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「じゃ、このようなプランはどうですか?」
「あー、これもいい!」
「でも俺はさっきのがいいなー」
「えー!私はこっちのがいい!!」
目の前で幸せそうに言い合ってる男女。
私はブライダルコーディネーターの仕事をしている。
目の前の2人も最近式を予約して、色んなプランを考え始めてることろだ。
「今はこのように入場するのも人気なんですよ!定番のキャンドルサービスもありますけど…」
「うーん」
「まだお時間もあるのでゆっくり考えてみるのもいいと思いますよ」
「わかりました。もう少し考えてみます」
毎日幸せそうな2人をいつも見ながら色んなプランの紹介、要望を聞く。
山波鳴子、30歳。そろそろ自分の幸せもほしい。
最近は仕事が終わると4人で飲むことが多い。
同じブライダルコーディネーターの野島紗弥加ちゃん、進行、ホール、案内などを担当する速見聡君と阿藤誠治君、3人は26~27歳とまだ20代。
「人の幸せを見るたびに自分の幸せが逃げてるってことないのかな?」
「山波さん、それは…」
ビールを飲みながらボソッという私の言葉に言葉が止まる3人。
「山波さんのこと意識してる人いるけど気づいてないとかあるかも…」
「そそ!出会ってのにまだ気づいてないとか」
「あー、それあるかも」
「…それは、ない!」
と、ハッキリ言う私。
「皆は恋人いたり、結婚もしてるしさー」
そう。2
人は恋人あり。そして1人は結婚もしてる。
「合コン行くとかどうです?」
えっ?この年で合コン…
「やめとく」
4人でたまに飲むのが唯一の楽しみになってしまった。
「そういえば、速見君。お子さん出来たんだって?」
「…情報はや!今から言おうと思ったのに」
「おー!おめでとう!」
「いやー!どうもどうも。俺も父親かぁー」
まぁ、ひねくれても仕方ない。皆が幸せになるのはいいことなんだから。
その飲み会では速見君のおこさんの話がメインになった。
「そうですね、来月にはできますね」
「まだ出来てないと解らないけど、でもここがいいなー」
と言う女性。
先週から1階の披露宴会場が改修工事に入っていて、窓をオープンにあければ、庭も使うように出来るよう改修工事が行われてる。
「まぁ、でも当日雨だと寂しいけどね」
「ですね、こればかりは…、お庭の方ですがパーティー会場のように色々使える仕様にしています。こちらで挙式も出来るので移動もなく便利なのが人気ですよ。イメージ図しかありませんが…」
とお二人に見せた。
「既にこの会場は予約が増えてまして、今後も人気になると思います。是非ご検討してみてください」
先程の2人も仮押さえをして帰って行った。
実はこの庭に挙式が出来る案は私が考えた。
以前身体不自由なご家族を見て移動しないで挙式披露宴が出来たらいいのに…と考えてこの案にたどり着いた。
考えとは違って色々変更修正はあったものの案内としては受け入れてくれてようやく改修工事をしてくれるようになった。
改修工事の人は4人ほど。
一工事の人も居なくなり、この会場には私一人。少しずつ完成出来てるが嬉しい。
「もしかして…」
後ろから声が聞こえた
振り向くと、作業着をきた若い男性。
あっ、工事の人か。
忘れ物でもしたのかな?
「あんた?」
「えっ?」
突然の質問の投げかけにびっくりする。
「去年、親戚の結婚式にここに来たとき、うちのばあさんが移動中コケてな。その時にこういう所は移動とか多いから辛いって言ったら、じゃ移動しないような会場が作れるようにお約束しますっと言った係員がいたと聞いた」
えっ?それって…
「去年の秋頃です?」
「あー、そのくらいかな」
「あー、覚えてます。もう少し早く気がつけば倒れずにすんだのに…」
「やっぱりあんただったか」
「あの時のことは、本当に教訓になりました。すぐに案は出したのですが、なかなかすぐに検討まで行かず、やっと実現できて」
あの時転ばせてしまって、痛そうな顔を見て、こういう会場もあったほうがいいと強い希望を社内で何度も出したんだった。
「口で言うやつは多いけど、実現するやつなんかそんなにいない」
「それは…、私も案は今までも色々だしても通ることってなかなかないので、口で言うだけで終わってること多いですよ」
「…」
「でも嬉しいです。そうやって覚えてもらえてて」
「…ふーん」
?
なんか、興味あるんだかないんだかの顔をしてる。
まぁいっか。
「それじゃ、私は失礼します」
そう言って会場を後にした。
そうやって要望を叶えられるというのも私の仕事だからね。
しばらしくて
あれ?
「あの、すいません。いつも作業してた若い男性の方は?」
あれから、何度か見に来たときは改修工事を皆でしてたのにここ数日前から見なくなった。
「あー、慶次のことか。あいつはバイトだからな。数日前に辞めたよ」
「え?辞めた?」
「元々試験勉強しつつバイトしてたからな。その試験に関連する仕事につくことが出来たとかで辞めたよ」
「そうなんですか…、どんなお仕事の会社に就職されたんですか?」
「弁護士事務所だよ」
「そうなんですか…」
「なに?慶次に何か用でもあったの?」
「あっ、いえ…、作業中断させてしまってすいませんでした」
そっかぁー、もう顔をみることないか。
まぁ、でも別に何かあったわけじゃないしね
と、しばらくは気にしないでいた。
「やっと、波山さんが案をだした会場が出来ましたね」
「はじめ聞いたときはいいなーとは思いましたけど、上のカタブツたちがなかなか了承しないと思ったのに…、まぁ時間はかかったけど、よかったですよ」
速見君も紗弥加ちゃんもビールを飲みながら言った。
「阿藤君、どうしたの?」
「あっ、いや最近ですね、彼女となんつーか…」
「えっ!?なに?どうしたの?」
「いや、うーん、なんかこう少し距離置かれてる気がして」
「なんか怒らせたんじゃないの?」
「いや…、うーん、覚えないんだけどな」
「付き合って何年だっけ?」
「3年かなー」
「3年か…、倦怠期?とかなのかな?」
「うーん」
別れたいのかなーとか言い出したので、かなり深刻なのかな?
と思った。
その数日後、お休みの日に友達の結婚祝いを探しにぷらぷらと出掛けてた。
あれ?
目の前から阿藤君?
1人でなんか寂しそうに歩いてる
「阿藤君?」
「あ、波山さん…」
「どうしたの?」
まさか、こんな街の中で会うとは…
「実は…」
彼女から別れてくれと言われたと…、そして納得が行かず問い詰めたら
「…癌でした」
!?
「そ、それで…」
「病院だから別れるって納得します?」
「…阿藤君…」
「病院のこと今知ったばかりで…、彼女の入院先の病院から帰るところです」
「そうなんだ…」
こっから病院が見える。あそこから帰るところだったんだ…
「阿藤さん!」
振り向くと
「えっ!?」
あ、あの時の…
あの時の作業着来てた青年だった。
「えっ?」
向こうも私が居たのにびっくりしてる。
「あっ、ああ、たまたま今ばったり会った会社の先輩で」
と、阿藤君が私を紹介する。
とりあえず会釈して
「彼女の双子のお兄さん」
えっ!?そうなんだ。
「妹はああ言ってますが、本当は…」
「解ってる。別れる気ないから」
「…ありがとう」
そう言って頭を下げた。
「阿藤君…」
「いや、俺が動揺してどうするんでしょうね。しっかりしないと!」
「…うん」
「ああ、えっと…」
私の方をみてる
「あっ、波山と言います。すいません、部外者なのに」
「あ、いや…」
「阿藤君、戻ったら?」
「え?」
「別れないこと伝えてないんでしょ?」
「ああ…動揺してて言ってなかった」
「言ってあげたら?」
と言うと
「戻ります」
と言って病院に向かった。
私はそれを見送って、そして隣に居たその彼女のお兄さんを見た。
「まさかまた会えるは思わなかった」
「そうですね」
こういうときってなんて言っていいか解らない。
「阿藤さんといるときは、アイツいつも嬉しそうで」
そうなんだ。しっかり相思相愛だ。
「阿藤君からも彼女のこと聞きますよ。みんな幸せで羨ましいなっていつも思って…、あっ!」
最後は余計だった。
少し見て
「まぁ、気にするな。俺も相手いないし」
…
慰められた?のか…
「じゃ、私失礼します。妹さんお大事に」
と言って離れようとしたら
「…また、会える?」
「えっ?」
「また会えるかな?」
「えっと…、なかなかむずかもだけど、また会えるかも…しれないし」
少しお互い無言になって
「じゃあ」
と言って私はその場から離れた。
この後、阿藤君の彼女は抗がん剤治療で頑張ってるという。
辛いの見せたくないから来ないで!とも言われたらしい。髪の毛が抜けて、どんどんとひどくなる自分の姿を見せたくないと。
そんなんで俺が嫌いになるわけ無いのに!と言って時間があれば病院に行ってるという。
「なんか阿藤君かっこいいよね、彼女の全てを受け入れて一緒に戦うって」
「確かに好きな人が病気になったら、一緒に頑張りたいけどでも、実際は大変だもんね。」
「一緒に戦うっていうのが阿藤君らしいね」
紗弥加ちゃんとそんな話をしていたとき
「あのー、皆さんにお願いが…」
阿藤君が改まって私達に言うので
「ど、どうしたの?」
とこっちもどもってしまった。
「実はお願いが…」
阿藤君のお願いを聞いて、すごい感動してしまった!
「やりましょう!!」
彼女と結婚式をしたいという。
抗がん剤治療をずっと頑張ってたけど、それでもまだまだの入院生活に自分はもう…と気持ちが折れてしまってるというので結婚式をあげて、この先未来を繋ぎたいという阿藤君のお願い。
会場がお休みの日になんとか出来るよう上司、そして手伝ってくれる会社の人に頼んだ。
「波山さん、そんないいのに…自分が…」
「いいのよ!阿藤君たちが喜んでくれれば。」
こういう職業だと、喜ばれるのが仕事になってしまった。
それに、阿藤君と彼女が少しでも前向きになってくれるなら…
なんとかお休みの日に使える了解を貰え、私の意見に賛同してその日出勤してくれる上司、他スタッフもいた。
そして当日。
阿藤君と車椅子に乗った阿藤君の彼女、真希さんが会場にきた。
「え?なに?どうしたの?行きたいところって、せいちゃんの会社?」
「まぁ、そんなところ」
「真希さん、はじめまして!私は阿藤君の同じ会社に努めてます波山といいます。」
「あっ、はじめまして」
「では、真希かんお預かりしますね」
と言って私が車椅子を押し始めた。
「え?なに?なに?」
真希さんは阿藤君と別れちゃうので不安になって
「せいちゃん、これなに?」
阿藤君は笑顔で手を降ってる。
では、こちらこれますか?
真希さんは疑問に思いつつも私の指示に従ってくれて、メイク、着付する担当の人と一緒に手分けして作業をした。
「これって…」
どんどん仕上がっていく自分をみて、理解しはじめて言葉が詰まってる。
「綺麗な花嫁さんね」
「ですねー、阿藤君びっくりして固まりそう」
皆でそんな話をしながら、足りないスタッフの分も私が補助でサポートした。
「じゃ、行ってきます」
仕上った真希さんを車椅子に乗せて会場に向かう
式場を入る前に、真希さんのお父さんがいて
「…」
お父さんは真希さんをみて言葉が出ないでいた。
私は車椅子をお父さんに押せるように移動させ
「立ちます!」
真希さんは立ち始めた。
「おい、真希!」
「だって、立ちたいもん!ここだけでもいいから立ってお父さんと歩いてせいちゃんのところに行きたい」
お父さんはうなずいて、立つように手伝い
「私も後ろでサポートさせていただきます」
というと、お父さんは会釈してくれた。
ドアが開き、ヴァージンロードの真っ直ぐ先には阿藤君が白のタキシードを着て待ってる。
左右には二人のご家族と私達この会社のスタッフが座っていて結婚式を祝福する。
立って入場する真希さんをみて、びっくりしてる阿藤君。
でもそれを見守ってて、愛されてるっていいなーって思ってしまった。
ゆっくり歩いてなんとか阿藤君のところまで行けて、式が始まった。
皆の見守る中式は進み、最後の誓いのキスをして式は終わった。
くるっと新郎新婦が後ろを向き、退場なのだが
「「おーー!」」
阿藤君がお姫様だっこして、退場する。
「おー!阿藤かっこいい!」
スタッフにそんなこと言われながら退場。
真希さんは涙が止まらないでいた。
その後、みんなで写真を撮ったりと和気あいあい。
「ありがとう」
「え?」
振り向くと真希さんのお兄さん。
また会えるかななんて前話してたっけ。意外に早く再会した。
「あんたが色々してくれたんだって?阿藤さんから聞いた」
「あっ…、いえ、お二人が幸せそうならそれが1番だから」
「…あのさ」
「はい」
「…連絡先聞きたい」
「え?」
「教えて…いや、教えてください」
「ちゃっと待ってください。それはあの…」
まさかとは思うけど、まさかだよ?
どうみても私よりかなり若い。
「いないんだよね?恋人」
「…ええ、まぁ。」
「じゃ、いいでしょ?」
…
「確かに居ませんが…、でも私よりもかなり若いみたいですけど」
「若いって言ったて24だよ」
私よりも6歳も…、しかももうすぐ誕生日だから7歳差になる?どっちでもいいけど、そんな若い人から連絡先って…
「私かなり年上なので」
「へぇー、そうなんだ。それで?」
「え?」
「何か問題ある?」
問題あるでしょう!!
「いや、そんな私みたいなのよりもっと若い子と…」
「そんなの俺の自由でしょ?」
確かにそうだけど
「お試しでもいいから、今度デートでもどお?」
「いや、あの…」
「波山さん、慶次君に口説かれてる」
「ちょっと、阿藤君!」
ニコニコしながら阿藤君が言うし
「慶次君真面目だよ!」
そういうことじゃ…
「デートしてダメならそれはそれで諦めるから」
うーん…
「いいじゃないですか!出会い探してたんだし」
「ちょっと、紗弥加ちゃん!」
なんか周りにそう言われながら囲まれて、断れない状況になって結局連絡先を交換した。
それから数日後。
夜ご飯でも食べない?というチャットがきた。
今日は遅番だから明日ならと回答して翌日会う約束に。
待ち合わせ場所には既にいて
「こんばんわ!」
「こんばんわ」
私を見て笑顔になったのが少しドキッとした。
「じゃ、行こっか」
そう言って、既に決めてあったのか迷わず進み洋風の個室のお店に入った。
とりあえずビールを2つ頼み乾杯をした。
顔は整ってるし、好青年だよな。それにスタイルもいいし、確か弁護士事務所に働いてるんだったけ?
「なに?俺の顔見て…、惚れた?」
「いや、いえ…、あの、若いなーて」
「そんなに差ないでしょ?」
「いや、私もう31になるし」
「え?もうって誕生日近いの?」
「あー、うん。来週かな」
「え?来週!?じゃお祝いしないと」
「えっー?お祝いされる年じゃ…」
「お祝いしたい。」
恥ずかいな。なんか…
「…そもそもなんで私なの?とか…聞いちゃっていい?」
「ばあさんも妹も願い叶っし」
「えっ?まぁ、それは私だけの努力じゃないし」
「そうやってやろうと前に進む人って、凄いんじゃん」
えっと…
「そんなところから気になった」
嬉しいような…なんというか
「嬉しいけど…」
「なに?なんか不服?」
「いや、うーん…」
言っていいのか…
「いや、あの…、まぁ年齢的になんていうか、お付き合いとかになったら、将来的なことも視野にいれてというか…」
「あー、結婚ってこと?」
「…まぁ、そういうことかな」
「とりあえず付き合ってみないとわからないし、この年なら俺だって結婚は出来るんだし、問題ないと思うけど」
言ってることは間違ってないんだけどな…、うーん…
私の中では結婚願望がありすぎてるのか、これから色々と初めて付き合うってのに焦りを感じてた。
名前は、国下慶次君、24歳。この間の司法書士に合格して今は弁護士の卵と言っている。
弁護士なんて凄いもんな。
しかもいい男なんだし、私なんかより同い年くらいの子でもモテるだろうに。
「とりあえずさ、付き合ってよ。じゃないと解らないじゃん」
悪い人じゃなさそうなんだけどな。
私は曖昧な返事をしてその日は別れた。
「慶次君、ダメなんですか?」
「えっ!?いや、そうじゃないんだけど」
阿藤君にツッコまれた。
「デートどうだった?と聞いたら、波山さんは乗り気じゃないって言ってたから」
「あー、うん。嫌いとかじゃないんだけどね」
「何が問題なんですか?」
「うーん、将来的なことっていうか…、やっぱりこの年だからね色々考えちゃって。でも向こうはさ、まだこれからだし、なんていうか…」
あー
と言って理解したようだ。
「でも、早く将来的なことを前提に付き合ってもダメなときはダメなんだから、こればかりは付き合ってみないと…」
まぁそれはわかってるんだけど…
私も24の時は、結婚とか考えてなかったしな。仕方ないのかもしれないけど
翌週、慶次君が誕生日祝いしたいの言うので、会う約束をした。
「明日は休みなの?」
「あっ、うん」
上司から有給使ってくれと言われて、それならと誕生日の明日を休むことにした。
慶次君は明日は仕事で、夜遅くまでかかるかもってことで前倒しに今日に。
レストランバーに入ってまずは乾杯をしてお互いビールを飲み、その後は色々頼んだんだけど
「なんか今日ピッチ早い…」
慶次君のピッチの早さに驚く。
「酔いたい気分」
「え?明日仕事あるのに?」
「それでも酔いたい」
慶次君の考えてることがイマイチ理解出来ない。
その後は妹さんの話をして、前向きに頑張ってるということ。近々入籍するということを聞いた。
「あー、もうこんな時間か…」
私も少しピッチを合わせて飲んだので酔ってはいる。
早く帰って寝たい!
店を出て駅に向かって歩いたとき
「えっ?」
腕を掴まれて抱きしめられた。
「…一目惚れって言ったら信じる?」
「…え?」
「恥ずかしくって流石に一目惚れって言えなかった。でも…、離したくないって言ったら俺についてきてくれる?」
「…慶次君…」
「…この先のことは解らない。でも…、一緒にいたい」
凄い突き刺さるようなストレートな言葉に心撃たれてしまった。
私は首を縦にふった。
「…ありがとう」
私達は恋人同士になった。
「あー、これもいい!」
「でも俺はさっきのがいいなー」
「えー!私はこっちのがいい!!」
目の前で幸せそうに言い合ってる男女。
私はブライダルコーディネーターの仕事をしている。
目の前の2人も最近式を予約して、色んなプランを考え始めてることろだ。
「今はこのように入場するのも人気なんですよ!定番のキャンドルサービスもありますけど…」
「うーん」
「まだお時間もあるのでゆっくり考えてみるのもいいと思いますよ」
「わかりました。もう少し考えてみます」
毎日幸せそうな2人をいつも見ながら色んなプランの紹介、要望を聞く。
山波鳴子、30歳。そろそろ自分の幸せもほしい。
最近は仕事が終わると4人で飲むことが多い。
同じブライダルコーディネーターの野島紗弥加ちゃん、進行、ホール、案内などを担当する速見聡君と阿藤誠治君、3人は26~27歳とまだ20代。
「人の幸せを見るたびに自分の幸せが逃げてるってことないのかな?」
「山波さん、それは…」
ビールを飲みながらボソッという私の言葉に言葉が止まる3人。
「山波さんのこと意識してる人いるけど気づいてないとかあるかも…」
「そそ!出会ってのにまだ気づいてないとか」
「あー、それあるかも」
「…それは、ない!」
と、ハッキリ言う私。
「皆は恋人いたり、結婚もしてるしさー」
そう。2
人は恋人あり。そして1人は結婚もしてる。
「合コン行くとかどうです?」
えっ?この年で合コン…
「やめとく」
4人でたまに飲むのが唯一の楽しみになってしまった。
「そういえば、速見君。お子さん出来たんだって?」
「…情報はや!今から言おうと思ったのに」
「おー!おめでとう!」
「いやー!どうもどうも。俺も父親かぁー」
まぁ、ひねくれても仕方ない。皆が幸せになるのはいいことなんだから。
その飲み会では速見君のおこさんの話がメインになった。
「そうですね、来月にはできますね」
「まだ出来てないと解らないけど、でもここがいいなー」
と言う女性。
先週から1階の披露宴会場が改修工事に入っていて、窓をオープンにあければ、庭も使うように出来るよう改修工事が行われてる。
「まぁ、でも当日雨だと寂しいけどね」
「ですね、こればかりは…、お庭の方ですがパーティー会場のように色々使える仕様にしています。こちらで挙式も出来るので移動もなく便利なのが人気ですよ。イメージ図しかありませんが…」
とお二人に見せた。
「既にこの会場は予約が増えてまして、今後も人気になると思います。是非ご検討してみてください」
先程の2人も仮押さえをして帰って行った。
実はこの庭に挙式が出来る案は私が考えた。
以前身体不自由なご家族を見て移動しないで挙式披露宴が出来たらいいのに…と考えてこの案にたどり着いた。
考えとは違って色々変更修正はあったものの案内としては受け入れてくれてようやく改修工事をしてくれるようになった。
改修工事の人は4人ほど。
一工事の人も居なくなり、この会場には私一人。少しずつ完成出来てるが嬉しい。
「もしかして…」
後ろから声が聞こえた
振り向くと、作業着をきた若い男性。
あっ、工事の人か。
忘れ物でもしたのかな?
「あんた?」
「えっ?」
突然の質問の投げかけにびっくりする。
「去年、親戚の結婚式にここに来たとき、うちのばあさんが移動中コケてな。その時にこういう所は移動とか多いから辛いって言ったら、じゃ移動しないような会場が作れるようにお約束しますっと言った係員がいたと聞いた」
えっ?それって…
「去年の秋頃です?」
「あー、そのくらいかな」
「あー、覚えてます。もう少し早く気がつけば倒れずにすんだのに…」
「やっぱりあんただったか」
「あの時のことは、本当に教訓になりました。すぐに案は出したのですが、なかなかすぐに検討まで行かず、やっと実現できて」
あの時転ばせてしまって、痛そうな顔を見て、こういう会場もあったほうがいいと強い希望を社内で何度も出したんだった。
「口で言うやつは多いけど、実現するやつなんかそんなにいない」
「それは…、私も案は今までも色々だしても通ることってなかなかないので、口で言うだけで終わってること多いですよ」
「…」
「でも嬉しいです。そうやって覚えてもらえてて」
「…ふーん」
?
なんか、興味あるんだかないんだかの顔をしてる。
まぁいっか。
「それじゃ、私は失礼します」
そう言って会場を後にした。
そうやって要望を叶えられるというのも私の仕事だからね。
しばらしくて
あれ?
「あの、すいません。いつも作業してた若い男性の方は?」
あれから、何度か見に来たときは改修工事を皆でしてたのにここ数日前から見なくなった。
「あー、慶次のことか。あいつはバイトだからな。数日前に辞めたよ」
「え?辞めた?」
「元々試験勉強しつつバイトしてたからな。その試験に関連する仕事につくことが出来たとかで辞めたよ」
「そうなんですか…、どんなお仕事の会社に就職されたんですか?」
「弁護士事務所だよ」
「そうなんですか…」
「なに?慶次に何か用でもあったの?」
「あっ、いえ…、作業中断させてしまってすいませんでした」
そっかぁー、もう顔をみることないか。
まぁ、でも別に何かあったわけじゃないしね
と、しばらくは気にしないでいた。
「やっと、波山さんが案をだした会場が出来ましたね」
「はじめ聞いたときはいいなーとは思いましたけど、上のカタブツたちがなかなか了承しないと思ったのに…、まぁ時間はかかったけど、よかったですよ」
速見君も紗弥加ちゃんもビールを飲みながら言った。
「阿藤君、どうしたの?」
「あっ、いや最近ですね、彼女となんつーか…」
「えっ!?なに?どうしたの?」
「いや、うーん、なんかこう少し距離置かれてる気がして」
「なんか怒らせたんじゃないの?」
「いや…、うーん、覚えないんだけどな」
「付き合って何年だっけ?」
「3年かなー」
「3年か…、倦怠期?とかなのかな?」
「うーん」
別れたいのかなーとか言い出したので、かなり深刻なのかな?
と思った。
その数日後、お休みの日に友達の結婚祝いを探しにぷらぷらと出掛けてた。
あれ?
目の前から阿藤君?
1人でなんか寂しそうに歩いてる
「阿藤君?」
「あ、波山さん…」
「どうしたの?」
まさか、こんな街の中で会うとは…
「実は…」
彼女から別れてくれと言われたと…、そして納得が行かず問い詰めたら
「…癌でした」
!?
「そ、それで…」
「病院だから別れるって納得します?」
「…阿藤君…」
「病院のこと今知ったばかりで…、彼女の入院先の病院から帰るところです」
「そうなんだ…」
こっから病院が見える。あそこから帰るところだったんだ…
「阿藤さん!」
振り向くと
「えっ!?」
あ、あの時の…
あの時の作業着来てた青年だった。
「えっ?」
向こうも私が居たのにびっくりしてる。
「あっ、ああ、たまたま今ばったり会った会社の先輩で」
と、阿藤君が私を紹介する。
とりあえず会釈して
「彼女の双子のお兄さん」
えっ!?そうなんだ。
「妹はああ言ってますが、本当は…」
「解ってる。別れる気ないから」
「…ありがとう」
そう言って頭を下げた。
「阿藤君…」
「いや、俺が動揺してどうするんでしょうね。しっかりしないと!」
「…うん」
「ああ、えっと…」
私の方をみてる
「あっ、波山と言います。すいません、部外者なのに」
「あ、いや…」
「阿藤君、戻ったら?」
「え?」
「別れないこと伝えてないんでしょ?」
「ああ…動揺してて言ってなかった」
「言ってあげたら?」
と言うと
「戻ります」
と言って病院に向かった。
私はそれを見送って、そして隣に居たその彼女のお兄さんを見た。
「まさかまた会えるは思わなかった」
「そうですね」
こういうときってなんて言っていいか解らない。
「阿藤さんといるときは、アイツいつも嬉しそうで」
そうなんだ。しっかり相思相愛だ。
「阿藤君からも彼女のこと聞きますよ。みんな幸せで羨ましいなっていつも思って…、あっ!」
最後は余計だった。
少し見て
「まぁ、気にするな。俺も相手いないし」
…
慰められた?のか…
「じゃ、私失礼します。妹さんお大事に」
と言って離れようとしたら
「…また、会える?」
「えっ?」
「また会えるかな?」
「えっと…、なかなかむずかもだけど、また会えるかも…しれないし」
少しお互い無言になって
「じゃあ」
と言って私はその場から離れた。
この後、阿藤君の彼女は抗がん剤治療で頑張ってるという。
辛いの見せたくないから来ないで!とも言われたらしい。髪の毛が抜けて、どんどんとひどくなる自分の姿を見せたくないと。
そんなんで俺が嫌いになるわけ無いのに!と言って時間があれば病院に行ってるという。
「なんか阿藤君かっこいいよね、彼女の全てを受け入れて一緒に戦うって」
「確かに好きな人が病気になったら、一緒に頑張りたいけどでも、実際は大変だもんね。」
「一緒に戦うっていうのが阿藤君らしいね」
紗弥加ちゃんとそんな話をしていたとき
「あのー、皆さんにお願いが…」
阿藤君が改まって私達に言うので
「ど、どうしたの?」
とこっちもどもってしまった。
「実はお願いが…」
阿藤君のお願いを聞いて、すごい感動してしまった!
「やりましょう!!」
彼女と結婚式をしたいという。
抗がん剤治療をずっと頑張ってたけど、それでもまだまだの入院生活に自分はもう…と気持ちが折れてしまってるというので結婚式をあげて、この先未来を繋ぎたいという阿藤君のお願い。
会場がお休みの日になんとか出来るよう上司、そして手伝ってくれる会社の人に頼んだ。
「波山さん、そんないいのに…自分が…」
「いいのよ!阿藤君たちが喜んでくれれば。」
こういう職業だと、喜ばれるのが仕事になってしまった。
それに、阿藤君と彼女が少しでも前向きになってくれるなら…
なんとかお休みの日に使える了解を貰え、私の意見に賛同してその日出勤してくれる上司、他スタッフもいた。
そして当日。
阿藤君と車椅子に乗った阿藤君の彼女、真希さんが会場にきた。
「え?なに?どうしたの?行きたいところって、せいちゃんの会社?」
「まぁ、そんなところ」
「真希さん、はじめまして!私は阿藤君の同じ会社に努めてます波山といいます。」
「あっ、はじめまして」
「では、真希かんお預かりしますね」
と言って私が車椅子を押し始めた。
「え?なに?なに?」
真希さんは阿藤君と別れちゃうので不安になって
「せいちゃん、これなに?」
阿藤君は笑顔で手を降ってる。
では、こちらこれますか?
真希さんは疑問に思いつつも私の指示に従ってくれて、メイク、着付する担当の人と一緒に手分けして作業をした。
「これって…」
どんどん仕上がっていく自分をみて、理解しはじめて言葉が詰まってる。
「綺麗な花嫁さんね」
「ですねー、阿藤君びっくりして固まりそう」
皆でそんな話をしながら、足りないスタッフの分も私が補助でサポートした。
「じゃ、行ってきます」
仕上った真希さんを車椅子に乗せて会場に向かう
式場を入る前に、真希さんのお父さんがいて
「…」
お父さんは真希さんをみて言葉が出ないでいた。
私は車椅子をお父さんに押せるように移動させ
「立ちます!」
真希さんは立ち始めた。
「おい、真希!」
「だって、立ちたいもん!ここだけでもいいから立ってお父さんと歩いてせいちゃんのところに行きたい」
お父さんはうなずいて、立つように手伝い
「私も後ろでサポートさせていただきます」
というと、お父さんは会釈してくれた。
ドアが開き、ヴァージンロードの真っ直ぐ先には阿藤君が白のタキシードを着て待ってる。
左右には二人のご家族と私達この会社のスタッフが座っていて結婚式を祝福する。
立って入場する真希さんをみて、びっくりしてる阿藤君。
でもそれを見守ってて、愛されてるっていいなーって思ってしまった。
ゆっくり歩いてなんとか阿藤君のところまで行けて、式が始まった。
皆の見守る中式は進み、最後の誓いのキスをして式は終わった。
くるっと新郎新婦が後ろを向き、退場なのだが
「「おーー!」」
阿藤君がお姫様だっこして、退場する。
「おー!阿藤かっこいい!」
スタッフにそんなこと言われながら退場。
真希さんは涙が止まらないでいた。
その後、みんなで写真を撮ったりと和気あいあい。
「ありがとう」
「え?」
振り向くと真希さんのお兄さん。
また会えるかななんて前話してたっけ。意外に早く再会した。
「あんたが色々してくれたんだって?阿藤さんから聞いた」
「あっ…、いえ、お二人が幸せそうならそれが1番だから」
「…あのさ」
「はい」
「…連絡先聞きたい」
「え?」
「教えて…いや、教えてください」
「ちゃっと待ってください。それはあの…」
まさかとは思うけど、まさかだよ?
どうみても私よりかなり若い。
「いないんだよね?恋人」
「…ええ、まぁ。」
「じゃ、いいでしょ?」
…
「確かに居ませんが…、でも私よりもかなり若いみたいですけど」
「若いって言ったて24だよ」
私よりも6歳も…、しかももうすぐ誕生日だから7歳差になる?どっちでもいいけど、そんな若い人から連絡先って…
「私かなり年上なので」
「へぇー、そうなんだ。それで?」
「え?」
「何か問題ある?」
問題あるでしょう!!
「いや、そんな私みたいなのよりもっと若い子と…」
「そんなの俺の自由でしょ?」
確かにそうだけど
「お試しでもいいから、今度デートでもどお?」
「いや、あの…」
「波山さん、慶次君に口説かれてる」
「ちょっと、阿藤君!」
ニコニコしながら阿藤君が言うし
「慶次君真面目だよ!」
そういうことじゃ…
「デートしてダメならそれはそれで諦めるから」
うーん…
「いいじゃないですか!出会い探してたんだし」
「ちょっと、紗弥加ちゃん!」
なんか周りにそう言われながら囲まれて、断れない状況になって結局連絡先を交換した。
それから数日後。
夜ご飯でも食べない?というチャットがきた。
今日は遅番だから明日ならと回答して翌日会う約束に。
待ち合わせ場所には既にいて
「こんばんわ!」
「こんばんわ」
私を見て笑顔になったのが少しドキッとした。
「じゃ、行こっか」
そう言って、既に決めてあったのか迷わず進み洋風の個室のお店に入った。
とりあえずビールを2つ頼み乾杯をした。
顔は整ってるし、好青年だよな。それにスタイルもいいし、確か弁護士事務所に働いてるんだったけ?
「なに?俺の顔見て…、惚れた?」
「いや、いえ…、あの、若いなーて」
「そんなに差ないでしょ?」
「いや、私もう31になるし」
「え?もうって誕生日近いの?」
「あー、うん。来週かな」
「え?来週!?じゃお祝いしないと」
「えっー?お祝いされる年じゃ…」
「お祝いしたい。」
恥ずかいな。なんか…
「…そもそもなんで私なの?とか…聞いちゃっていい?」
「ばあさんも妹も願い叶っし」
「えっ?まぁ、それは私だけの努力じゃないし」
「そうやってやろうと前に進む人って、凄いんじゃん」
えっと…
「そんなところから気になった」
嬉しいような…なんというか
「嬉しいけど…」
「なに?なんか不服?」
「いや、うーん…」
言っていいのか…
「いや、あの…、まぁ年齢的になんていうか、お付き合いとかになったら、将来的なことも視野にいれてというか…」
「あー、結婚ってこと?」
「…まぁ、そういうことかな」
「とりあえず付き合ってみないとわからないし、この年なら俺だって結婚は出来るんだし、問題ないと思うけど」
言ってることは間違ってないんだけどな…、うーん…
私の中では結婚願望がありすぎてるのか、これから色々と初めて付き合うってのに焦りを感じてた。
名前は、国下慶次君、24歳。この間の司法書士に合格して今は弁護士の卵と言っている。
弁護士なんて凄いもんな。
しかもいい男なんだし、私なんかより同い年くらいの子でもモテるだろうに。
「とりあえずさ、付き合ってよ。じゃないと解らないじゃん」
悪い人じゃなさそうなんだけどな。
私は曖昧な返事をしてその日は別れた。
「慶次君、ダメなんですか?」
「えっ!?いや、そうじゃないんだけど」
阿藤君にツッコまれた。
「デートどうだった?と聞いたら、波山さんは乗り気じゃないって言ってたから」
「あー、うん。嫌いとかじゃないんだけどね」
「何が問題なんですか?」
「うーん、将来的なことっていうか…、やっぱりこの年だからね色々考えちゃって。でも向こうはさ、まだこれからだし、なんていうか…」
あー
と言って理解したようだ。
「でも、早く将来的なことを前提に付き合ってもダメなときはダメなんだから、こればかりは付き合ってみないと…」
まぁそれはわかってるんだけど…
私も24の時は、結婚とか考えてなかったしな。仕方ないのかもしれないけど
翌週、慶次君が誕生日祝いしたいの言うので、会う約束をした。
「明日は休みなの?」
「あっ、うん」
上司から有給使ってくれと言われて、それならと誕生日の明日を休むことにした。
慶次君は明日は仕事で、夜遅くまでかかるかもってことで前倒しに今日に。
レストランバーに入ってまずは乾杯をしてお互いビールを飲み、その後は色々頼んだんだけど
「なんか今日ピッチ早い…」
慶次君のピッチの早さに驚く。
「酔いたい気分」
「え?明日仕事あるのに?」
「それでも酔いたい」
慶次君の考えてることがイマイチ理解出来ない。
その後は妹さんの話をして、前向きに頑張ってるということ。近々入籍するということを聞いた。
「あー、もうこんな時間か…」
私も少しピッチを合わせて飲んだので酔ってはいる。
早く帰って寝たい!
店を出て駅に向かって歩いたとき
「えっ?」
腕を掴まれて抱きしめられた。
「…一目惚れって言ったら信じる?」
「…え?」
「恥ずかしくって流石に一目惚れって言えなかった。でも…、離したくないって言ったら俺についてきてくれる?」
「…慶次君…」
「…この先のことは解らない。でも…、一緒にいたい」
凄い突き刺さるようなストレートな言葉に心撃たれてしまった。
私は首を縦にふった。
「…ありがとう」
私達は恋人同士になった。
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