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辞令
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「山見さん」
めずらしく、部長が私を呼んだ。
滅多に部長と話すことなんてないのだが...
「ちょっと...」
っと言われて、ミーティングルームに呼ばれた。
「山見さん、失礼なこと聞いて申し訳ないけど、結婚とか予定ある?」
「え?」
急に何を…
「実はね、仙台支店の方で総務部の課長さんが急に辞めることになってね。その部署で誰かにという話もあったんだが、経験が皆浅くってね。それで相談して山見さんに行ってもらおうかと。行ってすぐに結婚とかあってもアレだしね。それで確認を」
「私が...ですか?」
「どお?」
「結婚とかそういう予定はありませんけど、辞令ってことでですか?」
「まぁそういうことになるかな。まぁそうはいっても1年とかその辺を考えてるけど」
1年か...
「辞令であれば、行きます」
松井さんと電話で話し始めて2週間くらいたったころ。まさか転勤になるとは思いもしなかった。
行くのは来月の中頃の予定と言ってる。
それまでに家の荷物の整理しとかないと。
「あ、そういえば」
「ん?」
自分の転勤の話をしようとしたが、私のことなんて興味ないだろうな。
「あ、あのー。ああ、前言ってたオンラインゲームですが、ミュージシャンののAKIRAもやってるようで、ログインすると、AKIRAはどこっだ?って探してる人が多いようで。実は私もこの間探しちゃいました」
「それで見つかった?」
「まぁ無理ですよね。でも子供から年配までハマらせるってオンラインゲームってすごいなって」
「話聞くと、かなりハマってる感じするしね」
「はははは。ゲーマーになっちゃってますね」
こんなくだらない話でも楽しんで話をあわせてくれて、それが幸せだった。
「俺は今日からリハビリをはじめてね」
「おお!」
つい声をあげてしまった。
「久々に病室から出て、歩こうとしたけど、歩くことがこんなに大変だったとは思わなった」
「うん」
「でも、やらなうと歩けないしね」
「無理なく、頑張って」
「ありがとう」
「松井さん」
「ん?」
「応援してます」
「うん」
本当に平凡なことしか言えてないけど、それでも言いたかった。
話せば話すほど松井さんを好きになってしまって、諦めるどころか...
向こうはそんなつもりはない。ただの話相手なんだから。
解っててもそれでもやっぱり...
めずらしく、部長が私を呼んだ。
滅多に部長と話すことなんてないのだが...
「ちょっと...」
っと言われて、ミーティングルームに呼ばれた。
「山見さん、失礼なこと聞いて申し訳ないけど、結婚とか予定ある?」
「え?」
急に何を…
「実はね、仙台支店の方で総務部の課長さんが急に辞めることになってね。その部署で誰かにという話もあったんだが、経験が皆浅くってね。それで相談して山見さんに行ってもらおうかと。行ってすぐに結婚とかあってもアレだしね。それで確認を」
「私が...ですか?」
「どお?」
「結婚とかそういう予定はありませんけど、辞令ってことでですか?」
「まぁそういうことになるかな。まぁそうはいっても1年とかその辺を考えてるけど」
1年か...
「辞令であれば、行きます」
松井さんと電話で話し始めて2週間くらいたったころ。まさか転勤になるとは思いもしなかった。
行くのは来月の中頃の予定と言ってる。
それまでに家の荷物の整理しとかないと。
「あ、そういえば」
「ん?」
自分の転勤の話をしようとしたが、私のことなんて興味ないだろうな。
「あ、あのー。ああ、前言ってたオンラインゲームですが、ミュージシャンののAKIRAもやってるようで、ログインすると、AKIRAはどこっだ?って探してる人が多いようで。実は私もこの間探しちゃいました」
「それで見つかった?」
「まぁ無理ですよね。でも子供から年配までハマらせるってオンラインゲームってすごいなって」
「話聞くと、かなりハマってる感じするしね」
「はははは。ゲーマーになっちゃってますね」
こんなくだらない話でも楽しんで話をあわせてくれて、それが幸せだった。
「俺は今日からリハビリをはじめてね」
「おお!」
つい声をあげてしまった。
「久々に病室から出て、歩こうとしたけど、歩くことがこんなに大変だったとは思わなった」
「うん」
「でも、やらなうと歩けないしね」
「無理なく、頑張って」
「ありがとう」
「松井さん」
「ん?」
「応援してます」
「うん」
本当に平凡なことしか言えてないけど、それでも言いたかった。
話せば話すほど松井さんを好きになってしまって、諦めるどころか...
向こうはそんなつもりはない。ただの話相手なんだから。
解っててもそれでもやっぱり...
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