毎日!アルスの日常366

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田舎の祖父母宅の回・冬休み前半の思い出・開幕(全3話)

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【田舎の祖父母宅の回】~アルスの日常~

アルスは祖父母やいとこ達に会う為、とある田舎町にある家へと足を運んでいた。

車から降りると、黒いコートを着た祖父とオレンジ色の髪をしたいとこが出迎えてくれた。

無邪気な閏は「おじいちゃ~ん!」と呼び上げると、車を飛び出し祖父の元へと駆け寄る。

ガスター「よく来たのう、早速上がりなさいな。」

抱き着く閏を受け止めながら、ガスターは玄関まで先導をする。

アイリス「パールあけおめ~!元気してた~?」

手袋を外したアイリスは、パルムースの手を握りブンブンと振り回す。

パルムース「ええ、おかげさまで。...そちらもお変わりなく?」

こちらから問い掛け返すと、アイリスは「全然!」と即答した。

しかし、なにか問題があるのだろうか。
返事を返した直後、わずかに曇り顔を浮かべた。

アイリス「せやけど、大学が忙しいからなぁ...ま、大変やけど楽しくやっとるで大丈夫やで!」

明るく振る舞うアイリスに「そう、それならよかった。」と眉を開いた。

アルス「ところで、クレは来てるのか?」

アルスはアイリスと反対側の、パルムースの隣で歩を合わせる。

パルムース「そのことだけど、さっき連絡が来てさ。」

そう言って、パルムースは携帯を起動させる。
メッセージアプリを立ち上げ、クレとのやりとり画面を開く。
そこには『寄り道するからお昼前に着く~!』と連絡が来ていた。

パルムース「時間的にはあと30分頃じゃないかと。途中でカフェにでも寄ってるんじゃないかな。」

彼女のことだから、きっとそうだろうな。
なんとなくだが、察しがつく。

アルス「それより返信してやれよ」

画面を見ると、パルムースは既読を付けただけで、なにも返事を送っていなかった。

パルムース「見れば伝わるでしょ、逆になにを送ればいいの。」

相変わらず冷たいなこいつは。

アルスはキーボードをスタンプに切り替え、『了解!』と書かれたスタンプを送った。

パルムース「ちょっ勝手に!?」

しかも彼女の柄に合わない、ゆるふわなタッチのイラストだ。
キャラクターは投げキッスをしており、おまけに文字の後ろにはハートのビックリマークが付いていた。

アルス「せっかくやし送っときな、クレも嬉しがるやろし。」

鼻を鳴らすアルスの肩に、一発パンチをお見舞いした。



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【冬休み前半の思い出】~Life's~

昼食を済ませるとパルムースは、冬休み中の出来事を語らうアルスとクレに耳を傾けていた。

アルス「そういやクレ、エルと出掛けたらしいな。」

いつしかエルが言っていたことを思い出し、アルスはそう切り出す。

クレはニコッと笑みを浮かべ「そう!」と頷いた。
ココアの入ったマグカップを置くと、そばに置いてあった携帯のアルバムを開く。

クレ「2人でイルミネーション見に行って来たんだ~!雪が降ってるのも相まって、すごく綺麗だったよ!」

当時の写真を見つけ、2人に見せる。

細々とした雪が写っており、パラパラと降っていたのが分かる。
地面には雪が敷き詰められ、もはや会場に施された装飾の一部と化していた。

パルムース「へぇ、いい一枚じゃないか。」

釘付けとまではいかないが、パルムースは写真に惹き付けられる。

クレ「でしょでしょ!構図とか結構いい感じだよね!」

ライトの色合いが積雪を彩り、季節を感じられる写真となっていた。
直感的に見て、綺麗だと感じられたようだ。

アルス「冬ならではって感じがしてええな」

そう評価するとクレは「そうなの!いいときに行けて良かった!」と嬉しそうだった。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



【開幕】~電脳戦士の理~

ガスター「おういお前さん達、机の上をさっぱりにしてくれい。」

お盆を持った祖父が、食器や調味料等をどかすよう促す。
アルスは醤油やふりかけを棚にしまいながら、「今年もやってきたか」と呟いた。

ガスター「3人でなにを話しとったんだ?」

空いたスペースにトレイを置くと、アルス達に尋ねた。

パルムース「冬休み中あったことや、予定とかについてだよ。クレは最近、イルミネーション見に行ったみたいだけど。」

内容を軽く説明すると、ガスターは「そうかそうか、よかったのう。」と頷いている。

ガスター「学校の事とかは話さんのかね、3人とも同じ年だろうに。」
パルムース「年どころか、学校も同じだよ。」

机を拭きながら、半ば呆然としながら言い含める。
するとガスターは「そういやあ、そうだったのう。」と頭を掻いていた。

ガスター「さて、準備も整ったことだし、そろそろ始めるとするかの。」

トレイの上に置かれた、パンパンになった一袋。
子供達を召集すると、袋をひっくり返しトレイの上に流し込む。

流れ出てきたのは、大量の小銭だった。

閏「わ~い!いっぱいある~!」

ぴょこぴょことやってきた閏は、机の前で飛び跳ねる。

...そう。
この家では毎年、爺ちゃん主催の掴み取り大会が開かれていた。

貰えるお年玉の金額は、己の実力次第である。
巧みな技術で、いかに多く掬えるか。

また、狙い所も肝心である。
鋭い洞察力で演算し、いかに高い数値の小銭を集められるか。

結果の全ては、己の利き手に託されていた。

アイリス「閏!ここにあるの全部かっさらう気で挑みな!」

閏はアイリスに背中を押され、「よーし、頑張っちゃお~!」と士気を上げた。

クレ「クレープ何個買えるかな~!」
パルムース「もっと他にもあるでしょ」

換算がなんとも彼女らしい。

なにはともあれ、年明けの楽しみの一つだ。
命運を含めた一握りを、ここに捧げよう。

白熱した少年少女らのお年玉を巡る熱き戦いが、今始まろうとしていた。

パルムース「いや...私は全然興味無いけど。」
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