クリスマスバースディー

詩織

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見合い話

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週明け

「課長!」

また午前中までに終わらせないと行けない仕事があったので、お昼は2時前になった。

「あれ?真下君、また?」

真下君も新人の面倒でお昼遅くなったのかと思いきや

「まぁ、それもありますが、課長が多分お昼またズレるなって思ったんで」

食堂には私みたいに数人食べてる人がいる。

えっ?なに?私に合わせたってこと?

目の前に座って

「どうでした?」

と言われたので

「え?」

「アイツ、来たんじゃないんですか?」

アイツってのは言わないでもわかる。

「ねぇ、真下君、なんで言ってくれなかったの?」

「言うも何も話そうとすると避けてませんでした?」

「あっ…」

「で、どうでした?」

「…」

「課長って意外と顔に出るんですね」

「え?」

「俺とアイツは確かに育ちも違うから初めは俺もびっくりしました。でも学生時代にバイトが同じで、そんなこと一言も言わずで、俺らとカラオケに行ったり、飲みに行ったり、ほんと付き合いいいやつでした。生まれたところがたまたま今の家系だからそうなっただけで、本当に普通のヤツなんです。」

「普通…」

で、あんな高級ホテルのスイートとか…

「まぁ、今の環境で使えるものは使うときもあるかもですけど」

と、私の考えがわかったように言われてしまった。

「で、うまくいったんですね?」

「…」

なんて言っていいのか…

「まさか、遊びだったとか言われました?まぁ、アイツそういうところ…」

「裕貴は、そんなことしないよ」

と、言ったらニヤッとされて

「へぇー、裕貴ねぇー…」

!?

しまった…

「お幸せに!」



なにハメられてるのよ!

はぁ…

そしてそれは、別の人でもかなり突っ込まれた。



「で?」

「え?」

「今までお前の彼氏やら恋愛の愚痴何度聞いたと思ってるんだよ!」

「うっ」

数日後、松永さんに帰りに飲みに誘われて

「えっとですね…」

真下君にBARで誘われて、そこからクリスマスデートをしたことを話した。

「へぇー、それはロマンチックな…」

「もう!そんなんじゃないです」

いや、かなりロマンチックだったが…

「で、年の差と、住む世界が違いすぎるってことで怖くなって逃げて、この間の祝賀会でまさかの再会っわけか」

「まぁ、そういうことです。」

「で?」

「はい、…がっつりホールドされました」

「まぁ、そうだろうな」

「えっ!?」

「あれ見てわからないヤツいないよ。俺の女って顔して俺のこと見てたし」

「え?そうですか?」

「…お前、ほんとうといな」

「凄い愛されてるってことだな」

「でも、いいのかな?本当に私で」

「…まぁ、向こうの周りで言う人がいるかもだけど、多分向こうのがベタ惚れみたいだから、やんとかなるんじゃない?」

「え?そんな他人事のような…」

「…他人事だけど」

「うっ」

「まぁ、でも相手が取締役…、知らなかったにしてもすげー相手だな。それにあの社長とセットだとかなりの切れ者らしい。どんな大きな問題でも解決してるとか。大手の会社もを傘下にいれたくらいだしな。若いのに仕事の出来る男ってことだな」

「そんな人に私が相手って…」

「俺にはわからんが、あの取締役にとってはお前がいいんじゃないの?」

裕貴にとっては、私がいいんだよね。

でもいつか飽きること…

それ考えたら怖い。

幸せなほどそれが崩れる不安とか考えるとか言うけどこういうことなのかな?と思ってしまった。



週末はだいたい裕貴といつも過してそんな日々が1ヶ月続いた頃。

「え?見合い?」

「お前もう35だろ?いい加減安心させてくれよ!」

久々の兄から電話きたと思ったら…

「え?いや、いいよ」

「よくないだろ?なに?誰かいるの?」

 ここで居るって言ったら、なんか速攻結婚とかの話になりそう。

「いや、いないけど…」

「とにかく、会社の人からのいい話だから話だけでも進めるよ」

と言って、電話を切られた。

参ったな。どうしよう…


「それは、言ったほうがいいんじゃないか?」

「でも、それ言ったら絶対結婚話になるって」

「そうかもだけど、じゃ見合いするの?」

「いや、する気はないけど」

「でもしたくないなら、言うしかないんじゃない?」

まだ26の裕貴に結婚なんて、しかもまだ恋人1ヶ月。

嫌とは言わないかもだけど、でも荷が重くない?

はぁー


「なに?なんか言いたいこある?」

「え?ないよ!」

「可奈美はわかりやすいから、本当に?」

「うん。ないない!」

顔に書いてあるんだろうか?

「仕事で少し悩んでたり。でも解決できそうだから」

「うーん、わかったよ!もしなんかあったら相談してね」

「うん。ありがとう」

「裕貴って、春樹さんだけなの?兄弟」

「そそ」

「へー、そっか」

「可奈美は?」

「うちは、兄と2人だよ!」

「へー、そうなんだ。うちは母親が実家にいるから、たまにだけど様子見で帰ってるよ。」

「そっかー、それはいいことだね」

「可奈美は?」

「うちは…もう両親いないので、家族は兄だけだから、去年までは兄の家で正月迎えたけど、なんな毎年もね…、兄家族にお邪魔してる感じして、今年は一人で年越したかな。」

「そっかぁー」

と言ってギュッと抱きしめられて

「じゃこれこらは、俺と年越せばいいね」

「…うん」

こういうのが凄いドキドキする。

だって、一緒に過ごすとか、そんな人もうないと思ったから。

裕貴さんの甘い優しさがこのあと崩れるとは思いもしなかった。



はぁ、今日も残業いっぱいだわ!

と片付けしていると、裕貴からチャットがきてた。

《仕事珍しく早く終わったから、今日は久々に可奈美のマンションで待ってるよ。美味しいご飯作っとく》

既にお互いの家の合鍵を持ってるので出入りは自由。

週末はだいたい裕貴の家に行くことが多い。

私のマンションに来ることはあまりないけど、でも平日の早く終った日とかたまにうちに来ることがあった。

帰って待っていてくれる人が思うとやっぱり嬉しいな。

了解と、返事をして家に向かった。

「ただいま」

「おかえり!」

「うわ!美味しそうな匂いがする」

みると、

「え?ロールキャベツ?凄い!たべたーい!」

と、満面笑みでいる裕貴。



確かにいつもの優しい裕貴。

でもなんだろ?その笑みに少し違和感が…

ご飯を食べて、いつものように和やかに話をして

「あー、お腹いっぱい!ご馳走様でした。じゃ、片付けるね」

と言って片付けようとしてら

「その前に、1つ聞きたいことがあるんだけど」

え?なに?

「ちょうど可奈美のマンション着いたとき、家の電話が鳴ってね。留守電にメッセージ入ってるよ」

みると、メッセージにランプがついてた。

「まぁ、聞いちゃったけどいいよね?」

「あっ、うん」

「誰からだろ?」

と、メッセージのボタンを押すと

『おい!携帯の方電話しても出ないし、いい加減でろよ!とりあえず見合いの写真送ったからな。ちゃんと見ろよ!日程は追って連絡する』

!!

まさかのこのタイミングで兄から

「見合いって、可奈美がするってこと?」

「あっ、いや、あの…」

「どういうこと?」

この笑み怖いんですけど…

「ちゃんと聞く権利あるよね?」

私は観念して、兄から見合い話があったことを言った。

「なんで、俺がいること言えないの?頼りない?」

「そうじゃない!だってもし言ったら、多分結婚とかいいだすよ!兄貴。まだ裕貴若いし、まだ恋人期間も間もないし」

「だから他の人と見合い?」

「…いや、断ろうと何度も話したんだけど、聞いてくれなくって」

「だから電話出なかったってこと?」

「…うっ、はい。すいません」

「可奈美、もし俺が知らないままならどうしたの?」

「どっちにしても断ったよ」

「でもお兄さん納得しないでしょ?」

「…」

「とりあえず見合いは止めないと」

「ちょっと、裕貴…」

「週末行くぞ!」

「えっ!?」

こうして私達は週末兄の家に行くことになった。

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