毎日!アルスの日常365

星月

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神無月

秋の団員・ラムネゼリーの回(全2話)

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【秋の団員】

クレは校門を抜け、校舎へと向かっていた。

道中、花壇の前でしゃがみ込み、なにかを見つめるリリーの姿があるのが遠くから見える。

クレ「あ、リリーちゃん!おはよ~!」

少し離れた場所から声を掛け、大きく手を振る。

リリー「クレちゃんだぁ、おはよぉ~。」

彼女はこちらに気付き、振り向いて手を小さく振る。

クレ「なに見てるの~?」

私はリリーのそばに駆け寄り、彼女が見ていたものを探す。
花壇の中には、コオロギが数匹いた。

クレ「わっ、コオロギだ!」

小さく跳ね回る姿を、目で追いかける。
家族なのか、大きいのと小さいのがいるのが分かった。

リリー「ぴょこぴょこしててかわいいねぇ~」

花壇用のじょうろを持ち、コオロギにかからないよう花に水を与える。

リリー「早くコオロギさん達の、秋の合唱が聴きたいなぁ~。」

じょうろを置いたリリーは目を細め、再びコオロギ達の動向を見守る。

クレは「そうだね~」と呟き、彼女もまた隣で静かに眺めていた。



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【ラムネゼリーの回】~アルスの日常~

5限目の体育が終わり、エルとクレは教室へと戻って来た。

着替えをするエルの隣で、クレはエナジーゼリーの蓋を開けている。

エル「珍しい色、何味?」

クレがよく飲んでいるものだが、いつものと色が違った。
エルが尋ねると、クレはパッケージを見せてきた。

クレ「ラムネ!これは初めて飲む!」

そう答える彼女に、エルは脱いだ体操着を畳みながら「美味しい?」と聞く。
クレ「まだ飲んでない!」

そう言って、飲み口からゼリーの匂いを嗅いだ。

クレ「あ!すごいラムネだ!」

目を見開き、笑顔をこちらに向けてくる。

クレはゼリーを一口飲み、「美味しい!」と声を上げた。

クレ「ラムネの甘さがあって、ゼリーも軟らかめだから飲みやすい!」

味についてを分かりやすいように、簡潔な感想を述べてくれた。

クレ「味わって飲みたいから10秒じゃ足りないね~」

窓の外を眺めながら、クレはエナジーゼリーを飲み進める。

エル「そもそも10秒で飲める気がしないよ」

苦笑いを浮かべながら、エルはクレに制服を渡す。

エル「廊下でこのクラスの男子が待ってるよ」

クレが着替えなければ、男子が教室に入ってこれない。
ガヤガヤと賑わう廊下の方を見ながらエルは呟いた。
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