202 / 369
文月
直行・水分補給の回(全2話)
しおりを挟む
【直行】
朝の駅のホーム、飛鳥はベンチに腰掛け電車を待っていた。
改札口の方から、カヤサと厚史の話し声が聞こえ、その方向に視線を向ける。
2人は並んでこちらへと歩いてきており、ある程度近くなると厚史は「おっすー飛鳥」と、携帯を触る私に声をかけた。
飛鳥「ん、おはよう。」
適当に挨拶を返して、再び携帯の画面に目を向ける。
厚史「あれ、今日クレは?」
もうすぐ電車が来る時間になるが、この場にクレの姿はなかった。
珍しそうに見る厚史に、飛鳥はため息をついた。
飛鳥「仕事が終わって直で行くって言ってたじゃん」
先週の金曜日、別れ際にそう話したはずだ。
その場に厚史もいたし、なにより「大変だな~」と声をかけていたんだから、知らないはずはない。
厚史「そうだわ!すっかり忘れてたわ!」
がははと笑い、厚史はちょうど私達の前で停まった電車に乗り込む。
カヤサ「なんか足りない感じがするな、あいつがおらんと。」
それは私が一番感じてるよ。
待ち時間、退屈でしかなかった。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【水分補給の回】~アルスの日常~
近藤は部活が終わると、グラウンドで練習をしていた杏姉を迎えに来ていた。
靴紐をほどく杏姉を見つけ、彼女の元へと駆け寄る。
近藤「お疲れ、杏姉。」
野球道具を地面に降ろし、同じ視線になるようしゃがみ込む。
杏姉「あっ近藤君、お疲れさまです。」
シューズを履き替えようとしていた彼女は、手を止めて顔を上げる。
近藤「今日は暑かったな!ちゃんとこまめに休憩とってたか?」
杏姉「はい、木陰に入って塩分や水分の補給はしてましたよ。」
杏姉がしっかりと熱中症対策をしていることを聞いて、近藤は頷いた。
近藤「偉いな、体壊さないようにこれからも続けてこうな。」
杏姉は褒められたことで照れてしまったのか「は、はい...ありがとうございます...。」と、たどたどしくなりうつむく。
近藤「杏姉の鞄はこれだよな。他に荷物ってあるか?」
杏姉の横に置いてある鞄を見ると、まだ入れていないものがあるのか、ファスナーが開いている。
杏姉「あっ、そこにある水筒もなので、あとで入れようかなって...。」
自分の斜め前に置いてある水筒を指差す杏姉だが、その先には2本の水筒が立っていた。
近藤「こっちだよな。よく見るやつだし覚えてるぜ!」
自信満々に片方の水筒を手に取るが、杏姉は指し示した指の向きをずらした。
杏姉「そうですが...実はこっちもです。」
普段から使っている水筒とは別に、水が入った透明な水筒も自信の物だと言う。
近藤「あれ、そうなのか?なんで2つもあるんだ?」
置いてある両方の水筒も持ち上げ、鞄の元へと運びながら尋ねる。
杏姉「いつもの水筒にはスポーツ飲料が入っているのですが、水と交互に飲むといいみたいなので...早速実践してみました。」
テレビで見かけて気になり、ネットで色々調べたりなどして得た情報だと言う。
興味を持った近藤は、あとで自分も調べておくことにした。
朝の駅のホーム、飛鳥はベンチに腰掛け電車を待っていた。
改札口の方から、カヤサと厚史の話し声が聞こえ、その方向に視線を向ける。
2人は並んでこちらへと歩いてきており、ある程度近くなると厚史は「おっすー飛鳥」と、携帯を触る私に声をかけた。
飛鳥「ん、おはよう。」
適当に挨拶を返して、再び携帯の画面に目を向ける。
厚史「あれ、今日クレは?」
もうすぐ電車が来る時間になるが、この場にクレの姿はなかった。
珍しそうに見る厚史に、飛鳥はため息をついた。
飛鳥「仕事が終わって直で行くって言ってたじゃん」
先週の金曜日、別れ際にそう話したはずだ。
その場に厚史もいたし、なにより「大変だな~」と声をかけていたんだから、知らないはずはない。
厚史「そうだわ!すっかり忘れてたわ!」
がははと笑い、厚史はちょうど私達の前で停まった電車に乗り込む。
カヤサ「なんか足りない感じがするな、あいつがおらんと。」
それは私が一番感じてるよ。
待ち時間、退屈でしかなかった。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【水分補給の回】~アルスの日常~
近藤は部活が終わると、グラウンドで練習をしていた杏姉を迎えに来ていた。
靴紐をほどく杏姉を見つけ、彼女の元へと駆け寄る。
近藤「お疲れ、杏姉。」
野球道具を地面に降ろし、同じ視線になるようしゃがみ込む。
杏姉「あっ近藤君、お疲れさまです。」
シューズを履き替えようとしていた彼女は、手を止めて顔を上げる。
近藤「今日は暑かったな!ちゃんとこまめに休憩とってたか?」
杏姉「はい、木陰に入って塩分や水分の補給はしてましたよ。」
杏姉がしっかりと熱中症対策をしていることを聞いて、近藤は頷いた。
近藤「偉いな、体壊さないようにこれからも続けてこうな。」
杏姉は褒められたことで照れてしまったのか「は、はい...ありがとうございます...。」と、たどたどしくなりうつむく。
近藤「杏姉の鞄はこれだよな。他に荷物ってあるか?」
杏姉の横に置いてある鞄を見ると、まだ入れていないものがあるのか、ファスナーが開いている。
杏姉「あっ、そこにある水筒もなので、あとで入れようかなって...。」
自分の斜め前に置いてある水筒を指差す杏姉だが、その先には2本の水筒が立っていた。
近藤「こっちだよな。よく見るやつだし覚えてるぜ!」
自信満々に片方の水筒を手に取るが、杏姉は指し示した指の向きをずらした。
杏姉「そうですが...実はこっちもです。」
普段から使っている水筒とは別に、水が入った透明な水筒も自信の物だと言う。
近藤「あれ、そうなのか?なんで2つもあるんだ?」
置いてある両方の水筒も持ち上げ、鞄の元へと運びながら尋ねる。
杏姉「いつもの水筒にはスポーツ飲料が入っているのですが、水と交互に飲むといいみたいなので...早速実践してみました。」
テレビで見かけて気になり、ネットで色々調べたりなどして得た情報だと言う。
興味を持った近藤は、あとで自分も調べておくことにした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる