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双子の事情
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妹はいつも欲しい物をとる。
小さい頃から同じ模様の洋服買ってもらっても妹のがピンク、オレンジ、白。私は青、緑、ブラウン。
家で作るお子様ランチも妹は必ず日本の国旗だった。
そして、顔が全く同じということで私はショートカットにさせられた。
妹はサラサラヘア。
小学校も中学校も好きな人は同じだった。
高校に入っても好きな人は同じ。そして妹はその人と付き合うこともしていた。
大学も行きたいところが同じで、でももう好きな人も妹に取られるのは嫌だったのであえて違う大学に選んだ。
そして就職先は出版社。妹も会社は違うけど出版社に勤務している。
結局やりたいことは同じ。
山原美香、23歳。女性誌の出版社に勤務。
そして双子の妹、美紀、ファション誌の出版社に勤務。
今は都心で妹と二人暮らしをしている。
私と違って美紀は、ファション、メイクも敏感で本当にいつも綺麗にしてる。
私は…、小さい頃からショートカットにされたこともあっていつの間にかスカートは履かなくなっていた。
そして、メイクもそこまでガッチリもしない。
「ねぇ、美香!今度さ大学の友達とバーベキューやるの、一緒にこない?」
「え?いいよ!私知ってる人いないし」
「大丈夫だよ!女のコ不足していて、美香頼めない?」
「やめとく、あまり乗り気じゃない」
「えーー!?」
こっちは断ってるのに結局強引に参加。
美紀は昔から強引なところがある。
今は都心のビルの最上階の屋上でバーベキューなんてことが出来る。
こんなことがビルの屋上で出来るなんて…、驚き。
メンバーは14人もいた。
その中で女性は5人。確かに少ないけど…
「凄い!同じ顔!!」
「でもなんかイメージ違うね」
私を見て美紀と比べながら言う。
「こうなんだろ?ボーイッシュなイメージ?」
「あー、美紀は可愛いい守りたいタイプだけど、お姉さんの方は活発的そう」
まぁ、昔から思われてるからな…
「美香」
「ん?」
「あの人」
と、ちょっとだけ指を指す
なに?
「ああ」
見るからに美紀のタイプぽい男性が向こうにいた。
まぁ、私も同じだから言わなくってもわかる
「ちょうど今フリーなんだって!前はさ向こうも彼女いたし私もいたからさ、タイプで終わったけど今日は頑張って近づくから応援してね!」
「…」
昔もそんな感じで言われたな。
念を押されるような、そんな言い方。
「青山くーん!!」
早速美紀はその人にむかって行った。
名前は青山というらしい。
美紀とその人は2人で話している。
私は…
まぁ誰かと話すってのもないしな。
ということで、バーベキューで焼いてるものをひっくり返したり追加で焼いたりしていた。
皆同じ大学で友達同士だもんな。話は弾むよね
私は黙々と一人で焼いてると
「一人でさせちゃってごめんね」
一人の男性が近づいてきた。
「…あっ、大丈夫です」
「俺、梶島っていいます。美紀ちゃんとは別の学部だったけど、大学の近くでバイトしててその時に知り合って」
あー、そういえば大学の近くのカフェでバイトしたとか言ってたことあったけ
「そうなんですか」
この人もタイプやん!!
美紀のタイプ多いすぎない?
「お姉さんのことよく聞いてましたよ」
「え?」
私のこと?
どんなこと言ってたんだろう…
「あっ、俺がやるよ」
ちょうど肉が焼けたのでお皿に置いて誰かに渡そうとしたら梶原さんがお皿をとって
「肉焼けたぞー!ほしいやついる?」
というと何人かきて
「あー、ごめん!話に夢中になってた。私達もやるよ」
と、数人がきて焼いてる場所を囲んだ。
ビールも飲みはじめて、話題があまり噛み合わないときもあったが、私に合わせてくれてた。
しばらくして美紀もきて
「うーん」
と、横で小声でいう
「青山君、好きな人いるみたい。やんわり断られたかも…」
「…」
早いなー、相変わらず行動が
「梶島君もタイプなんだよね、梶島君いってみよっと」
…
我が妹ながらほんと素早い切り替え。
すぐに梶島君に話しかけてるし
まぁ、どちにしても美紀の交流がある人たちだし、私には関係ないか
終電前にお開きとなり、片付けも少しするが、ここの係の人たちがだいたいやってくれるという。
なんという便利な…
美紀と家に向かう電車に乗りながら
「梶島君と今度会う約束したんだ」
と、嬉しそうに言う
「そう…、よかったね」
お互い好きなタイプも同じなの解ってるから、こういうのって何となく悪気はなくても…って感じになる。
翌週、一期先輩の友坂さんと、取材に行った。
「山原さん、あーいうの好きでしょ?」
「えっ?」
うそ!?わかっちゃったかな…
取材はイギリス産の雑貨屋さんで、模様もなくシンプルだけど日本ではあまり見たことない形なので、今度休みの日に一人で来ようかなーと思っていた。
「顔に好きって書いてあった」
「ハハハ」
友坂さんは、男まさりでさっぱりしとした性格。仕事はガンガンこなすし、憧れの先輩。
「あれ?」
「…えっ?」
社に戻ろうとして、駅の改札を入ろうとしたところで
「友坂?」
「久しぶりじゃーん」
友坂さんの知り合いみたいで、話が弾んでいた。
「なに?仕事?」
「うん。梶島も?」
「そそ」
え?梶島!?
と、相手の男性の顔をみると
「あれ?美香さん?」
やっぱり…あのときの人だ。
「なに?山原さんのこと知ってるの?」
「あーうん。山原さんの妹さんと俺が友達で」
「へー、あー確か双子だって言ってたね」
「ええ、そうなんです」
「あっ!?そろそろお昼だし、梶島一緒にランチしない?」
「いいねー、美香さん俺いて大丈夫?」
「あっ、はい」
友坂さんは話をどんどん進め、近くのお店に入った。
「梶島とは高校の同級生で、部活も一緒だったの」
「へー、そうなんですか。部活て何部だったんですか?」
「テニス部でね、男女混合でペアも組んだことあるのよ」
へぇー、混合か
「高校出るとき、進学も就職も決めず、1年間海外に行きたいって…卒業と同時にいっちゃって、未だに忘れられないよ」
「えっ!?そうなんですか?」
「あ、ああ、まぁ…、色々見てみたくってね、1年間イギリスで暮らしながら好きなことしてた。そのあと大学に入ったので美紀ちゃんとは同じ学年で」
そうなんだ
「梶島って確か商社だっけ?勤務してるの」
「そそ、まぁ、まだ2年目だからこれからだけどね」
「相変わらずモテそうだね?」
「んなわけねーよ、モテてたら彼女いるよ」
確かにモテそう。爽やかなイケメン風な感じがする。
「そっちは、どうなんだよ?」
「私は2年付き合ってる彼氏と同棲してるよ」
「へぇー、そうなんだ」
と二人が話してこっちを見る
「えっ!?」
「山原さんは?」
「ええ!?」
「流れの勢いよ」
と、友坂さんがいう。
「あまりそういうの聞いたことないからねー、山原さんはいるの?」
「あっ、いえ、いませんけど」
「へぇー」
と言う梶島さん。
「そーいえばさ、山原さんの双子の方と友達なんでしょ?どうなの?似てるの?」
「あー、顔は確かにそっくりだけど…、顔以外は違うかなー」
え?
あまりそんなこと言われたことなかったので正直ビックリした。
「へぇー、そうなんだ」
ちょうどその時頼んでたものがきて、食べながら話しだした。
見た目もそうだけど、何でも同じと昔から言われてたので服装とか美紀がしてることは真似ないでいた。
全く同じだと美紀のが際立つ。
でもそういう少し違うことをしてもみんな解ってくれてない。
「あっ、ちょっとごめん。彼らからだ」
友坂さんは、スマホが鳴ったのをみて私達のテーブルから離れていった。
急に2人になったので何話していいかわからなくなった。
「…あのさ、もしよかったら連絡先聞いていい?」
「えっ!?」
私の?
…
あっ、そっか。
そういえば昔こうやって連絡先聞かれたことあったな。
美紀の好きなもの事前に知りたいとかで
「…はい。いいですよ」
チャットと、電話番号を交換した。
「あ、あのさ」
梶島さんが何かを言おうとしたとき
「あー、ごめんね」
と言って友坂さんが戻ってきた。
梶島さんは、それ以上は話さずまた友坂さんと交えて話がはじまった。
「それじゃ、またね」
「ああ、美香さんもまた」
「…はい」
ランチを食べ終わり、梶島さんとはお別れをして友坂さんと社に戻った。
その後、すぐ梶島さんから連絡があると思ったけどすぐはこなかった。
「うーん」
「ん?」
美紀が唸ってる。
さっき美紀は帰ってきたばかり。
さっきまで多分梶島さんとデートだったんだろうな。
そういえば、連絡なかったけど私に聞くことなかったのかな?
「梶島君とデートで楽しかったんだけど」
あー、やっぱり
「もうすこし責めないとダメなのかなー」
「え?」
「私のことも聞いてくれるんだけど、家族の話とか聞いたりだからさ」
「家族?」
「うん。美香とは仲良かったの?とかさ、なんていうの…うーん、私の周りの話?」
「美紀の周りのこと聞きたかったんじゃないの?」
「そっか…、それならいいけど。お付き合いになるまで時間かかりそう。こっちからガンガン攻めるしかないかなー」
「別にゆっくりでもいいんじゃない?」
「…まぁ、そうなんだけど」
なんとも歯切れの悪い返事だった。
何か気になることでもあったみたいだ。
それからしばらくして梶島さんからチャットがきた
『こんばんわ!この間はどうもね』
『こんばんわ。この間はありがとうございました』
『友坂ってさっぱりしてるでしょ?』
『ですね。でも後輩の面倒もしっかり見てくれるし、お世話になりっぱなしです』
『そうなんだ』
『話は変わるけど映画とか好き?』
映画?
あっ、美紀のことか…
『はい、好きですね』
『どんなの好き?』
『どんなジャンルでも拘りませんが、ホラー系は苦手かもです』
『そうなんだ』
デートのプランかな?
『映画の他で行ってみたいと思うところない?』
『そうですね、特には聞いてないけど』
『えっ?聞いてない?』
『はい』
『もしかして、美紀ちゃんのこと話してる?』
『はい、そうですよ。あとでさり気なく行きたいところとか聞いてみますね』
『いや、いいよ』
えっ?いいって…
あっ、そうだ!
『最近、ショッピングモールとレジャー施設が一緒になったところオープンしたじゃないですか、K県で。そこ好きだと思いますよ。私達同じもの好きだから』
『そうなんだ』
少しはお役に立てたかな。
うらやましいな。こうやって事前に美紀のこと調べるんだから。
私も梶島さんみたいな人と出逢いたいな
その後もチャットで少し会話して話は終わった。
それからというもの、梶島さんからはたまにチャットがくるようになった。
今日の出来事も話したり、仕事の愚痴も言ったり、少しずつ打ち解けてきた。
けど、美紀のこと聞きたいついでにそういう話してるんだろうな…と思っていた。
「美香!!」
凄い怒ってる!?ように帰ってきた
「どうしたの?」
「梶島君と会ってるの?」
「へ?」
「会ってるの?」
「いや…会ってはいないけど」
「けど?どういう意味?話したりしてるの?」
「…ああ、チャットで少しね」
「どういこと!?」
と聞かれたのので、取材の帰りにたまたま知り合って、美紀のこと聞きたいみたいだから連絡先交換したことを言った。
「何で言ってくれなかったのよ!」
「なんでって、そりゃ美紀のこと色々聞きたいみたいだから、オープンにはいえないでしょう?」
「…」
「なに?どうしたの?」
「美香のバカ!!!」
と言って部屋に入って行った。
な、なに?どうしたの?
何がなんだかさっぱり解らなかった。
それ以降美紀は私と顔を合わせてくれない。
遅くに帰ってきて部屋に閉じこもる。
「ねぇ、美紀!どうしたの?梶島さんと何かあったの?」
と聞いても答えてくれない。
梶島さんと何があったんだろ…
あまりにも美紀が私と話してくれないので、梶島さんにチャットをした。
単刀直入に美紀と何があったのか聞いた。
すると…
『会って話したい』
と言い出した。
私に?
喧嘩したから相談とか?
もしかして、美紀が何かした?
とりあえず一度気になってたしまったら、忘れられることも出来ず会うことにした。
仕事終わって待ち合わせをした。
会うのは友坂さんと会った以来だから3ヶ月くらい前になる。
「おまたせしました」
「いやー、俺も今来たところ」
お店に入って話すのかと思ったけど、大きな公園に連れてこられた。
「ごめん、本当は話しながらって思ったんだけど勢いなくなりそうだから」
「…えっ?あっはい」
なんだろ?何かあったのかな?
「好きだから」
あっ
「…はい、わかってます。美紀も好きですから」
「違う!!」
えっ?
「好きだから」
じっと見られて言われた。
…
…
「あ、あの…」
手を取られて
「好きだ」
!?
「まっ、待ってください!」
どういうこと?
「み、美紀は?美紀とは?」
「美紀ちゃんは昔から可愛いし、学生時代はいいなーって思ったこともないと言えば嘘になるよ。でも…、俺は美香さんが好き」
「な、なんで私?…だって、いつも美紀の方が…」
「美紀ちゃんに告白してもらったけど俺美香さんが好きだって言った」
!!?
ど、どうしよう…
そんなとき、スマホが鳴った。
見ると
「美紀からだ…」
出ていいのか解らずで、しばらく悩んでいた。
…でも
「電話出ます」
と梶島さんに1言言って電話に出た。
「…やっと出た」
「うん…」
「梶島君と会ってるよね?」
「…うん」
「いつも私に遠慮してるんだから、本気で行かないと許さないよ!」
「美紀…」
「私達、好きなものも、好きな人もいつも同じだった。だから、美香が気になってることくらい解るよ!じゃね」
と言って電話は切れた。
梶島さんの顔をみて
「美紀と私はいつも好きなもの一緒なんです」
「…うん。聞いた」
「…好きになる人も…一緒なんです」
というと、目を大きく開いた。
「美紀に遠慮するな!本気で行け!って言われました。いつもセーブしちゃうから恋らしい恋したことないけど…、こんな私でいいでしょうか?」
そう言うと梶島さんは笑顔になって
「とりあえず抱きしめたい」
梶島さんの腕の中に入って、ドキドキする。
「俺でよければ付き合ってください」
「よ、よろしくおねがいします」
ちょっとだけ梶島さんがかがみ、一瞬だけど唇が重なった。
「ご飯食べに行こうか!」
固まってる私の手を繋ぎ、お店を探しはじめた。
小さい頃から同じ模様の洋服買ってもらっても妹のがピンク、オレンジ、白。私は青、緑、ブラウン。
家で作るお子様ランチも妹は必ず日本の国旗だった。
そして、顔が全く同じということで私はショートカットにさせられた。
妹はサラサラヘア。
小学校も中学校も好きな人は同じだった。
高校に入っても好きな人は同じ。そして妹はその人と付き合うこともしていた。
大学も行きたいところが同じで、でももう好きな人も妹に取られるのは嫌だったのであえて違う大学に選んだ。
そして就職先は出版社。妹も会社は違うけど出版社に勤務している。
結局やりたいことは同じ。
山原美香、23歳。女性誌の出版社に勤務。
そして双子の妹、美紀、ファション誌の出版社に勤務。
今は都心で妹と二人暮らしをしている。
私と違って美紀は、ファション、メイクも敏感で本当にいつも綺麗にしてる。
私は…、小さい頃からショートカットにされたこともあっていつの間にかスカートは履かなくなっていた。
そして、メイクもそこまでガッチリもしない。
「ねぇ、美香!今度さ大学の友達とバーベキューやるの、一緒にこない?」
「え?いいよ!私知ってる人いないし」
「大丈夫だよ!女のコ不足していて、美香頼めない?」
「やめとく、あまり乗り気じゃない」
「えーー!?」
こっちは断ってるのに結局強引に参加。
美紀は昔から強引なところがある。
今は都心のビルの最上階の屋上でバーベキューなんてことが出来る。
こんなことがビルの屋上で出来るなんて…、驚き。
メンバーは14人もいた。
その中で女性は5人。確かに少ないけど…
「凄い!同じ顔!!」
「でもなんかイメージ違うね」
私を見て美紀と比べながら言う。
「こうなんだろ?ボーイッシュなイメージ?」
「あー、美紀は可愛いい守りたいタイプだけど、お姉さんの方は活発的そう」
まぁ、昔から思われてるからな…
「美香」
「ん?」
「あの人」
と、ちょっとだけ指を指す
なに?
「ああ」
見るからに美紀のタイプぽい男性が向こうにいた。
まぁ、私も同じだから言わなくってもわかる
「ちょうど今フリーなんだって!前はさ向こうも彼女いたし私もいたからさ、タイプで終わったけど今日は頑張って近づくから応援してね!」
「…」
昔もそんな感じで言われたな。
念を押されるような、そんな言い方。
「青山くーん!!」
早速美紀はその人にむかって行った。
名前は青山というらしい。
美紀とその人は2人で話している。
私は…
まぁ誰かと話すってのもないしな。
ということで、バーベキューで焼いてるものをひっくり返したり追加で焼いたりしていた。
皆同じ大学で友達同士だもんな。話は弾むよね
私は黙々と一人で焼いてると
「一人でさせちゃってごめんね」
一人の男性が近づいてきた。
「…あっ、大丈夫です」
「俺、梶島っていいます。美紀ちゃんとは別の学部だったけど、大学の近くでバイトしててその時に知り合って」
あー、そういえば大学の近くのカフェでバイトしたとか言ってたことあったけ
「そうなんですか」
この人もタイプやん!!
美紀のタイプ多いすぎない?
「お姉さんのことよく聞いてましたよ」
「え?」
私のこと?
どんなこと言ってたんだろう…
「あっ、俺がやるよ」
ちょうど肉が焼けたのでお皿に置いて誰かに渡そうとしたら梶原さんがお皿をとって
「肉焼けたぞー!ほしいやついる?」
というと何人かきて
「あー、ごめん!話に夢中になってた。私達もやるよ」
と、数人がきて焼いてる場所を囲んだ。
ビールも飲みはじめて、話題があまり噛み合わないときもあったが、私に合わせてくれてた。
しばらくして美紀もきて
「うーん」
と、横で小声でいう
「青山君、好きな人いるみたい。やんわり断られたかも…」
「…」
早いなー、相変わらず行動が
「梶島君もタイプなんだよね、梶島君いってみよっと」
…
我が妹ながらほんと素早い切り替え。
すぐに梶島君に話しかけてるし
まぁ、どちにしても美紀の交流がある人たちだし、私には関係ないか
終電前にお開きとなり、片付けも少しするが、ここの係の人たちがだいたいやってくれるという。
なんという便利な…
美紀と家に向かう電車に乗りながら
「梶島君と今度会う約束したんだ」
と、嬉しそうに言う
「そう…、よかったね」
お互い好きなタイプも同じなの解ってるから、こういうのって何となく悪気はなくても…って感じになる。
翌週、一期先輩の友坂さんと、取材に行った。
「山原さん、あーいうの好きでしょ?」
「えっ?」
うそ!?わかっちゃったかな…
取材はイギリス産の雑貨屋さんで、模様もなくシンプルだけど日本ではあまり見たことない形なので、今度休みの日に一人で来ようかなーと思っていた。
「顔に好きって書いてあった」
「ハハハ」
友坂さんは、男まさりでさっぱりしとした性格。仕事はガンガンこなすし、憧れの先輩。
「あれ?」
「…えっ?」
社に戻ろうとして、駅の改札を入ろうとしたところで
「友坂?」
「久しぶりじゃーん」
友坂さんの知り合いみたいで、話が弾んでいた。
「なに?仕事?」
「うん。梶島も?」
「そそ」
え?梶島!?
と、相手の男性の顔をみると
「あれ?美香さん?」
やっぱり…あのときの人だ。
「なに?山原さんのこと知ってるの?」
「あーうん。山原さんの妹さんと俺が友達で」
「へー、あー確か双子だって言ってたね」
「ええ、そうなんです」
「あっ!?そろそろお昼だし、梶島一緒にランチしない?」
「いいねー、美香さん俺いて大丈夫?」
「あっ、はい」
友坂さんは話をどんどん進め、近くのお店に入った。
「梶島とは高校の同級生で、部活も一緒だったの」
「へー、そうなんですか。部活て何部だったんですか?」
「テニス部でね、男女混合でペアも組んだことあるのよ」
へぇー、混合か
「高校出るとき、進学も就職も決めず、1年間海外に行きたいって…卒業と同時にいっちゃって、未だに忘れられないよ」
「えっ!?そうなんですか?」
「あ、ああ、まぁ…、色々見てみたくってね、1年間イギリスで暮らしながら好きなことしてた。そのあと大学に入ったので美紀ちゃんとは同じ学年で」
そうなんだ
「梶島って確か商社だっけ?勤務してるの」
「そそ、まぁ、まだ2年目だからこれからだけどね」
「相変わらずモテそうだね?」
「んなわけねーよ、モテてたら彼女いるよ」
確かにモテそう。爽やかなイケメン風な感じがする。
「そっちは、どうなんだよ?」
「私は2年付き合ってる彼氏と同棲してるよ」
「へぇー、そうなんだ」
と二人が話してこっちを見る
「えっ!?」
「山原さんは?」
「ええ!?」
「流れの勢いよ」
と、友坂さんがいう。
「あまりそういうの聞いたことないからねー、山原さんはいるの?」
「あっ、いえ、いませんけど」
「へぇー」
と言う梶島さん。
「そーいえばさ、山原さんの双子の方と友達なんでしょ?どうなの?似てるの?」
「あー、顔は確かにそっくりだけど…、顔以外は違うかなー」
え?
あまりそんなこと言われたことなかったので正直ビックリした。
「へぇー、そうなんだ」
ちょうどその時頼んでたものがきて、食べながら話しだした。
見た目もそうだけど、何でも同じと昔から言われてたので服装とか美紀がしてることは真似ないでいた。
全く同じだと美紀のが際立つ。
でもそういう少し違うことをしてもみんな解ってくれてない。
「あっ、ちょっとごめん。彼らからだ」
友坂さんは、スマホが鳴ったのをみて私達のテーブルから離れていった。
急に2人になったので何話していいかわからなくなった。
「…あのさ、もしよかったら連絡先聞いていい?」
「えっ!?」
私の?
…
あっ、そっか。
そういえば昔こうやって連絡先聞かれたことあったな。
美紀の好きなもの事前に知りたいとかで
「…はい。いいですよ」
チャットと、電話番号を交換した。
「あ、あのさ」
梶島さんが何かを言おうとしたとき
「あー、ごめんね」
と言って友坂さんが戻ってきた。
梶島さんは、それ以上は話さずまた友坂さんと交えて話がはじまった。
「それじゃ、またね」
「ああ、美香さんもまた」
「…はい」
ランチを食べ終わり、梶島さんとはお別れをして友坂さんと社に戻った。
その後、すぐ梶島さんから連絡があると思ったけどすぐはこなかった。
「うーん」
「ん?」
美紀が唸ってる。
さっき美紀は帰ってきたばかり。
さっきまで多分梶島さんとデートだったんだろうな。
そういえば、連絡なかったけど私に聞くことなかったのかな?
「梶島君とデートで楽しかったんだけど」
あー、やっぱり
「もうすこし責めないとダメなのかなー」
「え?」
「私のことも聞いてくれるんだけど、家族の話とか聞いたりだからさ」
「家族?」
「うん。美香とは仲良かったの?とかさ、なんていうの…うーん、私の周りの話?」
「美紀の周りのこと聞きたかったんじゃないの?」
「そっか…、それならいいけど。お付き合いになるまで時間かかりそう。こっちからガンガン攻めるしかないかなー」
「別にゆっくりでもいいんじゃない?」
「…まぁ、そうなんだけど」
なんとも歯切れの悪い返事だった。
何か気になることでもあったみたいだ。
それからしばらくして梶島さんからチャットがきた
『こんばんわ!この間はどうもね』
『こんばんわ。この間はありがとうございました』
『友坂ってさっぱりしてるでしょ?』
『ですね。でも後輩の面倒もしっかり見てくれるし、お世話になりっぱなしです』
『そうなんだ』
『話は変わるけど映画とか好き?』
映画?
あっ、美紀のことか…
『はい、好きですね』
『どんなの好き?』
『どんなジャンルでも拘りませんが、ホラー系は苦手かもです』
『そうなんだ』
デートのプランかな?
『映画の他で行ってみたいと思うところない?』
『そうですね、特には聞いてないけど』
『えっ?聞いてない?』
『はい』
『もしかして、美紀ちゃんのこと話してる?』
『はい、そうですよ。あとでさり気なく行きたいところとか聞いてみますね』
『いや、いいよ』
えっ?いいって…
あっ、そうだ!
『最近、ショッピングモールとレジャー施設が一緒になったところオープンしたじゃないですか、K県で。そこ好きだと思いますよ。私達同じもの好きだから』
『そうなんだ』
少しはお役に立てたかな。
うらやましいな。こうやって事前に美紀のこと調べるんだから。
私も梶島さんみたいな人と出逢いたいな
その後もチャットで少し会話して話は終わった。
それからというもの、梶島さんからはたまにチャットがくるようになった。
今日の出来事も話したり、仕事の愚痴も言ったり、少しずつ打ち解けてきた。
けど、美紀のこと聞きたいついでにそういう話してるんだろうな…と思っていた。
「美香!!」
凄い怒ってる!?ように帰ってきた
「どうしたの?」
「梶島君と会ってるの?」
「へ?」
「会ってるの?」
「いや…会ってはいないけど」
「けど?どういう意味?話したりしてるの?」
「…ああ、チャットで少しね」
「どういこと!?」
と聞かれたのので、取材の帰りにたまたま知り合って、美紀のこと聞きたいみたいだから連絡先交換したことを言った。
「何で言ってくれなかったのよ!」
「なんでって、そりゃ美紀のこと色々聞きたいみたいだから、オープンにはいえないでしょう?」
「…」
「なに?どうしたの?」
「美香のバカ!!!」
と言って部屋に入って行った。
な、なに?どうしたの?
何がなんだかさっぱり解らなかった。
それ以降美紀は私と顔を合わせてくれない。
遅くに帰ってきて部屋に閉じこもる。
「ねぇ、美紀!どうしたの?梶島さんと何かあったの?」
と聞いても答えてくれない。
梶島さんと何があったんだろ…
あまりにも美紀が私と話してくれないので、梶島さんにチャットをした。
単刀直入に美紀と何があったのか聞いた。
すると…
『会って話したい』
と言い出した。
私に?
喧嘩したから相談とか?
もしかして、美紀が何かした?
とりあえず一度気になってたしまったら、忘れられることも出来ず会うことにした。
仕事終わって待ち合わせをした。
会うのは友坂さんと会った以来だから3ヶ月くらい前になる。
「おまたせしました」
「いやー、俺も今来たところ」
お店に入って話すのかと思ったけど、大きな公園に連れてこられた。
「ごめん、本当は話しながらって思ったんだけど勢いなくなりそうだから」
「…えっ?あっはい」
なんだろ?何かあったのかな?
「好きだから」
あっ
「…はい、わかってます。美紀も好きですから」
「違う!!」
えっ?
「好きだから」
じっと見られて言われた。
…
…
「あ、あの…」
手を取られて
「好きだ」
!?
「まっ、待ってください!」
どういうこと?
「み、美紀は?美紀とは?」
「美紀ちゃんは昔から可愛いし、学生時代はいいなーって思ったこともないと言えば嘘になるよ。でも…、俺は美香さんが好き」
「な、なんで私?…だって、いつも美紀の方が…」
「美紀ちゃんに告白してもらったけど俺美香さんが好きだって言った」
!!?
ど、どうしよう…
そんなとき、スマホが鳴った。
見ると
「美紀からだ…」
出ていいのか解らずで、しばらく悩んでいた。
…でも
「電話出ます」
と梶島さんに1言言って電話に出た。
「…やっと出た」
「うん…」
「梶島君と会ってるよね?」
「…うん」
「いつも私に遠慮してるんだから、本気で行かないと許さないよ!」
「美紀…」
「私達、好きなものも、好きな人もいつも同じだった。だから、美香が気になってることくらい解るよ!じゃね」
と言って電話は切れた。
梶島さんの顔をみて
「美紀と私はいつも好きなもの一緒なんです」
「…うん。聞いた」
「…好きになる人も…一緒なんです」
というと、目を大きく開いた。
「美紀に遠慮するな!本気で行け!って言われました。いつもセーブしちゃうから恋らしい恋したことないけど…、こんな私でいいでしょうか?」
そう言うと梶島さんは笑顔になって
「とりあえず抱きしめたい」
梶島さんの腕の中に入って、ドキドキする。
「俺でよければ付き合ってください」
「よ、よろしくおねがいします」
ちょっとだけ梶島さんがかがみ、一瞬だけど唇が重なった。
「ご飯食べに行こうか!」
固まってる私の手を繋ぎ、お店を探しはじめた。
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