偽装夫婦

詩織

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暖かい

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私だけとりあえずパトカーに乗って病院に。

後の人は事情聴取があるので、警察署に行くことになった。



鏡を見たら、両頬がすごい腫れてる。

「こんな...」

こんなに腫れてるんだってくらい腫れてた。

腹部も見てもらったら、大きな赤紫の痣がくっきりあった。

治療してもらい、警察署に向かった。

「理沙!」

「智子、来てくれてありがとう」

智子が心配そうに見てくれる。

「弟さんですか?すいません。色々助かりました」

と言って頭を下げた。

「コイツ、ずっと空手やってるのよ!ようやく役に立ったわ。」

「とりあえず急いで来い!って言われた時は何かと思いましたが、役に立ってよかったです」



「理沙!」

あっ、吉村さん。

息を切らせいてる。急いできてくれたんだ。

「貴方が笹野さん?連絡ありがとうございます」

そう言って、智子に頭を下げる。

そして、私の方をみてびっくりしてる。

「理沙...」

叩かれた頬に、吉村さんの手が触る。

暖かい。

「怖かった」

我慢してた涙が一気に出た。

「近くに居れなくってごめん」

本当に無意識に吉村さんの胸に飛び込んだ。

吉村さんは、ぎゅっと抱きしめてくれて

「ごめん」

と、もう1回言ってくれた。



事情聴取も済んで

「被害届だしますか?」

と言われた。

出そうとも思ったが、会社にも迷惑かかるので

「少し考えます」

と言って、帰宅することにした。



家について

「すいません。ご迷惑を」

また吉村さんに迷惑かけてしまった。

「あの、飲み物でも取ってきますね。」

と言って冷蔵庫に行こうとしたが、手をつかまれた。

「手が震えてる」

吉村さんに言われるまで気づかなった。

まだ手が震えていた。

「理沙」

そう言ってまた抱きしめてくれる。

私も抱きしめ返した。

「理沙」

もう1度呼ばれた時、私は吉村さんとキスをしていた。

抵抗する気も何もなかった。

安心で温かくって、ホッとする。

そしてまた抱きしめてくれた。


それだけで十分で幸せだった。
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