毎日！アルスの日常366

黙祷の回・高台から見える故郷(全2話)

【黙祷の回】～アルスの日常～

時刻は14時台、教室に設置されたプロジェクターからは校長や教頭の姿が映し出されていた。

おぼそかな雰囲気の中、1分間の黙祷が始まった。
全校生徒、全職員が一斉に黙祷を捧げる。

この時間に一切の物音が途絶え、学校には静寂が訪れた。

黙祷が終わりまぶたを開くと、涙を浮かべている生徒もいた。

この学校には、当時あの場所にいた生徒や、現地に親戚がいた職員がいる。
この人達にとってあの出来事は、他人より遥かに辛いことだっただろう。

我々が送る日常。
この今ある当たり前は、どれだけ幸せなことであるか。

その問い掛けには、感慨深いものが込められていた。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



【高台から見える故郷】～電脳戦士の理～

とある地域の高台から、リリエルは町を見下ろしていた。

かつて私が住んでいた、だいすきだった街。

未だ当時のままの状態である場所もあり、そこは私にとっては見るに堪えない惨状。

この町にいつか必ず、復興の時が来る。
それまでの間の辛抱だよ。

語りかけるように、優しく言葉をかけるリリエル。
彼女は町から目を背け、高台を飛び立った。