毎日!アルスの日常365

星月

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720mlの贈り物・持ちにくい・ハンバーガーの日・ビリヤード(全4話)

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【720mlの贈り物】

クレ「あ~いた!パルちゃ~ん!」

付き人のミヤコと共に、クラスメイトのノートを運んでいたパルムース。

パルムース「なんだいクレ、なにか用かい?」

背を向ける彼女の名前を口にして呼び止めると、体の向きをこちらへと変え足を止めた。

通って来た廊下の先から、クレはが5本のなにかを抱えて駆け足で寄ってきた。

クレ「これあげる!またいっぱい貰っちゃった!」

そう言って、抱えた物を強調するように体を前に反った。
それは、1本720mlも入った牛乳瓶だった。

パルムース「ちょっと...ここで渡すつもり?」

彼女に顔を近付け、こそっと耳打ちをするが、クレは首を傾げながら「なにかあるの?」と聞き返すだけだ。



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【持ちにくい】~電脳戦士の理~

ミヤコ「クレさん、やはり素敵なお方ですね。」

クレと別れたパルムースの隣から、表情をうかがおうと覗き込むミヤコ。

その口元は、いつの間にか綻んでいた。

クレから貰った牛乳瓶を、渋々と両手で持ち歩くパルムース。

パルムース「陽気さもいいところだよ」

あのあとクレは、用事があると言ってどこかへと行ってしまった。
まったく、こっちは2人でノートを運んでたと言うのに。

結局、半分ずつに分けていたノートは全てミヤコが持ち、クレに渡された5本の牛乳瓶は私が持っていると言うわけだ。

アルス「お、クレから貰ったんだな。」

正面から歩いて来たアルスは、パルムースの手持ちを見てそう言った。

パルムース「悪いが、1本持ってくれないか?」

アルスは「飲めばよくね?」と言うが、そんな痛飲じみたことはお断りだ。

アルス「じゃあ、そのまま1本俺にくれね?ちょうど喉乾いてるし。」
人差し指を掲げ、アルスは牛乳を求めた。

パルムースは「別にいいけど」と言って、5本の牛乳瓶を差し出した。

パルムース「こっから引き抜いて、できれば真ん中。」

真ん中が無くなれば、持ち直すのが楽となる。
そう推測したパルムースはそこを取ることを求めた。

アルス「じゃあ端っこを」

隅にある1本を抜き取ろうと手を掛けると、パルムースは「足空いてるけどいいの?」と、片足をトントンとしながら顔を近付ける。

アルスは「サーセ~ン」と言いながら真ん中の牛乳瓶を引き抜いた。



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【ハンバーガーの日】~ナタモチ~

隼士「く~っ!やはりシェイクを片手に食べるハンバーガーは格別だな!」

シェイクとハンバーガーという、自称贅沢な組み合わせの2品を手に賞味していた。

美浦「あんた本来の目的忘れてない?」

と言いつつ、美浦もフラッペの味を堪能している様子。

因みに今日ここに集まった理由は、夏休みの課題を早めに終わらせようと言い出した隼士が、勉強会を開くまでに話を展開させたからだ。

藍夏「今日はハンバーガーの日だよ~、だから狙いは見失ってないって。」

椅子に大胆にもたれ掛かり、ポテトを食べながら携帯をいじる藍夏。

チキンナゲット用のバーベキューソースをつけ、味変をしながら食べ進めている。

藍夏さん、あなた全然ハンバーガーに手を付けてませんけど。
肝心なハンバーガーよりも、ポテトの減りの方が早かった。

賢澄「君達、そのペースで一体いつ頃に終わる予定なんだい?僕はあと10分もしないうちに終えることができそうなんだが。」
飲み物に口を付け、眼鏡の位置を整えながら現状を述べた。
隼士「なにっ!?早くね!?」
隼士が身を乗り出し、賢澄が開いているテキストのページ数を確認する。
賢澄は呆れた表情で「君がのんびりしてるからだよ」と答えた。
藍夏「て言うか賢澄、ジュースしか頼まなかったじゃん。ナゲット多いから食いなよ。」
机中央に置かれた、ファミリーサイズのナゲットの箱を顎で指す。
賢澄「間食は控えているんだ」
藍夏「これ夜飯なんだけど」
藍夏がそう言うと、賢澄は「いただくよ」と即答した。
隼士「切り変えはっや!」
言い忘れていたが、賢澄が頼んだのはジュースではなくコーヒーである。
メインのハンバーガー等は、勉強が終わってから買いに行くようです。



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【ビリヤード】~アルスの日常~

あるゲームコーナーのビリヤードで、サトシはカヤサと厚史の対決を見ていた。

残るは一球だが、かなり白熱した戦いとなっていたので、この球を入れた側の勝ちということにした。

しかしそれから6ターンが経過したが、変に緊張して、ミスを連発していた。

終わりが見えず向かえた7ターン目。
厚史はこれまでにない程集中をした。

球はヘッドスポット辺りにあり、ちょうど一直線上に反対側のコーナーポケットへ入りそうだ。

カヤサ「もうちょい右、あー行きすぎ、もうちょい手前から、角度が違う。」
厚史「うるっせーよ!!」

惑わすカヤサに厚史が声を上げる。
集中力を欠かぬよう真剣な顔をする厚史を見て、カヤサはニヤニヤしている。

厚史「このやろう...とりゃあ!!」

遂に球を突き、それはコーナーポケットに目掛けて転がって行った。

その様子を3人は凝視する。

結果、球はコーナーポケットの手前で止まってしまった。
膝から崩れる厚史を見て更に声を上げて笑い出すカヤサ。

最後はしっかりカヤサが決めました。
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