消えた記憶

詩織

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私の悩み

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ついたのはファミレスだった。

「えっと…」

「私は木下結菜きのしたゆうなです」

「え?」

急に自己紹介しはじめた。

木下さんは笑顔になって

「私ね、母がアルツハイマーになって、私の顔みてももう私を忘れてしまってるの」

「そ、なんですか」

「母が知らない人に話しかけられて困惑してる顔と似てたので」

「あっ」

「河野さん、私達のこと解らないんでしょ?」

「…はい」

「そっか」

「結婚してた記憶がないんです」

「えっ?」

こんなこと、知らない人に言っていいのか解らないけど

「他は覚えてるの?」

「結婚してた期間のことは忘れてます。でもその前のことはしっかり覚えてますし、両親、当時の同僚も覚えてるので」

「そーなんだ」

少し考えて

「あのー、木下さんと私はフラワーアートの教室で知り合ったんですか?」

「うん。そう、さっきの子人達も同じ。」

そっかぁ

「河野さんとはよく終わったあと、こうやってファミレスで2人で話してたんだけどね」

「えっ、そうなんですか?」

「うん」

あの教室の中で木下さんとは話す方だったのか。

「例えばどんな話を?」

「さっき少し触れた話なんだけど、うちの母がねアルツハイマーだから色々ねしんどくって。それを河野さんに私は聞いてもらってた。河野さんは、旦那さんとのことで悩んでたかな?」

「私、相談してたんですか?」

「うん。」

「あのー、どんなことを?」

「う~ん」

少し悩んでた。

「ああ、大丈夫です。あのー」

と言ったとき、スマホの電話が鳴った。

「あ、ちょっとすいません。」

と言って、電話に出た。

見たら、知らない番号からだった。

ちょっと、悩んだが電話に出た。

「もしもし?」

「おい、設楽!お前また勝手な…」

!?

その声は...

「九重!?なんで私の番号?」

「そんなの、俺も担当医になったんだからカルテ見ればわかるだろう?気になってご実家電話したら、自分の記憶をたどるとか言ってたとかで。お前またあの街にいるのか?」

「うっ」

「どこにいる?」

って、言われたので説明し

「わかった。今から行く」

と言って電話が切られた。

今からって…

「どうしたの?」

「あっ、あのすいません。カウンセリングの先生も同席してもいいですか?勝手な行動とったんで怒られてしまって」

「ああ、私は全然構わないわよ」

と木下さんは言ってくれた。

そして、10分くらいで九重は来た。

「!?早くない?」

「ご実家に電話してすぐ飛び出したからな。駅に着いて電話した」

「う、ごめん」

「あっ、はじめまして。設...河野さんの担当カウンセラーの九重と言います」

と木下さんに向かって挨拶をした。

「はじめまして!カウンセリングの先生って聞いたから...。若いハンサムな担当さんなんですね」

「ぷっ」

私は噴出した!

「おい!設楽!」

「設楽?」

「ああ、ごめんなさい。あの九重とは学生時代の同級生で、偶然こうやって知り合った感じで」

「へぇ、そうなんですか。世の中狭いですね」

「はい」

「で、先ほど設楽から聞いたんですが、私も同席しますのでぜひ、設楽が悩んでたこと話して頂けないでしょうか?」

「え?いいの?」

「お前、頑固だからな。聞かないと、動く気ないだろ?」

「うっ」

それを聞いて、木下さんが笑ってる。

「仲いいんですね」

「いやいや、たまたまの腐れ縁です」

っと言った。

「わかりました。担当のカウンセラーの方もそう言うのでしたら」

と言って

「はじめは、夫の様子が変ってことだけでしばらくは、様子見みてみようってことでした。ですが、少しずつ旦那さんの行動が解り始めて...、旦那さんには恋人がいると言ってました」

やっぱり...

「ただ単純な浮気相手って訳ではなかったようです。その恋人は河野さんと結婚する前からお付き合いされてたようで」

「えっ!?それってどういうことですか?」

「詳しくは聞いてませんが、ご主人のご両親に反対されて結婚出来なかったと聞いてます」

反対されたから私と結婚?どういうことなんだろ?

「そのことで私は...」

「そうですね。精神的にしんどくなってきて、最後に会ったときはもう顔色もよくなかった。それで居なくなったので、もしかして...って思って心配はして連絡はしたんだけど」

「えっ?スマホにですか?」

「うん。あっ、私とはLINEとかでなく違うアプリでメッセージしてたのよ」

え?別のメッセージアプリ?

木下さんは自分のスマホをだして、このアイコンだと見せてくれた。

スマホを見て、同じアイコンを探す。

あっ、あった。けど…

「パスワード聞かれた」

見られないように、パスワードロックかけてたみたい。

いくつか、気になる文字を打ってみたが

「だめだ!開かない」

「あら」

中身見たかった

「もし、メッセージのやりとり見たからったら」

と、スマホを渡してくれた。

「あっ、すいません。失礼します」

スマホを借りて、木下さんと私のメッセージのやりとりを見る


確かに、私との出会う前から彼女が居たと書かれてた。

木下さんが、何でその人と結婚しなかったの?というメッセージに、まだ自分の中で整理が出来てない。と返信してた。

理由は知ったけど、それを受け入れることが私には出来なかったということか

お母さんの心配があるのでこれ以上引き止めても申し訳ないから、木下さんは

「申し訳ないけど、そろそろ時間なんで」

と言って、帰って言った。

「何かあったら、電話でもいいから下さい」

と言って電話番号を教えてくれた。

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