺にも剣を教えてくれる?」
「剣を⋯ですか?」
「うん。だって俺が勇者⋯なんだろう?」
“いや、ポジション的にはヒロインのはず!だけど!”
――でも、勇者として召喚されたのだから勇者でもあるはずなのだ。
性別とか色々間違ってるし、本当は勇者じゃないのかもしれないが、それでもこの国の人は私を勇者だと思っているのだ。
だったら勇者にならなくちゃいけない――
そう、思ったのだが。
「⋯いりませんよ?剣」
「えっ!」
あっさりサックリ断言されてぽかんとする。
「私と子作りすればいいだけなのですからっ」
ね?と小首を傾げて微笑むフランカは本当に可愛い。
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