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命日
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「え?それって」
「うん。そういうことなんだ」
日本なら考えられないことでびっくりしてる。
車に乗って省吾のお母さんの命にお墓参りに行く途中で衝撃な告白を聞いていた。
あの飛行機事故で、私の死を覚悟した絶望感の顔を見たことで本当の母親が死ぬ間際の顔をフラッシュバックで思い出し始めたという。
そして自分は飯山省吾でないということを思い出した。
飯山家に引き取られ、その後すぐに海外に留学。そこで省吾は催眠治療を行った。
そこで自分は飯山省吾と思い込み、桜井陽一の出来事は封じ込まれてしまった。
「海外では結構そういう治療があるらしい。俺は遥のあの顔を見るまで自分はずっと飯山省吾自身だと思っていた。」
だから、あの時あたりから様子が...
「幻滅した?」
「もう、しつこい!私にとって旦那様は目の前にいる省吾なんだよ。例え別人だろうが、私は目の前の省吾しか好きになれない」
「ありがと」
と言って、笑みを浮かべ運転してる。
省吾も初めて来る墓参りだから、カーナビを見ながら運転してる。
「あ、ここ?」
お寺だけど、本当に小さいお寺だった。
「無縁仏とか多い墓らしい」
小さいお寺だけど、あまり手入れされてないのがよくわかる。
「ここみたいだね」
桜井と墓石に名前が書いてあり、横を見るとお母さん、妹さん、そして陽一さんの名前が書いてあった。
初めて見る自分の身内のお墓を前に省吾は
「ずいぶんと、ここに来るのが遅くなったな」
仕方ないんだけど、しょうがないんだけど、省吾の顔からは辛い顔しかなかった。
私は省吾の手を握った。
省吾は私の顔を見た。
「ありがと」
省吾はそれだけ答えると、しばし無言だった。
2人でお墓の掃除をした。
私はお母さんに、省吾を生んでくれて感謝を何度も思いながら掃除した。
自分の名前が墓石に書いてあって、既に眠ってることになってるって複雑すぎる。
掃除したあと、2人で手を合わせ
「また来よう」
と私は言った。
「うん、そだね」
そして片付けをし、車に戻ろうと歩いてた時
「あのー」
後ろから声をかけられた。
2人で振り向くと、50代半ばの男性がいた。
「うちのお墓ですけど」
と指を指したのは、今掃除した省吾のお母さん、妹さんが眠るお墓だ。
「えっと、どなたでしょうか?」
この人、もしかして...
「桜井陽一君の同級生だったものです」
省吾はそう答えた。
「そうですか、陽一の...。ありがとうございます」
そう言って頭を下がる男性。
「陽一、よかったな。友達がお墓参りに来てくれたぞ」
私はもう涙が出そうで、下を向いてしまった。
「では、すいません。また来ます。失礼します」
省吾はそう言って、頭を下げ、私も頭を下げてその場を後にした。
車に乗り、すぐ出発した。そして2分もしないところの路肩に止め、2人で泣いていた。
2人とも会話はしてないが、あの人が省吾のお父さんだってことはわかってた。
2人とも桜井陽一はここにいますとは言えない。
どういう形であれ、あの人が省吾の家族をここまでしたんだ。
あの顔を見れば、後悔、無念、全てを背負った辛い顔をしてる。
省吾の手を握ると抱きついてきて2人で嗚咽が出るほど泣き出していた。
「うん。そういうことなんだ」
日本なら考えられないことでびっくりしてる。
車に乗って省吾のお母さんの命にお墓参りに行く途中で衝撃な告白を聞いていた。
あの飛行機事故で、私の死を覚悟した絶望感の顔を見たことで本当の母親が死ぬ間際の顔をフラッシュバックで思い出し始めたという。
そして自分は飯山省吾でないということを思い出した。
飯山家に引き取られ、その後すぐに海外に留学。そこで省吾は催眠治療を行った。
そこで自分は飯山省吾と思い込み、桜井陽一の出来事は封じ込まれてしまった。
「海外では結構そういう治療があるらしい。俺は遥のあの顔を見るまで自分はずっと飯山省吾自身だと思っていた。」
だから、あの時あたりから様子が...
「幻滅した?」
「もう、しつこい!私にとって旦那様は目の前にいる省吾なんだよ。例え別人だろうが、私は目の前の省吾しか好きになれない」
「ありがと」
と言って、笑みを浮かべ運転してる。
省吾も初めて来る墓参りだから、カーナビを見ながら運転してる。
「あ、ここ?」
お寺だけど、本当に小さいお寺だった。
「無縁仏とか多い墓らしい」
小さいお寺だけど、あまり手入れされてないのがよくわかる。
「ここみたいだね」
桜井と墓石に名前が書いてあり、横を見るとお母さん、妹さん、そして陽一さんの名前が書いてあった。
初めて見る自分の身内のお墓を前に省吾は
「ずいぶんと、ここに来るのが遅くなったな」
仕方ないんだけど、しょうがないんだけど、省吾の顔からは辛い顔しかなかった。
私は省吾の手を握った。
省吾は私の顔を見た。
「ありがと」
省吾はそれだけ答えると、しばし無言だった。
2人でお墓の掃除をした。
私はお母さんに、省吾を生んでくれて感謝を何度も思いながら掃除した。
自分の名前が墓石に書いてあって、既に眠ってることになってるって複雑すぎる。
掃除したあと、2人で手を合わせ
「また来よう」
と私は言った。
「うん、そだね」
そして片付けをし、車に戻ろうと歩いてた時
「あのー」
後ろから声をかけられた。
2人で振り向くと、50代半ばの男性がいた。
「うちのお墓ですけど」
と指を指したのは、今掃除した省吾のお母さん、妹さんが眠るお墓だ。
「えっと、どなたでしょうか?」
この人、もしかして...
「桜井陽一君の同級生だったものです」
省吾はそう答えた。
「そうですか、陽一の...。ありがとうございます」
そう言って頭を下がる男性。
「陽一、よかったな。友達がお墓参りに来てくれたぞ」
私はもう涙が出そうで、下を向いてしまった。
「では、すいません。また来ます。失礼します」
省吾はそう言って、頭を下げ、私も頭を下げてその場を後にした。
車に乗り、すぐ出発した。そして2分もしないところの路肩に止め、2人で泣いていた。
2人とも会話はしてないが、あの人が省吾のお父さんだってことはわかってた。
2人とも桜井陽一はここにいますとは言えない。
どういう形であれ、あの人が省吾の家族をここまでしたんだ。
あの顔を見れば、後悔、無念、全てを背負った辛い顔をしてる。
省吾の手を握ると抱きついてきて2人で嗚咽が出るほど泣き出していた。
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