1 / 1
婚約者
しおりを挟む
お見合いして、その後半年交際し、結婚する約束をした。
間宮紗季、30歳。デパートの販売員をしてる。
相手は中里公也、公務員の34歳。
親戚の勧めでお見合いをした。
しばらく恋愛にご無沙汰なので、どうしようか悩んだが、掘り出し物と何度も親戚の伯母が言って勧めるので、それで重い腰をあげてなんとか行くことに…。
見た目は優しそうで、静かそうな人。背は高くスラリとしたスタイルが印象的だった。
初めこそ話は全くしなかったが、数回会ううちに少しずつ打ち解け、そのまま交際に。そして半年してプロポーズされた。
そんな彼が居なくなってしまった。
事件事故にでも巻き込まれた?
会社も行ってなく、警察、彼の家族、色々聞いたけど全く解らずだった。
自殺をほのめかすことも全く言ってないので事件性の筋が高いということで、捜索願を御両親が出した。
「こんなことになるなんて…」
母が心配して、上京してきてくれた。
「結婚のご挨拶来てくれたときは、本当に嬉しかったのに」
「…うん」
私も結婚はしないと思ってただけにまさかのトントン拍子に驚いてた。
仕事を数日休んで探したこともあるが、休み過ぎると会社にも迷惑がかかるので出勤した。
まだ会社には結婚することは伝えてなかったので、これで伝えてたらそれはそれで色々と話題になってしまう。
優しくって、いつも私のことを考えてくれて、旦那さんにするなら申し分ない。
結婚は4ヶ月後で、ホテルの予約もしている。
来月には招待状出さないとねって、話してた。
翌月になっても見つからず、彼の御両親と相談して式はキャンセルした。
「紗季さん」
呼ばれた気がして、振り向いた。
けど、誰もいなかった。
彼に呼ばれた気がしたんだけど…
毎日考えてるので、幻覚すら出てきてるのかもしれない。
そして、月日は流れそれから3ヶ月後
「見つかりました」
「えっ!?」
警察から連絡があって見つかったと連絡があった。
詳しく聞きたいので、警察署に彼の御両親と行った。
「4ヶ月後前に、日本を出てます」
「えっ?」
御両親も私も意外な結果に拍子抜けしてる。
「海外に行ってまして、行き先はタイです。」
タイ?
「そして、一緒に搭乗した方が居るようです。名前は吉野桐花さん」
どういうこと?
「こちらの吉野桐花さんもご家族から捜索願が出てました。」
「あの…」
「こちらもそれ以上は。海外となるとこちらでは管轄外になりますし、事件性がないのであれば、こちらとしては…」
そ、そんな…
本人の判断で居なくなったということで、捜査は打ち切りになった。
この先どうやって探せば…
そんな不安が日々続き
「あの…間宮紗季さんですか?」
仕事先のデパートで、男性に声をかけられた。
「…はい。そうですが?」
「お話があります。中里さんのことです。私は吉野桐花の夫です。」
「えっ!?」
あと、1時間で仕事が終わるので近くの喫茶店で待ってもらい
「すいません。おまたせしました。」
「突然すいません」
「いえ。あのー、2人のこと何かご存知なのでしょうか?」
「何もご存知ないんですね」
「え?」
「あの2人のは長いこと不倫してました。」
「え?」
「桐花からは好きな人が出来たので別れてほしいと、何度も言われてました。ですが私が賛成しませんでした。」
「そのまましばらくして、諦めるだろうと思ったのですが諦めてなく、私が中里さんに会って脅したんです。別れないと訴えると」
「そ、それはいつの話ですか?」
「1年前でしょうか。そして中里さんは諦めると言ってました。その後桐花も諦めると言いい、落ち着いたかに見えたのですが、中里さんが見合いをして結婚すると知ったらしく、全てを投げ出して中里さんの所に行って行方不明になりました。」
「そ、そんな…」
「最後に電話がきて、これから彼と生きて行く。ごめんなさい。全てを捨てても彼と生きていきたい。そう言ってそれ以降連絡がとれなくなりました。」
すべてが初めて聞くことに言葉が出なかった。
「私が知ってることはこれが全てです」
落胆してる吉野さんを見ると、突っ込んで聞く気分にもなれなかった。
最後に挨拶だけして別れ、家路に着いた。
何がどうなってるんだ?
私は悪い夢でも見てるんだろうか?
そして、彼の御両親から
「手紙が来た」
と、連絡があり、私宛にもあると言うので、すぐに伺った。
困惑した顔をして私に手紙を渡す。
「こんなことになるなんて…」
お義母さんは涙を流してる。
間宮紗季様
と、書かれてる封筒から便箋を出し
『この手紙を読んでほしいような読んでほしくないような両方の気持ちで、書いてます。紗季さんと出逢ってからは、素敵な出逢いに感謝し、結婚することだけを考えてました。将来のことを2人で話してるのがとても幸せでした。
ですが、以前愛してた女性が突然現れ、何もかも捨てて私と一緒に何処かに行って欲しいと言われ、紗季さんのことを考えつつも、彼女の手を取り一緒に進んでしまいました。
もう後戻りが出来ない。後悔も未練も全て捨て進むしかないと思いつつも、両親、紗季さんには最後の別れの手紙を書きたく書いてます。
紗季さん、貴方と居た短い期間幸せでした。そして謝っても謝ってもどうにもなりませんが、ごめんなさい。
私のことは忘れて、いい人をみつけてください。
さようなら 中里 公也』
涙も出ない。なんとも身勝手でそして、もう探さないでいいんだとどこかホッとした気持ちにもなっている。
両親には、日本には2度と戻ることもないし、この手紙で最後にすると書かれてたようで落胆している。
消印はイギリスからのようで、もしかしたらアチコチと移動してるのかもしれない。
ご実家を後にして、ゆっくりと歩く。
近くの川に行って、頂いた婚約指輪を捨てた。
もう、終わったんだ…
私の婚約者は、過去の人となり、2度と会えない人になった。
間宮紗季、30歳。デパートの販売員をしてる。
相手は中里公也、公務員の34歳。
親戚の勧めでお見合いをした。
しばらく恋愛にご無沙汰なので、どうしようか悩んだが、掘り出し物と何度も親戚の伯母が言って勧めるので、それで重い腰をあげてなんとか行くことに…。
見た目は優しそうで、静かそうな人。背は高くスラリとしたスタイルが印象的だった。
初めこそ話は全くしなかったが、数回会ううちに少しずつ打ち解け、そのまま交際に。そして半年してプロポーズされた。
そんな彼が居なくなってしまった。
事件事故にでも巻き込まれた?
会社も行ってなく、警察、彼の家族、色々聞いたけど全く解らずだった。
自殺をほのめかすことも全く言ってないので事件性の筋が高いということで、捜索願を御両親が出した。
「こんなことになるなんて…」
母が心配して、上京してきてくれた。
「結婚のご挨拶来てくれたときは、本当に嬉しかったのに」
「…うん」
私も結婚はしないと思ってただけにまさかのトントン拍子に驚いてた。
仕事を数日休んで探したこともあるが、休み過ぎると会社にも迷惑がかかるので出勤した。
まだ会社には結婚することは伝えてなかったので、これで伝えてたらそれはそれで色々と話題になってしまう。
優しくって、いつも私のことを考えてくれて、旦那さんにするなら申し分ない。
結婚は4ヶ月後で、ホテルの予約もしている。
来月には招待状出さないとねって、話してた。
翌月になっても見つからず、彼の御両親と相談して式はキャンセルした。
「紗季さん」
呼ばれた気がして、振り向いた。
けど、誰もいなかった。
彼に呼ばれた気がしたんだけど…
毎日考えてるので、幻覚すら出てきてるのかもしれない。
そして、月日は流れそれから3ヶ月後
「見つかりました」
「えっ!?」
警察から連絡があって見つかったと連絡があった。
詳しく聞きたいので、警察署に彼の御両親と行った。
「4ヶ月後前に、日本を出てます」
「えっ?」
御両親も私も意外な結果に拍子抜けしてる。
「海外に行ってまして、行き先はタイです。」
タイ?
「そして、一緒に搭乗した方が居るようです。名前は吉野桐花さん」
どういうこと?
「こちらの吉野桐花さんもご家族から捜索願が出てました。」
「あの…」
「こちらもそれ以上は。海外となるとこちらでは管轄外になりますし、事件性がないのであれば、こちらとしては…」
そ、そんな…
本人の判断で居なくなったということで、捜査は打ち切りになった。
この先どうやって探せば…
そんな不安が日々続き
「あの…間宮紗季さんですか?」
仕事先のデパートで、男性に声をかけられた。
「…はい。そうですが?」
「お話があります。中里さんのことです。私は吉野桐花の夫です。」
「えっ!?」
あと、1時間で仕事が終わるので近くの喫茶店で待ってもらい
「すいません。おまたせしました。」
「突然すいません」
「いえ。あのー、2人のこと何かご存知なのでしょうか?」
「何もご存知ないんですね」
「え?」
「あの2人のは長いこと不倫してました。」
「え?」
「桐花からは好きな人が出来たので別れてほしいと、何度も言われてました。ですが私が賛成しませんでした。」
「そのまましばらくして、諦めるだろうと思ったのですが諦めてなく、私が中里さんに会って脅したんです。別れないと訴えると」
「そ、それはいつの話ですか?」
「1年前でしょうか。そして中里さんは諦めると言ってました。その後桐花も諦めると言いい、落ち着いたかに見えたのですが、中里さんが見合いをして結婚すると知ったらしく、全てを投げ出して中里さんの所に行って行方不明になりました。」
「そ、そんな…」
「最後に電話がきて、これから彼と生きて行く。ごめんなさい。全てを捨てても彼と生きていきたい。そう言ってそれ以降連絡がとれなくなりました。」
すべてが初めて聞くことに言葉が出なかった。
「私が知ってることはこれが全てです」
落胆してる吉野さんを見ると、突っ込んで聞く気分にもなれなかった。
最後に挨拶だけして別れ、家路に着いた。
何がどうなってるんだ?
私は悪い夢でも見てるんだろうか?
そして、彼の御両親から
「手紙が来た」
と、連絡があり、私宛にもあると言うので、すぐに伺った。
困惑した顔をして私に手紙を渡す。
「こんなことになるなんて…」
お義母さんは涙を流してる。
間宮紗季様
と、書かれてる封筒から便箋を出し
『この手紙を読んでほしいような読んでほしくないような両方の気持ちで、書いてます。紗季さんと出逢ってからは、素敵な出逢いに感謝し、結婚することだけを考えてました。将来のことを2人で話してるのがとても幸せでした。
ですが、以前愛してた女性が突然現れ、何もかも捨てて私と一緒に何処かに行って欲しいと言われ、紗季さんのことを考えつつも、彼女の手を取り一緒に進んでしまいました。
もう後戻りが出来ない。後悔も未練も全て捨て進むしかないと思いつつも、両親、紗季さんには最後の別れの手紙を書きたく書いてます。
紗季さん、貴方と居た短い期間幸せでした。そして謝っても謝ってもどうにもなりませんが、ごめんなさい。
私のことは忘れて、いい人をみつけてください。
さようなら 中里 公也』
涙も出ない。なんとも身勝手でそして、もう探さないでいいんだとどこかホッとした気持ちにもなっている。
両親には、日本には2度と戻ることもないし、この手紙で最後にすると書かれてたようで落胆している。
消印はイギリスからのようで、もしかしたらアチコチと移動してるのかもしれない。
ご実家を後にして、ゆっくりと歩く。
近くの川に行って、頂いた婚約指輪を捨てた。
もう、終わったんだ…
私の婚約者は、過去の人となり、2度と会えない人になった。
10
お気に入りに追加
8
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる