美形貴族のお坊ちゃん×極悪非道のツン/ヤンデレ海賊の激甘執着ラヴ

ゆっくり

文字の大きさ
18 / 84
一章

料理

しおりを挟む
 そこから数週間ほど経過した。
 私たちは、様々な話をした。特に、アルバートさんはよく私に昔の話をしてくれた。
 遠い異国の話や、今は亡き部下の話など様々な話をしてくれた。また、金髪の彼を自分の海賊団に誘ったが断られた話もしてくれた。彼らにそのような関係があるとは知らず、驚いた。
 彼の楽しい話はアルバートさんの豊富な経験から来るもので、とても面白かった。私は少しアルバートさんが羨ましかった。
 一方私には話すことがあまりなかった。と言うのも、私はずっと屋敷で監禁されていたし話し相手も妹のドロシーくらいしかいなかったから、話すネタがない。

「ルイスちゃんは二人兄妹なん?」

「はい、そうですよ」

「…そうなんや」

 彼は話すことのない私に色々と質問をした。どうやら私のことをもっと知りたいと思ってくれているらしい。


 そんなお喋りを楽しんでいたのだが、海賊が荒々しく入ってきた。いつものひげもじゃではないが、多分ご飯の時間だと思う。ただ、いつもならその手にトレーを持っているが、その男は手ぶらだった。

「今日の飯はなしだ」

「そうなんや」

 ここのご飯は不味い。
 大抵出てくるのは肉料理か魚料理だ。肉は固くて噛むのが難しく、大量の油で炒めているのかベタベタだ。魚は泥臭く新鮮さの欠片もなく、こちらはパサパサでまずい。一口食べただけで食欲がなくなってしまう。

「……」

 ただ、黙っておいた。生きていくにはご飯が必要だし、まずいから「なくて良かった」とか言って餓死させられたら困る。

「なんでなん?」

「キッチン係共が揃って熱を出して、俺らが適当に料理をしていたら次の島まで食料が持たなかった。」

 本当に無能。ちょっと考えたらわかるだろ。アルバートさんと私は彼らを呆れた顔で見て、黙っていた。海賊はその目線に気付いているのかいないのか、そのまま話し続ける。

「ボスが飯が不味くて食いたくねぇらしい。最近酒しか飲んでない」

 ああ、金髪の彼は別に味覚が狂っているわけではない様だ。あのようなご飯を海賊になってから毎日毎日食べているのだとしたら不快で仕方がないだろう。私は初めて彼に同情した。

「捕虜、お前は料理ができるか?」

「出来るわけないやろ、全部部下がやっとったわ」

 そうなのか。確かにアルバートさんはほかの海賊団のボスだし、ここの船と同じく下っ端が料理をしていたのだろうな。

「お坊ちゃんは包丁も持ったことがないだろう」 

「できます」

 海賊の目は侮蔑に満ちていた。まるでお坊ちゃんだから何も出来ないだろと言いたげな顔だ。
 確かに今世ではお父様に勉学などを禁じられ、ここ数年で始まった軍隊並みの体術の授業以外ほとんど何も知らない無知と言っていい。が、私には前世の経験の記憶がある。具体的に自分が誰でどんな人と関わってきたかなどはほとんど思い出せないが、その人生で培った技術の記憶だけは残っていた。

 (前世は男で、人並み以上に料理をしていたはずだ)

 ただ、そんなこと海賊は知る由もないし、そもそも別にわざわざ料理するメリットないから自己主張する必要はなかった。黙っていたら良かったかもしれない。

「できるなら着いてこい」

「………」

 結局着いて行かされた




 キッチンは散々な見た目だった。
 そこら中から腐敗した食材の異臭が漂っており、汚れた食器や包み紙、生ゴミが雑然と積み重ねられていた。床はぬれていて、足元にはねとついた液体が広がっている。

 「…………汚すぎ」

 料理がこんな汚いキッチンで作られていたとは。吐き気がする。空気は腐敗と焦げ臭さで充満し、喉に刺さるような臭いが鼻腔を刺激した。目の前に広がる光景は、まるで食欲を奪い取られるような悪夢のようだった。
 こんなところで料理なんかできない。海賊共にその辺を片付けるように指示を出した。

「ついてこい」

 私は食料庫に案内された。
 本当にろくなものがない。肉は見当たらなかったが、代わりに魚があった。しかし、魚の周りにはハエが集まっており、腐敗は進んでいないように見えたが、私には食べたいとは思えなかった。
 一方、果物は幾つか残っていた。そして、新鮮なパンも一部残っていた。

「確かにろくなものがない」

「次の港まであと一日、ボスにだけでも食べていただく。俺たちの腕ではこれだけの食材料理は作れない」

 そういうことか。だから先ほどボスがご飯を食べないと言っていたのか。あの人だけにでも食べてもらうって…あんなにも脅えているくせに、あの男のどこを何をそんなに信仰しているのか。他の部下たちが殺されているというのに。

「そもそも、私が作ってあの人食べるんですか?」

 海賊は首を振った。そりゃそうだ。人間不信のように見える海賊のボスが、敵対する私の料理なんて食べるわけが無い。

「お前が作ったと言わなければいい」

「なるほど」

 私は一つ頷いた。



 

 
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

転生したら4人のヤンデレ彼氏に溺愛される日々が待っていた。

aika
恋愛
主人公まゆは冴えないOL。 ある日ちょっとした事故で命を落とし転生したら・・・ 4人のイケメン俳優たちと同棲するという神展開が待っていた。 それぞれタイプの違うイケメンたちに囲まれながら、 生活することになったまゆだが、彼らはまゆを溺愛するあまり どんどんヤンデレ男になっていき・・・・ ヤンデレ、溺愛、執着、取り合い・・・♡ 何でもありのドタバタ恋愛逆ハーレムコメディです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

処理中です...