幸福を運ぶ女

詩織

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聞いちゃいけなかった

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付き合ってそろそろ3か月。

信哉はいつも私のことを思って色々考え、色々連れてってくれる。

それなのに私は、最後の最後が出来ないでいた。

3か月もなると流石に恋愛感情もがっつり芽生え、私自身も恋人として思えるようになった。

ただ、普通の恋人っていう付き合いがないので、どう付き合っていいのか悩んでもいる。

キスと抱き合ったりはするが、それ以上はまだ未遂。

解ってはいるんだけどね。


<週末さ隣の駅でラーメン屋がオープンするんだって。一軒家を改築した小さい感じのお店で知ってる人もそこまで多くないみたいだなら、行ってみよう>

おお!それはかなり魅力だわ。

週末はラーメン屋かぁ

なんて、ちょっと浮かれてた。



「なに?まだなの?」

「いや、まぁ」

「早いところやっちゃえよ。すぐ終わるよ」

「いや、まぁ...」

「幸福を運ぶ女はかなりガード固いから、落とせてラッキーやん。今しかないぞ、やったらすぐ捨てればいいんだよ」



足が止まった。

そこを曲がった先の休憩室に

信哉と、元カレの細田さいだが居た。

幸福を運ぶ女は私のことだ。社内で言われてるの知ってる。




ねぇ信哉。私、信哉のこと好きなんだよ。





「確かな情報でないけど、吉本の実家はお父さんが自営をしてるらしい。どうも経営が困難で苦しんでると誰かに言ってたみたい。あと妹がいて難病だとか。それとお父さんや妹さんのことで色々考えてるのもあってか営業成績が最近よくないみたい。昇級試験も外されるって噂もあるし、資格の試験の勉強もしてるけど思わしくないみたいよ」

樹理が信哉の情報を集めてくれた。

「そっか」

やっぱり、そうだったんだ。

「このまま文句いってビンタの1つでもして別れなさいよ。まぁ未遂でよかったわ」

確かに未遂だけど、心がもう未遂でないよ。

私、結局誰からも愛されないのか。

もう、涙も出てこない。

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