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神無月
様子に異変・いつもより少ない回(全2話)
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【様子に異変】~四元戦士の理~
8時前、浜瀬先生は教室へ入ると、換気をするため窓を開ける。
開いた隙間から風が吹き込み、肌寒さを感じる。
すっかり秋の気候となった。
教卓の前に立ち、資料の整理を始める。
ぽつりぽつりと生徒が登校してくるなか、青髪の女子生徒が後ろの扉の窓から見えた。
あいつはきっとマリンだろう、ただそう思っていた。
しかし、前の扉を開けたのはオレンジ色の髪をしたカツキだった。
浜瀬先生は珍しげな表情を浮かべた。
遅刻寸前に滑り込むように入ってくるのが普段の彼女で、そうでない日でも大体8時以降に来ることが多い。
しかし、今日はまだ7時台である。
カツキ「はまちんおはよ~」
鞄を肩にかけたまま、カツキは教壇へと上がる。
浜瀬先生「珍しいな、こんな早くに来るのは。」
整理をする手を止めることなく、カツキとの会話を繋いだ。
カツキ「目が覚めちゃったからね、ちょっと。それより...。」
カツキはポケットから、一本のペンを取り出す。
それを、浜瀬先生に差し出した。
カツキ「はいこれ、返すの遅くなっちゃった。」
差し出されたペンを見て、浜瀬先生はハッとした。
昨日の朝、筆箱を忘れたというカツキに俺が貸したものだった。
浜瀬先生「おお、そうだったな。すっかり忘れてた。」
カツキに言われるまで、このペンがないことに気付かなかった。
忘れていたし、使ってないシャーペンだったので、ぶっちゃけそのまま持っててもよかったのだが。
浜瀬先生「それよりカツキ、なんだか元気が無いように見えるが。」
作業中の手をついに止め、浜瀬先生はカツキの顔を覗く。
浜瀬先生「なにか悩み事でもあるのか?」
相談に乗ろうとする浜瀬先生だが、カツキは首を振り、「ううん、大丈夫。」と微笑みを浮かべた。
それは、無理に取り繕った不出来な笑みであった。
カツキ「気にかけてくれてありがとね」そう言って、自分の机のもとまで歩いていった。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【いつもより少ない回】~アルスの日常~
サトシ「いつも6個入っとんのに、今日5個やんけ。」
昼休み、アルスと近藤の3人で、屋上で昼食をとっていたサトシ。
サトシは自分の弁当に入ったチキン南蛮を数えると、数が少ないことが分かった。
アルスと近藤は覗いて確認すると、残りは2つとなっていた。
アルス「4つ食ったんじゃね」
サトシ「んなわけねぇだろ、覚えとるわ数くらい。」
腕を組み、置いた弁当の中身から目を離さない。
何度も、個数を確認しているようだ。
近藤「ていうか、やけに大きくないか?」
残った肉を指差すと、サトシは顔を近付ける。
サトシ「そう言われりゃ、いつももりでけぇ気もするが。」
言われた通り、確かに普段よりも肉の大きさが増しているように見える。
近藤に言われるまで気が付かなかった。
アルス「でかい分、個数を減らしたってことじゃね。」
アルスの見解にサトシは「そういうことか」と納得した様子だった。
サトシ「でもよ、俺ぁ一口で食うから多い方がええわ。」
この大きさを一口でいけるのかよ。
なかなか厳ついなこいつは。
8時前、浜瀬先生は教室へ入ると、換気をするため窓を開ける。
開いた隙間から風が吹き込み、肌寒さを感じる。
すっかり秋の気候となった。
教卓の前に立ち、資料の整理を始める。
ぽつりぽつりと生徒が登校してくるなか、青髪の女子生徒が後ろの扉の窓から見えた。
あいつはきっとマリンだろう、ただそう思っていた。
しかし、前の扉を開けたのはオレンジ色の髪をしたカツキだった。
浜瀬先生は珍しげな表情を浮かべた。
遅刻寸前に滑り込むように入ってくるのが普段の彼女で、そうでない日でも大体8時以降に来ることが多い。
しかし、今日はまだ7時台である。
カツキ「はまちんおはよ~」
鞄を肩にかけたまま、カツキは教壇へと上がる。
浜瀬先生「珍しいな、こんな早くに来るのは。」
整理をする手を止めることなく、カツキとの会話を繋いだ。
カツキ「目が覚めちゃったからね、ちょっと。それより...。」
カツキはポケットから、一本のペンを取り出す。
それを、浜瀬先生に差し出した。
カツキ「はいこれ、返すの遅くなっちゃった。」
差し出されたペンを見て、浜瀬先生はハッとした。
昨日の朝、筆箱を忘れたというカツキに俺が貸したものだった。
浜瀬先生「おお、そうだったな。すっかり忘れてた。」
カツキに言われるまで、このペンがないことに気付かなかった。
忘れていたし、使ってないシャーペンだったので、ぶっちゃけそのまま持っててもよかったのだが。
浜瀬先生「それよりカツキ、なんだか元気が無いように見えるが。」
作業中の手をついに止め、浜瀬先生はカツキの顔を覗く。
浜瀬先生「なにか悩み事でもあるのか?」
相談に乗ろうとする浜瀬先生だが、カツキは首を振り、「ううん、大丈夫。」と微笑みを浮かべた。
それは、無理に取り繕った不出来な笑みであった。
カツキ「気にかけてくれてありがとね」そう言って、自分の机のもとまで歩いていった。
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【いつもより少ない回】~アルスの日常~
サトシ「いつも6個入っとんのに、今日5個やんけ。」
昼休み、アルスと近藤の3人で、屋上で昼食をとっていたサトシ。
サトシは自分の弁当に入ったチキン南蛮を数えると、数が少ないことが分かった。
アルスと近藤は覗いて確認すると、残りは2つとなっていた。
アルス「4つ食ったんじゃね」
サトシ「んなわけねぇだろ、覚えとるわ数くらい。」
腕を組み、置いた弁当の中身から目を離さない。
何度も、個数を確認しているようだ。
近藤「ていうか、やけに大きくないか?」
残った肉を指差すと、サトシは顔を近付ける。
サトシ「そう言われりゃ、いつももりでけぇ気もするが。」
言われた通り、確かに普段よりも肉の大きさが増しているように見える。
近藤に言われるまで気が付かなかった。
アルス「でかい分、個数を減らしたってことじゃね。」
アルスの見解にサトシは「そういうことか」と納得した様子だった。
サトシ「でもよ、俺ぁ一口で食うから多い方がええわ。」
この大きさを一口でいけるのかよ。
なかなか厳ついなこいつは。
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