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振られた私
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「ずっと好きだったんで、もしよければだけど…」
会社の飲み会の帰り、ずっと好きだった彼に告白をした。
「…」
なに?その沈黙…、早く結果おしえてーー!!
「…ごめん」
「!?」
「俺さ、まだ辞令が確定してないけど、来月から九州支社に行くんだ」
「えっ?」
「なんつーの、その遠距離とか無理だから」
高辺真冬、27歳。企画部に所属。
そして、同期で同じ部の松川玲哉、28歳に告白をした。
一番話しやすく、仕事もやりやすく、仕事終わった後、飲みにも行く。
親友のような感じでずっといた。お互い恋人も居た時期もあったし、このまま行くと思ってたが、彼を男としてみてしまった。そして、会社の飲み会の帰り、2人で帰ってるときに告白をした。
「松川、あのー」
「…ごめん」
ずっと仲良かった彼とこうしてギクシャクし、九州に行ってしまった。
毎日冗談を言い合って、馬鹿話だって…、ランチで2人に逝くこともあったし、2人で飲みに行くこともあった。周りからは公認の夫婦漫才コンビみたいな言われてたし、松川も少しは好意があると思っていた。
なんなのよ!転勤だから、遠距離だから無理って…
私は苛立ちとムカムカを数ヶ月過ごしていた。
それから3年後
私も30になった。変わってないのは未だ独身の一人暮らし。
変わったのは、主任になったこと。そして営業部の佐倉憲史から半年前に告白をされ付き合いだした。彼は3歳年下の27歳。見た目は王子様顔なんで女子の人気は高い。けど性格は王子様というより、オヤジキャラ。イタリアン、フレンチレストランより、赤提灯とか立ち飲みなどが好き。
はじめは断ってた。あまり接点ないのもあったが、松川が未だに吹っ切れてないのもあった。誰とは言わないけど吹っ切れないひとが居ることは伝えてあった。けど、押しの強さに負け
「…私のどこがそこまでいいのか解らないけど、そこまで言うなら」
と、最後は言ってしまった。
憲史は本当に大事にしてくれる。彼のこともどんどん好きになり、今では知ってる人も数人いる。そんなときに
「えっ?どういうことですか!?」
松川が本社に帰って来るという。しかも課長として
「ずっと向こうじゃないんですか?」
「はじめはそのつもりでいたが、彼の業績はかなりの成果でね、本社で課長としてやってもらおうという話しになったんだよ」
そ、そんな…、今になって
でも、あれから3年もたってるんだ。私にも彼がいるし、向こうも恋人がいるかもしれないし、お互い変わったし
そしてその日を迎えた
「お久しぶりです!そしてはじめましての方もいるかと思いますがよろしくお願いいたします」
なんだかなー、まさか上司となって帰ってくるとは…
私はやるべく話さないようにようとしたが…
主任の上司が課長になるわけで。
はぁー
「松川課長、よろしくお願い致します」
頭を下げる
「…こちらこそ」
「早速ですが、部長か松川課長に現在の仕事の状況を報告するように指示されましたので、現状を説明させて頂きます」
ミーティングエリアに移動し、淡々と説明した。
「…というわけで、先程の2件が現在企画中です。私の方では平行で来月から新規で行う案件もあるのですが、そちらはA社との企画部で共同で行う予定でいまして、そちらが」
「…高辺」
「はい」
「…その、普通に話せない?」
「はっ?何がでしょう?」
「いつもみたいに、そんな改まらなくっても」
「いえ、松川課長は上司ですので」
「いや、そうだけど…」
「あっ、あと、週末御予定はありますでしょうか?歓迎会をしたいと申しまして、後程、野村君から話があると思います」
「…」
「では、A社との企画については今後ご一緒に打ち合わせをお願いすると思いますので、資料の場所はあとでメール致します。他なにか解らないことありますでしょうか?もし解らないことありましたら、席は近いですのですぐお申し出ください」
「…」
「では、あと少しで打ち合わせがありますので、私は失礼します」
そういって、ミーティングエリアに松川を残し次のミーティングエリアに向かった。
「真冬、こっち」
「あー、ごめんね!遅くなった」
憲史との待ち合わせは赤提灯屋。
「すいません、生もう1つ!」
「聞いたよ!新しい課長が来たんだって?」
「あっ、うん。そうなの」
「でも、確か真冬と同期と聞いてるけど」
「あっ、そうね。あっ、すいません。やきとりのネギ、かわ、砂肝ください」
「じゃさ、気楽じゃないの?」
「そうね、どうなんだろ?同期だった人が上司として戻ってきたし、逆になんか気を使うかも…、しっかり上司として接したいから」
「そか…」
「それよりさ、」
と、話題をかえた。出来れば松川の話をしたくない。今は憲史とのデートだし、2人の間に松川のことは話したくなかった。
1時間ほどいて店を出た。
「ねぇ」
「ん?」
「今日泊まりにいっていい?」
「えっ?」
平日はあまり泊まることはしないので憲史は少し驚いた顔をしている。
「構わないけど」
「やったー!」
憲史のマンションにいって私はその日思いっきり甘えた。
「こんな真冬も悪くないけど…」
私が寝たあと、憲史がボソッと言っていた。
部長と課長と一緒に社内の打ち合わせに参加。
そこに、同期のシステム部の松橋が主任としていた。
「久々にお前ら2人揃ってみたよ!また夫婦漫才復活か?」
なんてからかわれた。
「なに言ってるのよ、松橋!松川課長は私の上司だし、昔とは違うわよ」
と、松橋に言うと
「えっ?なんだよー!お前ら仲良かったじゃないか!」
と、突っ込まれる。
もういいわよ!その話しは…、企画部内でも昔からいた人はまたそんな調子が戻ると思う人が何人もいたっぽい。
私はもう松川とは最低限にしか関わりたくないの!本当は辞めたいくらい。でもここで辞めたら憲史に…
社内の打ち合わせも終わったところで
「このあと飲みにいかね?」
松橋に言われる。
打ち合わせ終わった時間は18時をまわっていた。
「松川の近況も聞きたいし」
私と松川に向かっていう松橋。
「ごめん、私パス!」
「なんだよー!松川とよく飲みにいってたじゃないか!」
「明日部内で歓迎会もあるし、昨日も憲史と飲んだし、毎日は最近胃がもたれる」
「なに、年寄りみたいなこといってるんだよ!」
「もう、若くないよ!とりあえず私はパス!またよろしくね!」
私は松川と松橋をおいて、自分の部署に戻った。
残作業をし自宅に向かう。
自分のマンションに帰り、すぐにシャワーを浴びた。
あの想いは忘れたい!消したい!!
そんな気持ちでいっぱいになる!
翌日は歓迎会。終わったら憲史のマンションに行くことになってる。
「では、松川君、おかえりなさい!」
部長の乾杯ではじまった。
私は松川から離れ、今年入った新入社員のところに座り
「えー!?私そんな鬼じゃないてじょ!!」
「主任、こわいですよぉーーー」
と、何人かで盛り上がって話してる。
「でも、主任って必ず一緒に考えてくれるから好きです!」
「あ、俺も。」
「そお?」
「はい!今後もよろしくお願い致します」
「今日は課長の歓迎会なんだから、課長に媚うらないと!!」
「あっそうでした」
若い子が課長に挨拶に行った。そうするとわたしのまわりはいなくなって
「高辺」
1つ先輩の三鷹先輩が声をかけてきた。
三鷹先輩は、産休、育休などを2年近くとって去年復帰した。
「あんた、解りすぎ」
「えっ?」
「付き合ってて遠距離で別れたとか?それで居心地悪い?そんな感じ?」
「い、いえ、付き合ってはいないです」
「あら、そうなの?てっきり…でもまぁ、何かはあったんでしょ?あれだけいいコンビだったもの」
「…」
「高辺が好きだったのは解ってるし、松川だって満更でもなかったと思うけどな」
「…」
私もそう思ってた。でも…
「まぁ、どうしても仕事に支障でるくらいしんどいなら相談したほうがいいよ!プライベートとはいえ、精神的にストレスを感じて辞められても困るしね」
「先輩…」
「まぁ、私は高辺も松川も両方とも好きだからね。私はどっちも大事よ」
私たちの面倒を新人のときは面倒みてくれた三鷹先輩。色々相談にものったし、ハッキリとは言わなかったが、松川に好意があることもなんとなく言ってたこともあった。
「二次会行く人ぉー!?」
「ごめん、私はパス」
「俺は行くぞーー!!」
半分くらいが行くようで、私は憲史のマンションに行くので不参加といい、駅に向かった。
『今終わった、今から行くね』
憲史とは週末ゲームして徹夜することもある。あまりゲームはしなかったんだけど、憲史に教えてもらってはまってしまった。
今日はなんのゲームするかなー
そんなことを考えながら歩いてると
「高辺!」
後ろから声が聞こえる。振り向かなくってもわかる。私は止まらず歩いてる。すると早足で松川はきた。
「高辺、ちょっと話したいんだがいい?」
「えっ?私は話すことないですし」
顔をみず答えた。
「高辺と話したい」
「私はないので…、すいません、約束ありますから」
「高辺!!」
腕を捕まれる。
「ちょっ!何を!!」
「高辺が結婚してなくってよかったよ」
「!?」
「なぁ、もしまた前みたいに一緒にできて、また毎日飯行ったり、飲みに行ったり、また一緒にいてくれるなら、俺…、お前と付き合いたい」
!!
「もう昔のことです!それに私には大事な人がいます。」
「…そうか」
「課長、今後上司と部下として接するつもりです。」
「…わかった」
そう言うと腕をほどき
「失礼します」
そう言って駅に向かった。
「最近、真冬、おかしくね?」
「え?」
「異様にテンション高いし、俺にスゲー甘える。まぁ甘えられるのは嬉しいけど」
ゲームのコントローラを2人で操作しながら話す。
「そんなことないよ!」
「なぁ、真冬」
そう言うと、コントローラをおき私をみる。
「…松川課長が吹っ切れない人?」
!?
「…やっぱりそうか」
「…でも、もう私は今は憲史といるのが一番だし、ビックリはして躊躇はしてるけど」
「気持ちが揺らいだ?」
そう言われ、左右に首をふる。
「私は、憲史といたい!」
「俺だって真冬といたいよ!」
私達はそのあと強く抱き合い愛し合った。
「憲史…」
彼が大好き。ずっといたい。離れたくない!
でも…
私の中で吹っ切れない何かがあって、それが大きくなろうとしている。
「課長!明日の打ち合わせの件なんですが、私は別の打ち合わせが急遽入ってしまい、代わりに三鷹さんにお願ました。」
「高辺がどうしても外せない打ち合わせが入ったので、私が代わりになるけど不満かしら?」
と、嫌みぽく言う三鷹先輩。すると
「先輩と一緒なんて俺が苛められそうですよ!」
と、言って笑って返してる。
「あら、そお?上司を苛めるなんてないでしょう?松川課長、よろしくお願いしますね!」
2人は冗談目かして話してる。まぁ、大丈夫だろう。
私はもう1つの緊急の打ち合わせの資料を作成に入った。
「高辺、そっち大変なら言いなさいよ!1人で抱え込むんじゃないわよ!」
「はい」
トラブルほどではないが、前回の打ち合わせで合わない内容が結構あり、その時点では問題なかったんだが、後々このままじゃよくないことに気がついた。
一緒に作成したメンバー3人で分担して行てる。
「その打ち合わせは、俺も出たいんだが日程ずらせないのか?」
松川がいうが
「すいません、先方がその時間しか調整ができずで」
「そうか、遅れてでも行けるようなら行くよ」
「…はい。ありがとうございます」
あくまでも上司として接する。それ以上は望まないでやりたい。
翌日の打ち合わせは、私たちのがかなり長くなり、遅れて松川が来てくれた。
ビクッとしたが気持ちを切り替え、プレゼンを続ける。
なんとか、変更点も言えたことで後日まとめて質問などをするという。
打ち合わせは終わり
「主任、ありがとうございます」
「いいのよ!私もそこまで頭がまわってなかったから。でもこの先進む前に気づいてよかったわよ」
「…はい。ありがとうございます」
「私もごめんなさいね!そこまで気がつかずで」
そう言いながら片付けをしてると
「今回のことは、未然に防げたってことだけど、誰にでも間違いはあるから、この件で尻込みせず、前に進んでほしい」
松川に言われて
「「はい」」
私達はそう返事した。
仕事は嫌いじゃない。松川も上司としては信頼してる。私はこのままでいいと思ってるが
「高辺」
1人で外にでて、休憩していたところに松川が現れ
「お疲れ様です」
「お前、ほんとすげーな。昔からお前にはかなわなかったよ」
「えっ?」
「俺は昔からお前のことはライバルと見てた。いつも俺より上にいる。お前を越えたかった。お前に勝ちたかった。でも戦友でいたかった。」
「…」
「我が儘だな。俺は」
「そんなときに、九州支社の話があったんだ。実はそれはお前にはじめは話すよていだったんだ」
はじめてそんなこと知った。
「けど、俺がそれを聞いてしまい、俺に行かせてくれ!とお願いした。もし九州支社で色々認められれば、本社で役職つきで帰ってこれる可能性もあったんだ」
私にその話があったの?それなのに…
「お前を越えたかった!だからあの時は恋愛とかお前としたいとは思わなかった」
「…」
「だが、いざお前が近くにいなくなると、独りよがりなのに気がついた。近くにいたからライバル視してたが、目の前にいないと、俺はなんのためにここに来たんだ?ってなってしまった。その時に気がついたんだ。高辺を手放してはいけないって」
…何も言えなかった。
たしかに、お互いのしきを高めるために色々してたが、そこまでライバル視があったのは知らなかった。
「お前に恋人がいるのを知ってる。でも…俺は手放したこと後悔してる」
「…もう、昔のことです。どういう経緯であれ、今が現実です。私は今を壊したくありません」
「高辺…」
「お先に戻りますね」
「俺さ、大阪に行く話があって…、勿論断ってもいいんだが、色々勉強したいチャンスだなーと」
このタイミングで憲史に大阪支社の話が出た。
「憲史は行きたい?」
「…」
「憲史の気持ちを聞きたい」
「行ってみたい!」
「…そか」
松川と同じで遠距離は無理と言われたらと思うとビクついた。
「それで、さ、それで…真冬には申し訳ないんだけど」
あー、やっぱり…
「俺についてきてくれないかな?」
「…えっ!?」
「ずっと頑張ってたのに、ついてこい!って言っていいのかずっと悩んでた。遠距離も考えた。でも…、真冬と離れたくない」
「俺の奥さんになってくれませんか?」
「…憲史」
私は、私の答えは…
「お世話になりました」
「元気で!」
「こっち来たらまた連絡ください!」
憲史は大阪に行ってしまった。そして私は引き続きをするのに2ヶ月かかり、そして
「結婚おめでとうございます!」
「佐倉さん、もう痺れきらして待ってますよ!」
「アハハ、そうかもねー」
「高辺」
松川が私の前に立ち
「幸せにな」
「はい!ありがとうございます!課長もお元気で」
「…ああ」
少しだけ見つめあった。
あぁ、この瞳。私が好きだった瞳だ。
松川は手をだした。私も手をだし握手をする。
「…さよなら」
私の小さい声は聞こえただろう
「…」
松川は何も言わなかった。
「では、皆さんありがとうございました」
私は会社を後にし、明日大阪に向かうため準備をする。
松川、あんたのこと、やっぱり好きだったよ!吹っ切れてなかった。でも、私は憲史進みたい!
「真冬」
「憲史」
新大阪駅のホームまで迎えにきてくれて、久々の再会に抱き合う。
「これからは、ずっと一緒だからな」
「うん」
「よろしく!奥さん」
「こちらこそ、旦那様」
会社の飲み会の帰り、ずっと好きだった彼に告白をした。
「…」
なに?その沈黙…、早く結果おしえてーー!!
「…ごめん」
「!?」
「俺さ、まだ辞令が確定してないけど、来月から九州支社に行くんだ」
「えっ?」
「なんつーの、その遠距離とか無理だから」
高辺真冬、27歳。企画部に所属。
そして、同期で同じ部の松川玲哉、28歳に告白をした。
一番話しやすく、仕事もやりやすく、仕事終わった後、飲みにも行く。
親友のような感じでずっといた。お互い恋人も居た時期もあったし、このまま行くと思ってたが、彼を男としてみてしまった。そして、会社の飲み会の帰り、2人で帰ってるときに告白をした。
「松川、あのー」
「…ごめん」
ずっと仲良かった彼とこうしてギクシャクし、九州に行ってしまった。
毎日冗談を言い合って、馬鹿話だって…、ランチで2人に逝くこともあったし、2人で飲みに行くこともあった。周りからは公認の夫婦漫才コンビみたいな言われてたし、松川も少しは好意があると思っていた。
なんなのよ!転勤だから、遠距離だから無理って…
私は苛立ちとムカムカを数ヶ月過ごしていた。
それから3年後
私も30になった。変わってないのは未だ独身の一人暮らし。
変わったのは、主任になったこと。そして営業部の佐倉憲史から半年前に告白をされ付き合いだした。彼は3歳年下の27歳。見た目は王子様顔なんで女子の人気は高い。けど性格は王子様というより、オヤジキャラ。イタリアン、フレンチレストランより、赤提灯とか立ち飲みなどが好き。
はじめは断ってた。あまり接点ないのもあったが、松川が未だに吹っ切れてないのもあった。誰とは言わないけど吹っ切れないひとが居ることは伝えてあった。けど、押しの強さに負け
「…私のどこがそこまでいいのか解らないけど、そこまで言うなら」
と、最後は言ってしまった。
憲史は本当に大事にしてくれる。彼のこともどんどん好きになり、今では知ってる人も数人いる。そんなときに
「えっ?どういうことですか!?」
松川が本社に帰って来るという。しかも課長として
「ずっと向こうじゃないんですか?」
「はじめはそのつもりでいたが、彼の業績はかなりの成果でね、本社で課長としてやってもらおうという話しになったんだよ」
そ、そんな…、今になって
でも、あれから3年もたってるんだ。私にも彼がいるし、向こうも恋人がいるかもしれないし、お互い変わったし
そしてその日を迎えた
「お久しぶりです!そしてはじめましての方もいるかと思いますがよろしくお願いいたします」
なんだかなー、まさか上司となって帰ってくるとは…
私はやるべく話さないようにようとしたが…
主任の上司が課長になるわけで。
はぁー
「松川課長、よろしくお願い致します」
頭を下げる
「…こちらこそ」
「早速ですが、部長か松川課長に現在の仕事の状況を報告するように指示されましたので、現状を説明させて頂きます」
ミーティングエリアに移動し、淡々と説明した。
「…というわけで、先程の2件が現在企画中です。私の方では平行で来月から新規で行う案件もあるのですが、そちらはA社との企画部で共同で行う予定でいまして、そちらが」
「…高辺」
「はい」
「…その、普通に話せない?」
「はっ?何がでしょう?」
「いつもみたいに、そんな改まらなくっても」
「いえ、松川課長は上司ですので」
「いや、そうだけど…」
「あっ、あと、週末御予定はありますでしょうか?歓迎会をしたいと申しまして、後程、野村君から話があると思います」
「…」
「では、A社との企画については今後ご一緒に打ち合わせをお願いすると思いますので、資料の場所はあとでメール致します。他なにか解らないことありますでしょうか?もし解らないことありましたら、席は近いですのですぐお申し出ください」
「…」
「では、あと少しで打ち合わせがありますので、私は失礼します」
そういって、ミーティングエリアに松川を残し次のミーティングエリアに向かった。
「真冬、こっち」
「あー、ごめんね!遅くなった」
憲史との待ち合わせは赤提灯屋。
「すいません、生もう1つ!」
「聞いたよ!新しい課長が来たんだって?」
「あっ、うん。そうなの」
「でも、確か真冬と同期と聞いてるけど」
「あっ、そうね。あっ、すいません。やきとりのネギ、かわ、砂肝ください」
「じゃさ、気楽じゃないの?」
「そうね、どうなんだろ?同期だった人が上司として戻ってきたし、逆になんか気を使うかも…、しっかり上司として接したいから」
「そか…」
「それよりさ、」
と、話題をかえた。出来れば松川の話をしたくない。今は憲史とのデートだし、2人の間に松川のことは話したくなかった。
1時間ほどいて店を出た。
「ねぇ」
「ん?」
「今日泊まりにいっていい?」
「えっ?」
平日はあまり泊まることはしないので憲史は少し驚いた顔をしている。
「構わないけど」
「やったー!」
憲史のマンションにいって私はその日思いっきり甘えた。
「こんな真冬も悪くないけど…」
私が寝たあと、憲史がボソッと言っていた。
部長と課長と一緒に社内の打ち合わせに参加。
そこに、同期のシステム部の松橋が主任としていた。
「久々にお前ら2人揃ってみたよ!また夫婦漫才復活か?」
なんてからかわれた。
「なに言ってるのよ、松橋!松川課長は私の上司だし、昔とは違うわよ」
と、松橋に言うと
「えっ?なんだよー!お前ら仲良かったじゃないか!」
と、突っ込まれる。
もういいわよ!その話しは…、企画部内でも昔からいた人はまたそんな調子が戻ると思う人が何人もいたっぽい。
私はもう松川とは最低限にしか関わりたくないの!本当は辞めたいくらい。でもここで辞めたら憲史に…
社内の打ち合わせも終わったところで
「このあと飲みにいかね?」
松橋に言われる。
打ち合わせ終わった時間は18時をまわっていた。
「松川の近況も聞きたいし」
私と松川に向かっていう松橋。
「ごめん、私パス!」
「なんだよー!松川とよく飲みにいってたじゃないか!」
「明日部内で歓迎会もあるし、昨日も憲史と飲んだし、毎日は最近胃がもたれる」
「なに、年寄りみたいなこといってるんだよ!」
「もう、若くないよ!とりあえず私はパス!またよろしくね!」
私は松川と松橋をおいて、自分の部署に戻った。
残作業をし自宅に向かう。
自分のマンションに帰り、すぐにシャワーを浴びた。
あの想いは忘れたい!消したい!!
そんな気持ちでいっぱいになる!
翌日は歓迎会。終わったら憲史のマンションに行くことになってる。
「では、松川君、おかえりなさい!」
部長の乾杯ではじまった。
私は松川から離れ、今年入った新入社員のところに座り
「えー!?私そんな鬼じゃないてじょ!!」
「主任、こわいですよぉーーー」
と、何人かで盛り上がって話してる。
「でも、主任って必ず一緒に考えてくれるから好きです!」
「あ、俺も。」
「そお?」
「はい!今後もよろしくお願い致します」
「今日は課長の歓迎会なんだから、課長に媚うらないと!!」
「あっそうでした」
若い子が課長に挨拶に行った。そうするとわたしのまわりはいなくなって
「高辺」
1つ先輩の三鷹先輩が声をかけてきた。
三鷹先輩は、産休、育休などを2年近くとって去年復帰した。
「あんた、解りすぎ」
「えっ?」
「付き合ってて遠距離で別れたとか?それで居心地悪い?そんな感じ?」
「い、いえ、付き合ってはいないです」
「あら、そうなの?てっきり…でもまぁ、何かはあったんでしょ?あれだけいいコンビだったもの」
「…」
「高辺が好きだったのは解ってるし、松川だって満更でもなかったと思うけどな」
「…」
私もそう思ってた。でも…
「まぁ、どうしても仕事に支障でるくらいしんどいなら相談したほうがいいよ!プライベートとはいえ、精神的にストレスを感じて辞められても困るしね」
「先輩…」
「まぁ、私は高辺も松川も両方とも好きだからね。私はどっちも大事よ」
私たちの面倒を新人のときは面倒みてくれた三鷹先輩。色々相談にものったし、ハッキリとは言わなかったが、松川に好意があることもなんとなく言ってたこともあった。
「二次会行く人ぉー!?」
「ごめん、私はパス」
「俺は行くぞーー!!」
半分くらいが行くようで、私は憲史のマンションに行くので不参加といい、駅に向かった。
『今終わった、今から行くね』
憲史とは週末ゲームして徹夜することもある。あまりゲームはしなかったんだけど、憲史に教えてもらってはまってしまった。
今日はなんのゲームするかなー
そんなことを考えながら歩いてると
「高辺!」
後ろから声が聞こえる。振り向かなくってもわかる。私は止まらず歩いてる。すると早足で松川はきた。
「高辺、ちょっと話したいんだがいい?」
「えっ?私は話すことないですし」
顔をみず答えた。
「高辺と話したい」
「私はないので…、すいません、約束ありますから」
「高辺!!」
腕を捕まれる。
「ちょっ!何を!!」
「高辺が結婚してなくってよかったよ」
「!?」
「なぁ、もしまた前みたいに一緒にできて、また毎日飯行ったり、飲みに行ったり、また一緒にいてくれるなら、俺…、お前と付き合いたい」
!!
「もう昔のことです!それに私には大事な人がいます。」
「…そうか」
「課長、今後上司と部下として接するつもりです。」
「…わかった」
そう言うと腕をほどき
「失礼します」
そう言って駅に向かった。
「最近、真冬、おかしくね?」
「え?」
「異様にテンション高いし、俺にスゲー甘える。まぁ甘えられるのは嬉しいけど」
ゲームのコントローラを2人で操作しながら話す。
「そんなことないよ!」
「なぁ、真冬」
そう言うと、コントローラをおき私をみる。
「…松川課長が吹っ切れない人?」
!?
「…やっぱりそうか」
「…でも、もう私は今は憲史といるのが一番だし、ビックリはして躊躇はしてるけど」
「気持ちが揺らいだ?」
そう言われ、左右に首をふる。
「私は、憲史といたい!」
「俺だって真冬といたいよ!」
私達はそのあと強く抱き合い愛し合った。
「憲史…」
彼が大好き。ずっといたい。離れたくない!
でも…
私の中で吹っ切れない何かがあって、それが大きくなろうとしている。
「課長!明日の打ち合わせの件なんですが、私は別の打ち合わせが急遽入ってしまい、代わりに三鷹さんにお願ました。」
「高辺がどうしても外せない打ち合わせが入ったので、私が代わりになるけど不満かしら?」
と、嫌みぽく言う三鷹先輩。すると
「先輩と一緒なんて俺が苛められそうですよ!」
と、言って笑って返してる。
「あら、そお?上司を苛めるなんてないでしょう?松川課長、よろしくお願いしますね!」
2人は冗談目かして話してる。まぁ、大丈夫だろう。
私はもう1つの緊急の打ち合わせの資料を作成に入った。
「高辺、そっち大変なら言いなさいよ!1人で抱え込むんじゃないわよ!」
「はい」
トラブルほどではないが、前回の打ち合わせで合わない内容が結構あり、その時点では問題なかったんだが、後々このままじゃよくないことに気がついた。
一緒に作成したメンバー3人で分担して行てる。
「その打ち合わせは、俺も出たいんだが日程ずらせないのか?」
松川がいうが
「すいません、先方がその時間しか調整ができずで」
「そうか、遅れてでも行けるようなら行くよ」
「…はい。ありがとうございます」
あくまでも上司として接する。それ以上は望まないでやりたい。
翌日の打ち合わせは、私たちのがかなり長くなり、遅れて松川が来てくれた。
ビクッとしたが気持ちを切り替え、プレゼンを続ける。
なんとか、変更点も言えたことで後日まとめて質問などをするという。
打ち合わせは終わり
「主任、ありがとうございます」
「いいのよ!私もそこまで頭がまわってなかったから。でもこの先進む前に気づいてよかったわよ」
「…はい。ありがとうございます」
「私もごめんなさいね!そこまで気がつかずで」
そう言いながら片付けをしてると
「今回のことは、未然に防げたってことだけど、誰にでも間違いはあるから、この件で尻込みせず、前に進んでほしい」
松川に言われて
「「はい」」
私達はそう返事した。
仕事は嫌いじゃない。松川も上司としては信頼してる。私はこのままでいいと思ってるが
「高辺」
1人で外にでて、休憩していたところに松川が現れ
「お疲れ様です」
「お前、ほんとすげーな。昔からお前にはかなわなかったよ」
「えっ?」
「俺は昔からお前のことはライバルと見てた。いつも俺より上にいる。お前を越えたかった。お前に勝ちたかった。でも戦友でいたかった。」
「…」
「我が儘だな。俺は」
「そんなときに、九州支社の話があったんだ。実はそれはお前にはじめは話すよていだったんだ」
はじめてそんなこと知った。
「けど、俺がそれを聞いてしまい、俺に行かせてくれ!とお願いした。もし九州支社で色々認められれば、本社で役職つきで帰ってこれる可能性もあったんだ」
私にその話があったの?それなのに…
「お前を越えたかった!だからあの時は恋愛とかお前としたいとは思わなかった」
「…」
「だが、いざお前が近くにいなくなると、独りよがりなのに気がついた。近くにいたからライバル視してたが、目の前にいないと、俺はなんのためにここに来たんだ?ってなってしまった。その時に気がついたんだ。高辺を手放してはいけないって」
…何も言えなかった。
たしかに、お互いのしきを高めるために色々してたが、そこまでライバル視があったのは知らなかった。
「お前に恋人がいるのを知ってる。でも…俺は手放したこと後悔してる」
「…もう、昔のことです。どういう経緯であれ、今が現実です。私は今を壊したくありません」
「高辺…」
「お先に戻りますね」
「俺さ、大阪に行く話があって…、勿論断ってもいいんだが、色々勉強したいチャンスだなーと」
このタイミングで憲史に大阪支社の話が出た。
「憲史は行きたい?」
「…」
「憲史の気持ちを聞きたい」
「行ってみたい!」
「…そか」
松川と同じで遠距離は無理と言われたらと思うとビクついた。
「それで、さ、それで…真冬には申し訳ないんだけど」
あー、やっぱり…
「俺についてきてくれないかな?」
「…えっ!?」
「ずっと頑張ってたのに、ついてこい!って言っていいのかずっと悩んでた。遠距離も考えた。でも…、真冬と離れたくない」
「俺の奥さんになってくれませんか?」
「…憲史」
私は、私の答えは…
「お世話になりました」
「元気で!」
「こっち来たらまた連絡ください!」
憲史は大阪に行ってしまった。そして私は引き続きをするのに2ヶ月かかり、そして
「結婚おめでとうございます!」
「佐倉さん、もう痺れきらして待ってますよ!」
「アハハ、そうかもねー」
「高辺」
松川が私の前に立ち
「幸せにな」
「はい!ありがとうございます!課長もお元気で」
「…ああ」
少しだけ見つめあった。
あぁ、この瞳。私が好きだった瞳だ。
松川は手をだした。私も手をだし握手をする。
「…さよなら」
私の小さい声は聞こえただろう
「…」
松川は何も言わなかった。
「では、皆さんありがとうございました」
私は会社を後にし、明日大阪に向かうため準備をする。
松川、あんたのこと、やっぱり好きだったよ!吹っ切れてなかった。でも、私は憲史進みたい!
「真冬」
「憲史」
新大阪駅のホームまで迎えにきてくれて、久々の再会に抱き合う。
「これからは、ずっと一緒だからな」
「うん」
「よろしく!奥さん」
「こちらこそ、旦那様」
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