偽装夫婦

詩織

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男前な女 【笹野智子篇】

落ち込んでる男

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私はよく、男前と言われる。

サッパリしてて、話して気持がいいと言われるが、実際そうでもないんだよな。

同期の親友の理沙が結婚した。

といっても、訳ありの結婚で少し前までは5年くらい付き合ってた恋人がいたのに後輩に寝取られた。

そんなタイミングの時に、お見合い話があってお見合いしたら相手は女性恐怖症に近い状態だとか。親や世間の手前、結婚だけはしときたいということのようで、恋愛感情とかそういうのはないで結婚をしてしまった。

ほんと、何考えてるのかしら?理沙は。

そして

「だって、別れたばっかでしょ?チャンスだと思うじゃないですか」

理沙の同じ部署で私たちより3つ年下の戸塚雅也とつかまさや

前々から理沙のことが好きだったんだが、恋人がいたのでいつか別れてくれないかなっが口癖だった。

そして恋人と別れてチャンス!と思ったら、すぐ結婚。


たまたま何回か仕事で絡むことがあり、よく理沙を見てたので

「理沙のこと好きなの?」

って聞いたことから現在に至ってる。

いつのまにか相談相手になってしまった。

私だって恋人がいないのに、人の相談なんか乗ってる暇じゃない。


「うそでしょ?」

何度声かけても起きない。

「ちょっと、戸塚、起きてよ!閉店だって。」

参ったなぁ

家に連れて帰るのもな...

だからって2人でホテル?それもなぁ

どうしよう。


急に音が鳴ったのでビクッとした。

戸塚のスマホが鳴っている。

見ると、兄貴って書かれてた。

悪いと思ったが電話に出た。

「おー俺、今度さ法事で帰る時さ」

と、お兄さんであろう人が話を始めた。なので

「あの、すいません!」

「はっ?何!?彼女?」

「いえ、違うんです。」

事情を説明をして、どこに送っていいか聞いた。

「すいません。ご迷惑をおかけしまして」

「いえ、こちらもストップするように言えばよかったんですが」

「40分くらい待つことできますか?」

「え?」

「今から車出して迎えに行きます。」

お兄さんが迎えにくるということになったので、安心だけど店は閉店してるので出るしかない。

店を出て、駅のロータリにあるベンチにいること伝えた。

夜遅くに男を担いでベンチまで移動。

何してるんだか、ほんとに。


スマホをいじって待っていたら、私たちの前に車が止まった。

ドアを開け出てきた。

「すいません、おまたせして。弟がお世話になってます」

そういって頭を下げた。

「あ、いえ」

戸塚はかわいい弟な感じだが、お兄さんはキリっとした顔立ちの少しガッチリした体格だった。

2人で戸塚を担ぎ、なんとか車に乗せた。

「では、これで私は」

「あの、もう終電ないですよね?」

「あ、はい。でもタクシーあるので」

「もしよければ、送らせていただけませんか?」

「そんな申し訳ないです」

「いや、馬鹿弟のために、ここまでして頂いて何もしないとかそっちのが逆に申し訳ないです」

何度か断ったんだけど、ぜひ送らせてくださいって言うので

「じゃ、すいませんがお願いします」

と、お言葉に甘えてお願いした。



「えっと、失礼ですけどお名前は?」

「あ、笹野と言います」

「俺は、コイツの5つ上の兄です。他に1人真ん中に男がいて、男3人兄弟です」

「そうなんですか」

「昔から男女問わず甘えるところがあるので自分のことはしっかりしろ!って言ってるんですがね」

と言って、苦笑した。

「でも会社では、元気があってパワーすごいですよ」

「笹野さんは、コイツとよく飲みに行ってるんですか?」

「そうですね。笹野君から見たら私は姉御みたいと言われてます。言いやすいのかもですね」

と言ったら

「ええ?姉御?」

と、びっくりして返された。

「いや、なんか俺からみたらそうには見えなかったので」

と言われた。

「え?」

どんな風に見えたんだろ?


そんな話をしてたら、自宅近くまで来ていた。

「あ、この辺でいいです。ありがとうございました。」

「いえ、こちらこそ、色々すいませんでした」

車を降り、一礼した。

車は走っていったが。

どんな風に見えたのかちょっと気になった。


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