大好きな背中

詩織

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多分事故

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目が覚めて

あー、やっぱり現実だったんだなと実感する

昨日のあのキス

真剣で、優しくって、熱がこもってて、完璧に抵抗できなかった。

長いとろけるようなキスのあと

「俺、松井悠人まついゆうと、貴方は?」

「や、山見透子」

お互い名前だけ名乗り、その場を後にした。


「あ、やばい!」

そんなこと考えてる場合じゃない。

遅刻しちゃう。

急いで用意して、会社に向かった。

名前を名乗ったからと言って、どうなるわけでもないし昨日のことは忘れよう




といいつつも、やっぱり気になる。

あんなキスされて、すぐに忘れられるわけない。

お互い酒の勢いなんだろうけど、でもやっぱり気にはなる。

「おーい!!」

「え?」

「え?じゃないよ!あんたなんかあった?」

気がつくと、昼休みでみどりが迎えにきてた。

「いや、何もないよ」

怪しむみどり。

「あのあと、合コン君となんかあったりして」

そう言われて、ビクッとしてしまった。

「は?」

みどりは、気づき

「なに?本当に何かあったんだ」

「そ、そんなこと」

焦ってる私をみて、既に何かあったのを確信してる。

「まぁ、無理には聞かないけど」

と、聞きたいのを我慢している

その後は、彼のことは聞かず他の話をして昼休みが終った。

まぁ、多分事故だし言う必要もないし。



それから2ヶ月近くたち、我が総務部では1人が病気で入院し、1人が身内の不幸でお休みをしてたので、いつになく忙しくなってた。

珍しく休日出勤をすることとなった。

総務で3人ほど出勤をしていた。

「あーあ、今日デートだったのにな」

という、かわいい年下の後輩。

どうせ、私は…と、拗ねてると


「聞いてくださいよ!」

と、コンビニで買い出ししてきた後輩がきて

「隣のビルの入口で撮影してるみたいですよ」

「え!?だれだれ?」

窓から覗いてみると、確かに撮影らしき人たちがいた。

「うーん、そこまでは解らないけど…」

「行ってみましょうよ」

と、言い出したので

「あっ、じゃ私は留守番するから見てきなよ」

と言ったら、折角だし皆で行こうと言って皆で見に行った。

「あ!!伏見涼ふしみりょうだ」

アイドルグループの1人で最近は俳優もはじめた伏見涼がいた。

「なんだろ?映画?ドラマ?」

休日のオフィス街ということもあって人は少ないけど、撮影と知って来てるファンも結構いた。

「結構離れてて見えないですね」

色んなスタッフに囲まれてて、どれが伏見涼か解らなくなっていた。


「じゃ、いきまーす!」

と、撮影が始まると周りは、静かになり

「すいませんが、お静かにお願いします」

ギャラリーの我々も1言言われて、静かに見守った。

カフェテラスでノートパソコンを開いて見てるのが伏見涼だった。

そこに、確か最近モデルで売り出した穂香ほのかが、伏見涼の前に座って何か話している。

暫くすると

「OK!じゃ次本番です!」

と言って、もう一度同じことをする


あれ?

一瞬だけ伏見涼から視界を離したら、見たことある人がいた。

あれってもしかして松井さん?

彼は、伏見涼の横の席で男性と話していた。

そして本番も終了すると、出演した人たちはばらけて、見てたほとんどの人が伏見涼を追いかけて行った。

後輩二人も追いかけて行ったが、私は松井さんを探していた。

スタッフも人が多すぎて、流石に探すのは厳しいかと思ってたときに

少し離れたところから、松井さんもこっちに気づいていた。


「あっ」

ど、どうしよう。声かけた方がいいのか

でも、仕事中?

「悠人行くぞ!」

「あ、ああ」

松井さんは、声かけられた男性の方に向かいって行ってしまった。

「あ、あの!!」

私は走って松井さんの近くまで行って

「連絡先教えてください!」
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