現在の政略結婚

詩織

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今更意識しても…

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ハッと目が覚めた。

あっ、類さんのベッドの中だ。

類さんはいなかった。

時計を見たら7時だった。

そろそろ朝食の準備しないと

起き上がって、部屋を出たら

「おはよう」

類さんが朝ご飯の準備をしてい。

「る、類さん!?」

「いや、たまにはいいかなって」

「ご、ごめんなさい。私します。」

「いや、いいよ!もう終わるし、座ってて」

見ると、ご飯にお味噌汁、卵焼き、鮭が準備されてた。

美味しそう…

「たいしたの作れないけど…」

「いえ、ほんとすいません」

「今日はさ、仕事って急ぎのとかある?」

「いえ、特には…」

「今日は大事をとって体調不良とかで休んで貰えると、俺安心なんだけど」

「あっ」

「できそう?」

「はい、今日は休むようにします。」

類さんの顔をみて、顔が赤くなる自分が解る。

昨日ずっと抱きしめてくれて、寝てくれて…それ思い出したら、ヤバい!!

「なに、朝から赤くなってるの?」

「えっ、いや、あの」

わ、わざとだ!?きっと解ってる!

類さんは、わざとらしく笑い

「梨衣子ちゃんって、もしかして変なこと考えてた?」

「な、な、何をですか?」

やばい、乗せられた。

「リンゴみたい」

うっ…

クスクスと笑う声が聞こえる。

「類さん」

「ん?」

「昨日は私の我儘聞いて頂きありがとうございました」

頭を下げた。

「梨衣子ちゃんに頼られるの嬉しいから、これからも頼って」

嬉しそうに類さん言い

「1人でいて寂しくなったらいつでも電話頂戴!」

「し、しませんよ!!」

「あ、またリンゴになった」

と、クスクス笑う。

からかい過ぎ。

「早めに帰るようにするから」

と、言って家を出た。

私の身体が類さんに包まれて安心しきってた。

きっと、既にもう…

でも、今更意識してもどうにもならない。

お互いに好きでもない相手と結婚させられて、こんな感じになったんだもの。

類さんには恋人がいるし、自分でセーブかけないと!と思うようにしてた。



その夜、いつも帰る時間よりも2時間も早く帰ってきて

「る、類さん?」

「そんな驚いた顔しなくっても…」

「でも、まだ6時ですよ!こんなに早く…」

「早く帰るって言ったでしょ?」

類さんは、ニコニコしながら自室に入り、部屋着に着替えてリビングに戻ってきた。

「夕飯の準備の前に、これしない?」

何かと思ったら、

「ゲーム?」

テレビゲームのソフトと本体を買ってきて

「対戦しよう!!」

と言って、レースもののゲームを買ってきた。



「やったぁー!!!」

「梨衣子ちゃん、強すぎない?」

「え?そうですか?」

「何回勝ってるんだよ!」

「じゃ次勝負しようー!」

「それ、さっきも聞きました。」

「じゃあ、勝ったら言うこと聞くってどうよ?」

「えっ?」

「そういう方が燃えるでしょ?」

そう言って

「怖気づいた?」

むうっ

「やります!!」

そう言って、レースがはじまったら…

うそ!!!

「やりぃー!!」

ずっと勝ってたのに、あっさり負けてしまった。

「賭け事があると類さん、強いのか…」

「じゃ、俺の言うこと…と、言いたいところだけど、とりあえず夕飯準備だね」

「あっ、ほんとだ」

ご飯は既に炊いてたので、おかずの準備にとりかからないと!

今日はビーフシチューに、ポテトサラダに、ほうれん草とベーコンの炒めものを作ってみた。

「いただきますー」

こうやって二人でご飯を一緒に食べるようになってから、それが当たり前のようになってきて、1つの楽しみにもなっていた。

夕飯を終え、お互いお風呂に入り、自室で寝ようとしたとき

「梨衣子ちゃん、寝る?」

「あっ、そうですね。明日は仕事行きたいたいし、そろそろ…」

「じゃさ、俺のさっきのさ、ゲームの賭け事の勝ったら言うこと聞くって言うの言っていい?」

「えっ!?今ですか?」

「うん」

「類さんだってこれから寝るんじゃ…」

「うん、寝る。だから言いたい」

「え?」

「今日も一緒に寝ようか?」

ビックリして言葉が出なかった。

「で、でもご迷惑じゃ…」

「俺も梨衣子ちゃんもお互い気を使って、いいとこ見せようとしてるから、もしかして今日も1人で怖いと思っても、昨日迷惑かけたしとか思って言えないと思った」

「あっ…」

確かに、今日も怖かったらどうしようとは思ったけど

「で、でも…」

「俺を頼って!梨衣子ちゃん」

ど、どうしよう…

もし、これで一緒に寝たら気持ちに制御出来るの?

「おいで!」

類さんは両手を広げて笑顔で言ってくれた。

それを見て私は、本当に勝手に…本当に何も考えず、無意識に類さんの胸にしがみついてしまった。

類さんの手が私の頭を撫でてくれて

「一緒に寝ような」

そう言って、類さんの寝室に入って行った。

類さんの香りに包まれ、類さんの腕の中で、私は凄い安心して

「嫌なら言ってよ」

と、言われたけど

「…安心します」

と、言うと

「そうか」

と言って、優しく包んでくれた。

イケメンで、こんなに優しかったら、誰だって惚れない?

叶わない恋をしてしまって、戸惑ってしまってる自分もいて、でも今の類さんは私にだけ優しいんだって思うとそれもまた嬉しかった。

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