美形貴族のお坊ちゃん×極悪非道のツン/ヤンデレ海賊の激甘執着ラヴ

ゆっくり

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一章

side レイ

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「お頭、あの野郎何か口は割りましたか」

「……………」

 腹の中を焦がすほどの莫大な感情が湧き出し、そして脳が何かを考える前に持っていた煙管をぶん投げていた。ガシャン!!と大きな音を立てて煙管が床にぶつかって壊れる。そんな様子を見た部下は、何かを察したような顔をしてそそくさと逃げていった。その様子にもなにか言いようのない感情の渦が身体の中で巻き起こる。

「……あの野郎殺してやる」

 頭の中に浮かぶのは、あの連れてこられたお貴族様ではない。のうのうと生きてヘラヘラと生きて、そして一塊の幸せを得て死んでいこうとしている次期国王ギルバート・フィリップス 。そして王族どものことだ。
 絶対的な苦しみを与えて苦しみながら死んでいくその様をこの目で見るまでは、この怒りはこの身を焼くままだ。

 そんな現状を打開する計画が実行されようとしたのに、無能どもが何の考えもなくただ働き、そしてこのザマだ。その無能どもは今頃海で魚の餌となっているだろう。頭痛がするほどの怒りで眩暈がする。

「おい」

 そう呼びかければ、外で待機していた部下が一人部屋に入ってくる。青白い顔をしてビクビクと、毛むくじゃらの大男が震えているその姿はもはや憐れみすら感じさせるほどだった。

「もう直ぐ港に着く。あの男を奴隷市場に連れて行け」

「売っちまうんですか?」

「んな訳ねぇだろうが。今後どういう運命を辿るのか見せて、怯えさせてやればちっとは言うこと聞くだろ」

 馬鹿な部下を睨みつけてそういえば、頭を下げて逃げるようにここをさって行く。また、腹の中でグルグルと言いようのない感情が湧き出すが、それに名前をつけられるほどの学は俺にはない。
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