クリスマスバースディー

詩織

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クリスマスデートの約束

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世の中は幸せオーラですな。

私は1人寂しく残業です。

週末にはクリスマス。勿論一緒にいる相手も…過去にはいた。

今は、ってか最近は…ここしばらくは…一人です。

谷井田可奈美やいたかなみ、しかも誕生日はクリスマス。ちなみに35歳になる。

婚期を逃し、仕事をやってたらシステム部の課長になった。

キャリアウーマンと言えばかっこいいが、そこまでキャリアあります!という感じでも自分はない。

「はぁー」

「課長、ため息は幸せが…」

ギロッと睨むと

「…いえ、何でも…」

はいはい。

どうせ私は…



さて、残業もして落ち着いたころ帰る準備をはじめた。

周りを見ると3人くらいいて

「皆もそろそろ切り上げてね!じゃ私はお先するよー」

と言って、会社を出た。

自炊する時間もなー、だからと言って外食もお金がな…、スーパーの半額惣菜狙うかな

などと考えてて歩いてたとき

「課長ー!」

振り向いたら、部下の真下直人ましたなおとがいた。

「なに?どしたの?」

「これから予定ありますか?」

「えっ、なに?相談?」

「いやー、BARに行くんでどうかなって」

「え?」

なんで私に?

「真下君、彼女いなかったけ?」

「いやー、いますけど、今旅行中で」



「彼女が旅行中だと私とBARにって…」

「いやー、課長なら大丈夫です」

「…」

それって…

確かに10歳くらい年下だから仕方ないが、私は女として全くみてないと…

それって、まぁなんだ、いいんだか悪いんだか

「残業もあったし、帰って休むよ」

「あ、予定ないってことだ!じゃ、ちょっとだけ付き合ってください」

「えー?今断ったよ」

「お願いします!」

と、その後も何度も言われたので


「わ、わかったわよ!ちょっとだけね」

と言ってBARに行くことになった。

どうやら決った店があるようでスイスイと歩いていく。

「ここです」

ビルの地下にあるお店で

「へぇー、随分隠れ家的な?感じするね」

そう言って階段を降りて店のドアをあける。

「やっほー!」

と、真下はなれた感じで入っていった。

「おう!」

カウンターの中に一人の男性が

「お?なんだ?凛子りんこちゃんが旅行中に他の人とデートか?」

「ちげーよ!…ほら、例の課長」

「…あー」

「ちょ、ちょっと例のってなに?」

「あー、いや」

と、真下は曖昧にする。

「ここの店、俺の友達兄弟がやってるんですよ。この方がお兄さん、俺のダチは弟の方なんだけど」

「あー、どうもはじめまして!春樹はるきって言います」

と、サービス業らしく笑顔で挨拶される。

「それで?例の課長ってなに?」

「まぁ、課長、とりあえず座って飲み物でも…、それに腹減ったし何か食べましょ!飯も言えば作ってくれるので」

と、真下は色々頼み始めた

「課長は、何飲みます?」

「うーん、あまりBARもこないしな。」

「じゃあ、課長さんの見た感じで決めていいですか?」

と、春樹さんが言う。

「そうねー」

と、考えてるとドアがあき

「あれ?直人きてたの?」

「よう!」

「あれ?凛子ちゃんじゃない」

と、また言われる。

どんだけ、ここに彼女と来てるのよ!

「あ、これ弟の裕貴ゆうき

と、春樹さんが言う

「課長さんだって」

と、春樹さんが弟の裕貴さんに言うと

「えっ!マジ!?」

と、少しビックリしてる。

な、なに?どうしたの?

裕貴さんは私を少しみて

「貴方が課長さんですか」

と言うので

「ちょっと、真下君!何言ってたの?」

と、またツッコんだ

「あーいや、裕貴が、会ってみたいって言うから」

「え?なんで?」

「直人から、うちの課長はやり手でしかも女性、怖いときも多いけど、フォローもしっかりしてくれて、皆から慕われてるってね。しかも独身の彼氏なしと聞いてたんで会ってみたいなっと俺が言ったんです」

半分嬉しいが独身の彼氏なしって…

まぁ、間違ってはいないが、そんなに彼氏なしオーラでてるか?

「いや、あの、ですねー…」

と、真下君は曖昧にゴニョゴニョと言い出した。

「はぁー、別に欲しくないわけじゃないんだから…」

仕事も色々忙しいし、どんどん機会減るし…

「まぁ、課長、とらあえず飲みましょ」

と、真下君が言うと

「あれ?飲み物まだなんですか?」

と、聞かれたので

「あー、おまかせで作ってもらおうかなーとしてたところ」

というと

「俺作っていい?」

と、裕貴さんが春樹さんに言う。

そして

「俺が、課長さんの第一印象で思ったのを作りますよ」

と言ってカクテルを作り出した

と言って出てきたのは

「オレンジジュース?」

「バレンシアといって、太陽のような素敵な人っイメージがあったので作りました」

「え?」

ひとくち飲むと

「甘くっておいしい」

ベースはやっぱりオレンジジュースで、でもさっぱりしてておいしかった。

すると隣にいた真下君が

「へぇー、そうなんだ…」

と言って笑ってる。

「?」

なんだ?

「課長さん、お名前は?」

「え?」

「お名前知りたい」

「や、谷井田」

「へぇー、変わってますね。でも俺が知りたいのは、苗字でなく名前の方」

な、なに?この人

私は真下君をみて

「ちょ、ちょと真下君、あのさ」

「いいじゃないですか。名前知りたいんですって。課長の名前は可奈美」

と真下君が答えた。

なんであんたが答えるのよ

「へぇー、可奈美さんか」

「課長、そういえばクリスマスの予定は?」

「え?」

このタイミングで何聞いてるのよ

「真下君は、彼女が旅行中でしょ?クリスマスはいないの?」

「明後日には帰ってくるでちゃんと一緒に過ごしますよ」

あーそうですか。それはよかったですねー

「で、課長は?俺は言いましたよー」

「…」

嫌味なヤツ

「予定は…、あるといえば、まぁ」

そう。あるといえばある。

一人で買い物し、大掃除をして、ケーキは買わない!だって虚しいし

「それって、誰かとです?」

むぅ!!

殴ろうか!?

「もう、真下君しつこいなー!いないわよ!いいでしょ?そんなこと」

「だってさ」

と、笑顔で裕貴さんの顔をみる。

「へぇー、そうなんだ。」

と、裕貴さんが笑顔になって

「じゃさ、可奈美さん俺とクリスマスどお?」

「は?」

なに?

「なんのこと?」

「なんのこと?って…、クリスマスよければご一緒にどうですか?って申し込んでるんだけど」

「何の冗談?もしかしておばさんをからかってる?」

「可奈美さん、おばさんじゃないですよ」

と、笑顔で…

ちょ、なにこれ?

「何かのボランティア?なら大丈夫よ!」

「そんな風言わないでくださいよ」

「だ、たいちお店だってクリスマスとかかきいれ時じゃない!」

「あー、クリスマスイブとクリスマスは休みなんだ。兄貴がね少し前に恋人出来て、初めてのクリスマスだから休みたいって、だからこの店お休み~」

「いやー、どうしても一緒に言われちゃって」 

と、春樹さんが照れて言う。

何という…まぁ、2人の店だから別にいいのかもだけど

「課長、いいじゃないですか。誘ってるんだし」

「あ、あのねー、そんな今日あったばかりで、クリスマスを約束っておかしくない?」

「変な男ならまぁ危ないかもだけど、俺のダチですし、昔から知ってますので、変なこと考えるようなヤツじゃないですよ」

「あのさ、裕貴さん。私かなり年上だし、真下君からどう聞いてるか知らないけど、こんなおばさん相手しなくっても他に同じくらいの歳でかわいい子とかのがよくない?」

「またそんなことを言う。とりあえず予定は入れといて下さいね。あっイブの夜会ってくださいね!でクリスマス過ごしましょう」

と言うと他のお客さんが入ってきてそっちの対応をしはじめた。

「ちょっと、真下君私はめられた?」

「えー?何でですか?俺前から課長のこと尊敬してるって話をこのBARで話してたんですよ。そしたら裕貴すごい興味出たようで」

「どんな風によ!」

あー、さっきの独身の彼氏なしか…

「はぁー」

「えっ!?ダメです?」

「いやー、そういうことじゃなく」

「なんかあったら、俺に言ってください」

と、春樹さんが言う

「いや、でも…歳、真下君と同じくらいでしょ?10も離れてるんだよ?さすがにさ」

「えー?課長そんなの気にしてたんです?今じゃもっと離れてる人たちいるじゃないですか」

そうだけど…

「課長、34歳ですよね?まだ若いじゃないですか」

「…クリスマスなの、誕生日。また歳とるのよ」

「マジすか?誕生日クリスマスって…おい!課長クリスマス誕生日なんだって!」

と、カクテル作ってる裕貴さんを見て言う。

「えっ!?マジ?お祝いしないと!」

て、ちょっと、勝手に!!

と、その後もあーだ、こーだ言ったが、大丈夫!大丈夫!となだめられて結局BARを出た。

「いいの?本当なら私が…」

「いや、俺が誘ったんだし出させて下さいよ!それにこーいうのは男が出すものでしょ?」

お酒も飲んでピザや他の食べ物も食べてしまった。

時間が遅くなってからお客さんがどんどん入ってきたので、私達は出たけど

「まぁ、課長。騙されたと思ってクリスマスデートしてくださいよ」

もう…

会社を出てまさかこんなことになるなんて思いもしなかった。
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