毎日!アルスの日常365

星月

文字の大きさ
上 下
306 / 369
神無月

運営の初心・勉学と差し入れ・綺麗に収めたい(全3話)

しおりを挟む
【運営の初心】~電脳戦士の理~

パルムース「覚えているかな、このサーバーが立ち上がった時のことを。」

奈落に浮かぶ一本の鉄骨の道。
ものさし1本分の幅しかない足場で、パルムースは補佐も無しにその上を歩いていた。

パルムース「今となっては当初の想いなんて、微塵も残っていないだろうね。」

それは、サーバーの様子やシステムを見ていれば分かる。

不親切な案内や非合理的な設計、そして初心者泣かせの難易度設定。
初期のような優しい面影は、一寸も感じられなかった。

開発メンバーは、誰もが気軽に来れるような、そんな雰囲気を望んでいた。
最初こそ上手くいって、アクセス数や評価もいい傾向であった。

それがいつの日か、完全に上級者達の練習フィールドとして使用されるようになった。

あの安心するような雰囲気の、居心地のいいロビーに戻ることはできない。

リーテから見たパルムースの横顔は、どこか寂しさのようなものが感じられた。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



【勉学と差し入れ】~四元戦士の理~

部屋の机に向かい、ペンを走らせていたカツキ。
そこへ、マリンが扉を開けて室内に踏み入った。

教材を広げ試験勉強をしていた私の元に、用意したおにぎりを2つ置いてくれた。

カツキ「ありがとう、マリン。」

ペンを置き、カツキは身体を伸ばした。
今日だけで何時間机に向かっていたのだろうか。

昼ごはんを食べてからは、ほとんどの時間を勉強に費やしていた。
そのせいか、体が硬く感じた。

カツキ「...でも、もう少しだけやるよ。先にお風呂入っておいで。」

しかし、マリンは心配そうな表情を浮かべていた。

カツキ「無理なんかしてないよ。ただ、今回は頑張ってみようと決めただけだから。」

そう言って、私は再び机に向かう。

おにぎりを一口食べ、「うん、美味しい。」と呟き、再び勉強に取り組んだ。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



【綺麗に収めたい】

カヤサは携帯で月の写真を撮っていた。

ネットで見た、綺麗に取る方法を実践したのだが...。

カヤサ「真っ白やんけ」

実際に撮れたものは、月明かりで白化けしており、まともには見られなかった。

模様まで映すのは不可能なのではないか。
同じ機種なのに、どうしてこうも差があるのだろうか。

カヤサは不思議でならなかった。
しおりを挟む

処理中です...