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「おはようございます!」
週明け、ぎこちなくも元気に挨拶をする。
「…おはよう」
きっと、魔が差した?みたいな感じなんだろう。
元々私はそういう対象じゃないし、優があんなこと言ったから試したかったんだろう。
別に私たちの何かが進展するわけでもない。
週末何度もそう言い聞かせ、切り替えることに専念した。
そう。私は対象外、何度も振られてるじゃん!
「持田さん、あのー金曜日の直し出来てます。確認お願いします」
「わかった」
次の原稿もチェックをしだした。
「花村」
「はい」
「お前さ、明後日のパーティー同席できね?」
「え?」
「客先のパーティーに招待されたんだが、パートナー同伴なんだよ!」
「えっ?それなら奥様に」
持田さんは結婚されてるし、奥様誘えば問題ないと思うけど
「まだ子供が小さいからな、子供預けるまでぇもないし、行っても仕事の話ばかりだから詰まらんだろう」
それは確かに…
「…解りました。私でいいなら」
「助かる」
「えっと、ドレスとかそういうのがいいんですか?」
「…と、思うけどな。女服はよくわからん!」
もう!誘っておいてそれって…、それにしてもドレスなんかあったけ?フォーマルのあったかな?
みたがとてもじゃないが、華やかなものではなかった。
買うか…って、どこで買えばいいんだろ?明後日だし急いで買わないと!
ネットで調べて、ドレスやフォーマルを取り扱う店を調べ、翌日は定時に仕事を終えた。
店に入ると
「あら」
「え?」
まさかの…
「私毎日じゃなけど、ここで働いてるのよ」
「そうなんですか?」
坂木さんのお兄さんの奥さん、凛さんがいた。
「何かお探しもの?」
「明日取引先のパーティーに出席することになって、そういう服がなくって」
「あら、そうなの?」
「はい!同伴出席らしく急に決まって」
「佑人君と?」
「いえ、直属の先輩とで」
「そーなの、じゃパーティー用はこっちかな」
凛さんが色々サポートして頂き
「これって、背中空きすぎじゃ…」
「パーティーでしょ?このくらいのがいいんじゃない?」
「えっ?でも…」
「花村さんは、綺麗なんだからこういうの着たら注目されるわよ!」
「は?」
私が綺麗?社交辞令か?
まぁ、客を盛り上げるための…か
いくつか選んでくれたけど、なんていうか今まで着たことない色で尚且つ、ちょっとどっかが大胆な?そんな服ばかりだった。
「私に合うんでしょうか?」
「凄い合うよ!」
と、結局乗せられた状態になり、薄い紫色のを購入した。
こんな色絶対1人なら買わないわ!
「俺ちょっと出るから現地集合な」
「解りました」
教えてもらった会場は高級ホテルだった。
そんなところでパーティーて、よっぽど大きな企業なんだろうな。
凛さんにはパーティー用よメイクの仕方とか教えてもらったけど、こんなに暑く塗っていいの?ってくらいのメイクで
定時で仕事を終え、急いでそのホテルに行き、着替えるところがあると聞いてたのでそこで着替え、メイクも言われた通りにした。髪はアップにしてみるかな。
と、結局1時間半はかかった。
間に合せのロビーにいるも、持田さん来ない。
あれ?うーん
スマホで電話しようとしたら丁度かかってきた。
「あ、悪い!俺行けなくなったから」
は?
「ちょっと、持田さん」
じゃ、同伴だから私も帰らないと
「代わりを行かせてるから」
「え?」
代わりって…
そして目の前にいたのは
「なっ…」
目の前に坂木さん!?
「まぁ、楽しんできて」
と言って電話は切れた
「ちょっと、持田さん!!」
坂木さんは私をみてしばらく何も言わず
「…やられた」
小声でそう聞こえた気がする。
「はぁー」
と、ため息をついて近寄ってくる。
「仕方ない、行くか」
私はまだ状況が読み込めてない。
「あ、あの…」
「とりあえず始まるから入ろう」
そう言って私に腰を回し会場に入った。
また腰に手を回されることがあるとは思わなかった。
会場に入ると、ほんと華やかで凄い豪華だった。
パーティーなんて入ったことないから凄い経験してる。しかも坂木さんと…
「はい、今後ともよろしくお願いいたします」
と、2人で頭を下げる。
坂木さんも知ってる方が多いので会うたびに挨拶をしてる。
その度に恋人?奥様?と聞かれ、同僚ですと答えてる。
…まぁ、そうだよな。同僚だよな。
「ちょっと、あっちで挨拶してくるから」
待っててってことだろう。
「はい」
飲み物でもとって休むか。
それにしても、男性の人は会社ではスーツだけど、今日の坂木さんのスーツは特別用なのか凄い素敵だった。
1人だったらモテること間違いないな。
あの手、あの身体で私はこの間…
いや!!あれは魔が差したんだ!忘れなければ!!
「えっと、花村さんでしたっけ?」
「え?」
振り返ると、さっき挨拶をした男性がいた。
「何度かお仕事してますが、御社にこんなお綺麗な方がいたとは」
「あ、いえ、そんな…」
えっと、確か牧野さんだったかな。
「坂木さんとは幾度も仕事をしてたんですよ!」
「そうなんですか」
「今度はぜひ花村さんとも」
「はい!ぜひよろしくお願いいたします」
「じゃ今度2人でどうですか?」
「は?」
「プライベートの連絡先でも」
な、な、なに?
「えっ、えっと御同伴のお方は?」
「あー、あいつは、元々坂木さん狙いなんですよ!来る可能性があるのを信じて着たんですが、ラッキーって喜んでましたよ」
あー、そういえば甲高い声で坂木さんに向かって笑顔を振りまいてた人いたな。
そっかー、坂木さん狙いだったのか…
「私も1人で暇してたのでどうですか?御一緒に」
「え、あ、そうですね」
曖昧な返事をし
「じゃ、向こうに行きますか」
と言われ、手に腰を回される。そして軽く背中を擦られる。
ゾクッ
いやだ、なんか気持ち悪い
ベタベタ触られて、しかも背中素肌だし気持ち悪い体温を感じる。
「綺麗な背中ですね」
息も近い。
嫌だ、やめて欲しい。
「あの、私失礼します」
「まだいいじゃないですか」
仕事も絡むかたなので、ハッキリ嫌とも言えず
「あ、あの、すいません。本当にもう失礼します」
「えー、そんなこと言わず」
近寄らないで!!ゾクゾクする!!
どっかの隙をみて逃げないと!
と思ってたとき
グイッ!
「すいません、コイツは俺のツレなんで」
後ろに引っ張られみると
凄い顔をしてる坂木さんがいた。
「坂木さん、これから彼女と約束したんで」
と、牧野さんが言い出す!
いや、約束してないし!
「すいません、花村は…」
そう言って坂木さんは牧野さんの顔をじっと見る。
牧野さんも何も言わず見る。
な、なに?どうなってるの?
しばらく何も話さなずで
「花村、こい!」
急に坂木さんに言われた。
「花村さん?」
牧野さんからも声かかるけど
「牧野さん、すいません。失礼します。また今度はお仕事でよろしくお願いいたします」
と言ったと同時に更に引っ張られる。
「では」
坂木さんは、それだけ牧野さんに向かって言って、私を引っ張りその場から離れた。
会場も出たので
「まだ、バーティー終わってないですよ」
坂木さんは何も言わない。
ホテルを出ようとするので
「あっ、私荷物がコインロッカーに…」
と言うと
「どこ?」
と言われて場所をいうと、早歩きで移動してコインロッカーから荷物をとると、坂木さんが奪い取った。
「あ、大丈夫です。そんな重くないし」
「…じゃねよ」
「…え?」
なに?聞こえない。
「…他のヤツに触られてるんじゃねーよ」
「…」
な、なに?それ!?
それ以上何もいわず、ホテルを出てタクシーに乗る。
なんか凄い怒ってる!?
タクシーがどこ向かってるのかも聞けなかったし、でも少しずつだけど見慣れた景色をみる。
これって、坂木さんのマンションに向かってる?
着くとやっぱり坂木さんのマンションで
私は何も言わず着いていく。
部屋に入り、そのままお邪魔し、リビングで止まって振り返る。
すごい怒ってるのがわかる。
「あ、あの、やっぱり似合いませんでしか?これ?」
「…そうだな。」
やっぱり…、そうだよな。似合わないよなー
「だから、俺以外にみせるな!」
「へ?」
そう言うと、近づいてきて腰をまわし、グイッと引っ張られ坂木さんの下半身にベッタリとくっつく。手が背中に周り素肌を撫でる。
「ひゃ」
ゾクゾクな感じはなかった。ビックリしてドキドキして背中が熱くなっていた。
「そんな声、あそこでも出してたのか?」
「そんなのあるわけないじゃないですか!」
「じゃ、なんでそんな声出す?」
空いてる背中を何度も撫でられて身体がなんでか疼く。
「やめてください。背中に…」
「こんなの着てるお前が悪い!」
何度も撫でられて声が出そうになる。
「あっ、坂木さん、ダメです」
「ほんと、信じられねーよ!マグロなんて」
「!?」
「ほんと、選ぶ男悪いんだな」
「さか…きさん、」
完璧に感じてしまっていて、立っているのも苦しくなっている。
「…言っただろ!」
そう言うと、グイっと顔を上げられ坂木さんのドアップを見ることになる。
「もう逃がさないんだよ!」
そのままキスをされ、私は…、私はもう拒むこともせず、そのままキスを受け入れ目をつぶった。
「…」
既にことを終え、ベッドにいる私達。
これって一体…
そういう感情はなくても身体の関係は逃がさないってこと?
30にもなってセフレってこと?
なんか情けない…
「私、そろそろ失礼します」
前ほど何度も長くなかったので腰が抜けて歩けないまでではない。
シャワーも借りたいがなるべく後味悪くないようにしようと思い、急いで服をきてマンションをあとにした。
何かいいたそうな顔をしていたが何もいわないし。
だからやっぱりそれまでなんだなっと思った。
翌日出勤をしたとき
「どうだった?昨日?」
と、持田さんに聞かれ
「急に欠席は困ります!」
と、答えた
「は?聞いてないの?」
「?何がですか?」
「マジか…」
「だから、なんですか?」
「いや、俺が言うことじゃないし」
「持田さん!!」
いつもは低姿勢だけど、なんか気になる。
「どういうことですか!?」
と、突っ込んだ。
いつもの私とは違うのでさすがにタジタジになって
「と、とにかくだ。今日はやってもらいたいこと沢山あるから」
と、仕事モードに切り替えようとしてる。
「…」
結局聞けずに仕事を再開した。
久々に社食でご飯を食べてる。
いつもは、コンビニで何かを買って食べながら仕事をしていた。
半年くらい来てなかった?
前は毎日来てたのになー
「すいません、花村さんですか?」
振り向くと若い2人の女性
「すいません、少しいいですか?」
私が食事を食べ終わったのをみて声かけたのかタイミングがよかった。
食堂から少し離れ、非常口近くに移動。ここなら誰でも来ないって場所。
「あの、私庶務の松下といいます」
庶務の方か、道理で知らないと思った。
「あ、あの…、花村さんって」
な、なに?
「坂木さんと付き合ってるんですか?」
「へ?」
今なんて?
「私が?」
「はい」
「だ、誰がそんなことを?」
「坂木さんです」
はぁ!?
どういうこと!?
ちょっと待って!混乱してる。
「どうして、そんな話しに?」
「あ、あの、私が坂木さんにいつでもいいので一緒にお食事をしたいと伝えたんです。そしたら、仕事の話ならいいけどそれれ以外なら断るって、彼女いるからって、で誰ですか?って聞いたら」
「…私だって言ったんですか?」
「…はい」
そんな、私何も聞いてないけど
「で、どうなんですか?」
「そ、そんなの」
付き合ってないに決まってるでしょ?って言おうとしたら
「付き合ってるよ」
と後ろから声がする。
「さ、坂木さん!?」
「花村に確認するまでもない」
と、言うと松下さんともう1人の子はそそくさと居なくなってしまった。
残された2人は
「坂木さん、あの、どういう…」
「逃がさないって言ったろ?」
「そ、それはそういう意味では…」
「全部ひっくるめて逃がさないってことだ」
「そんな!だって、私とは同僚って…」
「仕事中は同僚だ」
「!?」
「…察しろ!」
そう言って坂木さんは居なくなってしまった。
まさかの展開に頭がついていけない。
本当に坂木さんが?信じられない。
でも、やっぱりそれなら好きって言ってもらいたい。
午後はソワソワしつつも仕事に集中し、そして21時頃仕事を終えて帰る。まだ数人人が居たので、お先にっと言って部署を出た。
「おい」
エレベーターのところで坂木さんがいた。
なんか坂木さんが居るきがしてた。
裏口から出て一緒に歩く。
「私…、坂木さんの気持ち知らないです」
そういうと
「は?」
「だって、記事でも取材でも聞かないと、言わないと解らないことあるって、前言ってませんでしたか?」
私には言ってなかったけど、長柄さんに言ってたのを覚えてる。
「…」
「そんなの、ずるい」
「…」
黙ってないでなんか言ってよ!
横を見るけど、顔からは何を言いたいのかよくわからない。
「さ、坂木さん…」
「あー!わかったよ!もう」
そういうと私の肩に手をおき
「花村」
お互いに歩いてたのが止まる
「…愛してる。だからもう逃がさない」
「…あ、」
身体中が一気に熱くなるのがわかる。
「ほら、帰るぞ」
そう言って手を差し出される。
その手を掴み一緒に駅に向かった。
週明け、ぎこちなくも元気に挨拶をする。
「…おはよう」
きっと、魔が差した?みたいな感じなんだろう。
元々私はそういう対象じゃないし、優があんなこと言ったから試したかったんだろう。
別に私たちの何かが進展するわけでもない。
週末何度もそう言い聞かせ、切り替えることに専念した。
そう。私は対象外、何度も振られてるじゃん!
「持田さん、あのー金曜日の直し出来てます。確認お願いします」
「わかった」
次の原稿もチェックをしだした。
「花村」
「はい」
「お前さ、明後日のパーティー同席できね?」
「え?」
「客先のパーティーに招待されたんだが、パートナー同伴なんだよ!」
「えっ?それなら奥様に」
持田さんは結婚されてるし、奥様誘えば問題ないと思うけど
「まだ子供が小さいからな、子供預けるまでぇもないし、行っても仕事の話ばかりだから詰まらんだろう」
それは確かに…
「…解りました。私でいいなら」
「助かる」
「えっと、ドレスとかそういうのがいいんですか?」
「…と、思うけどな。女服はよくわからん!」
もう!誘っておいてそれって…、それにしてもドレスなんかあったけ?フォーマルのあったかな?
みたがとてもじゃないが、華やかなものではなかった。
買うか…って、どこで買えばいいんだろ?明後日だし急いで買わないと!
ネットで調べて、ドレスやフォーマルを取り扱う店を調べ、翌日は定時に仕事を終えた。
店に入ると
「あら」
「え?」
まさかの…
「私毎日じゃなけど、ここで働いてるのよ」
「そうなんですか?」
坂木さんのお兄さんの奥さん、凛さんがいた。
「何かお探しもの?」
「明日取引先のパーティーに出席することになって、そういう服がなくって」
「あら、そうなの?」
「はい!同伴出席らしく急に決まって」
「佑人君と?」
「いえ、直属の先輩とで」
「そーなの、じゃパーティー用はこっちかな」
凛さんが色々サポートして頂き
「これって、背中空きすぎじゃ…」
「パーティーでしょ?このくらいのがいいんじゃない?」
「えっ?でも…」
「花村さんは、綺麗なんだからこういうの着たら注目されるわよ!」
「は?」
私が綺麗?社交辞令か?
まぁ、客を盛り上げるための…か
いくつか選んでくれたけど、なんていうか今まで着たことない色で尚且つ、ちょっとどっかが大胆な?そんな服ばかりだった。
「私に合うんでしょうか?」
「凄い合うよ!」
と、結局乗せられた状態になり、薄い紫色のを購入した。
こんな色絶対1人なら買わないわ!
「俺ちょっと出るから現地集合な」
「解りました」
教えてもらった会場は高級ホテルだった。
そんなところでパーティーて、よっぽど大きな企業なんだろうな。
凛さんにはパーティー用よメイクの仕方とか教えてもらったけど、こんなに暑く塗っていいの?ってくらいのメイクで
定時で仕事を終え、急いでそのホテルに行き、着替えるところがあると聞いてたのでそこで着替え、メイクも言われた通りにした。髪はアップにしてみるかな。
と、結局1時間半はかかった。
間に合せのロビーにいるも、持田さん来ない。
あれ?うーん
スマホで電話しようとしたら丁度かかってきた。
「あ、悪い!俺行けなくなったから」
は?
「ちょっと、持田さん」
じゃ、同伴だから私も帰らないと
「代わりを行かせてるから」
「え?」
代わりって…
そして目の前にいたのは
「なっ…」
目の前に坂木さん!?
「まぁ、楽しんできて」
と言って電話は切れた
「ちょっと、持田さん!!」
坂木さんは私をみてしばらく何も言わず
「…やられた」
小声でそう聞こえた気がする。
「はぁー」
と、ため息をついて近寄ってくる。
「仕方ない、行くか」
私はまだ状況が読み込めてない。
「あ、あの…」
「とりあえず始まるから入ろう」
そう言って私に腰を回し会場に入った。
また腰に手を回されることがあるとは思わなかった。
会場に入ると、ほんと華やかで凄い豪華だった。
パーティーなんて入ったことないから凄い経験してる。しかも坂木さんと…
「はい、今後ともよろしくお願いいたします」
と、2人で頭を下げる。
坂木さんも知ってる方が多いので会うたびに挨拶をしてる。
その度に恋人?奥様?と聞かれ、同僚ですと答えてる。
…まぁ、そうだよな。同僚だよな。
「ちょっと、あっちで挨拶してくるから」
待っててってことだろう。
「はい」
飲み物でもとって休むか。
それにしても、男性の人は会社ではスーツだけど、今日の坂木さんのスーツは特別用なのか凄い素敵だった。
1人だったらモテること間違いないな。
あの手、あの身体で私はこの間…
いや!!あれは魔が差したんだ!忘れなければ!!
「えっと、花村さんでしたっけ?」
「え?」
振り返ると、さっき挨拶をした男性がいた。
「何度かお仕事してますが、御社にこんなお綺麗な方がいたとは」
「あ、いえ、そんな…」
えっと、確か牧野さんだったかな。
「坂木さんとは幾度も仕事をしてたんですよ!」
「そうなんですか」
「今度はぜひ花村さんとも」
「はい!ぜひよろしくお願いいたします」
「じゃ今度2人でどうですか?」
「は?」
「プライベートの連絡先でも」
な、な、なに?
「えっ、えっと御同伴のお方は?」
「あー、あいつは、元々坂木さん狙いなんですよ!来る可能性があるのを信じて着たんですが、ラッキーって喜んでましたよ」
あー、そういえば甲高い声で坂木さんに向かって笑顔を振りまいてた人いたな。
そっかー、坂木さん狙いだったのか…
「私も1人で暇してたのでどうですか?御一緒に」
「え、あ、そうですね」
曖昧な返事をし
「じゃ、向こうに行きますか」
と言われ、手に腰を回される。そして軽く背中を擦られる。
ゾクッ
いやだ、なんか気持ち悪い
ベタベタ触られて、しかも背中素肌だし気持ち悪い体温を感じる。
「綺麗な背中ですね」
息も近い。
嫌だ、やめて欲しい。
「あの、私失礼します」
「まだいいじゃないですか」
仕事も絡むかたなので、ハッキリ嫌とも言えず
「あ、あの、すいません。本当にもう失礼します」
「えー、そんなこと言わず」
近寄らないで!!ゾクゾクする!!
どっかの隙をみて逃げないと!
と思ってたとき
グイッ!
「すいません、コイツは俺のツレなんで」
後ろに引っ張られみると
凄い顔をしてる坂木さんがいた。
「坂木さん、これから彼女と約束したんで」
と、牧野さんが言い出す!
いや、約束してないし!
「すいません、花村は…」
そう言って坂木さんは牧野さんの顔をじっと見る。
牧野さんも何も言わず見る。
な、なに?どうなってるの?
しばらく何も話さなずで
「花村、こい!」
急に坂木さんに言われた。
「花村さん?」
牧野さんからも声かかるけど
「牧野さん、すいません。失礼します。また今度はお仕事でよろしくお願いいたします」
と言ったと同時に更に引っ張られる。
「では」
坂木さんは、それだけ牧野さんに向かって言って、私を引っ張りその場から離れた。
会場も出たので
「まだ、バーティー終わってないですよ」
坂木さんは何も言わない。
ホテルを出ようとするので
「あっ、私荷物がコインロッカーに…」
と言うと
「どこ?」
と言われて場所をいうと、早歩きで移動してコインロッカーから荷物をとると、坂木さんが奪い取った。
「あ、大丈夫です。そんな重くないし」
「…じゃねよ」
「…え?」
なに?聞こえない。
「…他のヤツに触られてるんじゃねーよ」
「…」
な、なに?それ!?
それ以上何もいわず、ホテルを出てタクシーに乗る。
なんか凄い怒ってる!?
タクシーがどこ向かってるのかも聞けなかったし、でも少しずつだけど見慣れた景色をみる。
これって、坂木さんのマンションに向かってる?
着くとやっぱり坂木さんのマンションで
私は何も言わず着いていく。
部屋に入り、そのままお邪魔し、リビングで止まって振り返る。
すごい怒ってるのがわかる。
「あ、あの、やっぱり似合いませんでしか?これ?」
「…そうだな。」
やっぱり…、そうだよな。似合わないよなー
「だから、俺以外にみせるな!」
「へ?」
そう言うと、近づいてきて腰をまわし、グイッと引っ張られ坂木さんの下半身にベッタリとくっつく。手が背中に周り素肌を撫でる。
「ひゃ」
ゾクゾクな感じはなかった。ビックリしてドキドキして背中が熱くなっていた。
「そんな声、あそこでも出してたのか?」
「そんなのあるわけないじゃないですか!」
「じゃ、なんでそんな声出す?」
空いてる背中を何度も撫でられて身体がなんでか疼く。
「やめてください。背中に…」
「こんなの着てるお前が悪い!」
何度も撫でられて声が出そうになる。
「あっ、坂木さん、ダメです」
「ほんと、信じられねーよ!マグロなんて」
「!?」
「ほんと、選ぶ男悪いんだな」
「さか…きさん、」
完璧に感じてしまっていて、立っているのも苦しくなっている。
「…言っただろ!」
そう言うと、グイっと顔を上げられ坂木さんのドアップを見ることになる。
「もう逃がさないんだよ!」
そのままキスをされ、私は…、私はもう拒むこともせず、そのままキスを受け入れ目をつぶった。
「…」
既にことを終え、ベッドにいる私達。
これって一体…
そういう感情はなくても身体の関係は逃がさないってこと?
30にもなってセフレってこと?
なんか情けない…
「私、そろそろ失礼します」
前ほど何度も長くなかったので腰が抜けて歩けないまでではない。
シャワーも借りたいがなるべく後味悪くないようにしようと思い、急いで服をきてマンションをあとにした。
何かいいたそうな顔をしていたが何もいわないし。
だからやっぱりそれまでなんだなっと思った。
翌日出勤をしたとき
「どうだった?昨日?」
と、持田さんに聞かれ
「急に欠席は困ります!」
と、答えた
「は?聞いてないの?」
「?何がですか?」
「マジか…」
「だから、なんですか?」
「いや、俺が言うことじゃないし」
「持田さん!!」
いつもは低姿勢だけど、なんか気になる。
「どういうことですか!?」
と、突っ込んだ。
いつもの私とは違うのでさすがにタジタジになって
「と、とにかくだ。今日はやってもらいたいこと沢山あるから」
と、仕事モードに切り替えようとしてる。
「…」
結局聞けずに仕事を再開した。
久々に社食でご飯を食べてる。
いつもは、コンビニで何かを買って食べながら仕事をしていた。
半年くらい来てなかった?
前は毎日来てたのになー
「すいません、花村さんですか?」
振り向くと若い2人の女性
「すいません、少しいいですか?」
私が食事を食べ終わったのをみて声かけたのかタイミングがよかった。
食堂から少し離れ、非常口近くに移動。ここなら誰でも来ないって場所。
「あの、私庶務の松下といいます」
庶務の方か、道理で知らないと思った。
「あ、あの…、花村さんって」
な、なに?
「坂木さんと付き合ってるんですか?」
「へ?」
今なんて?
「私が?」
「はい」
「だ、誰がそんなことを?」
「坂木さんです」
はぁ!?
どういうこと!?
ちょっと待って!混乱してる。
「どうして、そんな話しに?」
「あ、あの、私が坂木さんにいつでもいいので一緒にお食事をしたいと伝えたんです。そしたら、仕事の話ならいいけどそれれ以外なら断るって、彼女いるからって、で誰ですか?って聞いたら」
「…私だって言ったんですか?」
「…はい」
そんな、私何も聞いてないけど
「で、どうなんですか?」
「そ、そんなの」
付き合ってないに決まってるでしょ?って言おうとしたら
「付き合ってるよ」
と後ろから声がする。
「さ、坂木さん!?」
「花村に確認するまでもない」
と、言うと松下さんともう1人の子はそそくさと居なくなってしまった。
残された2人は
「坂木さん、あの、どういう…」
「逃がさないって言ったろ?」
「そ、それはそういう意味では…」
「全部ひっくるめて逃がさないってことだ」
「そんな!だって、私とは同僚って…」
「仕事中は同僚だ」
「!?」
「…察しろ!」
そう言って坂木さんは居なくなってしまった。
まさかの展開に頭がついていけない。
本当に坂木さんが?信じられない。
でも、やっぱりそれなら好きって言ってもらいたい。
午後はソワソワしつつも仕事に集中し、そして21時頃仕事を終えて帰る。まだ数人人が居たので、お先にっと言って部署を出た。
「おい」
エレベーターのところで坂木さんがいた。
なんか坂木さんが居るきがしてた。
裏口から出て一緒に歩く。
「私…、坂木さんの気持ち知らないです」
そういうと
「は?」
「だって、記事でも取材でも聞かないと、言わないと解らないことあるって、前言ってませんでしたか?」
私には言ってなかったけど、長柄さんに言ってたのを覚えてる。
「…」
「そんなの、ずるい」
「…」
黙ってないでなんか言ってよ!
横を見るけど、顔からは何を言いたいのかよくわからない。
「さ、坂木さん…」
「あー!わかったよ!もう」
そういうと私の肩に手をおき
「花村」
お互いに歩いてたのが止まる
「…愛してる。だからもう逃がさない」
「…あ、」
身体中が一気に熱くなるのがわかる。
「ほら、帰るぞ」
そう言って手を差し出される。
その手を掴み一緒に駅に向かった。
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