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第一章・護衛令嬢、パーティーに出る

9.責任は互いに取ってよし平和!では、ない

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「なんでぇ?」
「ちょ、今度は何する気だ!?」

“指先だとわかんない……”

 もっとしっかり確かめたくて、今度はフレン様の胸元に耳を直接当てる。

「オリアナっ、当たってる、なんか色々当たってるから!」
「んん、鼓動、また早くなった……?」


 もっとよく聞こうと、フレン様の上にぺたりと全身を重ね耳を澄ますと、大きくなる心音と共にフレン様の体も熱くなってきて。

“ていうか、私もずっと暑い”

 元々体が熱くて仕方なかったのに、私が脱がした素肌にぺたりと引っ付いたせいでフレン様の体温を直に感じ、暑くてじわりと汗ばんでしまう。

“ドレス、汗染みとかつけたくないな”

 これ王妃様のドレスだったなぁ、とぼんやりしつつもその事実に思い至った私は、汚す前に脱ぐ方が懸命だと判断しドレスのリボンに指をかけた。


「待て! 何をする気だ……!?」
「ん、熱いですぅ……」
「媚薬だったら自然に治すのは苦しい。俺も何度も飲まされたからな、それはわかる。だがオリアナのはただのアルコールだから!」
「熱い」
「落ち着け、大丈夫だ、その熱さと暑さは問題ない」
「あつい二回言った~! あはは、でも暑いときは脱ぐって騎士団鉄則ですから~」
「おい、それは聞き捨てられん、酔いが醒めたら詳しく聞くから! とりあえず今は寝ろ」
「脱いでから」

“よく動くなぁ”

 脱ぐために上半身を起こしたせいか、椅子になっているフレン様がじたばたと動き座り心地が悪い。

 寝ろ寝ろ言うが、暑いと寝苦しいし、そもそもフレン様だって熱いのだ。

 つまりこっちは迷惑を被っている立場。
 なら、せめて大人しく言うことを聞いてくれてもいいはず……。そう思った私が、フレン様の動きを完全に封じるため座り位置を下腹部から鳩尾の少し上にし、膝でフレン様の両肩を押さえ込む。


「え、お、オリアナ?」
「んー……」

 相変わらずギョッと目を見開いているピンクの瞳が澄んでいて美しく、じっと見ながらドレスを脱ぐ。

 パサリ、パサリと一枚ずつ脱ぐたび、フレン様の視線があっちこっちと動いてまるで生きているみたいでなんだか楽しかった。


「おい、まさか下着までは脱がな……、ぬ、脱ぐのか!? 俺このまま見てていい……わけないよな!?」
「んー……」
「おい、さっきも聞いたぞそれ……ぶっ」
「抱き枕がうるさいクッションですね……」
「枕かクッションどっちだ!? いや、どっちにもするなッ」

 きゃんきゃん騒がれるのが少し耳障りに感じ、胸当てを音の出る部分に被せる。
 
 残念ながらすぐに胸当てはポイ、とベッドの端に追いやられてしまったが、ドロワーズを残して全部脱げた解放感と、少し涼しくなったことに満足した私はこれでやっと寝る準備が整った……と、少なくともその時は満足していて。


「まくらぁ……」
「俺は枕じゃ……ってオリアナ! 胸、胸を顔に押し付けるなって……!」
「ふふ、くすぐったぁい」


 全部脱いだからか、少し肌寒く感じたのも一瞬。
 ぬくぬくの枕をむぎゅっと抱きしめていると温かくて気持ちいい。

“シルクみたい”

 銀糸が見た目より柔らかく、指で掬うとさらさら。
 そのさらさらつやつやな銀糸に顔を擦りつけるとふわりとムスクのような香りが鼻をくすぐってリラックス効果まである。

 少し固い気もするが抱き枕として十分優秀で、やっとこれで眠れると両目を閉じた時だった。



「俺ハニトラはかける側であってかけられる側じゃねぇんだけどなぁ」

 ぼそりと声が聞こえ、折角眠る気で閉じた目をうっすら開く。

“これ以上うるさいなら黙らせなくちゃ”

 ぼんやりとそんな事を考えた私が音の出る部員を探そうと手を伸ばすと、私の腕が枕に絡まって。

 
「え、――ひゃ!?」


 ぬる、とした何かが突然私の胸を這う。

“私、枕にヨダレ垂らしてた……!?”

 慌てて確認するべく体を起こそうとするが、私の背中がガッチリ何かに押さえられて枕から体を離せなかった。


「や、なに……っ、ひゃぁんっ」

 動けないでいると、胸への刺激がどんどん激しくなる。
 最初は濡れた何かに触れたのかと思ったが、ちゅぱちゅぱとどうやら胸を吸われているのだと段々理解しはじめて。

“え、なんで、この枕変……”

 可能性があるのは、呪いの類いだ。
 誰かの怨念や怨霊が取り付き、私を乗っ取ろうとしているのかもしれない。

 
「や、呪われる、乗っ取られちゃうっ」
「乗っかってんのはオリアナな?」

 恐怖で少し覚醒しはじめたところで声が聞こえ、その声がフレン様の声だと認識した私はビクリと肩を跳ねさせた。
 
「え、フレン様の怨霊……? 暗殺されちゃったの……?」
「残念ながら存命だ。あと俺の死後を悪霊にするな、成仏させろ」
「じゃ、なん……で、ひゃっ」

 フレン様の声がする枕から生える手が、成仏を願いながら私の胸を持ち上げるように揉みはじめて。


「おい酔っ払い、これはもう治療じゃないって忘れんなよ? 見せつけるように脱いで押し付けてきたのはオリアナだ、煽った責任は取って貰うからな!」
「や、除霊なんて、できな……あぁんっ」

 すっかりフレン様の姿に変わった枕が、呪いの誓約を口にしたあとまた胸に吸い付いてくる。

 舌先でチロリと乳首を弾かれると、せっかく収まってきていた熱がまた体を巡って。


「ひゃ、あぁっ!」
「結構胸でかいんだな……、そんで柔らかい」
「やだぁ、感想なんて、いらな……っ、あんっ」

 温かい口内で乳首が何度も転がされると、その刺激に呼応するように下腹部も熱を孕む。

“この枕、いつからフレン様の姿になったんだろ”

 混乱する頭でなんと思い出そうとするが、気付けはそこにいたフレン様が枕に変わり、そしてまたフレン様に姿を変えたとしかわからなくて。


「やぁ、も、頭回んないぃ……」
「視界が回ってないなら続行です」

 ぴちゃりと音を響かせながらひたすら胸を攻められる。
 はじめてのその刺激は、その熱のせいか蕩けるような心地よさとゾクゾクとした快感が混ざりじわりと脳が痺れるようで体から力が抜けてしまった。


「こっちも結構濡れてるな」

 くりくりカリカリと乳首を愛撫していた指が気付けばドロワーズの中に入れられていて、私の秘部にそっと触れる。

 ――くちゅ、と少し粘りを感じる水音が部屋に響き、その強い刺激に体が仰け反った。


「ひゃ、ぁあっ!?」
「オリアナのナカめちゃくちゃ熱いな、そんで指ごと持ってかれそう」
「やぁ、ダメぇ、こんなの、許されな……っ」
「大丈夫、責任は取る。そして今はまずオリアナが責任を取る番だから」
「ひゃ、あっ、あぁっ」


 あっという間にドロワーズが下ろされ、露になった蜜壺にフレン様なのか枕なのかわからない指がぐちゅりと挿入され、ゆっくりと抽挿を開始して。

「ひ、ひゃ、あぁんっ」
「ん、あのロゼそんなにアルコールきつかったのか……? まぁ痛みが少なそうで良かったんだが」
「やぁんっ、それだめぇ……っ!」

 ぐちゅぐちゅと音を大きくしながら、同時に胸への愛撫も再開されてもうわけがわからない。

 カリッと甘噛みされた乳首は、歯を立てられているというのに気持ちよくてパチパチと視界が白く弾ける。

 けれども何かがもの足りず、もどかしくて少し辛かった。


「とりあえず二本は挿入ったんだが、もう少し慣らすほうがいいかな」

“え、これまだ続くの!?”

 聞こえた声にゾッとする。
 もどかしさが辛いのに、これ以上焦らされるなんて想像しただけでも堪らない。

「や、だめ……っ」
「あー、そうだよな、やっぱり意識ハッキリした時じゃなきゃまずいか……?」
「おっぱいばっか、気持ちよくされてっ、下がもどかし、からっ!」
「げっ、そっち!?」

 まだ煽るのか……、なんて嘆き声がそっと耳をくすぐり、それと同時にちゅぽんと指が勢いよく引き抜かれる。


「責任取るから、責任取れよ?」

 じっと見つめられ、責任が何なのかがわからないがこのもどかしさから早く解放されたくてたまらなかった私は何度もコクコクと頷いた。


「オリアナが記憶無くしても俺は覚えてるからな」
「やぁ、忘れないも……っ、ひあ!」


 さっきまでナカを擦っていた指とは違う熱いものの先端ががぐちゅ、と蜜壺から溢れる愛液を絡ませぬぷりとゆっくりと押し込まれる。

 かなり時間をかけて進むせいで、熱さと圧迫感だけでなく押し広げられるその感覚までがハッキリと私を襲い、息を詰めた。


「――あっ、ひ、ぁぁあッ……!?」
「ん、オリアナの中、うねってて……くっ」

 ぐぐ、と奥に進むにつれて微かな痛みが私を襲うが、それ以上に必死に何かを堪えた表情のフレン様に胸が苦しいくらい締め付けられる。

“フレン様も辛いのかな”

 そんなに必死に耐えてるのは、私の負担を無くすため?

 そう思うと何だかほわりと胸が温かくなり、早くフレン様の他の表情ももっと見たくて。


「も、早く」
「あ、ちょ、足を絡め……っ、待てオリアナっ」
「んぁ、あぁんッ!」

 フレン様の下半身に両足を絡めた私が一気に締めると、ぱちゅんと一気に奥まで貫かれ嬌声を上げてしまう。

 じんじんとした痛みが広がるが、それ以上に何故か嬉しさが私を占めていて。


「やぁ、フレン様ぁ、なんかうれし……」
「ッ、ほんと、なんで……っ、も、動くから痛かったらちゃんと言えよ……!?」

 ぐぐっと奥を抉ったソレが少し引き抜かれ、内壁を抉りながらまた奥を貫く。

 ぱちゅぱちゅと幾度となく腰を揺すられ、そこでやっと私が覆い被さっていたのにいつの間にか体勢が逆転しフレン様が私に覆い被さっていることに気が付いた。


 下から見上げるフレン様は、その銀の髪が光を透かしてなんだか神々しく、そして劣情を孕み赤みを増したその瞳が熱を持っているようで。


「は、ここで考え事とかほんと大物な」
「え、やっ、ちが……あんっ、あぁあ!」

 一際奥をぐちゅんと抉られたかと思えば、もうそれ以上奥なんてないのに抉じ開けるようにグリッと更に奥を突いて。


「あ、や、なに、熱いぃ……っ」

 そして最奥で何か熱いものが広がり、私の体がびくびくと何度も跳ねる。

 突かれる度に星が舞うように、何度も絶頂へ導かれていたせいか、一際深い絶頂を味あわされた私はそのまま意識ごと手放すのだった。 
 
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