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鎮守と毒性
第119話 発酵
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発酵は、細菌、真菌、カビの生命活動のことを指す。いままでの教育課程で自分はこう習ってきた。単に食に関することだけでなく、医薬の分野にも通ずる。腐敗も然り。食物を腐らせたり、毒素を産出したりすることは、生命活動の副産物だ。結果、食中毒が起こることもある。人によって有益なことは発酵、そうでないものは腐敗と分別されているだけだ。あくまで人の観点から見た現象で区別されてる。生命活動としては同じことだ。【発酵】スキルは腐敗を抑制し、より人に有益な現象を生み出すことを働きとするようだ。
「おい、聞いているのか?葡萄酒というのはな・・・」
【発酵】を手に入れたので、似たようなスキル【醸造】を持つ主様は葡萄酒の作り方を教えようと力が入る。話を聞くに、醸造の方がより酒作りに特化しているらしい。葡萄酒作りは全くの素人なので、力を持った解説は非常に為にはなる。酒による絡みがなければより良いのにと思う。
「ウーヴァは鎮守の森の付近で取れる。エルフでは里の中で栽培もしている。ヒト族も栽培はしている。城郭都市でもウーヴァも葡萄酒も流通しているだろう? そういえば、そのアクアヴィーテも作ったとマジャリスから聞いた。これらの賞味を楽しみにしているぞ」
「葡萄酒のアクアヴィーテは祝いの席で出します。ようやく蔵出しができそうですね」
「ああ、楽しみにしているぞ。酒造の続きを話すぞ。収穫したウーヴァを大きな桶に入れ、上から押し込み、側面に開いた孔から液汁を出す。ウーヴァ100に対して、60%70%の果汁を得ることができるのだ。果汁は桶に溜めておく。桶を滝傍の室にて10度から20度くらいに放置をすると発酵が進む。そのまま静置すると7日間で発酵がピークを迎えるな。それから経過させて10~14日で発酵が止まっていくのをチェックしていくのだ。【発酵】や【醸造】スキルは菌の成長を操作することができる。妾のスキルの方がより詳細に操作が可能だ。発酵の終期は発酵の際には液中の澱で判別する。発酵が止まると徐々に沈澱する。上層が綺麗になる頃にはでき上がりとなる。我のスキルとの共通点はこの発酵の行方を操作する点だな」
作り方はよくわかった。それも詳しく。ロセアスティルを嗜みながら、主の言葉が続いていく。
「族長が昔に発見したのは、発酵した後の長期の保存方法だな。60度くらいに30分くらい加熱をすると保存が効くことが分かった。これをしないと酸っぱい酢になってしまう。彼女は200年くらい前に気づいて、当時のセプテンの王からパテンツ対価を貰った。セプテンはここから見て北の国となる。その国で伝播させる条件でな。ヒト族にも順次伝播していった。【発酵】スキルが出てきたのはその頃だったな。あの時は随分と対価となる贈り物をもらったものだ・・・それが族長の移動の理由にもなったな・・・」
なるほど、族長が行なったのは、某生化学者が発見した[低温殺菌法]とみて間違いない。50~60度に加熱することで酵母の動きをとめ、酒精を飛ばさずに長期保存ができるといったことだ。途中使用する桶は全て蒸気を通すか、熱湯で消毒する。これは目的の発酵ではない菌の繁殖を抑える操作に通ずる。身近な例だとむこうでは牛乳の殺菌で使用していた。低温殺菌牛乳という商品も同じ考えを用いて製造されている。なるほど、【発酵】スキルは微生物の知識、理解が得られた場合に認められたスキルのようだ。
そのようなことを思い出しながら、主様の話を聞いていた。ようやくお迎えが来た。エリス様だ。
「主様。宴の準備が整いました」
葡萄酒作りの話はお腹いっぱいだ。主様はもう少し談義をしたかったみたいだ。
エリス様について行くと前の方の席を勧められる。席はお偉方がすわる主賓席のようだ。族長もこちらに来て隣に座る。その族長の隣は主様だ。里のエルフも総出での参加らしい。百人くらいの人々が族長宅の庭に揃う。近所で採れたものなのか、肉が焼かれいい匂いが充満する。随分とスパイシーな匂いだなと思う。
「皆の者、揃ったか?それでは宴を開始するとしよう」
席にはグラスが用意されていた。里の者は各々自宅から持ってきたのか、木の器やガラスの器に葡萄酒を注いでいく。自分は未成年なのでウーヴァ果汁だ。各自それぞれ継ぎ終わった後に族長の話が再開する。
「それでは、皆もわかっていると思うが、宴の理由だ。ついにサイカスを克服することができた! サイカスの実の無毒化をすることに成功したのだ。サイカスの収穫者・加工者・それに携わった者よ。長きに渡る活動、大義であった。努力は報われたな! 皆も長年よく耐え忍んでくれた! これからはポーション無しで食事が安全に取れることを祝おう。乾杯だ!」
グラスを合わせて各自煽る。食事は各々で作ってきた物の他に、族長付きのフォミトリアさんが采配していた。
「フォミトリアは料理上手よ。肉の匂いの元もフォミトリアね」
村の人達の詣も終わったのか、エリスさんがこちらの正面に座ってきた。
「族長は発酵が得意だったのは知っているわよね? その発酵物を料理に応用していたのはフォミトリアなの。いい匂いでしょう? 族長が作った発酵乳に魔鴨肉を漬け込み、焼成した料理ね。ロンガリゾーマの粉をまぶした魔鴨の釜焼きね。フォミトリアの得意料理」
目の前にその料理が出された。
発酵乳が肉を柔らかくしている。疲れた胃腸には随分効きそうなロンガの匂いが漂う。随分と食欲をそそられる香りがする。大きい釜の中で焼かれた肉は、ナイフを入れると程よく火が通り肉汁が溢れた。ああ、優しい味だ。これならいくらでも入りそうだと思う。より胃腸が弱ったエルフの皆さんには沁みいく味だろう。
その釜で焼かれたのか、白いふんわりとした焼き物も出てくる。
「これはナーネだな。サゴ粉の加工品だな。早速シエサが仕事をしたらしい。白度が違う。ウバルムを使用しているエルフのパンだ」
隣にいるパラケルが教えてくれる。
これは、族長のスキルにて[単離]したウバルムを使用しているらしい。おそらく、話の流れからして酵母の類だろう。ウバルムの中から、何世代も乾燥ウーヴァにて[継代]させて育てているそうだ。そうすることで複数あるウバルムの集団から、発酵特性のわかるウバルムを入手できるらしい。そういえばこちらのパンは発酵が悪いのか、膨張性が少なかった。パンがボソボソしているのは気になっていた。これは族長が、相当に時間をかけて、試作を重ねたのだろう。単離と継代を繰り返した研究結果に違いない。長年の知識の蓄積が実っている。
「ウバルムを貰い受けるのは可能でしょうか?」
「族長案件ね。私には権限はないわ」
「ワシも欲しいと何度となく聞いたが許可が降りん」
エリスでも権限はない様だった。パラケルはすでに交渉済みの様だ。発酵種は里の宝物に違いない。しばらくはフォミトリアさんの料理のレパートリーの話を聞いておこう。
しばらくすると、族長から呼び出しを受ける。
「皆聞いてくれ、ヒト族から今回、二人の客人を招いた。一人は知っていると思う。パラケルだ。もう一人は、ここにいるレッドという少年だ。サルタンを知っているだろう? あの人族の息子だ。レッドは、ヒト族でポーション改良の実績がある。その評価をもとに里に呼び寄せたのだ。無事にサイカスの加工班と共にサゴの無毒化へこぎつけてくれた功労者の一人だ。覚えておいてくれ」
いつもはこの場では喋らない主様も立ち上がる。
「創造主より妾へ神託が下されたことは、皆知っていると思う。そう[界上の賜物]の捜索の話だ。一方で、族長の話から、少年を招聘した事への疑問をもっただろう。実は、今回招いた少年のレッドが[界上の賜物]ということが判明した。その[賜物]の事実と、その実績を評価した上での招聘とした。その采配の結果は今日の宴をみればわかるだろう。今回は[界上]の知識を使用して解決できたことは、この里にとって大変良きこととなった。感謝する」
いつもの礼などしない主がこちらに感謝の念を入れてきた。
「この件でエルフの懸案は解決したものと妾は判断した。いままではエルフを保護する観点で手助けをしてきた。今後は過度と思われていた肩入れは減らすことを宣言する。ヒト族だけでなくその他の種族も含めて、魔の森全体の平和と安定に注力して行こうと思う。今までの皆の力添えに感謝したい。ああ、里から出る訳ではないから安心してくれ。ただ滝に籠る期間が増えることもあるだろう。承知してくれ」
話が終わったので、自分も少し話したいことがあるので立ち上がる。
「皆さん。紹介いただきました、サルタンの息子レッドです。[界上の賜物]など大それた称号を付与されていますが、普通の少年として接していただけると幸いです。サイカスとサゴの毒素に関しては無事解決できたことは喜ばしいことです。エルフの今後の発展をお祈りしております。最後にヒト族の代表として、祝いのお酒を贈呈したいと思います。よろしいでしょうか?」
パラケルにはすでに通している件だ。無銘のアクアヴィーテ。アイテムボックスから出して、主と族長へそれぞれ渡す。手紙にて紹介をしていたものだ。こちらの里ではだれも飲まれていないものだ。
「心遣い感謝する。祝いの席に相応しい品だな。そういえばあの時の手紙には腹が立ったものだったな」
「そうだな。今思えばサゴの解決に比べたらどうという事もないか」
「早速となるが皆の期待もあるし、注ぐとするか・・・」
宴は、すでに終盤だ。エルフの人達は程よく酔っている。場の温まりと共に、瓶からの注ぎに注目が集まる。透明なガラスの器に、トクトクトクと独特の響きと共に琥珀色の液体が注がれる。周囲には独特の芳醇が広がっていった。
「おい、聞いているのか?葡萄酒というのはな・・・」
【発酵】を手に入れたので、似たようなスキル【醸造】を持つ主様は葡萄酒の作り方を教えようと力が入る。話を聞くに、醸造の方がより酒作りに特化しているらしい。葡萄酒作りは全くの素人なので、力を持った解説は非常に為にはなる。酒による絡みがなければより良いのにと思う。
「ウーヴァは鎮守の森の付近で取れる。エルフでは里の中で栽培もしている。ヒト族も栽培はしている。城郭都市でもウーヴァも葡萄酒も流通しているだろう? そういえば、そのアクアヴィーテも作ったとマジャリスから聞いた。これらの賞味を楽しみにしているぞ」
「葡萄酒のアクアヴィーテは祝いの席で出します。ようやく蔵出しができそうですね」
「ああ、楽しみにしているぞ。酒造の続きを話すぞ。収穫したウーヴァを大きな桶に入れ、上から押し込み、側面に開いた孔から液汁を出す。ウーヴァ100に対して、60%70%の果汁を得ることができるのだ。果汁は桶に溜めておく。桶を滝傍の室にて10度から20度くらいに放置をすると発酵が進む。そのまま静置すると7日間で発酵がピークを迎えるな。それから経過させて10~14日で発酵が止まっていくのをチェックしていくのだ。【発酵】や【醸造】スキルは菌の成長を操作することができる。妾のスキルの方がより詳細に操作が可能だ。発酵の終期は発酵の際には液中の澱で判別する。発酵が止まると徐々に沈澱する。上層が綺麗になる頃にはでき上がりとなる。我のスキルとの共通点はこの発酵の行方を操作する点だな」
作り方はよくわかった。それも詳しく。ロセアスティルを嗜みながら、主の言葉が続いていく。
「族長が昔に発見したのは、発酵した後の長期の保存方法だな。60度くらいに30分くらい加熱をすると保存が効くことが分かった。これをしないと酸っぱい酢になってしまう。彼女は200年くらい前に気づいて、当時のセプテンの王からパテンツ対価を貰った。セプテンはここから見て北の国となる。その国で伝播させる条件でな。ヒト族にも順次伝播していった。【発酵】スキルが出てきたのはその頃だったな。あの時は随分と対価となる贈り物をもらったものだ・・・それが族長の移動の理由にもなったな・・・」
なるほど、族長が行なったのは、某生化学者が発見した[低温殺菌法]とみて間違いない。50~60度に加熱することで酵母の動きをとめ、酒精を飛ばさずに長期保存ができるといったことだ。途中使用する桶は全て蒸気を通すか、熱湯で消毒する。これは目的の発酵ではない菌の繁殖を抑える操作に通ずる。身近な例だとむこうでは牛乳の殺菌で使用していた。低温殺菌牛乳という商品も同じ考えを用いて製造されている。なるほど、【発酵】スキルは微生物の知識、理解が得られた場合に認められたスキルのようだ。
そのようなことを思い出しながら、主様の話を聞いていた。ようやくお迎えが来た。エリス様だ。
「主様。宴の準備が整いました」
葡萄酒作りの話はお腹いっぱいだ。主様はもう少し談義をしたかったみたいだ。
エリス様について行くと前の方の席を勧められる。席はお偉方がすわる主賓席のようだ。族長もこちらに来て隣に座る。その族長の隣は主様だ。里のエルフも総出での参加らしい。百人くらいの人々が族長宅の庭に揃う。近所で採れたものなのか、肉が焼かれいい匂いが充満する。随分とスパイシーな匂いだなと思う。
「皆の者、揃ったか?それでは宴を開始するとしよう」
席にはグラスが用意されていた。里の者は各々自宅から持ってきたのか、木の器やガラスの器に葡萄酒を注いでいく。自分は未成年なのでウーヴァ果汁だ。各自それぞれ継ぎ終わった後に族長の話が再開する。
「それでは、皆もわかっていると思うが、宴の理由だ。ついにサイカスを克服することができた! サイカスの実の無毒化をすることに成功したのだ。サイカスの収穫者・加工者・それに携わった者よ。長きに渡る活動、大義であった。努力は報われたな! 皆も長年よく耐え忍んでくれた! これからはポーション無しで食事が安全に取れることを祝おう。乾杯だ!」
グラスを合わせて各自煽る。食事は各々で作ってきた物の他に、族長付きのフォミトリアさんが采配していた。
「フォミトリアは料理上手よ。肉の匂いの元もフォミトリアね」
村の人達の詣も終わったのか、エリスさんがこちらの正面に座ってきた。
「族長は発酵が得意だったのは知っているわよね? その発酵物を料理に応用していたのはフォミトリアなの。いい匂いでしょう? 族長が作った発酵乳に魔鴨肉を漬け込み、焼成した料理ね。ロンガリゾーマの粉をまぶした魔鴨の釜焼きね。フォミトリアの得意料理」
目の前にその料理が出された。
発酵乳が肉を柔らかくしている。疲れた胃腸には随分効きそうなロンガの匂いが漂う。随分と食欲をそそられる香りがする。大きい釜の中で焼かれた肉は、ナイフを入れると程よく火が通り肉汁が溢れた。ああ、優しい味だ。これならいくらでも入りそうだと思う。より胃腸が弱ったエルフの皆さんには沁みいく味だろう。
その釜で焼かれたのか、白いふんわりとした焼き物も出てくる。
「これはナーネだな。サゴ粉の加工品だな。早速シエサが仕事をしたらしい。白度が違う。ウバルムを使用しているエルフのパンだ」
隣にいるパラケルが教えてくれる。
これは、族長のスキルにて[単離]したウバルムを使用しているらしい。おそらく、話の流れからして酵母の類だろう。ウバルムの中から、何世代も乾燥ウーヴァにて[継代]させて育てているそうだ。そうすることで複数あるウバルムの集団から、発酵特性のわかるウバルムを入手できるらしい。そういえばこちらのパンは発酵が悪いのか、膨張性が少なかった。パンがボソボソしているのは気になっていた。これは族長が、相当に時間をかけて、試作を重ねたのだろう。単離と継代を繰り返した研究結果に違いない。長年の知識の蓄積が実っている。
「ウバルムを貰い受けるのは可能でしょうか?」
「族長案件ね。私には権限はないわ」
「ワシも欲しいと何度となく聞いたが許可が降りん」
エリスでも権限はない様だった。パラケルはすでに交渉済みの様だ。発酵種は里の宝物に違いない。しばらくはフォミトリアさんの料理のレパートリーの話を聞いておこう。
しばらくすると、族長から呼び出しを受ける。
「皆聞いてくれ、ヒト族から今回、二人の客人を招いた。一人は知っていると思う。パラケルだ。もう一人は、ここにいるレッドという少年だ。サルタンを知っているだろう? あの人族の息子だ。レッドは、ヒト族でポーション改良の実績がある。その評価をもとに里に呼び寄せたのだ。無事にサイカスの加工班と共にサゴの無毒化へこぎつけてくれた功労者の一人だ。覚えておいてくれ」
いつもはこの場では喋らない主様も立ち上がる。
「創造主より妾へ神託が下されたことは、皆知っていると思う。そう[界上の賜物]の捜索の話だ。一方で、族長の話から、少年を招聘した事への疑問をもっただろう。実は、今回招いた少年のレッドが[界上の賜物]ということが判明した。その[賜物]の事実と、その実績を評価した上での招聘とした。その采配の結果は今日の宴をみればわかるだろう。今回は[界上]の知識を使用して解決できたことは、この里にとって大変良きこととなった。感謝する」
いつもの礼などしない主がこちらに感謝の念を入れてきた。
「この件でエルフの懸案は解決したものと妾は判断した。いままではエルフを保護する観点で手助けをしてきた。今後は過度と思われていた肩入れは減らすことを宣言する。ヒト族だけでなくその他の種族も含めて、魔の森全体の平和と安定に注力して行こうと思う。今までの皆の力添えに感謝したい。ああ、里から出る訳ではないから安心してくれ。ただ滝に籠る期間が増えることもあるだろう。承知してくれ」
話が終わったので、自分も少し話したいことがあるので立ち上がる。
「皆さん。紹介いただきました、サルタンの息子レッドです。[界上の賜物]など大それた称号を付与されていますが、普通の少年として接していただけると幸いです。サイカスとサゴの毒素に関しては無事解決できたことは喜ばしいことです。エルフの今後の発展をお祈りしております。最後にヒト族の代表として、祝いのお酒を贈呈したいと思います。よろしいでしょうか?」
パラケルにはすでに通している件だ。無銘のアクアヴィーテ。アイテムボックスから出して、主と族長へそれぞれ渡す。手紙にて紹介をしていたものだ。こちらの里ではだれも飲まれていないものだ。
「心遣い感謝する。祝いの席に相応しい品だな。そういえばあの時の手紙には腹が立ったものだったな」
「そうだな。今思えばサゴの解決に比べたらどうという事もないか」
「早速となるが皆の期待もあるし、注ぐとするか・・・」
宴は、すでに終盤だ。エルフの人達は程よく酔っている。場の温まりと共に、瓶からの注ぎに注目が集まる。透明なガラスの器に、トクトクトクと独特の響きと共に琥珀色の液体が注がれる。周囲には独特の芳醇が広がっていった。
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