大好きな背中

詩織

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お人好しと言われたけど

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離婚後にみどりに話したら

「バカねー、ほんとお人好しもいいところね!」

と、呆れて言われた。

「でも、それが透子らしいけどね」

離婚は社内に知れてしまったけど、気にすることなく、仕事に打ち込めばいっかと思うようにしてる。

社内の人だって離婚してる人多いしね。

それより大変だったのは、うちの両親だった。

1年なるかならないかで、離婚だから、どうしたんだ?何があったんだ?と責められまくり。間に入って仲裁してより戻すまで言うんだから困ったわ!

まさか本当のことは言えないから、性格の不一致で通したけど両親からしたら、バツイチの娘にるわけだし、ショックもあったと思う。

「透子」

「ん?」

「やっぱり好きなんだね」

「…うん」

「そか」

「いつか本当に忘れるくらいの好きな人が出来るまでは、恋愛は無理かも。まぁ、バツイチだしリスクあるかもだけどね」

と、笑うと

「バカね!バツイチなんていっぱいいるわよ!」

みどりは私の結婚生活の間に子供を出産し、少し前に仕事復帰してる。だから前みたいに帰りに飲みに行くとか出来ないけど、それでもみどりと話すのが1番楽になる。


会社から4駅先の賃貸アパートを借りて、部屋は1DKと一人では十分の間取りを見つけた。

春樹さんからは慰謝料として支払いたいと言われたけど、受け取るとこはしないでその代わり、ここに引っ越しをする引越し代、敷金礼金を払ってほしいとお願いしてそれで終わりにした。

前は当たり前のようにしてた一人暮らしなのに、やっぱり寂しいな。

春樹さんのことも考えるし、悠人のことも考える。

この先きっと、それ以上の人が現れることを願って…

もし、一生独身だったら…

それもそれで仕方ないか。

お酒を飲み、ベランダから月を見ながら、短い結婚生活を思い出していた。



離婚から半年以上がすぎ、34歳になろうとしていた。

〈お久しぶりです。会いたくないかもしれませんが、会ってお話したいことがあります〉

丁寧な内容でメールが来たのは春樹さんからだった。

悩んだけど、春樹さんと会うことにした。


「お久しぶり」

「うん」

「元気だった?」

「うん、元気だよ!春樹さんは?」

「まぁまぁかな」

苦笑いしてる春樹さんは見たことなかった。

喫茶店に入って

「長く両親に説得したけど、万理とのこと認めてもらったよ」

「そっかぁー、よかった」

「全部透子のお陰だよ」

「私は何も…」

「透子が言ってくれなければ、俺たちは一緒になることなかった。本当にありがとう」

頭を下げられて

「うんん。幸せになってね」

「透子…」 

「私感謝してるよ!短い結婚生活だったけど、幸せいっぱい貰えたから」

「俺も凄い幸せだった」

「うん」 

「1つ聞いていい?ずっと気になってたんだ」

「え?なに?」

「その透子の好きな人って、真矢智子と関係あるの?」

「えっ!?」

「あのとき、透子の顔が今まで見たことない顔をしてた。悔しくって憎い顔してた。」

「あっ…」

「透子の好きな人ってもしかして、その熱愛報道された…」

返す言葉が出てこなかった。

それを見た春樹さんは

「そうだったんだ。俺少しあのこと調べてみたら、その熱愛報道もやらせっていうことも書いてあったし、その相手の方も意識不明と書かれてたし、もしかしたらと思ったんだ」

「は、春樹さんあの…」

「あっ、誰にも言うつもりはないよ!ごめん、余計なこと詮索して」

「大丈夫、私ももうしっかりと進まないとだから」

春樹さんと別れ、一人家路についた。

私、そんな顔してたんだ。

真矢智子を見たとき、カッとなって覚えてなかった。

確かにしばらく心配して、何度もなにかあったの?って、聞かれた気がしたな。それでも言うことは出来なかったけど…

とりあえず、春樹さんとお義姉さんが一緒になれてよかった。

お人好しって、みどりに呆れられるけど、二人が幸せになってほしいと心から思った。
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