29 / 174
試行と結果
第28話 透器
しおりを挟む
陶器の話題が一段落して自室でのんびりする。一息入れて、もう一つの課題を思い出す。パラケル爺さんからの課題で、ポーションの保存の案件だ。ポーションの瓶は、なぜガラスを使用しているのだろう? パラケル爺さんでも素材については疑問点を持っていなかった。
保存性が今回の問題だ。一ヶ月の期限は短すぎる。備蓄ができない。いざという時に使用したい冒険者。買い付けのときに万が一の時を考える商人。遠征をする際、必要なときに必要な効果が出ないのは信頼性に欠ける。領主や国の立場としてはどうだろうか? 向こうでは震災などに備蓄することを推奨していた。水一つとっても少なくても二年間の保管期限がある。多いものは十年だ。もしもの時に備えて保管できるものが作成できれば統治側も安心できるに違いない。定期的な大口の取引先となり得る。定期的な需要という観点からは、魔導師ギルドの思惑があったりするかもしれない。
有事に備えて長期保存ポーションを作るのは画期的ではないか? アイテムボックスと魔導具がある世界。時間遅延なるマジックアイテムが有ったりして解決はできると思うけど・・・。
ポーション瓶の素材はガラスだ。その役割は中身が見えている安心感。もう一つは魔素を拡散させないことだろうと推測する。残念ながら一ヶ月は期限が短すぎる。他の条件があるに違いないと予想を立てる。パラケル爺さんのポーション瓶はしっかりと気密状態が保たれていると感じた。かなりの精度で瓶を作成していた。隙間ができていて魔素が拡散することは無さそうだ。一か月の保存の件はパラケル爺さんの作成物だけでなく、ポーション全体の案件のようだった。さらなる追加の工夫が必要か?いや、それなら先人がすでに試行錯誤をしている可能性がある。できる工夫があるかもしれない。一考する必要がある。ガラス瓶の割れやすさも課題の一つと読む。
ポーション液の液性はどうなのか?今までは作成してから、瓶に入れるまでは時間を置いていない。作成後、すぐに注いていた。体にかけたり肌に触れたりすると驚くほど即効性がある効果だ。放置するとすぐに魔素が霧散してしまうのだろう。即効性、即時性のあるものは、品質保持が難しい。向こうの商品の瞬間接着剤を思い出した。あの容器の中の乾燥剤がキーアイテムだった。乾燥剤を入れて密閉することが接着剤の固着を防いでいた。今回は、魔素の拡散、霧散がなぜ起こるのかを考える必要がある。
ポーションの薬効は治癒を促すとこの世界の住民は言う。向こうのカワラヨモギはこちらのアルテミ草ということはレッド少年との会話で判別できた。同じというならばアルテミ草の自体効果はかなり緩徐となるだろう。それを魔素が各段に増幅、方向付けしているのか? それともこちらのアルテミ草の効果が全く違うのか? 現状は疑問だらけだ。機序は不明。結果として体に取り込まれ、魔力機関に働くらしい。効果は正常な状態に戻す役割があるそうだ。魔素が有効な要因なのは間違いないと思う。
そのポーションの効果が一か月で無くなる理由として二つ考えられた。アルテミ草自体の薬効が無くなることで魔素の力の方向性が失われる。もう一つは魔素そのものの霧散、拡散で効力が無くなる。アルテミ草自体の薬効については、今の段階ではわからない。有効成分を分析する方法は無い。向こうでは効果も緩和だったので評価自体も難しいようだった。むしろざっくりとした効果が万能性を持たせている?
作成方法によるが、この衛生環境で1か月持つのも驚異的だ。通常ならば雑菌の繁殖にて腐敗してもおかしくないことのように感じる。魔素、魔力的な効果により増殖が抑えられているのか、薬草が本来持つ菌の増殖効果が発揮されているのか?または2つの効果が合わさっているのか。結局のところ、鑑定魔法の負担が大きいと思われた。魔素有り無しにて検証はいつかしなければならないだろう。
魔素そのものの拡散、霧散については、かなり疑っている。こちらにきてからの新要素の魔素。その特性は不明だ。現在のガラス瓶は薬効を損なう保存方法をとっているのではないか? ガラスが最適ではないのでは? ガラス瓶の欠点は何か? 割れやすいことと光を通してしまうことだ。通常、長期保管を行ううえでの条件は、湿度、温度、光を考える。気密瓶として液体の劣化は避けられていると思われる。ゆえに湿度は考えない。温度は加熱して抽出している。まず条件でないだろう。そうなると光だ。光に焦点を当ててみよう。
今ある作れるものとして、ガラス瓶、素焼き磁器、釉薬処理陶器、釉薬付磁器がある。さらに光または闇魔法による魔導具の補助があれば欲しい。前世であった有色ガラス瓶は作れるか?有色瓶と魔導具に関しては、爺さんが帰宅してから聞いてみよう。できることからやっていこう。
まずはポーションの薬効の劣化具合と安定性か。散々行った劣化評価のための品質試験をしなくて済むのは助かる。【物質鑑定】をかけたらわかるのだから。まずは普及品のポーションを使用してどのくらい下がるかで試してみよう。
魔力がなくなっても考えることはできる。明日からの実験に備えて条件を組み立てていった。
保存性が今回の問題だ。一ヶ月の期限は短すぎる。備蓄ができない。いざという時に使用したい冒険者。買い付けのときに万が一の時を考える商人。遠征をする際、必要なときに必要な効果が出ないのは信頼性に欠ける。領主や国の立場としてはどうだろうか? 向こうでは震災などに備蓄することを推奨していた。水一つとっても少なくても二年間の保管期限がある。多いものは十年だ。もしもの時に備えて保管できるものが作成できれば統治側も安心できるに違いない。定期的な大口の取引先となり得る。定期的な需要という観点からは、魔導師ギルドの思惑があったりするかもしれない。
有事に備えて長期保存ポーションを作るのは画期的ではないか? アイテムボックスと魔導具がある世界。時間遅延なるマジックアイテムが有ったりして解決はできると思うけど・・・。
ポーション瓶の素材はガラスだ。その役割は中身が見えている安心感。もう一つは魔素を拡散させないことだろうと推測する。残念ながら一ヶ月は期限が短すぎる。他の条件があるに違いないと予想を立てる。パラケル爺さんのポーション瓶はしっかりと気密状態が保たれていると感じた。かなりの精度で瓶を作成していた。隙間ができていて魔素が拡散することは無さそうだ。一か月の保存の件はパラケル爺さんの作成物だけでなく、ポーション全体の案件のようだった。さらなる追加の工夫が必要か?いや、それなら先人がすでに試行錯誤をしている可能性がある。できる工夫があるかもしれない。一考する必要がある。ガラス瓶の割れやすさも課題の一つと読む。
ポーション液の液性はどうなのか?今までは作成してから、瓶に入れるまでは時間を置いていない。作成後、すぐに注いていた。体にかけたり肌に触れたりすると驚くほど即効性がある効果だ。放置するとすぐに魔素が霧散してしまうのだろう。即効性、即時性のあるものは、品質保持が難しい。向こうの商品の瞬間接着剤を思い出した。あの容器の中の乾燥剤がキーアイテムだった。乾燥剤を入れて密閉することが接着剤の固着を防いでいた。今回は、魔素の拡散、霧散がなぜ起こるのかを考える必要がある。
ポーションの薬効は治癒を促すとこの世界の住民は言う。向こうのカワラヨモギはこちらのアルテミ草ということはレッド少年との会話で判別できた。同じというならばアルテミ草の自体効果はかなり緩徐となるだろう。それを魔素が各段に増幅、方向付けしているのか? それともこちらのアルテミ草の効果が全く違うのか? 現状は疑問だらけだ。機序は不明。結果として体に取り込まれ、魔力機関に働くらしい。効果は正常な状態に戻す役割があるそうだ。魔素が有効な要因なのは間違いないと思う。
そのポーションの効果が一か月で無くなる理由として二つ考えられた。アルテミ草自体の薬効が無くなることで魔素の力の方向性が失われる。もう一つは魔素そのものの霧散、拡散で効力が無くなる。アルテミ草自体の薬効については、今の段階ではわからない。有効成分を分析する方法は無い。向こうでは効果も緩和だったので評価自体も難しいようだった。むしろざっくりとした効果が万能性を持たせている?
作成方法によるが、この衛生環境で1か月持つのも驚異的だ。通常ならば雑菌の繁殖にて腐敗してもおかしくないことのように感じる。魔素、魔力的な効果により増殖が抑えられているのか、薬草が本来持つ菌の増殖効果が発揮されているのか?または2つの効果が合わさっているのか。結局のところ、鑑定魔法の負担が大きいと思われた。魔素有り無しにて検証はいつかしなければならないだろう。
魔素そのものの拡散、霧散については、かなり疑っている。こちらにきてからの新要素の魔素。その特性は不明だ。現在のガラス瓶は薬効を損なう保存方法をとっているのではないか? ガラスが最適ではないのでは? ガラス瓶の欠点は何か? 割れやすいことと光を通してしまうことだ。通常、長期保管を行ううえでの条件は、湿度、温度、光を考える。気密瓶として液体の劣化は避けられていると思われる。ゆえに湿度は考えない。温度は加熱して抽出している。まず条件でないだろう。そうなると光だ。光に焦点を当ててみよう。
今ある作れるものとして、ガラス瓶、素焼き磁器、釉薬処理陶器、釉薬付磁器がある。さらに光または闇魔法による魔導具の補助があれば欲しい。前世であった有色ガラス瓶は作れるか?有色瓶と魔導具に関しては、爺さんが帰宅してから聞いてみよう。できることからやっていこう。
まずはポーションの薬効の劣化具合と安定性か。散々行った劣化評価のための品質試験をしなくて済むのは助かる。【物質鑑定】をかけたらわかるのだから。まずは普及品のポーションを使用してどのくらい下がるかで試してみよう。
魔力がなくなっても考えることはできる。明日からの実験に備えて条件を組み立てていった。
291
お気に入りに追加
890
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
主人公は、勇者パーティーを追放されて辺境の地へと追放される。
そこで出会った魔族の少女と仲良くなり、彼女と共にスローライフを送ることになる。
しかし、ある日突然現れた魔王によって、俺は後継者として育てられることになる。
そして、俺の元には次々と美少女達が集まってくるのだった……。
異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。
暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる