毎日!アルスの日常365

星月

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神無月

様子に異変・いつもより少ない回(全2話)

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【様子に異変】~四元戦士の理~

8時前、浜瀬先生は教室へ入ると、換気をするため窓を開ける。
開いた隙間から風が吹き込み、肌寒さを感じる。

すっかり秋の気候となった。

教卓の前に立ち、資料の整理を始める。

ぽつりぽつりと生徒が登校してくるなか、青髪の女子生徒が後ろの扉の窓から見えた。

あいつはきっとマリンだろう、ただそう思っていた。
しかし、前の扉を開けたのはオレンジ色の髪をしたカツキだった。

浜瀬先生は珍しげな表情を浮かべた。

遅刻寸前に滑り込むように入ってくるのが普段の彼女で、そうでない日でも大体8時以降に来ることが多い。
しかし、今日はまだ7時台である。

カツキ「はまちんおはよ~」

鞄を肩にかけたまま、カツキは教壇へと上がる。

浜瀬先生「珍しいな、こんな早くに来るのは。」

整理をする手を止めることなく、カツキとの会話を繋いだ。

カツキ「目が覚めちゃったからね、ちょっと。それより...。」

カツキはポケットから、一本のペンを取り出す。
それを、浜瀬先生に差し出した。

カツキ「はいこれ、返すの遅くなっちゃった。」

差し出されたペンを見て、浜瀬先生はハッとした。

昨日の朝、筆箱を忘れたというカツキに俺が貸したものだった。

浜瀬先生「おお、そうだったな。すっかり忘れてた。」

カツキに言われるまで、このペンがないことに気付かなかった。
忘れていたし、使ってないシャーペンだったので、ぶっちゃけそのまま持っててもよかったのだが。

浜瀬先生「それよりカツキ、なんだか元気が無いように見えるが。」

作業中の手をついに止め、浜瀬先生はカツキの顔を覗く。

浜瀬先生「なにか悩み事でもあるのか?」

相談に乗ろうとする浜瀬先生だが、カツキは首を振り、「ううん、大丈夫。」と微笑みを浮かべた。

それは、無理に取り繕った不出来な笑みであった。

カツキ「気にかけてくれてありがとね」そう言って、自分の机のもとまで歩いていった。



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【いつもより少ない回】~アルスの日常~

サトシ「いつも6個入っとんのに、今日5個やんけ。」

昼休み、アルスと近藤の3人で、屋上で昼食をとっていたサトシ。
サトシは自分の弁当に入ったチキン南蛮を数えると、数が少ないことが分かった。

アルスと近藤は覗いて確認すると、残りは2つとなっていた。

アルス「4つ食ったんじゃね」
サトシ「んなわけねぇだろ、覚えとるわ数くらい。」

腕を組み、置いた弁当の中身から目を離さない。
何度も、個数を確認しているようだ。

近藤「ていうか、やけに大きくないか?」

残った肉を指差すと、サトシは顔を近付ける。

サトシ「そう言われりゃ、いつももりでけぇ気もするが。」

言われた通り、確かに普段よりも肉の大きさが増しているように見える。
近藤に言われるまで気が付かなかった。

アルス「でかい分、個数を減らしたってことじゃね。」

アルスの見解にサトシは「そういうことか」と納得した様子だった。

サトシ「でもよ、俺ぁ一口で食うから多い方がええわ。」

この大きさを一口でいけるのかよ。
なかなか厳ついなこいつは。
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