貴男の隣にいたい

詩織

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おばさんの留守中に

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あと2週間で引っ越すことになる。

引っ越し先は1ルームの小さいアパート。

女の子なんで入口だけはセキュリティがあったほうがいいよって進められて、またまたいい物件を見つけ、即決した。

駅からも徒歩で通えるし本当にラッキーだった。





来週一泊、おばさんが法事で家を空ける。

その日に私は決意した。




「しっかり戸締まりしといてね!明日は夕方くらいに帰ってくると思うから」

そう言って、おばさんは出かけて行った。

相変わらずお兄ちゃんはいない。


そして、

〈お兄ちゃん、ちょっと風邪引いて熱あるみたいなの。おばさん法事でいないから〉

と書いてメールを送った。

そしてすぐ返事がきた

〈母さんに言わなかったのか?〉

〈おばさん、居るときはそこまで体調悪くなかったから。もし今日帰ってくるなら早めに戻れない?〉

〈わかった〉

多分、心配して帰ってくると思う。

嘘ついたのは心が痛いが、そこまでしないと、お兄ちゃんに会えない気がした。



1時間半位でお兄ちゃんは帰ってきた。

とりあえず、ベットで寝てることに。

「おい!大丈夫か?」

私の部屋に入って一言いう。

布団に顔まですぽってかぶってるから、どんな顔してるのかも解らない。

「水分とった?今熱どのくらいある?」

そう言って、布団を少しめくった。

そして、目が合う

「ごめん」

「え?」

「嘘なの」

「は?」

「風邪引いてないの」

沈黙が流れる

「お兄ちゃん私、お兄ちゃんに話したいことがあるの」

「…」

「私、お兄ちゃんが好き。言わないままこの家出たくなかったの」

下向いて言ってるので、どんな顔してるか解らない。

「ずっと、好きだった」

そして…

「あと、あとね」 

震える、身体が震える。でも後悔したくない。

「初めてをお兄ちゃんに貰ってほしいの」

何も反応がない。てか、顔見てないから解らない。

「迷惑なのは解ってる。でも…」

「何言ってるんだ!?」

急に大声を出した

「お前言ってることわかってる?」

「わかってるよ」

「この先彼氏でも出来たらそいつと…」

「お兄ちゃんがいいの!!」

そして、顔をあげお兄ちゃんをみた。

「お兄ちゃんがいい。それ以上望まないから、お願い」

「…」

やったことないけど、自分からお兄ちゃんにキスをしようと近づいたとき

「やめろ!!」

引き離された

「私絶対に後悔しないから」

「俺たちは兄妹みたいなもんだ」

「でも私、それでもやっぱり好き」

言いたいことは言った。

凄い自分勝手なお願いだ。

それでも、言いたかった。



解ってる。解ってるよ。

私は妹だもん。

「聞いてくれてありがとう」

やっぱりそうだよな。

後悔…してるかも…

言わないほうがよかった?

「少し頭冷してくるわ!」

と言って、家を出た。


5時間位ウロウロさして戻ったらお兄ちゃんの姿はなかった。

多分いないと思ってた。

そして、もう会わないと思う。


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