幸福を運ぶ女

詩織

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支店へ

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以前から転勤の話があった。

正直乗り気ではなかったが、気持ちを切り替え転勤をすることにした。

実家からだと通勤片道2時間ちょっとと厳しいので、この歳で1人暮らしを始める

「もう転勤なんかしないで、見合いでもして結婚してほしいわ」

と母に言われた。

樹理は寂しがってたが、会えない距離でないので週末でも飲みに行こうって話した。



支店に移動して1ヵ月。

信哉と別れてもう2か月近い。

1人暮らしもいまいち慣れず、親がいつもご飯用意してくれてたのが有難く感じた。

1人暮らしだと、ご飯も適当になるな。

この辺でうまい店を開拓するか。

それも少しずつやればいっか。

これから1人だもん。自分のやりたいようにやればいい。

支店に移動後は、主任として役職が付いた。

「主任ここなんですけど」

「ああ、ここか。」

ここは面倒なところなんだよな。

「例えばなんだけど」

と言って、自分ならこうするって例を言ってみた。

「えっ?全く考えたことなかったです。」

「そお?」

「はい。参考になりました。ありがとうございます」

なんか例えばのやり方がよかった?ようだ。



仕事帰りにスーパーを立ち寄り花屋があった。

「あっ」

かすみそう...

「自分の為に買ってみるか」

そう言って、店の中に入った

「すいません、かすみそうください」

「はい。お花はつけないんでいいんですか?」

「はい。かすみそうだけでいいです」

そう言って、かすみそうだけを購入した。

やっぱりかわいいな、この花は。

色んな花の引き立て役だけど、こうやってかすみそうだけだとやさしく落ち着く感じがする」

家に帰って、かすみそうを飾る。

「うん、なんかいい」

少しだけ華やかになった気がした。


私はいつも引き立て役だな。

かすみそう以下だな。





支店はそこまで人がいないので1つのフロアにいくつもの部署がくっついてる。

「主任、ここなんですけど」

と質問されたとき


「皆さん、集まってください」

総務部の方で掛け声があった。

総務部だけかと思ったが、このフロア全体に言ったようで

「あ、そなの?じゃ行かないと」

と、総務部の方に移動した。

「本日から本社より異動された方をご紹介します」

と言ってフロアに入ってきたのは




「本日付けで営業部に配属になりました吉本です」

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