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神無月
中古ゲーム・冷ややっこ・秋に染まる(全3話)
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【中古ゲーム】~アルスの日常~
アルスは昼休み、購買へ行こうと席を立ち上がる。
後ろの扉に手をかけようとしたところ、ふと壁側の席に座る生徒、ヒロを見る。
彼はいつも一人で過ごしており、誰かと話しているところを授業の交流以外で見たことがない。
机の下に視線を向け、うつむく彼の手元を見ると、あるものを手にしていることが分かった。
アルス「俺以外にそれやってるのなかなかいねぇぞ」
彼が手にしていたのは、今から15年以上も前に発売された携帯型ゲーム機であった。
アルスはその年代のゲームを漁るのがすきで、思わず声をかけていた。
ヒロ「さ、最近お小遣いで買ったんだ...。」
今にも消え入りそうな声で呟く彼に、アルスは顔を近付けた。
アルス「まさか、隣町の中古屋で買ったんか?1階にあるとこ。」
ヒロは驚いたように、目を見開いてこちらを向く。
ヒロ「え...どうして分かったの?」
予想は当たっていた。驚愕の表情を浮かべる彼に、アルスは「やはりか」と続けた。
アルス「先週かね、そこにジャンク品を漁りに行ったんだよ。その時に見つけたのがそれと同じ色だったから、もしやと思ってさ。」
隣の席の椅子を持ってきて、ヒロの隣に座る。
アルス「一旦保留にしとくかってその日は店を出ちまったが、先を越されちまったってわけだな。」
ヒロ「ご、ごめん...。」
笑いながら話をするアルスに、ヒロは突然謝る。
アルス「なんで謝るん、そんなの早い者勝ちやで謝る必要とか...あ。」
ふと、あることを思い付く。
俺は机に肘をかけ、頬杖を付いた。
アルス「勝手に買いやがって、許さねえぜ?」
机に肘をかけ頬杖を付くと、ヒロは「そんなぁ...」と、弱々しい声を上げる。
そんな彼を横目に遠い黒板を眺めながら「そうだなぁ」と呟き、こう続けた。
アルス「じゃ、俺と通信して遊ぼうや。」
ヒロ「...え?」
俺はニヤっと笑い、ヒロと顔を合わせた。
アルス「一緒にやって楽しむ、それなら恨みも晴れて友達やら?」
ヒロ「友達...」
ヒロは俯き、黙り込む。
アルス「いけね、時間無くなっちまうわ。」
時計を見るなり、アルスは椅子から腰を浮かすと、配置を元に戻す。
アルス「んなわけで俺行くわ。マルチおもろいやつ選んでくるで、明日楽しみにしといてな?」
そう言って、俺は彼の肩をぽんと叩き、教室を出ていった。
分かっていると思うが、念のために言っておく。
恨む気などさらさらない。
俺みたいな何台も持ってるマニアより、純粋にそれが欲しい人の手に渡った方が、ゲームとしても幸せなんじゃないかと。
かと言って、コレクター達を否定しているわけではないが。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【冷ややっこ】~ナタモチ~
美浦「なんか冷ややっこ食べたくなってきたな~」
教室の外を眺めながら、美浦は呟いた。
美優「すごい急だね」
3限目終わり、理由は不明だが突如として冷ややっこが食べたいと言い出す美浦。
美浦「冷ややっこのねぎ、いらない。醤油があれば十分。」
彼女の言葉に反応した隼士が、「ねぎは必須だろ!」と声を上げた。
美浦「ねぇびっくりするからやめてよ!」
手にしていた携帯を落としそうになり、慌てて窓から乗り出していた体を引っ込めた。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【秋に染まる】
クレ「もう10月だね~」
朝のSHRが始まる前、窓側の壁にもたれるエルの隣に立つ。
エル「そうだね~、なんだか急に肌寒く感じるよ。」
エルが自身の腕をさすると、クレは「分かる~!」と同調した。
クレ「そんな時はやっぱりこれだよね~」
隣にある畳まれたカーテンを手にし、そこにくるまろうと広げた。
カーテンに身を包むが、ひんやりとしていた。
クレ「あれ、冷たい!」
アルス「そりゃあ曇りだからな」
日が出ていないので、カーテンは温まっていなかった。
クレ「え~、お日様出てこないの~?」
アルス「昼からは快晴だとよ、訳が分からん。」
天気予報の情報を伝えるが、エルは「日中は晴れなくていいよ、暑いし。」と言った。
アルスは昼休み、購買へ行こうと席を立ち上がる。
後ろの扉に手をかけようとしたところ、ふと壁側の席に座る生徒、ヒロを見る。
彼はいつも一人で過ごしており、誰かと話しているところを授業の交流以外で見たことがない。
机の下に視線を向け、うつむく彼の手元を見ると、あるものを手にしていることが分かった。
アルス「俺以外にそれやってるのなかなかいねぇぞ」
彼が手にしていたのは、今から15年以上も前に発売された携帯型ゲーム機であった。
アルスはその年代のゲームを漁るのがすきで、思わず声をかけていた。
ヒロ「さ、最近お小遣いで買ったんだ...。」
今にも消え入りそうな声で呟く彼に、アルスは顔を近付けた。
アルス「まさか、隣町の中古屋で買ったんか?1階にあるとこ。」
ヒロは驚いたように、目を見開いてこちらを向く。
ヒロ「え...どうして分かったの?」
予想は当たっていた。驚愕の表情を浮かべる彼に、アルスは「やはりか」と続けた。
アルス「先週かね、そこにジャンク品を漁りに行ったんだよ。その時に見つけたのがそれと同じ色だったから、もしやと思ってさ。」
隣の席の椅子を持ってきて、ヒロの隣に座る。
アルス「一旦保留にしとくかってその日は店を出ちまったが、先を越されちまったってわけだな。」
ヒロ「ご、ごめん...。」
笑いながら話をするアルスに、ヒロは突然謝る。
アルス「なんで謝るん、そんなの早い者勝ちやで謝る必要とか...あ。」
ふと、あることを思い付く。
俺は机に肘をかけ、頬杖を付いた。
アルス「勝手に買いやがって、許さねえぜ?」
机に肘をかけ頬杖を付くと、ヒロは「そんなぁ...」と、弱々しい声を上げる。
そんな彼を横目に遠い黒板を眺めながら「そうだなぁ」と呟き、こう続けた。
アルス「じゃ、俺と通信して遊ぼうや。」
ヒロ「...え?」
俺はニヤっと笑い、ヒロと顔を合わせた。
アルス「一緒にやって楽しむ、それなら恨みも晴れて友達やら?」
ヒロ「友達...」
ヒロは俯き、黙り込む。
アルス「いけね、時間無くなっちまうわ。」
時計を見るなり、アルスは椅子から腰を浮かすと、配置を元に戻す。
アルス「んなわけで俺行くわ。マルチおもろいやつ選んでくるで、明日楽しみにしといてな?」
そう言って、俺は彼の肩をぽんと叩き、教室を出ていった。
分かっていると思うが、念のために言っておく。
恨む気などさらさらない。
俺みたいな何台も持ってるマニアより、純粋にそれが欲しい人の手に渡った方が、ゲームとしても幸せなんじゃないかと。
かと言って、コレクター達を否定しているわけではないが。
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【冷ややっこ】~ナタモチ~
美浦「なんか冷ややっこ食べたくなってきたな~」
教室の外を眺めながら、美浦は呟いた。
美優「すごい急だね」
3限目終わり、理由は不明だが突如として冷ややっこが食べたいと言い出す美浦。
美浦「冷ややっこのねぎ、いらない。醤油があれば十分。」
彼女の言葉に反応した隼士が、「ねぎは必須だろ!」と声を上げた。
美浦「ねぇびっくりするからやめてよ!」
手にしていた携帯を落としそうになり、慌てて窓から乗り出していた体を引っ込めた。
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【秋に染まる】
クレ「もう10月だね~」
朝のSHRが始まる前、窓側の壁にもたれるエルの隣に立つ。
エル「そうだね~、なんだか急に肌寒く感じるよ。」
エルが自身の腕をさすると、クレは「分かる~!」と同調した。
クレ「そんな時はやっぱりこれだよね~」
隣にある畳まれたカーテンを手にし、そこにくるまろうと広げた。
カーテンに身を包むが、ひんやりとしていた。
クレ「あれ、冷たい!」
アルス「そりゃあ曇りだからな」
日が出ていないので、カーテンは温まっていなかった。
クレ「え~、お日様出てこないの~?」
アルス「昼からは快晴だとよ、訳が分からん。」
天気予報の情報を伝えるが、エルは「日中は晴れなくていいよ、暑いし。」と言った。
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