偽装夫婦

詩織

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初めてのデート!?

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「意外にしつこいね!あいつ、そんな奴だと思わなかった」

智子も拓海の執着に驚いていた。

「あの女さ」

「あの女?」

「三上京香だよ」

「あ~、あいつさ、和田と付き合ってしばらくして企画の高野と付き合いだして」

「え?」

「まぁ高野のが見栄えはいいからね」

「二股?」

「少し重なった期間とかあったんじゃない?詳しくは知らないけど、今は高野と付き合ってるよ」

いい子だと思ってたのに、化けの皮が剥がれたってことか。



スマホが鳴り出した。吉村さんからだ

<もし夜定時で帰れるなら一緒に帰ろう>

あれから気にしてくれて、こういう風に連絡がくるが一緒に帰ろうは初めてだ。

<今日は遅くなる予定ないのでお願いします>

って返したら、

<じゃそっちの最寄り駅まで行くよ。18時30分になっちゃうけどいいかな?>

了解と返信した。

「ふ~ん」

少しニヤつく智子。

「な、なに?」

「なんだかんだ、それなりにやってるじゃん」

「え?いやそれは拓海が来たから」

「まぁそれはあるんだろうけど、こっちまで来てくれるんだ。優しいねぇ」

とちゃかされた感じになった。



「遅くなった」

「いえ」

待ち合わせより10分以上早く来てたので全然遅くなってないんだけど、そう言って吉村さんは近くに来て言った。

「じゃ帰りますか」

「はい」

2人で満員電車に乗った。

満員電車だから密着は仕方ないんだけど、目の前5cmくらいに吉村さんのネクタイが見える。

この間拓海の時に抱きしめてくれたけど、あれもまぁその場の状況だし、今もそうだし

どうしよう?近すぎる。

「大丈夫?」

「はい」

いや、大丈夫だけどなんか大丈夫じゃない。

「よっかかっていいから、つらいでしょ?」

いやいや、それは...

速度が減速したことで、少し体制を崩してしまった。

「あ、ごめんなさ」

「いいから」

と言って腕を伸ばし、私を抱きしめる形で収まってしまった。

恥ずかしい!やめてぇええ~、ドキドキしまくってる。

「顔赤いけど大丈夫?熱い?」

「あ、いえ、大丈夫です」

早く駅に着いて!お願い!

そう思えば思うほど、時間が長く感じた。



「すいません、重かったでしょ?」

そう言うと、

「大丈夫」

といって微笑んだ。

まじっすか!こんないい男が笑顔向けられたら、普通なら落ちるよ。

私普通でなくってよかった(自分でも言ってることがよくわかってないが)

「あっ、すいません。ちょっと夕飯の買い出しを」

「ああ」

「じゃ今日は外食にしようか」

「え?」

「たまには、いいかなって」

2人で外食なんかしたことない。まさかのデート?

やばい。ドキドキするんですけど

そう言って、連れていてくれたのは和食屋さん。

「この店、昔からよく行ってる店で美味しいんだ」

吉村さんのお勧めなんだ。

好き嫌いか聞かれて、それならこれがお勧めだよっと教えてくれた。

ほんとデートしてるみたいだ。

いやいや、たまたまなんだから。

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