毎日!アルスの日常366

星月

文字の大きさ
上 下
88 / 368

桜・お花見の回・百合鷗(全3話)

しおりを挟む
【桜】

ある春の夜。

川が流れる土手の上には、枝垂れ桜が並んでいた。
その道の途中で立ち止まると、その桜を見上げた。

ピンク色の短髪が夜風に靡き、長いピアスはまるで振り子のように揺れる。

あと数日もすれば、僕は高校生。

高校には一体、どんな日常が待っているのだろうか。
そんな、桜のような淡い期待を胸に抱き、僕は再び歩き出した。

___4月1日、新シリーズ始動。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



【お花見の回】~アルスの日常~

アルスは高校の友人達と花見会場へ来ていた。
辺りには沢山の木々が桜を咲かせ、会場は多くの人で賑わっていた。

アルス「毎年の如く、大盛況やなぁ。」

そう呟く俺の隣で、エルは「ね~!はぐれないように気を付けなきゃ!」と同調する。

クレ「結構埋まっちゃってるね~、場所取れるかな?」

エルと一緒に、大きなランチボックスを運んでいたクレ。
会場を見渡しながらそう口にした。

アルス「大丈夫や、場所はあいつらに任せてあるで安心せぇ。」

そう言うと丁度、先方にサトシと近藤がいるのが見えた。
大きな桜の木の下で、なにやら作業をしているようだった。

近藤はこちらに気が付くと立ち上がり、大きく両手を振ってアピールをし始めた。

アルス「あいつら、ええとこ取ったな。」

他人のレジャーシートの間を通り、彼らの待つ元へと辿り着いた。
俺は運んできた食べ物系を置くと「おはよう、最高の花見スポットやな。」と言って桜の木を見上げた。

サトシ「俺らが来た頃には、既に今の半分くらいはおってな。空いてる中じゃここが一番広くて見やすそうだったからよ。」

割と早い時間から混んでいたそうで。
そんな中ここを選べたのは、運が良かったと思う。

リリー「よかったよねぇ~、ラッキーだよぉ。」

笑顔を見せながらリリーは、サトシの腕に抱きつこうと身を寄せる。
それを察知したサトシは、リリーの頬を片手で押し返した。

サトシ「くっつくな、飯並べるぞ。」

そう言って、アルスが運んで来たランチボックスを手に取る。
小さい方はリリーに押し付け、サトシは大きい方を漁り始めた。

アルス「俺ちゃっちいのやるで、リリーはサトシと一緒にやりや。」

手を差し出しながらそう提案すると、リリーは「いいのぉ~?ありがとぉ!」と嬉しそうな表情を向けてきた。

サトシ「てめぇ余計なこと...」
リリー「サトシ君と一緒ぉ~!どれから並べるぅ~?」

アルスを睨むサトシに、リリーは背後から近付く。
そして肩から腕を通して体を密着させた。

リリーに後ろから抱きつかれたサトシはため息をつくと、そのまま後ろに倒れていった。

サトシ「お前から並べ直してやろうか?」

そう言うと、下敷きになったリリーは「ごめんなさい!ごめんなさい!!」と謝った。
いつもの口調と違ったからか、アルスは一瞬だけ違和感を覚えた。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



【百合鷗】~電脳戦士の理~

茉愛「ちょっとダジャレ思い付いちゃった」

リビングで双子の妹の百合香と、テレビを観ていた茉愛。
ふとダジャレを思い付き、百合香に披露しようとした。

百合香「なぁに?面白いの?」

そう尋ねる百合香に、茉愛は微笑みを浮かべた。
微笑み...というよりもニヤけ顔に近いけど。

茉愛は深呼吸をすると、一拍子置いてこう口にした。

茉愛「...百合香揉めない」

その言葉を聞いた百合香は一瞬固まった後に、体を小刻みに震えさせた。
そして...。

百合香「そんな小さくないし!!そこそこあるもん!!」

と声を上げて、近くにあったクッションで私を叩き始めた。

茉愛「別になにがとか言ってないし!」

同じくクッションを手にし、彼女の攻撃を防ぎつつその場から逃げ出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

処理中です...