大好きな背中

詩織

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新たな道

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あれからもう1年がすぎ、私は31歳になっていた。

ずっと悠人からの連絡を待っていたが…

どこかで踏ん切りつけないととも思うんだけど、待ちたい気持ちがまだあって、毎日格闘している。

他の人からしたら多分もう、諦めたほうがいいと言われるかもだけど、まだ気持ちが曖昧になっていた。

私は信じて待っていたい。

でも誰がどう見ても…


悠人は私を忘れて、どこか違うところに行ってるのかな。

それとももう既に…

それすらも知ることが出来ず、そしてずっとこのままの状態に精神的にもしんどくなっていた。



「はぁ?」

「だから、いい話だと思わない?」

久々に母から電話きたと思ったらお見合いの話で

「私まだいいよ」

「あんたもう、32でしょ?」

「まだ31だよ」

「何言ってるのよ、そろそろなるじゃない。全く相手いないなら少しは考えなさいよ。東京って出会いがあるものだとばかり思ったけど、透子には縁がなかったのかしらねぇ」

「ちょっと、そんな言い方…」

結局かなり言われて、断ってもしつこいので考えるってことで開放してくれた。


「お見合いかぁー」

みどりとランチをして昨日の親からのお見合い話をしていた。

「うん。なんな公務員とか言ってたけどね、うーん」

「まぁ、なんだかんだ最後に会ってから1年半過ぎてるんだし、透子の気分次第だけど」

「うん」

「でもこの1年半、あんた泣くことも多かったし、落ち込むことも多かったし、見てるこっちからしたら、幸せになってほしい」

「…うん」


みどりと別れ、家について1人で酒を飲む。

悠人と会えなくってから、酒で紛らわすことも多くなった。

そして、いつものように悠人のスマホに電話する

私が留守いっぱい入れてるから、既に留守電を入れることも出来なくなってしまってた。

「え?」

「…現在使われておりません。」

うそ!?

機械的な女性の声が現在使われてないと何度も言っている。

唯一の繋がりが…

もう何も悠人とは、繋がらなくなってしまった。

ただもう泣くしかなく、もう二度と会うことが出来ないと思うしかなかった。



それから、2か月過ぎた頃

「「はじめまして」」

お互い挨拶して席に座る。

ホテルの1階の喫茶店にいて、今お見合い相手にご挨拶したことろ。

両親に進められたとはいえ、相手の方も東京にいるからと、結局会うのは2人きりになった。

岡島春樹おかじまはるきです」

「山見透子です」

都庁にお勤めで、かなりの高学歴だった。

真面目な知的的な感じみてる。

何を話したらいいのか、こういうのはどうしたものかと悩んでると

「慣れてないので、何から話ていいか」

「あっ、はい。私もです。どうしたらいいか悩んでました」

少しだけ、お互い笑顔になり

「2人だけだし、もう少し気楽にはなしましょう」

と言ってくれて、肩の力が抜けた。

歳は私より2つ上で、旅行とか行くのが好きと言っている。

「一人旅も好きですけどね、まぁ友達と行くときもありますし、色々です」

「へぇー、旅行ですか」

「山見さんは、休みの日は?」

えっ?

やばい!言えるようなことがない…

掃除、洗濯、オンラインゲーム…

そして、悠人を待つ日々だった。

「えっとぉー、そうでね、あっ、パソコンで今色々見れるんでそれで映画見たり、ドラマみたりとかですかね」

「あー、インドア派なんですね」

「そういう訳ではないのですが…」

「旅行とか興味あります?」

「あっ、温泉とかアウトドアとか好きですね。以前は友達とも行ってましたが今は家庭がある人が増えてなかなかで」

「確かに結婚しちゃうと、なかなか会えないですよね」

「ですねー」

当たり障りなく、それでも少しは砕けて話せたと思う。

「ここも長いこといたし、そろそろ出ますか」

「あっ」

気がついたら2時間が近くいた。

ホテルの喫茶店を出て二人で歩く。

とりあえずは、今日は解散かな

と思い

「長々ありがとうございました」

と、挨拶をする

岡島さんは少しはビックたようで

「あっ、いえ楽しかったです」

でも、可もなく不可もなくって感じの流れだったしな

「では、失礼します」

と言って、その場を離れようとしたら

「連絡先だけでも聞いていいですか?」

と、言われたので連絡先だけ交換して別々に帰宅した。

社交辞令な感じもしたのであまり前向きな感じはしなかった気がしたなー

と、少し感想を思って自宅に帰ってオンラインゲームを始めていた。

その日の夜、母から電話がきて

「どうだった?」

「うーん」

「いいじゃない。学歴もしっかりしてて、お仕事もしっかりしてて、幹部候補らしいし、高い高層マンションに住んでるらしいわよ」

「そーなんだ」

「向こうの方は気に入ったようだけど」

「えっ?そうなの?」

どう見ても気に入ってるように見えない。

「お話進めていいわね?」

「ちょ、ちょっと待ってよ!今日の今日なんだから、少しは時間頂戴よ!」

「また会ってから決めればいいじゃない」

母はかなりテンションが高くなってた。


それから2週間何事もなくだったのだが、

「え?」

岡島さんからメールがきてた。

〈今度の週末予定ありますか?〉

気に入られてるようには見えなかったんだけどなー


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