毎日!アルスの日常366

星月

文字の大きさ
上 下
44 / 362

名字呼び・染まる三日月の回(全2話)

しおりを挟む
【名字呼び】~ナタモチ~

隼士「そういや俺、ずっとお前のこと名字で呼んでるけどよ。」

昼休み、キャッチボールをしていた2人はベンチに座り休憩をしていた。

隼士「そろそろ下の名前で呼んでみたいなって」

そう言うと近藤は立ち上がり「おお!是非呼んでくれ!」とウェルカム状態だった。

隼士「お、おう...分かった。」

咳払いをし、近藤に体の向きを変えた。

隼士「...隆太」

しかし、それは自分でも小さすぎると自覚するほどの声量だった。

近藤「もっとでけー声で!」
隼士「いや、ちょっと待ってくれ。」

顔を近付ける近藤から、隼士は遠ざかりながら言った。

隼士「しばらくは近藤でいいか?」

近藤という呼び方が定着しすぎて、逆に違和感を覚えるようになってしまったからだ。
近藤は少し残念そうに「お、おう...。」と返事をした。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



【染まる三日月の回】~アルスの日常~

エルとアルスは、部活の器具を片付けていた。
部活動の居残りが長引いたことで、辺りはすっかりと暗くなっていた。

アルス「いや~長かったな、まさかこんなに時間が掛かるとは。」

週末の練習試合に備えてなのか、後輩達がコツを教わりたいと押しかけてきた。
その相手をしていたことで、ここまで帰りが遅くなってしまったというわけだ。

エル「気を付けて帰ってね~」
アルス「お前ら風邪引くなよ?」

手を振って後輩達に別れを告げるエル。
アルスはその隣で小さく笑った。

帰路の道中、私は少し肩を落としていた。
明日はバレンタインだけど、そのための準備をする時間が削れてしまった。

家事や課題等のことを考えると、一体何時に寝れるだろうか。

...だからといって、誰かが悪いというわけではない。
後輩達には色々教えれたし、それは先輩としての務めでもあるのだから。

それでも...もう少しだけ早く切り上げられれば、時間は十分あったと言えてしまう。

あれこれ考えていると、アルスが私の顔を覗き込む。

アルス「どしたん、元気ないな。」

彼は気を遣ってくれて、私の鞄を持ってくれた。

エル「ううん...大丈夫。」

私は咄嗟に口角を上げるが...。無理に取り繕った笑顔が、逆に心配させてしまうのではないか。
そう思った頃にはもう遅かった。

アルス「...そうか」

しかし彼は、深堀りすることはなかった。

アルス「それよりエル、今日の月は面白いぞ。」

そう言って、空に浮かぶ三日月を指差すアルス。
私はそれにならって、月の浮かぶ方向に視線を向けた。

するとそこにはオレンジにも似た、濃い黄色に染まる三日月が浮かんでいた。

エル「あ、本当だ!さっきまで普通だったのにね~。」
アルス「低い位置にある間だけだな、こうも色が濃くなるのは。」

それからは、月についての雑談が始まった。
同じ景色を眺める2人は肩を並べながら、私達は自分達の住む町へと向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

バーチャル女子高生

廣瀬純一
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

処理中です...