クリスマスバースディー

詩織

文字の大きさ
上 下
4 / 19

クリスマスデート

しおりを挟む
午前中は裕貴さんの言うとおりまったりと過ごし、午後からはホテルを出た。

少し歩くけどいい?

と言われて15分くらい歩く。

そして

「駐車場?」

「ちょっと待ってて」

と言われて待ってると、車に乗った裕貴さんが目の前に着た。

「おまたせ!乗って」

と、助手席の窓があいて言われて車に乗る。

「裕貴さんの車?」

「そそ」

そそって、これ高くない?

BMWってやつだよね?

知識は知らないけど、安くないことだけは知っている。

「じゃ行きますか」

どこ行くんだろ?

「デート楽しみ?」

「あ、うん。てか昨日から驚きっぱなしだから夢みてるみたい」

「ぶっ。大袈裟な」

「だって今までじゃありえないもん」

裕貴さんは嬉しそうに笑った。

「な、なに?」

「なんか、素直で可愛いな」



「今日の可奈美さんのがおれいいよ!なんか素直だし、壁みたいなのないし」

…馴れ馴れしくなっちゃた?

だって、色々ありすぎたんだもん。

運転してる裕貴さんもいい男と思ってしまう。

あー、私重症だ。

1時間ほどすると、海が見えてきて
着いたところは

「これって…」

「行こっか」

手を繋がれて進む

これ、クルーザー?

「いらっしゃいませ」

これもしかして…、貸し切り?

私達が乗ったら出発した。

少し小さめではあるにしても貸し切りって…

「寒いけど外出てみる?」

デッキにでると確かに寒い。

でも、海からこうやってみることも滅多にないから新鮮。

「やっぱり寒いね」

「うん。でも大丈夫」

と言うと

えっ!?

後ろからコートを一緒に羽織るように抱きしめられて

「これで暖かい?」

「…うん」

凄い女の子扱い。

ドキドキする。

裕貴さんの吐息が近い。

甘すぎるよ!

しばらく海を見て

「…裕貴さん」

「ん?」

「何でこんなに色々してくれるの?私達まだ会って2回目だし」

「…なんでだろ?可奈美さん見てしたいと思った」

耳元で囁くように言われて再びドキドキする。ほんと心臓もたない。

「私こんなに凄いこと経験したことないから、お礼とかどうやっていいか」

「お礼なんかいらないよ!おれがしたいだけ」

顔を少し横に向けたら優しくキスされて、離れてそしてキスして、それだけでもう体中が熱くなって、ギュッと締め付けられた。

大丈夫。この先のことは期待してない。今日で終わりだもん。今日まで夢の中なだけ。

後ろからさらにギュッと抱き締められる。

その後しばらくして中に入って、温かい飲み物を飲む。

窓の外をみると、少しだけ暗くなってきたので遠くの街のライトが凄い綺麗

「もう、暗くなるのか…」

夕方になってて、仕方ないことだけど、1日がもっと長ければいいのにっと思ってしまう。

中のソファで二人で海から見える景色をずっと見て、こんな出来事も一生ないかもなっと思ってしまった。

ソファの上でも手を繋いでいて離さないでいてくれた。

2時間後、港に戻った。

あたりはもう暗くなっていて

「凄い素敵だった。本当にありがとう」

「そか。喜んで貰えたならうれしいよ!じゃご飯食べに行こっか」

車を発進した。

同じくらい1時間帰りもかかって車は元にあった駐車書場にもどして、そして少し歩いたところの和食レストランの前に止まって

「ずっと洋食だったしね!和食でもいい?」

と、聞かれたので

「うん」

お店に入ると落ち着いた感じのお店で、ファミレスとかそういうのとは別な空気があった。

個室ぽい感じが多く、高級感のあるお店。

「すき焼きとかどお?」

「うん。食べたい!」

すき焼きを頼んで、ビールで乾杯した。

「美味しい!!」

「うん。ほんとだね」

「体中温まるしいいね、こういうの」

「そうだね、可奈美さんは好き嫌いないの?」

「チーズがちょっと苦手なんだけど、ピザとかそういうのは食べれる。サンドイッチにしても食べられるんだけどね、チーズだけで食べるってのがちょっと苦手かなー」

「へぇー、でもなんかわかる気がする。チーズって色んなのに混ざってると味違う感じする。チーズだけって独特だしね。」

「そそ。でも食べれなくはないんだけどね」

そんな話してたら、だいたいメインの方は食べてしまって、シメはうどんにして、最高に美味しかった。

「可奈美さん」

「え?」

出てきたのは、デザートで和風のデザートを取り入れてお皿にHappy Birthday と書かれてた 

こんなのはじめてだ

「素敵」

私の名前までお皿に書いてある。

顔をみると笑顔の裕貴さん。

私まで嬉しくなる。

でも、それはもうあと少しで終わりが近いことも解ってる。

「昨日、今日の朝はケーキ食べたしね。どお?」

「うん。嬉しい!」

デザートをみながら

「裕貴さん、もうね十分なくらいの幸せ貰った。本当にありがとう。いい誕生日になった」

「俺も可奈美さんが喜んでくれるのみて嬉しい」

まさか35歳でこんな素敵な思い出が出来るとは

ご飯を食べ終えてお店を出たら23時になってた。

「…あと少しで魔法がとけるね」

「魔法?」

「うん、魔法。裕貴さんにお姫様のように大事に扱ってもらえた魔法」

「え?」

びっくりした顔をする裕貴さん

「短い時間だったけど、私凄い嬉しくって幸せ時間貰えた。ありがとう」

「…可奈美さん?」

「シンデレラな気分だった」

「…」

「ここで、帰るね」

と、少しずつ離れる。

「送るよ!」

「大丈夫!これ以上はもう…」

「送りたい!」

「ありがとう。でもこれ以上されると別れがね」

「何言ってるの?」

「これからは迷惑かけないように、ちゃんと線引するから」

「可奈美さん?」

「じゃ、行くね」

裕貴さんに背中を向けてあるき出した。

腕を掴まれたが、全力で振りほどく。

「お願い、これ以上は…」

「な、なに!?」

「これ以上は…、これ以上されたら勘違いする。こんな年増の私でも…」

「…恋しちゃったら辛いよ!」

そう言って必死に走った。呆然としてたのか少ししてから追いかけてくるのが解って、それでも必死に走った。

曲がり角を曲ってすぐのところにコンビニがあった。

急いで中に入って、入口から見えない場所に移動してしゃがみこんだ。

周りの人に見られてて恥ずかしかったけど、今は裕貴さんに見つからないこと。

少しそのままでしゃがんでいて、5分くらいして多分もう居ないだろうと思う頃にコンビニから出る。

周りをみたけど、見当たらない。

もしかして近くにいると思ったのですぐにタクシーに乗って、自宅までむかった。

その間も涙が止まらずで。

だって、裕貴さんのほうからお別れの挨拶されたら辛すぎない?

続くことないのは解ってた。

それに、どう考えても一般人じゃない。

歳も離れてるし、あれだけの容姿だもん。

無理に私みたいなおばさんと付き合わなくっても…

だからもう夢を見てたと思って現実に戻らないと。

ほんとシンデレラみたい…


家に着いても余韻が残ったまま。

落ち着いたらまた涙が止まらなくって。

こんな短い時間で恋しちゃった。

素敵な薔薇、今まで生きてて初めてもらった。

洋服だって人から選んでもらったことなんてない。

しかもピンクのワンビース、白いかわいいボレロまで。

靴も私だったらこんな可愛いの選ばない。でも履くと気に入ってしまった。

そして下着まで選んで貰うって…、よく言えばこの下着を見てもらって脱がしてもらっ…ってなに考えてるんだか私。

自分で考えて死ぬほど恥ずかしい。

でも、体中が覚えてて思い出してしまう。そして体中の赤い印がある。

それも彼に愛された印がだと思えば、幸せで嬉しくなる。


 
裕貴さん、ありがとう!

 

たった1日とちょっとのお姫様みたいな出来事は、こうして終った。

私はそのまま泣きながら疲れきってそのまま寝てしまった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王女の朝の身支度

sleepingangel02
恋愛
政略結婚で愛のない夫婦。夫の国王は,何人もの側室がいて,王女はないがしろ。それどころか,王女担当まで用意する始末。さて,その行方は?

【R18】幼馴染な陛下は、わたくしのおっぱいお好きですか?💕

月極まろん
恋愛
 幼なじみの陛下に告白したら、両思いだと分かったので、甘々な毎日になりました。  でも陛下、本当にわたくしに御不満はございませんか?

騎士団長の欲望に今日も犯される

シェルビビ
恋愛
 ロレッタは小さい時から前世の記憶がある。元々伯爵令嬢だったが両親が投資話で大失敗し、没落してしまったため今は平民。前世の知識を使ってお金持ちになった結果、一家離散してしまったため前世の知識を使うことをしないと決意した。  就職先は騎士団内の治癒師でいい環境だったが、ルキウスが男に襲われそうになっている時に助けた結果纏わりつかれてうんざりする日々。  ある日、お地蔵様にお願いをした結果ルキウスが全裸に見えてしまった。  しかし、二日目にルキウスが分身して周囲から見えない分身にエッチな事をされる日々が始まった。  無視すればいつかは収まると思っていたが、分身は見えていないと分かると行動が大胆になっていく。  文章を付け足しています。すいません

【R18】寡黙で大人しいと思っていた夫の本性は獣

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
 侯爵令嬢セイラの家が借金でいよいよ没落しかけた時、支援してくれたのは学生時代に好きだった寡黙で理知的な青年エドガーだった。いまや国の経済界をゆるがすほどの大富豪になっていたエドガーの見返りは、セイラとの結婚。  だけど、周囲からは爵位目当てだと言われ、それを裏付けるかのように夜の営みも淡白なものだった。しかも、彼の秘書のサラからは、エドガーと身体の関係があると告げられる。  二度目の結婚記念日、ついに業を煮やしたセイラはエドガーに離縁したいと言い放ち――?   ※ムーンライト様で、日間総合1位、週間総合1位、月間短編1位をいただいた作品になります。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

一夜の男

詩織
恋愛
ドラマとかの出来事かと思ってた。 まさか自分にもこんなことが起きるとは... そして相手の顔を見ることなく逃げたので、知ってる人かも全く知らない人かもわからない。

ぽっちゃりOLが幼馴染みにマッサージと称してエロいことをされる話

よしゆき
恋愛
純粋にマッサージをしてくれていると思っているぽっちゃりOLが、下心しかない幼馴染みにマッサージをしてもらう話。

【R18】国王陛下はずっとご執心です〜我慢して何も得られないのなら、どんな手を使ってでも愛する人を手に入れよう〜

まさかの
恋愛
濃厚な甘々えっちシーンばかりですので閲覧注意してください! 題名の☆マークがえっちシーンありです。 王位を内乱勝ち取った国王ジルダールは護衛騎士のクラリスのことを愛していた。 しかし彼女はその気持ちに気付きながらも、自分にはその資格が無いとジルダールの愛を拒み続ける。 肌を重ねても去ってしまう彼女の居ない日々を過ごしていたが、実の兄のクーデターによって命の危険に晒される。 彼はやっと理解した。 我慢した先に何もないことを。 ジルダールは彼女の愛を手に入れるために我慢しないことにした。 小説家になろう、アルファポリスで投稿しています。

処理中です...