逢いたくて逢えない先に...

詩織

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再出発

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退職日の最終日。

全て有給を使い切った私は、出勤に荷物整理しにご挨拶に出勤した。

「本当に辞めちゃうんですか?」

「急に休みだしたからびっくりしました。」

「引継ぎもろくにしないで、ごめんなさいね」

唯一心残りなのはしっかり引継ぎをしてなかったこと。

状況が状況なだけに、出勤もしずらくなって、こんな感じになってしまった。

「あ、それって?」

え?

ああ

「結婚するんですか?」

「ああ、はい」

省吾に絶対外すなって言われてからそのまま来てしまった。

「「え!!」」

それを聞いて周りがどよめく

「どんな方なんですか?」

え?どんな方。普通の...ではないな。

「優しい人だよ」

「へぇ」

「「おめでとうございます。」」

「ありがとうございます」

その賑わった場面を見て、事業部長は驚いて私を見ていた。

「部長、お世話になりました。」

「ああ、いや、まぁ」

部長に一礼して挨拶をした。

「け、結婚するんですか?」

「はい」

省吾と私では結婚する関係にならないと確信してたんだろう。私自身もないと思ってたくらいだし。

「そ、そですか。おめでとう」

「ありがとうございます。では、お元気で」


会社のロビーに入ったところで社長がいた。

接点は全くないし、1人社員が辞めるくらい社長からしたらなんてことない。

でもお世話になりましたっと言った方がいいのか。

まぁ知らない人に急に言われてもこまるしな。一礼だけしとくか。

私は一礼だけして、出口に向かおうとしたとき

「柴崎さん」

社長に言われてドキッとした。

「は、はい」

「本当に貴方には嫌な思いをさせてしまって申し訳なかった。私の管理不足です。」

そう言って、軽く頭を下げた。

「いや、ちょっとまってください。だ、大丈夫です」

私も焦って頭を下げた。

「柴崎さんが居なくなるのは会社としても痛手でした。今後ないようにしっかり管理します。」

そう言って、私の目を見て言ってくれた。

「あ、いや、あの、本当にお気になさらないでください。長い間お世話になりました。」

再び頭を下げた。

そして、社長は遠くを見て頭を下げた。

そこには、省吾がいて省吾も頭を下げていた。

「では、失礼します。」

私は一言言って、省吾の元に行った。



「ちゃんと挨拶できた?」

「うん」

「指輪効果ばっちりだったろ?」

「え?わざと?」

「いや、どのみちプロポーズしてたからわざとじゃないけど」




そして半月後に新しい職場に。

結婚に新しい職場にこれから大変だ。
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