クリスマスバースディー

詩織

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会社の祝賀会

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あっという間に3月になり、例の行きたくない祝賀会へ

「おっ!?」

私をみて1言声を出す

「え?」

びっくりしてる松永さん

「孫にもなんとかだな…」

「どういう意味ですか?」

「まぁまぁ…、じゃ行くか」

更衣室で着替え、松永さんと会場のホテルに向かう。

会場に向かう間、松永さんに二人目のお子さんを妊娠中と聞いてその話で持ちきりだった。

「へぇー、じゃ次女の子なんですね。1男1女ですか。」

「向こうは男の子欲しかったし、俺は女の子欲しかったからな」

幸せいっぱいですなー

「はぁー私もなそろそろ…」

「そのうち現れるって」

松永さん、それいつ現れるの?

もう手遅れとさえ思ってしまってるよ!

会場に入ると

「ちょっと凄くないですか?」

「ああ、思ってた以上に豪勢だな」

人も500人以上は軽くいる。

親会社側の人は全くわからないし、自社でも数人はわかるけど幹部クラスになると何度か顔見たことあるかなー程度。

システム部の富山とやま部長と、企画部の笹井ささい部長が居たので挨拶に行った。

「私達も親会社の人となると解らないからねー、知らない人かなりいるから、君たちみて安心したよ」

と、部長たちと4人で話を始めた。

しばらくして、正面に人が現れ

「只今より祝賀行事を行います」

と声が聞こえ、注目した。

「まずはFJAの会長であります森下もりした様よりご挨拶があります」

今まで社長だった人が会長となったようで1言挨拶をする。

テレビやビジネス雑誌で見たことあるなーと記憶をたどってた。

「続きまして4月より社長に就任されます、津島つしま様よりご挨拶がございます。」

と、言って現れたのは若い男性だった。





あれ?

「え?」

春樹さんに似てない?

気のせい?

いや、でも凄い似てる。声もマイクごしだけどこんな声だった。

「…やっぱり春樹さんだ」

「なに?どうした?」

と、松永さんに言われ

「あ、うん…、ちょっと」

ちょっと混乱してる。どういうこと?

あの春樹さんだよね?

挨拶の内容も全く頭に入らなかった。

そして乾杯!と会場内が言い始め和やかなムードになった。

「あっ、ちと部長が呼んでるから、また後でな」

と言って営業部長に呼ばれたとかで行ってしまった。

富山部長、笹井部長も別々になって他の人と話し始めた。

一人になったところで、スタッフの人が飲み物を配ってくれたので頂くことにした。

春樹さんの登場が衝撃すぎて…てか、そうなると裕貴さんは…

そう思ってたとき

「えっ!?」

急に後ろから腕を掴まれた

振り向くと

「なっ…」

腕を引っ張られて会場を後にした。

会場を出て控室みたいなところに連れてこられた。

そこには

「可奈美さん、久しぶり」

と、やっぱり春樹さん。

そして腕を引っ張って連れてこられたのは…

「悪い、可奈美さんと話したいんだ」

「そか、じゃ外すよ」

と言って春樹さんは部屋を出た。

目の前には、ずっと想いを寄せてた裕貴さんが居て

「逃げ足早いな」

と言われた。

「あ、あの…」

「シンデレラは王子さまが迎えに行くんだったな」

「な、なに?」

「迎えに来たよ!姫」

!?

「いい加減素直になったら?」

「ゆ、裕貴さん?」

「俺のこと好きでしょ?そして忘れられない」

「え?」

「図星?でしょ?っとまぁ、半分は可能性に掛けた」

と、言って苦笑する。

「俺年下だし頼りないけど可奈美さんの恋人になりたい」

!?

「あっ、もし結婚前提で付き合う人探してるなら勿論それでも問題ないから」

「ちょ、ちょっと待って!なにを…私裕貴さんのこと何も知らないし、そんな…」

「何でも聞いて!何でも答える」

「何でもって…」

「まぁ、ここにいるのも意味わからないよね。まぁ兄貴が社長なのは解ったと思うけど、俺は取締役ってことかな」

と、取締役…

「FJAの取締役?」

「うん」

「まだ頭ついていけてないけど、そんな凄い人と付き合うとか」

「そんなのたまたまでしょ?」

「たまたま?」

「うん。たまたま伯父さんがここの社長で親父が引き継ごうとしたら、亡くなって俺たち2人が引き継いでくれないかって言われた。伯父さんに子供がいればまぁな…、だからたまたまそういう流れになったと思ってる」

「たまたまって…、大きな会社の社長とか幹部とかになるって」

真下君、なんで何も言わなかったのよ!

「俺たちは小さい頃から世の中でいう英才教育?ってのさせられた。でもだからと言って凄い人間でもない。普通だよ!特別だと思われたくない、俺そう見られること多いけど、でも本当はBARをやることが夢だったんだ」

「BAR?」

「そそ、あの時みたいにね!でもまぁ兄貴も就任したしなかなか出来なくなったから、友達に譲ったけどでもたまにはカウンターに立たせてとは言ってるし」

呆然として見てる私を

「少しは理解してくれたかな?」

理解って…

「でもやっぱり住む世界ってか…」

「じゃ、俺が…他の子と付き合っていい?」

え!?

「他の子と付き合って、抱き合って、キスして、そして愛し合ってとかしていい?」





「可奈美さんの素直な気持ち知りたい。」

素直な…

「俺、他の子と付き合っていい?」

裕貴さんが他の子とって、今までも何度も考える度に…

「い…」

いやだって言っていいんだろうか?

でも、だからってあまりにも色んなことが違いすぎる

「可奈美さん!本心聞きたい」

そう言って近寄ってきて、そのままキスが…

あっ、このキス。凄いドキドキして幸せな、贅沢なキス。

「可奈美さん…」

このキスを他の人と…

「だ、だめ」

裕貴さんが私の顔をみる。

顔は見れないけど、でも…

「他の人と、いやだ」

弱々しくだけど声を出して言った。

「うん。俺もいやだ」

そう言って強く抱きしめた。

「…すげー会いたかった」

私も会いたかった

「ごめんね!すぐに会いに行けなくって、すぐ追いかけたかったけどすぐ海外行ってしばらく戻ってこれなかった」

「こんな、あの時しか会ってないじゃん」

「完璧な俺の一目惚れ!直人から話し聞いてそれからずっと興味あった。もう離す気ないけどいい?」

「…でもほんと、ただのおばさんだよ?」

「俺には、最高の女だよ!」

そう言ってまたキスが…

本当にいいの?私で

やっぱりどうしてもどこかで、疑問が出る

そうはいっても長くここにいる訳にもいかず

「戻らないと」

「まぁ、俺もだけど」

と言って、控室の部屋を二人で出た。少し歩いたところに春樹さんがいて

「しっかり話あった?」

「まぁな。可奈美さん、まだ半信半疑みたいだけど」

と言うと、春樹さんは私をみて

「まぁ、びっくりしたと思うけどコイツ信じてやって」

そう言われてどう答えていいか

「俺が離さないから」

「兄貴の前でノロケかよ!」

と笑ってる。

連絡先をその時初めて交換して、私達は会場に入った。

しばらく歩いたら

「谷井田!お前迷子になってウロウロしてたかと思ったよ」

と、松永さんが近くに来てくれた。

そう言って横にいる裕貴さんを見た。

「あっ、うん。すいません」

「あっ、えっとー」

「あっ、申し遅れました。私津島といいます。」

「あっ、はじめまして!私GIC開発の営業部で課長してます松永と言います」

と、挨拶をして名刺を出す。

裕貴さんも名刺を出して、それを受け取った松永さんは硬直してる。

そりゃそうだ。取締役だもん。

「あっ、えっと、あの」

「谷井田さんとは個人的にお付き合いがありましてお借りしてました。では私も他にご挨拶がありますので…」

と言って、軽く頭を下げて離れようとするときに

「じゃ、可奈美さん後でね!」

と言って行ってしまった。

勿論それも松永さんに聞かれてる。

「ど、どういう付き合い!?」

と、まぁそりゃ聞くわな。

「…私もまだ信じられない」

としか答えられなかった。

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