偽装夫婦

詩織

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婚約者!?

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翌日。

またそっとベットから出て、朝食の支度をした。

ただ、抱きしめられて寝ただけだけど、それもそれですっごい恥ずかしい。

私の心臓の音が聞こえそうで怖かった。

吉村さんの腕の中にすっぽり入って、幸せで、でも恥ずかしい。

寝てるの確認して、頬を吉村さんの胸に押し当てたりしてみた。

彼の温度が伝わって、もう死んでもいいと心の中で叫んでしまった。

「おはよう」

「おはようございます」

「味噌汁のいい匂いがするね」

「あ、はい。豆腐となめこにしました」

「おお、いいね」

と言って、食卓の椅子に座り、ご飯を食べ始める。

ご飯を食べ終え、

「行ってきます」

と言った。

昨日はキスしたけど今日は...

って催促してる?私?

「...」

やばい!吉村さんじっと見てる。

顔に昨日キスしましたよね?って書いてあったか?

「理沙からお願い」

「え?」

「だから、理沙がしてよ」

それって、まさか

「早くしないと遅刻するんだけど」

そ、そんな恥ずかしい。

「早く!」

少し中腰になってくれた。

待ってる、どうしよう。

もう、こうなったらっと、頬に手を添えてキスをした。

「いいね」

笑顔で返された。

もう死ぬんですけど。




その日、昼間まで掃除をして出掛けようとした。

その時、電話が鳴った。

「もしもし?」

「あれ?でちゃったよ!仕事してるって言ってなかった?」

と、遠くの方で声が聞こえる。

なんだ?イタズラか?

そう思って切ろうとしたとき

「花村です。お久しぶりです」

「花村さん?」

全く記憶がない。どこのどいつだ?

「あのー、お間違えじゃないですか?」

「吉村さんですよね?奥さんですよね?」

「そうですけど」

だから誰よ?花村って

「部長のホームパーティーで」

あっ!あのとりまきの二人のどっちかの子だ。

なんで、知ってるのよ。この番号

「その説はお世話になりました。」

「奥さん、貴方可愛そうね。吉村さんに捨てられるんですもんね」

「は?」

何を急に

「あのー、ちょっと今急ぐんで失礼します」

と、電話を切ろうとしたとき

「専務の娘さんが吉村さんのこと気に入ってるんですって」

は?

「専務からは早く離婚してほしいって言われてるのご存知?」

なに?デタラメ?

「あの、そういう証拠にもないことを」

「あら?証拠ならあるわよ」

「写真送ります?」

なに?この自信ある言い方

「娘さんと結婚すれば、まぁ幹部になるのは間違いないしね」

「奥さんも残念だったわね」

「婚約もしたとか言ってし」

「お気の毒」

勿論、こんな奴らの言うことなんか信じてない。

でも、もし本当なら

「写真あるって言ったわよね?」

「ええ」

普段使ってないフリーメールを教えて、そこに送信させた。


送られて来た写真は、

専務であろう人と二人で会食してる。

専務の娘さんであろう人と腕を組んでいる。

3人で外食してるのもある。

もしかして、専務の写真があるかもと思い、吉村さんの会社のホームページみると、専務のご挨拶というページがあり、写真が付いていた。


同一人物だった。

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