偽装夫婦

詩織

文字の大きさ
上 下
17 / 23
男前な女 【笹野智子篇】

落ち込んでる男

しおりを挟む
私はよく、男前と言われる。

サッパリしてて、話して気持がいいと言われるが、実際そうでもないんだよな。

同期の親友の理沙が結婚した。

といっても、訳ありの結婚で少し前までは5年くらい付き合ってた恋人がいたのに後輩に寝取られた。

そんなタイミングの時に、お見合い話があってお見合いしたら相手は女性恐怖症に近い状態だとか。親や世間の手前、結婚だけはしときたいということのようで、恋愛感情とかそういうのはないで結婚をしてしまった。

ほんと、何考えてるのかしら?理沙は。

そして

「だって、別れたばっかでしょ?チャンスだと思うじゃないですか」

理沙の同じ部署で私たちより3つ年下の戸塚雅也とつかまさや

前々から理沙のことが好きだったんだが、恋人がいたのでいつか別れてくれないかなっが口癖だった。

そして恋人と別れてチャンス!と思ったら、すぐ結婚。


たまたま何回か仕事で絡むことがあり、よく理沙を見てたので

「理沙のこと好きなの?」

って聞いたことから現在に至ってる。

いつのまにか相談相手になってしまった。

私だって恋人がいないのに、人の相談なんか乗ってる暇じゃない。


「うそでしょ?」

何度声かけても起きない。

「ちょっと、戸塚、起きてよ!閉店だって。」

参ったなぁ

家に連れて帰るのもな...

だからって2人でホテル?それもなぁ

どうしよう。


急に音が鳴ったのでビクッとした。

戸塚のスマホが鳴っている。

見ると、兄貴って書かれてた。

悪いと思ったが電話に出た。

「おー俺、今度さ法事で帰る時さ」

と、お兄さんであろう人が話を始めた。なので

「あの、すいません!」

「はっ?何!?彼女?」

「いえ、違うんです。」

事情を説明をして、どこに送っていいか聞いた。

「すいません。ご迷惑をおかけしまして」

「いえ、こちらもストップするように言えばよかったんですが」

「40分くらい待つことできますか?」

「え?」

「今から車出して迎えに行きます。」

お兄さんが迎えにくるということになったので、安心だけど店は閉店してるので出るしかない。

店を出て、駅のロータリにあるベンチにいること伝えた。

夜遅くに男を担いでベンチまで移動。

何してるんだか、ほんとに。


スマホをいじって待っていたら、私たちの前に車が止まった。

ドアを開け出てきた。

「すいません、おまたせして。弟がお世話になってます」

そういって頭を下げた。

「あ、いえ」

戸塚はかわいい弟な感じだが、お兄さんはキリっとした顔立ちの少しガッチリした体格だった。

2人で戸塚を担ぎ、なんとか車に乗せた。

「では、これで私は」

「あの、もう終電ないですよね?」

「あ、はい。でもタクシーあるので」

「もしよければ、送らせていただけませんか?」

「そんな申し訳ないです」

「いや、馬鹿弟のために、ここまでして頂いて何もしないとかそっちのが逆に申し訳ないです」

何度か断ったんだけど、ぜひ送らせてくださいって言うので

「じゃ、すいませんがお願いします」

と、お言葉に甘えてお願いした。



「えっと、失礼ですけどお名前は?」

「あ、笹野と言います」

「俺は、コイツの5つ上の兄です。他に1人真ん中に男がいて、男3人兄弟です」

「そうなんですか」

「昔から男女問わず甘えるところがあるので自分のことはしっかりしろ!って言ってるんですがね」

と言って、苦笑した。

「でも会社では、元気があってパワーすごいですよ」

「笹野さんは、コイツとよく飲みに行ってるんですか?」

「そうですね。笹野君から見たら私は姉御みたいと言われてます。言いやすいのかもですね」

と言ったら

「ええ?姉御?」

と、びっくりして返された。

「いや、なんか俺からみたらそうには見えなかったので」

と言われた。

「え?」

どんな風に見えたんだろ?


そんな話をしてたら、自宅近くまで来ていた。

「あ、この辺でいいです。ありがとうございました。」

「いえ、こちらこそ、色々すいませんでした」

車を降り、一礼した。

車は走っていったが。

どんな風に見えたのかちょっと気になった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】あなたから、目が離せない。

ツチノカヲリ
恋愛
入社して3年目、デザイン設計会社で膨大な仕事に追われる金目杏里(かなめあんり)は今日も徹夜で図面を引いていた。共に徹夜で仕事をしていた現場監理の松山一成(まつやまひとなり)は、12歳年上の頼れる男性。直属の上司ではないが金目の入社当時からとても世話になっている。お互い「人として」の好感は持っているものの、あくまで普通の会社の仲間、という間柄だった。ところがある夏、金目の30歳の誕生日をきっかけに、だんだんと二人の距離が縮まってきて、、、。 ・全18話、エピソードによってヒーローとヒロインの視点で書かれています。

ヤクザと私と。~養子じゃなく嫁でした

瀬名。
恋愛
大学1年生の冬。母子家庭の私は、母に逃げられました。 家も取り押さえられ、帰る場所もない。 まず、借金返済をしてないから、私も逃げないとやばい。 …そんな時、借金取りにきた私を買ってくれたのは。 ヤクザの若頭でした。 *この話はフィクションです 現実ではあり得ませんが、物語の過程としてむちゃくちゃしてます ツッコミたくてイラつく人はお帰りください またこの話を鵜呑みにする読者がいたとしても私は一切の責任を負いませんのでご了承ください*

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ

しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話

イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団の異色男子 ジャスティン・レスターの意外なお話 矢代木の実(23歳) 借金地獄の元カレから身をひそめるため 友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ 今はネットカフェを放浪中 「もしかして、君って、家出少女??」 ある日、ビルの駐車場をうろついてたら 金髪のイケメンの外人さんに 声をかけられました 「寝るとこないないなら、俺ん家に来る? あ、俺は、ここの27階で働いてる ジャスティンって言うんだ」 「………あ、でも」 「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は… 女の子には興味はないから」

愛のかたち

凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。 ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は…… 情けない男の不器用な愛。

ハメられ婚〜最低な元彼とでき婚しますか?〜

鳴宮鶉子
恋愛
久しぶりに会った元彼のアイツと一夜の過ちで赤ちゃんができてしまった。どうしよう……。

偽りの結婚生活 ~私と彼の6年間の軌跡

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
偽りの結婚をした男性は決して好きになってはいけない私の初恋の人でした― 大手企業に中途採用された「私」。だけどその実態は仮の結婚相手になる為の口実・・。 これは、初恋の相手を好きになってはいけない「私」と「彼」・・そして2人を取り巻く複雑な人間関係が繰り広げられる6年間の結婚生活の軌跡の物語—。 <全3部作:3部作目で完結です:終章に入りました:本編完結、番外編完結しました> ※カクヨム・小説家になろうにも投稿しています

処理中です...